小児科の医学テーマ
小児科の医師国家試験 頻出テーマを76項目、中分類ごとに整理しました。気になるテーマから要点と出題実績を確認できます。
成長・発達・社会的問題
- 小児の発育・発達概念
乳児の発達は粗大運動 / 微細運動 / 認知 (社会性) / 言語の各領域で月齢ごとに標準的なマイルストーンが整理され、健診では月齢相当の達成度を評価する。
- 原始反射・姿勢反射概念
原始反射は新生児期に出現し中枢神経の成熟に伴って消失する反射、姿勢反射は中枢神経の成熟に伴って出現する反射であり、発達評価の指標として臨床的に区別される。
- 思春期・二次性徴概念
二次性徴は性ホルモンの影響で思春期に出現する身体的変化であり、男児では精巣容量の増大に始まり、女子では性腺刺激ホルモンの分泌増加により出現する。
- 新生児の生理・診察概念
新生児のバイタルサインの基準値は成人とは異なり、心拍・呼吸は高値、血圧は低値が正常である。
- 小児の診察・基準値概念
啼泣を避ける配慮や診察順序の工夫と、小児バイタル・血液値の基準値。
- 小児の栄養(母乳・離乳)概念
小児の栄養は母乳が基本で、母乳は産後の経過により初乳と成乳の 2 種類に分かれ、成長に応じた年齢・体重別のエネルギー管理も重要となる。
- 小児の体液・脱水疾患
小児の脱水は体液量の減少により循環不全と電解質異常をきたす病態で、血清 Na 値により高張性 / 等張性 / 低張性に分類される。
- 児童虐待概念
児童虐待には身体的虐待・性的虐待(わいせつな行為をさせることを含む)・心理的虐待(言葉の暴力を含む)・ネグレクト(育児の放棄)の4類型が含まれる。
- 揺さぶられっこ症候群(SBS)疾患
乳幼児揺さぶられ症候群(SBS) は養育者が乳幼児を激しく揺さぶることで頭部を中心とした損傷が生じる病態である。
- 乳幼児突然死症候群疾患
SIDSとは、それまで元気だった児が睡眠中などに予期せず急死し、生前の経過や死亡時の状況、剖検によっても死因を特定できない、原則として生後 1 歳未満に起こる病態をいう。
新生児
- 胎児循環概念
胎児循環は胎盤を介したガスの交換に依存し、卵円孔 / 動脈管 / 静脈管による短絡の経路を有する。
- 新生児仮死・Apgarスコア概念
Apgar スコアは心拍数 (Pulse)・呼吸 (Respiration)・筋緊張 (Activity)・反射 (Grimace)・皮膚色 (Appearance) の 5 項目を各 0〜2 点で評価し合計 0〜10 点で採点するもので、
- 新生児蘇生手技
新生児蘇生は、出生後に呼吸の確立が不良な新生児に対して保温・気道確保・人工呼吸などを行う一連の蘇生手技である。
- 新生児呼吸障害(RDS・TTN・無呼吸)疾患
新生児呼吸窮迫症候群(RDS / IRDS) は、肺サーファクタントの欠乏により肺胞が虚脱し、新生児が呼吸障害をきたす疾患である。
- 胎便吸引症候群(MAS)疾患
胎便吸引症候群(MAS) は羊水中の胎便を気道内に吸引することで呼吸の障害を呈する新生児の疾患である。
- 新生児黄疸疾患
新生児黄疸は新生児期に認められる高ビリルビン血症による皮膚・眼球結膜の黄染である。
- 新生児低血糖・糖代謝管理疾患
新生児低血糖症は、新生児期に血糖値が異常に低下し、振戦などの神経症状を生じうる病態である。
- 新生児・乳児の発熱症候
新生児・乳児の発熱は重症感染症が潜むリスクが高く、特に生後早期では慎重な対応を要する。
- 未熟児網膜症疾患
未熟児網膜症(ROP) は高濃度の酸素を投与することで眼底の血管が攣縮して生じる、早産児の合併症である。
- 喉頭軟化症疾患
喉頭軟化症は喉頭の軟骨が未熟であるため、吸気の際に喉頭が虚脱して喘鳴を呈する先天性の疾患である。
先天異常・遺伝
- 遺伝形式(家系図・遺伝計算)概念
遺伝形式は、遺伝性の疾患が次世代へ伝達される様式を分類する概念であり、家系図や遺伝計算の基礎となる。
- 染色体異常概念
染色体異常は染色体の数の異常または構造異常によって生じる先天性疾患群で、多くは多発奇形や精神運動発達の遅れを伴う。
- Down症候群疾患
Down 症候群は21 番染色体の不分離による染色体異常症で、男児では47,XY,+21、女児では47,XX,+21の核型を呈する。
- 18トリソミー(Edwards症候群)疾患
18 トリソミー(Edwards 症候群) は、18 番染色体が 3 本になる過剰 (トリソミー) による先天異常の症候群である。
- 13トリソミー(Patau症候群)疾患
13 トリソミー(Patau 症候群) は 13 番染色体のトリソミーによる先天異常の症候群である。
- Turner症候群疾患
Turner症候群は X 染色体が 1 本失われた45,XO (モノソミー) を主因とする性染色体異常症である。
- Klinefelter症候群疾患
47,XXYの性染色体異常。高身長・女性化乳房・精巣発育不全を呈し、LH/FSHは高値となる。
- 口唇裂・口蓋裂疾患
口唇裂および口蓋裂は顔面正中の癒合不全による先天奇形であり、哺乳・構音・歯列など多面的な機能障害の原因となる。
循環器(先天性心疾患)
- 心室中隔欠損症疾患
心室中隔欠損症 (VSD) は心室の中隔に欠損孔があり、左右の短絡を生じる先天性の心疾患である。
- 心房中隔欠損症疾患
心房中隔欠損症(ASD)は心房中隔に欠損孔があり左右短絡を生じる先天性心疾患である。
- 心内膜床欠損症(房室中隔欠損)疾患
心内膜床欠損症(= 房室中隔欠損) では心房中隔欠損症と心室中隔欠損症が同時に併存し、肺血流の増加を呈する。
- 動脈管開存症疾患
動脈管開存症は出生後に動脈管が閉鎖せず大動脈から肺動脈への短絡が持続する先天性の心疾患である。
- 大動脈縮窄症(CoA)疾患
大動脈縮窄症(CoA) は大動脈弓部 (多くは動脈管付近) の狭窄により上肢と下肢で血圧の差・SpO2 の差を生じる先天性の心疾患である。
- Fallot四徴症(TOF)疾患
肺動脈狭窄・心室中隔欠損・大動脈騎乗・右室肥大からなる先天性心疾患。乳児期のチアノーゼ・無酸素発作が特徴。
- 完全大血管転位症(TGA)疾患
完全大血管転位症は右室から大動脈が、左室から肺動脈が分岐する先天性の心疾患である。
- 総肺静脈還流異常症(TAPVR)疾患
総肺静脈還流異常症(TAPVR) はすべての肺静脈が右心の系へ還流するチアノーゼ性の先天性心疾患である。
- 三尖弁の先天異常(三尖弁閉鎖症・Ebstein奇形)疾患
三尖弁閉鎖症(TA) は三尖弁が形成不全により閉鎖し、右房から右室への血流が遮断される先天性のチアノーゼ性の心疾患である。
- 肺動脈閉鎖症疾患
肺動脈閉鎖症は右心室から肺動脈への駆出血流が途絶する先天性心疾患であり、肺血流は動脈管に依存する。
- Eisenmenger症候群疾患
Eisenmenger 症候群は左から右への短絡 (= VSD / ASD / PDA など) が長期間経過して肺血管の抵抗が上昇し、肺高血圧が体循環の圧を超えることで短絡が右から左に逆転する病態である。
- 冠動静脈瘻疾患
冠動静脈瘻は冠動脈と心腔・大静脈・冠状静脈洞などとの間に異常な交通を生じる先天性心疾患である。
消化器・肝胆道疾患
- 先天性食道閉鎖症疾患
先天性食道閉鎖症は食道が途中で連続性を欠く先天奇形で、多くは気管食道瘻を伴い新生児期に発見される。
- 先天性腸閉鎖(十二指腸・小腸・輪状膵)疾患
輪状膵は膵臓が十二指腸の周囲を取り囲んで発生する先天奇形であり、二次的に十二指腸の狭窄をきたす。
- 肥厚性幽門狭窄症疾患
肥厚性幽門狭窄症は新生児期に幽門の筋層が肥厚し、幽門部の狭窄により噴水状の嘔吐を呈する疾患である。
- 腸回転異常症疾患
腸回転異常症は胎生期の腸管の回転異常により正常と異なる位置に腸管が固定された先天性疾患である。
- 腸重積症疾患
腸重積症は腸管の一部が隣接の腸管の内側へ嵌入する疾患で、主に乳幼児期に好発し、腸管の虚血や壊死へ進展しうる緊急の疾患である。
- 新生児壊死性腸炎疾患
新生児壊死性腸炎 (NEC) は主に低出生体重児にみられ、腸管の壊死・穿孔をきたす重篤な疾患である。
- Hirschsprung 病疾患
Hirschsprung 病は腸管壁の神経節細胞が欠如する (無神経節腸管) ことによる機能性腸閉塞である。
- 直腸肛門奇形疾患
新生児で肛門開口を認めない鎖肛。高位・中間位は人工肛門造設後に根治術を行う。
- 小児の機能性便秘疾患
小児の機能性便秘は、器質的な疾患を伴わずに排便が困難となる状態であり、小児の腹痛の原因として頻度が高い。
- 先天性胆道閉鎖症疾患
先天性胆道閉鎖症は肝外胆管が閉塞し、新生児期から閉塞性黄疸と灰白色便を呈する疾患である。
- 先天性胆道拡張症疾患
先天性胆道拡張症は胆管の先天的な拡張を伴う疾患で、膵胆管合流異常を高い率で合併する点が特徴である。
内分泌・代謝・性腺疾患
- 先天性甲状腺機能低下症疾患
先天性甲状腺機能低下症は出生時から甲状腺ホルモンの産生・分泌が不十分な状態で、適切な治療を行わなければ精神・身体の発達障害を呈する。
- 成長ホルモン分泌不全性低身長症疾患
成長ホルモン分泌不全性低身長症は GH 分泌の低下により成長障害を呈する疾患である。
- 思春期早発症疾患
思春期早発症は正常範囲より早期に二次性徴が出現する疾患であり、ゴナドトロピン依存性(中枢性)と非依存性(末梢性)に分類される。
- 小児肥満概念
小児肥満は成人の BMI ではなく肥満度で評価し、標準体重からどれだけ体重が乖離しているかの比率で判定する。
- Prader-Willi症候群疾患
Prader-Willi 症候群は、15 番染色体の長腕における微細欠失で生じる先天性の疾患である。
- Lesch-Nyhan症候群疾患
Lesch-Nyhan 症候群は HGPRT 欠損による高尿酸血症を背景に、運動障害・知的退行・自傷行為(口唇や指の咬傷)を呈する小児期発症の疾患である。
血液疾患
免疫・膠原病
感染症
- 麻疹疾患
麻疹はパラミクソウイルス科の麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性疾患で、感染力が極めて強く空気(飛沫核)感染する。
- 風疹疾患
風疹はウイルス感染症で、発熱、耳の後ろから顔・上半身へ広がる粟粒大の点状丘疹性紅斑、耳後部の圧痛を伴う頸部リンパ節腫脹を呈する。
- 突発性発疹疾患
突発性発疹は乳児期に好発するウイルス性の発疹症で、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)またはHHV-7が原因である。
- パルボウイルスB19疾患
パルボウイルス B19は伝染性紅斑の原因となるウイルスであり、胎児への感染で重篤な合併症をきたしうる。
- 手足口病・ヘルパンギーナ疾患
手足口病は手掌 / 足底 / 口腔内に水疱性の発疹を呈するウイルス性の疾患である。
- 流行性耳下腺炎疾患
ムンプスウイルスの飛沫感染(おたふくかぜ)。耳下腺腫脹を呈し、難聴・膵炎・髄膜炎を合併しうる。
- 百日咳疾患
百日咳は Bordetella 属の菌による急性の気道の感染症であり、特徴的な発作性の咳の嗽を呈する。
- 急性細気管支炎疾患
急性細気管支炎は乳児に好発する細気管支の感染症で、RS ウイルスが主な原因となる。
神経・精神疾患
- 新生児細菌性髄膜炎疾患
新生児細菌性髄膜炎は生後 28 日以内に細菌感染で髄膜に炎症が生じる重篤な疾患である。
- 急性脳症疾患
急性脳症は感染症などを契機として急性の意識障害やけいれんを呈する脳の非炎症性の疾患である。
- 憤怒けいれん(泣き入りひきつけ)疾患
憤怒けいれん(= 泣き入りひきつけ) は、乳幼児が激しく啼泣した直後に、まず呼吸が停止し、続いて顔面が蒼白となり、最終的に意識を消失する、良性かつ反射性の現象である。
- 起立性調節障害疾患
起立性調節障害(OD) は自律神経の機能不全により、起立する際に血圧の低下や頻脈を呈する小児期の疾患である。
- Floppy infant(乳児の筋緊張低下)症候
フロッピー児は乳児期に全身性の筋緊張低下を呈する症候であり、中枢性 / 末梢性 / 代謝性の複数の疾患の臨床所見として出現する。