産科の医学テーマ
産科の医師国家試験 頻出テーマを50項目、中分類ごとに整理しました。気になるテーマから要点と出題実績を確認できます。
正常妊娠
- 受精・着床概念
受精・着床は精子と卵子の融合により受精卵が形成され、胚盤胞として子宮内膜に着床するまでの過程である。
- 正常妊娠概念
正常妊娠は受精・着床・胎児の発育・母体の生理的変化を伴う約 40 週の経過であり、定期的な妊婦健康診査による母児の評価が基本となる。
- 妊娠週数推定と超音波概念
妊娠週数は最終月経の開始日 (人工授精例では排卵日を妊娠 2 週) から算出するが、月経不順や週数とのズレが大きい例では、経腟超音波の CRL など計測値を優先して週数と分娩予定日を修正する。
- 胎児発育概念
胎児の発育とは、受精後に各器官が順次形成され、機能を獲得して成熟していく一連の過程を指す。
- 胎児付属物概念
胎児付属物は胎盤・臍帯・羊水・卵膜の総称であり、胎児の発育と母体との物質交換を担う構造の集合をいう。
- 羊水検査,出生前診断概念
出生前診断は児の遺伝学的な異常や形態学的な異常を、出生前の段階で診断する検査の総称である。
- 胎児心拍数モニタリング〈CTG / NST〉検査
胎児心拍数陣痛図は子宮の収縮と胎児の心拍の関係から胎児の状態を評価する検査をさす。
- バイオフィジカルプロファイルスコアリング検査
NSTと超音波4項目で胎児の健常性を10点満点評価する検査(BPS)。8点以上が正常。
- Bishopスコア検査
Bishopスコアは子宮頸管の成熟度を評価する指標で、5項目の合計点により分娩誘発の適否を判断するのに用いられる。
- 仰臥位低血圧症候群疾患
仰臥位低血圧症候群は、妊婦が仰臥位をとると増大した子宮が下大静脈を圧迫し、静脈還流(前負荷)の低下から心拍出量が減少して、血圧低下や悪心を生じる病態である。
妊娠初期の異常
- 不育症(反復流産)疾患
流産を繰り返す状態(不育症)。胚の染色体異常が最多で、抗リン脂質抗体症候群・子宮奇形等が原因。
- 流産疾患
流産は妊娠 22 週未満での妊娠の終了をさし、その多くは胎児染色体異常を原因とする。
- 異所性妊娠(卵管・頸管妊娠)疾患
異所性妊娠 (子宮外妊娠) は受精卵が子宮内膜以外の部位に着床する疾患で、着床部位は卵管・卵巣・腹腔・子宮頸管などがある。
- 妊娠悪阻疾患
妊娠悪阻は、妊娠初期のつわりが重症化して悪心・嘔吐により食事摂取が困難となり、脱水や体重減少など全身状態に影響を及ぼす病態である。
- 絨毛膜羊膜炎疾患
絨毛膜羊膜炎は、妊娠中に卵膜・羊水へ細菌が侵入して生じる感染症であり、前期破水などを契機に発症する。
- 頸管無力症疾患
頸管無力症は子宮頸管の機能不全により妊娠中期に無痛性の頸管開大・胎胞膨隆をきたし流産に至る疾患である。
- 細菌性腟症疾患
細菌性腟症は、乳酸桿菌優位の腟内常在菌叢が嫌気性菌優位へ変化して発症する腟症である。
妊娠後期の異常(妊娠高血圧・胎盤・早産)
- 妊娠高血圧症候群(PIH)疾患
妊娠高血圧症候群(= HDP) は、妊娠に伴って高血圧をきたす一連の病態の総称である。
- 子癇疾患
子癇は妊娠高血圧症候群に伴うけいれん発作をさし、妊娠20週以降や分娩後にも発症しうる重篤な病態である。
- HELLP症候群疾患
妊娠高血圧腎症に伴い溶血・肝逸脱酵素上昇・血小板減少を呈する病態。DICや子癇を合併しうる。
- 前置胎盤疾患
前置胎盤は胎盤が内子宮口を覆って付着する異常で、経腟分娩で大出血をきたすため帝王切開の適応となる。
- 常位胎盤早期剥離疾患
常位胎盤早期剥離は正常な位置の胎盤が分娩前に子宮の壁から剥離する緊急産科疾患であり、母児ともに致命的なリスクを伴う。
- 癒着胎盤疾患
癒着胎盤では児娩出後の胎盤剥離徴候が陰性 (= Strassmann 徴候・Kustner 徴候が陽性) となる。
- 前期破水〈PROM〉疾患
前期破水(PROM)は陣痛発来前に卵膜が破れて起こる破水で、妊娠週数(37週未満か否か)によっては定義されない。早産期では感染リスクと児の未熟性への対応が必要となる。
- 切迫早産疾患
妊娠22〜36週に規則的子宮収縮や頸管短縮を呈し早産リスクが高い状態。子宮内感染が主因。
胎児・付属物の異常
- 胎児発育不全(FGR)疾患
胎児発育不全(FGR) とは、胎児の推定体重が在胎週数に対する基準値を下回った状態をさす。
- 多胎妊娠概念
多胎妊娠は 2 児以上を同時に妊娠した状態で、管理方針の決定には膜性の判定が欠かせない。
- 双胎間輸血症候群疾患
双胎間輸血症候群(TTTS)は一絨毛膜双胎で、胎盤内の血管吻合を介して一方の児(供血児)から他方(受血児)へ血流が偏る病態である。
- 羊水量異常(過多・過少)疾患
羊水過少症は羊水量が異常に減少した状態、羊水過多症は羊水量が異常に増加した状態をさす。
- 血液型不適合妊娠疾患
血液型不適合妊娠は母体と胎児の血液型 (特にRhD) が一致しない妊娠で、母体の感作によって胎児や新生児に溶血の疾患が生じる可能性をもつ。
- 胎児水腫疾患
胎児水腫は、貧血や血流のうっ滞などを背景に、胎児の血管の外に水分が溜まり、皮下の浮腫や胸水・腹水を呈する病態である。
合併症妊娠・母子感染
分娩・分娩の異常
- 正常分娩概念
正常分娩は頭位の児が自然な経過で経腟的に娩出される分娩をさし、その経過を安全に進める管理を正常分娩管理という。
- 回旋・胎位の異常・Leopold触診法概念
胎児回旋は、分娩時に児頭が産道を通過するために行う一連の回転運動をさし、第1〜第4回旋に分けられる。
- 微弱陣痛・遷延分娩疾患
微弱陣痛は子宮収縮(陣痛)の強さ・頻度・持続時間が不十分で、分娩の進行が遅延・停滞する状態である。
- 胎児一過性徐脈(遅発・変動)疾患
遅発一過性徐脈は子宮収縮のピークから遅れて胎児心拍数が低下するパターンで、胎盤機能不全 (胎児機能不全) を示唆する所見である。
- 臍帯脱出疾患
臍帯脱出は臍帯が児の先進部より先に腟内・外陰部に脱出した状態で、内診で脱出した臍帯を触知することで診断される。
- 帝王切開手技
帝王切開は経腟分娩が困難または危険な場合に、子宮を切開して児を娩出する外科的な分娩方法である。
- 分娩外傷・難産(児の損傷・CPD・肩甲難産・吸引分娩・頸管裂傷)疾患
頭血腫は出生直後から認められる骨膜下の頭蓋外血腫で、骨縫合を越えないのが特徴である。
- 子宮破裂疾患
子宮破裂は妊娠中または分娩中に子宮の壁が全層性に破綻する産科の緊急疾患で、母児ともに生命を脅かす大量出血をきたしうる。
- 弛緩出血疾患
弛緩出血は分娩後に子宮筋の収縮不全により持続する分娩後出血であり、子宮復古不全に分類され、分娩第 2 期の合併症ではない。
- 子宮内反症疾患
子宮内反症は、胎盤の娩出時に子宮体部が反転する産科の救急疾患であり、緊急の対応を要する。
- 羊水塞栓症疾患
羊水塞栓症は分娩時に羊水成分が母体血中に流入し、呼吸不全やDICを引き起こす重篤な疾患である。
- 産科DIC疾患
産科 DIC (= 播種性血管内凝固) は妊娠・分娩関連の病態に合併して生じる DIC である。