耳鼻咽喉科の医学テーマ
耳鼻咽喉科の医師国家試験 頻出テーマを58項目、中分類ごとに整理しました。気になるテーマから要点と出題実績を確認できます。
耳鼻咽喉科総論
- 耳の解剖(外耳・中耳・内耳・前庭)概念
内耳は側頭骨の内部に存在し、半規管・前庭・蝸牛の3部位から成り、側頭骨高分解能CTで同定できる。
- 鼻・咽喉頭・頸部・嗅覚味覚の解剖概念
味覚は舌に分布する神経が味蕾からの情報を伝える感覚であり、舌の前方と後方で支配神経が異なる。
- 聴力検査(純音・小児)検査
純音聴力検査は各周波数ごとに聴力閾値を測定し、難聴の程度と型を評価する基本的な聴力検査である。
- 喉頭内視鏡・音声機能検査検査
音声機能検査は、最長発声持続時間などの指標により発声の能力を定量的に評価する検査である。
- 補聴器・人工内耳手技
補聴器は難聴のある人に対して外界の音を増幅し、語音の聴取を補助する装用型の医療機器である。
- 耳漏症候
耳からの分泌物(耳漏)。中耳炎・側頭骨骨折・真珠腫などが原因となる。
- 嗄声症候
声のかすれ(音質の障害)。最長発声持続時間で発声機能を評価する。
- 鼻出血症候
鼻出血は鼻腔粘膜からの出血であり、鼻中隔前下部のキーゼルバッハ部位からの出血が最も多い。
外耳疾患
中耳疾患
- 急性中耳炎疾患
急性中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳腔に細菌が感染して急性の化膿性炎症を起こした状態である。
- 滲出性中耳炎疾患
滲出性中耳炎は鼓室の中に非化膿性の液体が貯まり伝音難聴をきたす疾患であり、急性中耳炎に続発することが多い。
- 慢性中耳炎疾患
鼓膜穿孔と反復する耳漏・伝音難聴を呈する中耳炎。真珠腫と異なり骨破壊はない。
- 真珠腫性中耳炎疾患
真珠腫性中耳炎は鼓室内に角化物(剥脱した角化上皮)が蓄積して周囲の骨を破壊する中耳の疾患である。
- 耳硬化症疾患
耳硬化症はアブミ骨底板が前庭窓に異常骨化して固着し、音の伝達が障害されて伝音難聴をきたす疾患である。
- 耳小骨離断疾患
外傷を契機に耳小骨連鎖が断たれ持続性の伝音難聴を呈する。鼓膜が正常でも生じうる。
難聴(感音難聴)
- 先天性難聴疾患
先天性難聴は乳幼児期から聴覚が障害される疾患で、言語発達に影響するため早期発見・早期対応が必要である。
- 突発性難聴疾患
突発性難聴は、誘因なく突然に発症する原因不明の片側性の感音難聴で、難聴の程度はさまざまである。
- ムンプス難聴疾患
流行性耳下腺炎に続発する一側性の高度感音難聴。回復不良で、ワクチンにより予防可能。
- 騒音性難聴・音響外傷疾患
騒音性難聴は長時間の騒音曝露により内耳の有毛細胞が障害されて生じる、進行性かつ不可逆性の感音難聴である。
- 老人性難聴疾患
老人性難聴(加齢性難聴)は加齢に伴って徐々に進行する両側性の聴力低下であり、高齢者の難聴の代表的な原因である。
- 耳毒性薬物による難聴・中毒性平衡障害疾患
アミノグリコシド系やループ利尿薬による両側性の感音難聴・平衡障害。
- 内耳炎疾患
内耳炎は内耳 (= 蝸牛・前庭・三半規管) の感染性の炎症で、めまいと難聴を呈する。
- 機能性難聴疾患
機能性難聴 (= 心因性難聴)は器質的な異常のない難聴で、詐聴を含む概念である。
めまい・平衡障害
鼻腔・副鼻腔疾患
- アレルギー性鼻炎疾患
アレルギー性鼻炎はアレルゲンへの曝露でくしゃみ・鼻漏・鼻閉を呈するI 型アレルギー疾患である。
- 急性副鼻腔炎疾患
急性副鼻腔炎は、上顎洞・前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞などの副鼻腔の粘膜に生じた急性の細菌感染症である。
- 慢性副鼻腔炎疾患
慢性副鼻腔炎は長期間にわたる鼻閉や嗅覚低下を呈する副鼻腔の慢性炎症で、蓄膿症とも呼ばれる。
- 副鼻腔真菌症疾患
副鼻腔真菌症は、副鼻腔の内部に真菌 (Aspergillus など) が感染・増殖する疾患で、上顎洞に好発する。
- 術後性上顎嚢胞疾患
術後性上顎嚢胞は慢性副鼻腔炎の手術後に上顎洞内へ生じる貯留嚢胞 (粘液嚢胞) を特徴とする疾患である。
- 上顎癌疾患
上顎癌は上顎洞の粘膜に発生する悪性腫瘍で、上顎洞癌とも呼ばれ、副鼻腔に生じる癌のなかで最も頻度が高い。
口腔・扁桃・唾液腺疾患
- アデノイド増殖症疾患
アデノイド増殖症のアデノイド (= 咽頭扁桃) は上咽頭後壁に存在するリンパ組織であり、小児期に肥大しやすい。
- 扁桃周囲膿瘍疾患
扁桃周囲膿瘍は口蓋扁桃の周囲(扁桃被膜と上咽頭収縮筋の間)に膿瘍が形成される重症の扁桃感染症である。
- 唾石症疾患
唾石症は唾液腺の導管内に結石 (唾石) が形成され、唾液の流出が妨げられる疾患である。
- 唾液腺腫瘍(多形腺腫・Warthin腫瘍)疾患
耳下腺腫瘍摘出術は、耳下腺に発生した良性または悪性の腫瘍を切除する手術で、顔面神経を温存しながら耳下腺浅葉切除術や全摘術が行われる。
- 舌癌疾患
舌癌は舌に発生する悪性腫瘍で、組織型は扁平上皮癌が大半を占め、舌の側縁部に好発する。
- 上顎骨折疾患
Le Fort分類で表される顔面骨折。咬合障害や眼窩下神経損傷による頬部知覚障害を呈する。
- 急性扁桃炎疾患
口蓋扁桃の急性炎症。GAS を見分ける Centor の基準、伝染性単核球症へのアミノペニシリンの禁忌、扁桃周囲膿瘍と急性糸球体腎炎・リウマチ熱という合併症まで。
咽頭・頸部疾患
- 上咽頭癌疾患
上咽頭癌は上咽頭の粘膜に発生する悪性腫瘍であり、組織型は扁平上皮癌が多くを占める。
- 中咽頭癌疾患
中咽頭癌は口蓋扁桃・舌根・軟口蓋などからなる中咽頭に発生する、扁平上皮癌を主体とした悪性腫瘍である。
- 下咽頭癌疾患
下咽頭癌は梨状陥凹・後壁・輪状後部に発生する咽頭の悪性腫瘍で、組織型の多くは扁平上皮癌である。
- 若年性血管線維腫疾患
若年性血管線維腫は思春期男性に好発する鼻腔・副鼻腔の良性腫瘍で、血管の増生を伴う。
- 深頸部感染症疾患
深頸部感染症は頸部深部の筋膜間隙に生じる感染症で、縦隔への進展(= 降下性壊死性縦隔炎) を起こしうる重篤な疾患である。
- 頸部リンパ節結核疾患
頸部リンパ節結核は、結核菌の感染によって生じる頸部リンパ節の慢性肉芽腫性炎症であり、肺外結核の一型である。
- 正中頸嚢胞疾患
正中頸嚢胞 (= 甲状舌管嚢胞) は、胎生期の甲状舌管の遺残から生じる先天性の頸部正中の嚢胞である。
- 頸部リンパ節腫脹疾患
頸部リンパ節腫脹の切り分け。感染性/腫瘍性の鑑別、悪性を疑う所見、Virchow 転移、悪性リンパ腫では切除生検が要る理由。
喉頭疾患
- 急性喉頭蓋炎疾患
急性喉頭蓋炎は喉頭蓋の急性炎症性腫脹により上気道閉塞をきたす窒息リスクのある救急疾患である。
- クループ症候群疾患
クループ症候群はウイルス性喉頭気管炎を主体とし、声門下の浮腫により特徴的な犬吠様咳嗽と吸気性喘鳴を呈する小児の疾患である。
- 声帯結節・声帯ポリープ・喉頭肉芽腫疾患
喉頭肉芽腫は声門付近に生じる良性腫瘍で、挿管・声の酷使・大声を出す習慣・胃食道逆流症といった、声門部位への物理的刺激が繰り返されることで形成される。
- 喉頭乳頭腫疾患
喉頭乳頭腫は喉頭に発生する良性の乳頭状腫瘍で、嗄声をきたし再発を繰り返しやすい。
- 喉頭癌疾患
喉頭癌は喉頭に発生する悪性腫瘍で、組織型の大半は扁平上皮癌であり、進行すると頸部のリンパ節へ転移をきたす。