腎臓・泌尿器の医学テーマ
腎臓・泌尿器の医師国家試験 頻出テーマを61項目、中分類ごとに整理しました。気になるテーマから要点と出題実績を確認できます。
腎泌尿器総論
糸球体疾患
- 急性糸球体腎炎(AGN)疾患
溶連菌感染の1〜3週後に発症する糸球体腎炎。浮腫・高血圧・乏尿・血尿の急性腎炎症候群を呈し、血清補体C3とCH50の低下(低補体血症)を認める。
- IgA 腎症疾患
IgA 腎症はメサンギウム領域への IgA・C3 沈着を特徴とする慢性糸球体腎炎で、持続性の血尿と蛋白尿を主徴とする。
- 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)疾患
急速進行性糸球体腎炎〈RPGN〉は、数週から数か月の経過で腎機能が急速に低下する糸球体腎炎であり、半月体の形成を病理学的特徴とする。
- ネフローゼ症候群(微小変化型・FSGS)疾患
ネフローゼ症候群 (NS) は糸球体性の蛋白漏出を基盤に、大量蛋白尿・低アルブミン血症・浮腫・高 LDL コレステロール血症を呈する病態である。
- 膜性腎症(MN)疾患
膜性腎症 (MN) は、中高年・高齢者のネフローゼ症候群 (蛋白尿が主体) の原因として頻度の高い代表的疾患である。
- 膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)疾患
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は、糸球体に補体活性化を伴う免疫複合体が沈着し、メサンギウム増殖と基底膜の二重化を呈する糸球体腎炎で、ネフローゼ症候群をきたしうる。
- ループス腎炎疾患
SLEに伴う糸球体腎炎でSLEの代表的な臓器合併症。腎生検でwire-loop病変や補体・IgGのfull-house沈着を認め、ステロイドと免疫抑制薬を併用する。
- 糖尿病性腎症疾患
糖尿病性腎症 (DKD) は糖尿病の細小血管障害による代表的な合併症で、進行するアルブミン尿と GFR の低下を特徴とし、末期腎不全に至りうる。糖尿病網膜症や末梢神経障害と並行して進行することが多い。
- アミロイド腎症疾患
全身性アミロイドーシスに伴う腎障害で、コントロール不良の関節リウマチなど慢性炎症性疾患に続発する。高度蛋白尿からネフローゼをきたし、生検でコンゴーレッド染色陽性を示す。
- 骨髄腫腎疾患
骨髄腫腎は、多発性骨髄腫 (MM) に伴う Bence Jones 蛋白などの沈着で尿細管障害を主体とする腎症である。
- Alport症候群疾患
遺伝性に糸球体基底膜が障害される腎疾患で、家族性・進行性の血尿・蛋白尿に加え、両側性で高音域優位の感音性難聴を伴うのが特徴である。
尿細管・間質疾患
- 尿細管・間質性腎炎疾患
尿細管と間質の炎症により急性腎障害をきたす疾患で、抗菌薬やNSAIDによる薬剤性が主因。薬剤投与後の腎機能障害・発熱・皮疹を呈し、被疑薬の中止と副腎皮質ステロイドで治療する。
- 尿細管性アシドーシス〈RTA〉疾患
尿細管性アシドーシス (RTA) は、尿細管での水素イオン (H+) の排泄や重炭酸イオン (HCO3-) の再吸収の異常により代謝性アシドーシスをきたす疾患である。
- Fanconi症候群疾患
Fanconi症候群は近位尿細管の機能障害により、糖尿・アミノ酸尿・低尿酸血症・低リン血症・β2 ミクログロブリン上昇などを呈する病態である。
- Bartter・Gitelman症候群疾患
Gitelman 症候群は遠位尿細管の Na-Cl 共輸送体の障害により低 K 血症性代謝性アルカローシスをきたす遺伝性尿細管疾患である。
腎血管疾患
- 腎血管性高血圧症概念
腎動脈の狭窄によりレニン分泌が亢進して生じる二次性高血圧。高齢では動脈硬化、若年では線維筋性異形成が主因で、PRA高値と二次性の低K血症を呈する。
- 腎硬化症(良性・悪性)疾患
高血圧による腎の細小動脈硬化を主病態とし緩徐に腎機能が低下する慢性腎疾患。悪性型では著明な血圧上昇に蛋白尿・腎機能障害が進行し、眼底に乳頭浮腫・出血を認める。
- 腎梗塞疾患
腎動脈やその分枝が塞栓・血栓で閉塞し腎実質が虚血壊死をきたす病態。心房細動による塞栓が代表的で、突然の腰背部痛とCVA叩打痛を呈し、抗凝固療法が第一選択となる。
- コレステロール塞栓疾患
大動脈の粥状硬化巣から遊離したコレステロール結晶が末梢小動脈を閉塞する病態。心臓カテーテルなど血管内手技を契機に発症し、足趾の青紫色変色・網状皮斑と好酸球増多を呈する。
腎不全
- 急性腎障害(AKI)疾患
腎機能が急速に低下する病態で、原因により腎前性・腎性・腎後性に分類される。乏尿・無尿を呈し、腎後性は超音波で水腎症を評価、原因の是正と必要時の透析で対応する。
- 慢性腎臓病(CKD)疾患
慢性腎臓病 (CKD) は腎機能の低下や腎障害が 3 か月以上持続する疾患群で、虚血性心疾患や脳血管障害など心血管疾患の独立した危険因子 (心腎連関) となる。
- 人工透析(血液・腹膜)概念
人工透析は腎不全に対する腎代替療法 (RRT) であり、体外循環を用いる血液透析 (HD) と腹膜を半透膜として用いる腹膜透析 (PD) の 2 形態がある。
- 腎移植(拒絶反応・管理含む)手技
末期腎不全に対する根治的治療で、腸骨窩へ異所性に移植する。免疫抑制薬を継続し悪性腫瘍リスクに留意。
- 造影剤腎症・ヨード造影剤副作用疾患
ヨード造影剤の投与後に生じる急性腎障害で、腎機能低下例で発症リスクが高い。造影前のeGFR確認とNSAID中止・補液による予防が重要で、リスク評価が要となる。
- 横紋筋融解症疾患
骨格筋の壊死によりミオグロビンなどの筋成分が血中へ放出される病態で、激しい運動などが誘因。筋痛と血清CKの高度上昇・ミオグロビン尿を呈し、輸液で急性腎障害を予防する。
- 溶血性尿毒症症候群疾患
腸管出血性大腸菌(O157)感染後に溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害の三徴を呈する。
腎・尿管疾患
- 腎・尿路結石疾患
腎・尿路結石は、腎臓から尿道に至る尿路に結石が形成される疾患であり、突発する側腹部の疝痛と肉眼的・顕微鏡的血尿を主症状とする。
- 水腎症疾患
尿路の閉塞により腎盂・腎杯が拡張した状態で、進行すると腎機能障害をきたす。小児では腎盂尿管移行部狭窄が代表的原因で、利尿レノグラムで閉塞型パターンを確認する。
- 腎盂腎炎疾患
腎盂・腎実質に細菌が感染して生じる感染症で、多くは大腸菌による上行性感染。悪寒戦慄を伴う高熱と患側のCVA叩打痛が典型で、敗血症性ショックに至ることもある。
- 膀胱尿管逆流(VUR)疾患
膀胱から尿管へ尿が逆流する病態で、尿管膀胱接合部の先天異常が多く乳幼児の反復性尿路感染の原因となる。DMSA腎シンチで瘢痕性腎障害を評価し、多くは保存的に経過観察する。
- 常染色体優性多発性嚢胞腎疾患
両側腎に多発嚢胞を生じ進行性に腎機能が低下する常染色体優性遺伝の疾患。トルバプタンや降圧で進行を抑制し、脳動脈瘤の合併によるくも膜下出血に注意を要する。
- 腎細胞癌疾患
腎実質の尿細管上皮から発生する悪性腫瘍で、淡明細胞癌が最多の組織型。造影CTの動脈相で強く濃染し、限局例は根治的腎摘除術や腎部分切除術が第一選択となる。
- 尿路の先天異常と膀胱憩室疾患
重複腎盂尿管と Weigert-Meyer の法則、女児だけに持続性尿失禁を起こす異所性尿管開口、膀胱憩室、透光性で見分ける精巣水瘤。
膀胱尿道疾患
- 排尿障害(蓄尿・排尿・神経支配)症候
下部尿路の機能異常により排尿困難・頻尿・残尿感・尿失禁などをきたす症状の総称。排尿は橋の排尿中枢から仙髄を介した神経支配で営まれ、その障害部位で症状が異なる。
- 神経因性膀胱疾患
排尿に関わる神経の障害による排尿障害。糖尿病が代表的原因で、間欠自己導尿が管理の基本。
- 過活動膀胱疾患
過活動膀胱 (OAB) は尿意の切迫感を必須の主症状とし、頻尿・夜間の頻尿・切迫性の尿失禁を伴いうる蓄尿の障害で、尿意切迫感がなければ OAB とはいえない。
- 間質性膀胱炎疾患
膀胱粘膜の慢性炎症性変化により頻尿と膀胱の疼痛を慢性に呈する原因不明の疾患。膀胱充満時に悪化する下腹部痛と著明な頻尿を呈し、膀胱鏡でHunner病変を認める。
- 尿路上皮癌(膀胱・腎盂・尿膜管)疾患
膀胱に発生する悪性腫瘍で大部分が尿路上皮癌。喫煙が主要な危険因子で、無症候性(無痛性)の肉眼的血尿を初発症状とし、筋層非浸潤癌はTUR-BTが第一選択となる。
- 尿道カテーテル手技
膀胱内に留置して持続的に尿を排出する医療器具で、先端のバルーンで膀胱内に固定する。毎日の交換や連日の膀胱洗浄は不要で、過度な定期交換も要さない。
- 尿道損傷疾患
会陰部の打撲や骨盤骨折などの外傷に伴い尿道が断裂・挫傷する病態。排尿困難と会陰部の皮下出血斑を呈し、逆行性尿道造影で診断、尿路確保は膀胱瘻造設で対応する。
- 尿道下裂疾患
尿道口が陰茎の腹側(正常より近位)に異所性に開口する男児の先天性疾患。腹側の尿道形成不全に伴う線維性の索状組織により陰茎が腹側へ彎曲する。
前立腺疾患
陰茎・精巣・陰囊疾患
- 停留精巣疾患
精巣が陰嚢内まで下降せず鼠径管内や腹腔内にとどまった状態。高温環境で造精機能が低下し男性不妊や悪性化のリスクがあり、自然下降しなければ精巣固定術を行う。
- 精巣捻転症疾患
精巣捻転症は精索が捻れて精巣への血流が途絶し、放置すると精巣壊死に至る泌尿器科の緊急疾患である。
- 精巣上体炎・精巣炎疾患
ウイルスや細菌の感染により精巣に炎症をきたす疾患で、流行性耳下腺炎(ムンプス)の合併症として生じることが多い。耳下腺炎の軽快後に精巣の腫大と強い自発痛が出現する。
- 精巣腫瘍疾患
若年男性の無痛性陰嚢内腫大を呈する腫瘍。多くは胚細胞腫瘍で精上皮腫(セミノーマ)が最多。
- 陰囊水腫疾患
精巣の鞘膜腔に液体が貯留した状態で、小児では腹膜鞘状突起の閉鎖不全が原因。透光性試験陽性が診断に有用で、小児の多くは2歳頃までに自然消退する。
- 精索静脈瘤疾患
精索内の蔓状静脈叢が拡張した状態で左側に好発する。立位や腹圧で腫大し仰臥位で縮小する陰嚢上部の腫瘤として触知され、静脈血のうっ滞による男性不妊の原因となる。
- 陰茎疾患(癌・折症)疾患
亀頭部や包皮内板に好発する扁平上皮癌で、真性包茎やHPV感染・喫煙が危険因子。鼠径リンパ節転移で硬い腫瘤を触れ、腫瘍マーカーSCCが病勢評価に用いられる。
- 勃起障害(ED)疾患
性的刺激で十分な勃起が得られない病態で、糖尿病・腎不全・前立腺全摘後の神経/血管障害が主因。心因性と器質性に分けられ、PDE5阻害薬が治療に有効である。