血液の医学テーマ
血液の医師国家試験 頻出テーマを40項目、中分類ごとに整理しました。気になるテーマから要点と出題実績を確認できます。
血液学総論
赤血球系の異常
- 鉄欠乏性貧血 (IDA)疾患
鉄欠乏性貧血 (IDA) は体内の鉄欠乏により赤血球産生が障害される小球性低色素性貧血で、血清フェリチン → 血清鉄 → Hb → 網赤血球数 の順に低下していく。
- 巨赤芽球性貧血疾患
巨赤芽球性貧血はビタミン B12または葉酸の欠乏により DNA 合成が障害され、骨髄で無効造血を呈する大球性貧血である。B12 欠乏では神経症状を合併し、悪性貧血は自己免疫性の代表的病型。
- 慢性炎症に伴う貧血(ACD)疾患
慢性炎症に伴う貧血 (= ACD) は慢性炎症により貯蔵鉄 (= フェリチン) の利用障害が生じる二次性の貧血である。
- 再生不良性貧血疾患
再生不良性貧血 (AA) は造血幹細胞の傷害により骨髄が低形成となり、その結果汎血球減少をきたす後天性の造血障害である。
- サラセミア疾患
サラセミア (= 地中海性貧血) はグロビン鎖の合成障害によって小球性貧血と異常ヘモグロビン (= HbF や HbA2) の上昇を呈する遺伝性の溶血性貧血である。
- 遺伝性球状赤血球症疾患
遺伝性球状赤血球症 (HS) は赤血球膜蛋白 (= アンキリン・スペクトリン等) の先天性異常により赤血球が球状化し、脾臓での破壊亢進による溶血性貧血をきたす遺伝疾患である。
- 自己免疫性溶血性貧血(温式・寒冷凝集素症)疾患
自己免疫性溶血性貧血 (AIHA) は、自己抗体により赤血球が破壊されて生じる溶血性貧血である。
- 発作性夜間ヘモグロビン尿症疾患
PNH (= 発作性夜間ヘモグロビン尿症) はGPI アンカー蛋白の欠損により補体が介在する血管内溶血を呈する後天性の疾患である。
- 赤血球増加症(真性・二次性)疾患
真性赤血球増加症 (PV) は JAK2 遺伝子変異を背景とする骨髄増殖性腫瘍で、赤血球を主体に汎血球が増加する病態である。
白血球系の異常
- リンパ節腫脹症候
リンパ節腫脹は炎症・感染・腫瘍などによって生じるリンパ節の腫大であり、触診所見と経過から原因を鑑別する。
- 急性骨髄性白血病疾患
急性骨髄性白血病 (= AML) は骨髄系の造血前駆細胞が腫瘍性に増殖し、正常造血が抑えられる血液の悪性腫瘍である。
- 急性前骨髄球性白血病疾患
APL (= 急性前骨髄球性白血病) は急性骨髄性白血病の一型で、t(15;17) 染色体異常と高率の DIC 合併を特徴とする。
- 急性リンパ性白血病 (ALL)疾患
急性リンパ性白血病 (ALL) は B 細胞系または T 細胞系のリンパ系芽球が異常増殖する造血器腫瘍で、小児の急性白血病で最も多い型である。
- 慢性骨髄性白血病(CML)疾患
CML(慢性骨髄性白血病)はPhiladelphia染色体 t(9;22) によるBCR-ABL融合を病因とする骨髄増殖性腫瘍で、慢性期・移行期・急性転化期の3期を経て進行する。
- 慢性リンパ性白血病疾患
CLL(慢性リンパ性白血病)は成熟したBリンパ球が緩徐に増殖する慢性の白血病である。
- 骨髄異形成症候群 (MDS)疾患
骨髄異形成症候群 (MDS) は造血幹細胞のクローン性異常により骨髄での異形成と無効造血を呈し、末梢血の血球減少をきたす疾患である。
- 原発性骨髄線維症疾患
原発性骨髄線維症(PMF)は骨髄の線維化により正常造血が障害される骨髄増殖性腫瘍である。
- 悪性リンパ腫(Hodgkin・NHL: 濾胞性・DLBCL・菌状息肉症)疾患
悪性リンパ腫 (ML) はリンパ系組織から発生する悪性腫瘍の総称であり、Hodgkin リンパ腫 (HL) と、それ以外の 非 Hodgkin リンパ腫 (NHL) に大別される。
- 成人 T 細胞白血病疾患
ATL(成人 T 細胞白血病)は、ヒト T リンパ向性ウイルス HTLV-1 の感染により生じる CD4 陽性 T 細胞性の悪性腫瘍である。
- 多発性骨髄腫・形質細胞腫瘍(MGUS・マクログロブリン血症)疾患
多発性骨髄腫 (MM) は形質細胞の腫瘍性増殖により M 蛋白 (モノクローナル免疫グロブリン) を産生する造血器腫瘍で、CRAB (高 Ca・腎障害・貧血・骨病変) を呈する。
- 血球貪食症候群疾患
血球貪食症候群 (HPS) は活性化したマクロファージが血球を貪食する病態で、ウイルス感染などを契機に発症する。
- 無顆粒球症・発熱性好中球減少症疾患
無顆粒球症は好中球が著しく減少し感染防御能が低下する病態で、発熱や咽頭痛を契機に重篤な感染症を合併しやすい。
- 腫瘍崩壊症候群(TLS)疾患
TLS (= 腫瘍崩壊症候群) は、抗腫瘍薬の化学療法を始めた後に腫瘍を構成する細胞が一斉に大量に崩れることで起こる、代謝の異常の総称である。
止血・凝固・血小板の異常
- 出血傾向・抗凝固療法概念
出血傾向は、血小板・凝固因子・血管などの止血機構の異常により、出血が起こりやすくなった状態を指す。
- 免疫性血小板減少性紫斑病疾患
免疫性血小板減少性紫斑病 (ITP) は免疫学的機序により血小板が破壊され減少する疾患である。
- 本態性血小板血症疾患
本態性血小板血症 (= ET) は骨髄増殖性腫瘍の一型で、巨核球の過剰な増殖により末梢の血小板数が著しく上昇する疾患である。
- ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)疾患
HITはヘパリンの投与に伴い抗体 (= PF4/ヘパリン複合体を標的とする) が産生され、結果として血小板の減少と血栓形成を呈する病態である。
- TTP疾患
TTP (= 血栓性血小板減少性紫斑病) はADAMTS13活性低下により超大型 vWF 多量体が蓄積し、微小血管に血小板血栓が形成されて、血小板減少・溶血性貧血・多臓器障害をきたす血栓性微小血管障害症である。
- von Willebrand 病疾患
vWD (= フォン・ヴィレブランド病) はvWFの欠損または機能異常により出血時間の延長とAPTT延長を呈する遺伝性の出血性疾患である。
- 血友病(先天性・後天性)疾患
血友病は凝固因子が先天的に欠乏することで出血傾向をきたす、X 連鎖潜性遺伝の疾患である。
- DIC疾患
DIC (= 播種性血管内凝固症候群) は全身の血管内で微小血栓が形成される病態であり、消費性の出血傾向も併発する。
- プロテイン C・S 欠乏症疾患
プロテイン C・Sはビタミン K に依存して肝で合成される、凝固を抑える側のタンパクである。欠乏すると血栓が形成されやすくなる。
人体各器官の正常構造と機能
- 骨髄の構造概念
骨髄は骨髄腔を満たす造血の場で、造血を行う赤色骨髄と脂肪に置き換わった黄色骨髄に分かれる(造血の調節と幹細胞の性質は「造血・血球の生理」)。
- リンパ系器官の構造と機能概念
リンパ球が分化する一次リンパ器官(骨髄・胸腺)と、抗原と出会う二次リンパ器官(リンパ節・脾臓・扁桃・Peyer板)の構造と役割。
- 血漿タンパク質(種類・機能・基準値)概念
血漿タンパク質の産生・種類と機能、総蛋白/アルブミン/A/G 比の基準値と、増減が示す意味。
- 末梢血算の基準値概念
末梢血の赤血球・白血球・血小板の代表的な基準値と、その増減が示す意味(検査の読み方の型は「検体検査の読み方」)。
- 慢性好酸球性白血病概念
好酸球のクローン性増殖による骨髄増殖性腫瘍。反応性の好酸球増多を除外し、遺伝子異常の型で治療を決める。