Anki共有デッキの入れ方と、入れたあとの回し方|公式マニュアルで確認した2つの注意点
目次
医学系の共有デッキは、ダウンロードして読み込めば使い始められます。ただし最初の読み込み方によっては、初日から復習の間隔がずれます。さらに、ノートタイプに手を入れていると、作者が配布したデッキの更新版が届いても反映されなくなります。どちらもAnki公式マニュアルに記載のある挙動です。入れる日にやることと、入れた翌日以降にやることを分けて整理します。なお、これから触れる読み込みや更新の操作は既存のコレクションに影響し得ます。作業の前にコレクションのバックアップ(エクスポート)を取っておいてください。[1],[2]
落とし穴①:作者の復習履歴が一緒に入ってくる
Ankiのパッケージ(.apkg)には、デッキ・ノート・ノートタイプ・カードに加えて、スケジューリング情報(次にいつ復習するかという予定と履歴)が入っていることがあります。自分の端末間でデッキを移すときには便利な仕様ですが、他人が共有したデッキを読み込むときに相手の復習間隔や履歴まで引き継ぎたいことは普通ありません。[1]
公式マニュアルには、読み込んだカードに予期せず大きな間隔が付いていた場合、デッキの作者が誤って自分のスケジューリング情報を含めた可能性がある、という趣旨の記述があります(原文は英語。以下、マニュアルの記述は編集部による要約です)。この状態を放置すると、まだ覚えていないカードが長い間隔のまま出てこなくなります。[1]
入れる日にやること
- Anki 23.10 以降なら、読み込みの画面で「Import any learning progress」をオンにしない(オフのままにする)。これでスケジューリング情報は取り除かれる(23.10 より前のバージョンにはこの選択肢が無いため、先にAnkiを更新してから読み込むほうが確実)
- 同時に「leech」「marked」のタグも取り除かれる(作者が付けた印を引き継がずに済む)
- すでに読み込んだあとで間隔がずれていると気づいた場合は、Set Due Date で期日を設定し直す(選択したカードすべてに適用されるので、実行前に対象の絞り込みを確認する)
逆に、自分の端末間で自分のデッキを移すときは、この項目をオンにして進捗ごと引き継ぎます(端末間の移行は通常は同期で行うので、この操作が要るのは.apkgで移す場合です)。画面の表記はバージョンや環境によって異なることがあります。[1]
落とし穴②:手を入れると、以後の更新が効かなくなる
共有デッキは更新されます。同じ.apkgを読み込み直すと、Ankiは以前の読み込みで既に手元にあるノートを識別し、ファイル側が新しければ既定でその内容に更新します。ここまでは期待どおりです。[1]
問題は次です。公式マニュアルは、ノートタイプが変更されている場合、この更新処理は基本的に行えないと書いています。自分がフィールドを1つ足した、あるいは作者側が足した、というだけで条件に当たります。この状態でも、ファイルに含まれる「手元に無いノート」は追加できますが、以前に読み込んだノートは作者が内容を直しても更新されません。つまり、古い記述のカードが手元に残り続けます。[1]
医学のデッキでは、これは正確性の問題に直結します。ガイドラインや基準値の変更を反映した更新版が配布されても、手を入れたデッキには届きません。Anki 23.10 以降は、既存のノートやノートタイプを無条件に更新する(自分の変更は上書きされる)、逆に一切更新しない、という選択に加えて、自分と作者の両方がノートタイプを変えた場合に2つを統合する選択もできるようになりました。統合を選ぶと、どちらかに含まれるテンプレートとフィールドはすべて残りますが、完全な同期が必要になり、他の既存ノートが変更済みとして扱われることがあります。[1]
実務的な結論はシンプルです。更新され続けている共有デッキを使うなら、ノートタイプには触らない。ここで注意したいのは、カードテンプレートや書式(スタイリング)もノートタイプの一部だという点です。「中身は変えずに見た目だけ整える」つもりでテンプレートを編集すると、それ自体がノートタイプの変更にあたり、更新が効かなくなる条件に入ります。どうしても自分用に作り替えたいなら、それは「配布物を使い続ける」のをやめて自作デッキに移行するという判断だと整理しておくと、あとで迷いません。[1]
入れた翌日から:回し方で効く4つの仕様
新規カードの順番はデッキ名で決まる
学習の対象になるのは、選択中のデッキとその中のサブデッキです。そして新規カードは、既定でデッキ名のアルファベット順に集められます。この仕様は優先順位の操作に使えます。コンピュータが文字を並べるとき「-」はアルファベットより前に、「~」は後ろに来るため、先に出したいデッキの名前を「-循環器」のようにすれば上に、後回しにしたいものを「~その他」とすれば下に置けます。[2]
親デッキを選ぶと、別のデッキの復習が混ざる
新規カードと復習カードは別々に集められ、Ankiは両方の待ち行列が空になるのを待たずに次のデッキへ進みます。そのため、親デッキを選んで学習すると、あるデッキの新規カードを解きながら別のデッキの復習が出てくることがあります。今日はこの分野だけ、と決めているときは、親ではなく目的のデッキを直接開いてください。[2]
同じ内容の兄弟カードは埋めておく
1つのノートから複数のカードが作られることがあります(表→裏と裏→表、同じ文章からの複数の穴埋めなど)。これらは兄弟カードと呼ばれます。Ankiには兄弟カードを同じセッションに出さないよう自動で隠す(bury する)機能があり、デッキオプションから新規カードと復習カードで別々に設定できます。なお、片方に答えた直後にもう片方が出ると直前の答えを見て正解してしまう——というのはマニュアルに書かれた理由ではなく、この機能を使う理由としてよく挙げられる説明です。1ノートから複数カードを作る構成のデッキを使うなら、最初に確認しておく設定です。[2]
溜めたときの優先順位
復習が溜まると、Ankiは既定で最も長く待っているカードから優先して出します。どのカードも放置され続けない設計ですが、裏を返すと、溜まっている状態で新規カードを入れ続けると、その新規カードの復習は溜まりが解消されるまで出てきません。ここから先は編集部の判断ですが、実習や試験で数週間空けたあとは、まず新規を止めて復習だけを消化するほうが戻りやすいと考えています。なお長く空けた場合でも、Ankiは待たされた日数を織り込んで次回を決めるため、ゼロからやり直しにはなりません。[2]
毎日の採点は、迷ったら2択でよい
回答ボタンの使い分けも公式に目安があります。「Again」は答えられなかったとき、あるいは答えが間違っていたときで、使う頻度はおよそ5〜20%。「Good」は正解だが思い出すのに多少の努力が要ったときで、正しく使えているならこれが最も多く、およそ80〜95%になります。4つを使い分けるのが難しければ、間違いはAgain、正解はGoodの2つだけでも構わないと明記されています。[2]
もう一つ、時間の目安もあります。答えを思い出すのに少し時間がかかるのは問題ないが、おおむね10秒で出てこないなら粘らずに答えを表示したほうがよい、というものです。医学の暗記は1枚あたりの情報量が多くなりがちで、ここで粘ると1日の枚数が消化できません。[2]
それでも残るコスト
ここまでが、共有デッキを入れて回すための手順です。Anki は無償で、共有デッキの蓄積が大きく、全端末で同期でき、カードを自由に自作できます。この自由度は他に代えがたく、上に挙げた注意点はその裏返しでもあります。一方で、読み込みの設定、ノートタイプに触らない自制、更新版が出たときの読み直し、兄弟カードの設定という管理は残ります。どれも一度覚えれば難しくありませんが、勉強そのものではありません。デッキ選びの段階で迷っている場合は医学生のAnkiおすすめデッキと選び方、Anki本体の初期設定は医学生のためのAnkiの使い方にまとめています。
iwor は、この管理コストのほうを引き受ける代わりに、自由度を諦める作りにしています。国試の知識ポイントがそのままカードになっているので、デッキを探す・読み込む・更新に追従する作業はありません。その代わり、カードは知識ポイント単位で用意されたものに限られ、Anki のように任意の内容を自作したり外部のデッキを持ち込んだりはできません(Anki のデッキを読み込む機能もありません)。裏面はFREEでも1日20件まで開けますが、これは国試問題のプレビューと共通の枠です。デッキへの保存はPRO以上で、保存したカードは4段階の自己評価に応じて次の復習日が自動で決まり、期限が来たものは「今日の復習」にまとまります。どちらが良いかではなく、自由度と保守の手間のどちらを取るかという選択です。間隔反復そのものの考え方は医学生のための間隔反復入門で解説しています。
iwor なら、覚えた知識を忘れる前に戻せます。
知識ポイントがそのまま暗記カードになり、「今日の復習」が毎日自動で組まれます。裏面は無料でも1日20件めくれて、デッキへの保存は PRO からです。
無料ではじめるよくある質問
共有デッキを入れたら間隔が異常に長いカードがあります
デッキの作者がスケジューリング情報を含めたまま書き出した可能性があります。公式マニュアルはこの場合にSet Due Dateで期日を設定し直すことを案内しています。読み込み前であれば、Anki 23.10 以降は「Import any learning progress」をオンにしないことで、スケジューリング情報を取り除いて読み込めます。[1]
共有デッキの更新版が出たらどうすればいいですか
同じ.apkgを読み込み直すと、既に手元にあるノートのうちファイル側が新しいものが既定で更新されます。ただしノートタイプが変更されていると更新は基本的に行えず、手元に無いノートの追加だけができます。更新に追従したいなら、ノートタイプには手を入れないでください。[1]
分野ごとに順番を決めて出したいのですが
新規カードはデッキ名のアルファベット順に集められるため、名前で順番を作れます。先に出したいデッキ名の頭に「-」を、後回しにしたいものに「~」を付ける方法が公式に案内されています。ただし親デッキを選ぶと別デッキの復習が混ざるので、分野を絞りたいときは対象のデッキを直接開いてください。[2]
しばらく開けなかった分は、やり直しになりますか
なりません。Ankiは待たされた日数を考慮して次回の出題時期を決めるため、長い休止のあとも続きから再開できます。ただし溜まっている間は待ち時間の長いカードが優先され、新しく入れたカードの復習は溜まりが解消されるまで出てきません。消化を優先するかどうかは自分の予定と相談してください。[2]
まとめ
共有デッキで事故が起きるのは、たいてい読み込みの設定と、ノートタイプに手を入れたことの2点です。他人のデッキは学習の進捗を持ち込まずに読み込む。更新に追従したいならノートタイプには触らない。回し方の側では、新規はデッキ名の順に出ること、親デッキでは別デッキの復習が混ざること、兄弟カードは隠せること、溜まっている間は新しいカードの復習が後回しになることを押さえておけば十分です。どのデッキを選ぶかで迷っている段階なら医学生のAnkiおすすめデッキと選び方を先に読んでください。[1],[2]
Anki は Ankitects Pty Ltd の商標です。本記事は iwor 編集部による非公式の解説であり、Ankitects とは関係がありません。仕様はバージョンによって変わるため、実際の操作前に公式マニュアルの該当ページで最新の記述を確認してください。
出典
- 1.一次資料Ankitects(Anki Manual)「Packaged Decks(.apkg の読み込み・スケジューリング情報・更新とノートタイプ)」 docs.ankiweb.net(2026-08-01 取得)
- 2.一次資料Ankitects(Anki Manual)「Studying(デッキとサブデッキ・回答ボタンの目安・出題順・兄弟カードの burying・溜めたときの優先順)」 docs.ankiweb.net(2026-08-01 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制