医学生のためのAnkiの使い方|最初にやる設定と、続かなくなる3つの原因
目次
Ankiは、入れてカードを作り始めるだけでは続きません。最初にやるべきことは3つあります。使う端末を決めること(iOS版だけ有料です)、間隔の計算方式であるFSRSを自分で有効にすること(既定ではオフです)、そして1日の新規カード数の上限を決めること。カードを作るのはその後です。順に説明します。
まず端末を決める(iOS版だけ有料)
Ankiは公式サイトから配布されており、パソコン版(Windows・macOS・Linux)は無料です。現行のデスクトップ版は26.05。同期サービスのAnkiWebも無料で使えます。[1]
スマートフォンでは事情が違います。iOS向けの「AnkiMobile」は公式の有料アプリで、購入代金が開発の資金になります。Android向けの「AnkiDroid」は有償ではなく、有志によって開発されています。iPhoneユーザーは、有料アプリを買うか、パソコン版とブラウザ版(AnkiWeb)で運用するかを最初に決めることになります。[1]
医学の暗記は隙間時間の反復が効くので、通学中に触れる端末を1つ確保しておくかどうかで継続率が変わります。ここは最初の分岐点として意識しておいてください。
最初に触る設定は2つだけ
デッキの設定(Deck Options)には項目が数十ありますが、始める段階で決めるべきは2つです。
- New Cards/Day(1日の新規カード数):その日に新しく導入するカードの上限。上限より少なく学習した日や、開かなかった日があっても、翌日に繰り越されて増えることはない
- Maximum Reviews/Day(1日の最大復習数):その日に出る復習カードの上限
公式マニュアルは、新規カードを学ぶと「新しく覚えた内容は何度か繰り返す必要があるため、その日に必要な復習数が一時的に増える」と説明しています。ここがAnkiで最初に転ぶ場所です。新規を一度に入れすぎると、数日後に復習が積み上がって開きにくくなります。[2]
最初は新規を1日10〜20枚に抑え、2週間続けて復習の総量が自分の可処分時間に収まるかを確かめてから増やしてください。試験直前に一気に増やす運用は、間隔反復の仕組みとかみ合いません。
FSRSは、自分でオンにする必要がある
AnkiにはFSRSという新しいスケジューリング方式が入っています。忘れそうな時期を予測して復習日を決める仕組みで、従来のSM-2方式より少ない復習で同じ定着を狙えるとされています。ただし、これは自動で有効になりません。公式マニュアルの手順はこうです。[2]
Enable FSRS under the “FSRS” section, at the bottom of the deck options page.[2]
訳(編集部)=デッキ設定ページ下部の「FSRS」セクションで FSRS を有効にする。
有効化にあたっての条件も公式に書かれています(2026年7月時点の公式マニュアル。仕様は変わるので最新は公式で確認してください)。使っているすべてのクライアントがFSRSに対応していること(Anki 23.10・AnkiMobile 23.10・AnkiWebは対応、AnkiDroidは2.17以降)。またFSRSは全体でのみ切り替えられ、一部のプリセットだけ有効にすることはできません。学習ステップは1日未満に収めることが推奨されています。[2]
ネット上には SM-2 方式を前提に書かれた時期の Anki 解説記事も残っており、「新規20枚・易しさ係数を調整して…」といった設定手順がそのまま残っています。FSRSを有効にすると、Graduating intervalやEasy bonusといったSM-2固有の項目は表示されなくなります。読んでいる記事がどちらの前提かを確認してください。[2]
間隔反復そのものの考え方は間隔反復(FSRS)で忘れない仕組みをつくるにまとめています。
医学の暗記では、カードの粒度がすべて
設定が終わったら、次はカードです。ここで失敗する形はほぼ1つで、1枚のカードに情報を詰め込みすぎることです。
- 悪い例:表「関節リウマチについて」→裏に病態・症状・検査・治療を全部
- 良い例:表「関節リウマチで朝のこわばりが続く時間の目安は」→裏「1時間以上」
1枚1事実にすると、思い出せたかどうかの判定が明確になります。判定が曖昧なカードは、採点が自己申告になり、間隔の計算が意味を失います。カードの作り方そのものは医学生のフラッシュカードの作り方で詳しく扱いました。
画像を使うカードも作れます。公式サイトが挙げているとおり、音声・画像・動画・科学的な記法をカードに載せられるので、心電図や病理像をそのまま裏面に置くこともできます。[1]
続かなくなる3つの原因と、その対処
① カードを作る時間がなくなる
よく聞く脱落理由です。講義を聞きながらカードを作ると、講義の理解もカード作りも中途半端になります。対処は、作る対象を絞ることです。「試験に出る形で問われたら答えられない」と自分で判断した箇所だけをカードにする。教科書1ページから1枚も作らない日があってかまいません。
② デッキ探しで止まる
共有デッキを探し始めると、比較しているうちに時間が過ぎます。日本の医学部のカリキュラムに合うかどうかは、デッキごとに自分で確認する必要があります。既成デッキを使うにしても、自分の講義に合わせて削る工程が要ります。デッキ選びで迷っている場合は医学生のAnkiおすすめデッキと選び方を先に読んでください。
③ 復習が雪だるま式に溜まる
数日開けなかっただけで期限切れのカードが数百枚になり、開くのが怖くなる。これは新規カードの上限設定を間違えているサインです。溜まってしまった場合は、全部消化しようとせず、1日の最大復習数を設定して上から処理してください。デッキを作り直す必要はありません。
iwor なら、カードを作る手間から始めずにすみます。
iwor は医師のためのワークスペースで、国試演習は毎日無料で使えます。知識ポイントがそのまま暗記カードになり、裏面は無料でも1日20件めくれて、PRO ならデッキに保存でき、「今日の復習」が毎日自動で組まれます。
無料ではじめるAnkiを使い続けるか、別の道具にするか
Ankiの強みは、カードの作り方も間隔の調整も自分で決められることです。裏を返せば、その設計をすべて自分で背負います。医学部の課程は範囲が広く、範囲を切り出してカードにする作業自体が学習時間を食います。
この作業を減らしたい場合は、教材側にカードが用意されている道具を使う選択肢があります。iwor は、ライブラリの知識ポイントからカードを作れて、演習の解説に出てくる関連カードをその場でめくれます(カードの裏面表示と保存は PRO 以上)。復習の順番は間隔反復で自動的に組まれます。比較の観点はAnkiの代わりになる医学の暗記アプリにまとめました。
どちらか一方に決める必要もありません。すでにAnkiで回っているデッキがあるなら、それを捨てる理由はありません。
よくある質問
Ankiは無料ですか?
パソコン版(Windows・macOS・Linux)と同期サービスのAnkiWebは無料です。Android向けのAnkiDroidも無料で使えます。iOS向けのAnkiMobileは公式の有料アプリです。[1]
FSRSは必ずオンにしたほうがいいですか?
使っているすべての端末のバージョンが対応していれば、切り替えて問題が出にくい構成です。既存カードの間隔が変わるので、切り替え前にデッキをエクスポートしておくと安心です。ただし全体一括での切り替えになるため、既存のデッキの復習間隔も変わります。試験の直前期に切り替えるのは避け、時間に余裕のあるときに設定してください。[2]
1日に何枚のカードをこなせばいいですか?
枚数より、毎日開けるかどうかで決めてください。新規10〜20枚から始め、2週間後の復習数が自分の時間に収まるかを見て調整します。数字を先に決めて破綻するより、続く量を見つけるほうが結果的に多く覚えられます。
CBT対策にもAnkiは使えますか?
使えます。ただしCBTは範囲が広いので、直前期にゼロからカードを作る使い方には向きません。低学年のうちから積み上げてある人向けの道具だと考えてください。直前期の進め方はCBT直前期の勉強法にまとめています。
Ankiのデータを他のアプリに移せますか?
Anki自体はデッキの書き出し機能を持っていますが、移行先が読み込めるかは各サービスによります。乗り換えを検討する場合は、移行できることを前提にせず、移行先で新しく作る前提で考えるほうが安全です。
まとめ
Ankiで最初に決めるのは、端末・FSRSの有効化・1日の上限の3つです。設定が済んだら、1枚1事実の粒度でカードを作る。続かなくなったときは、たいてい新規カードの上限が高すぎるか、カードを作る対象を絞れていません。道具の設計を自分で背負うことがAnkiの自由さであり、負担でもあります。その負担を軽くしたいなら、教材側にカードが用意されている道具を併用する手もあります。
出典
- 1.一次資料Ankitects「Anki - powerful, intelligent flashcards」 apps.ankiweb.net(2026-07-28 取得)
- 2.一次資料Ankitects「Deck Options - Anki Manual」 docs.ankiweb.net(2026-07-28 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制