COI 開示スライドの書き方と例|「なし」「あり」の文言と、学会ごとに確かめる3つの点
目次
結論から書くと、COI(利益相反)の開示スライドに書くのは3つだけです。「COI 開示」の見出し、発表者名(共同演者がいればその名前)、そして「開示すべき COI 関係にある企業等はありません」の一文か、「あり」の場合は企業名と区分(講演料・奨学寄付金など)の一覧。それを学会が指定する位置に1枚置きます。この記事で引いている口演用の独立1枚の様式は、どれもこの3要素でできていて、所属(施設名)の欄はありません。タイトルページの中で開示する様式(日本内科学会の地方会用 様式1-C・1-D)は、演題名と所属が同じ面に入ります。一方で、何枚目に置くか、何年分を申告するか、共同演者の分も書くかは、大会案内で割れていました。まずその3点を大会案内の実例で並べ、そのうえで「なし」「あり」「ポスター」「英語」の書き方を示します。
大会案内で割れていた3点:何枚目・何年分・誰の分
実際の大会案内を3つ並べます。同じ「COI 開示」でも、大会ごとに指定が違います。
- 日本呼吸器学会(第64回学術講演会):発表者は過去3年間の COI 状態を自己申告し、共同演者の分も含めて開示する。口頭発表はスライドの2枚目、ポスター発表はポスターの最後に置く。英語のスライド例も配布されている。
- 日本胸部外科学会(第77回定期学術集会):発表演題が臨床研究の場合、筆頭者自身の過去1年における発表内容に関する COI を申告し、タイトルの次のスライドで掲示する。日本語と英語のサンプルがある。
- 日本クリニカルパス学会(第25回学術集会):筆頭発表者が共同発表者の分も含め、発表スライドの1枚目に、過去1年の COI を項目別に基準額以上の場合に開示する。書式は自由。
この3つだけでも、置く場所は「1枚目」「タイトルの次(2枚目)」「ポスターの最後」、期間は「過去1年」と「過去3年」、対象は「筆頭者のみ」と「共同演者を含む」に割れています。自分の大会がどれかは、参加する大会の「利益相反」や「演者へのご案内」のページに書いてあります。他学会の様式をそのまま流用せず、そのページを1回開いてから作るのが確実です。日本内科学会は、年次講演会・生涯教育講演会用と地方会用で別の様式(様式1-A と 1-C・1-D)を配っているので、同じ学会でも会の種類で様式が変わることがあります。[4]
「なし」の書き方(例)
開示すべき COI が無い場合は、大会名・見出し・発表者名・一文で足ります。文言は自分の学会の様式に合わせます。以下は日本クリニカルパス学会 第25回学術集会が配っている「無い場合」の様式を、行の形として写したものです(氏名は伏せ字)。[3]
- 第25回日本クリニカルパス学会学術集会
- 筆頭演者の COI 開示
- 筆頭演者氏名:●● ●●
- 演題発表に関連し、開示すべき COI 関係にある企業等はありません。
「開示すべき COI はありません」という表現に戸惑う人がいますが、意味は「申告の基準に当たる関係が無い」ということです。企業と一切関わりが無いという宣言ではなく、その学会が定める項目と金額の基準(後述)に該当するものが無い、という申告です。
「あり」の書き方(例)
開示すべき COI がある場合は、一文を「開示すべき COI 関係にある企業等として」に変え、区分ごとに企業名を並べます。以下は同じ大会の「有る場合」の様式を同じく行の形として写したもので、区分名も並べ方も様式のとおり、企業名は伏せ字です。区分の名前は学会ごとに違うので、自分の大会の様式に合わせます。[3]
- 第25回日本クリニカルパス学会学術集会
- 筆頭演者の COI 開示
- 筆頭演者氏名:●● ●●
- 演題発表に関連し、開示すべき COI 関係にある企業等として:
- ・受託研究・共同研究費:●●製薬株式会社
- ・奨学寄附金:●●株式会社
- ・寄付講座所属:あり(●●精機) 以上
何を「あり」とするかの基準は学会が決めています。たとえば日本クリニカルパス学会は、報酬額・講演料・原稿料はそれぞれ1つの企業等から年間50万円以上、研究費・助成金と奨学寄付金は所属部局に支払われた総額が1つの企業等から年間50万円以上、企業からの寄付講座に所属している場合、特許権使用料などその他は1つにつき年間50万円以上、を開示の対象としています。金額の基準や区分は学会ごとに定められているので、自分の学会の指針で確かめてください。[3]
ポスターの場合はどこに置くか
口演のスライドと違い、ポスターには「2枚目」がありません。日本呼吸器学会 第64回学術講演会の案内は、ポスター発表では「ポスターの最後に開示を行ってください」としています。日本消化器がん検診学会は、口演用とポスター用で別の様式(口演=様式2A・2C、ポスター=様式2B・2D)を配っています。日本消化器がん検診学会の口演用(2A)とポスター用(2B)は見出し以外は同じ文ですが、日本呼吸器学会のポスター用の様式(1-B)には共同発表者の開示の面が別に足されています。書く内容は自分の大会の様式で確かめ、置き場所は末尾です。iwor の学会ポスターでは、COI の節が末尾に自動で置かれるので、書く内容だけ入れれば位置を考えなくて済みます。[1],[5]
英語で書く場合
英語発表の場合、学会が英語版の様式を配っていることがあります。日本呼吸器学会 第64回学術講演会は「English COI Presentation Slide」を、日本胸部外科学会 第77回定期学術集会は「COI開示スライドサンプル 英語」を、それぞれ大会ページで配布しています。どちらの様式も、見出しは学会名に COI Disclosure を続けた形(The Japanese Respiratory Society COI Disclosure など)、次に発表者名(と共同演者名)、そして開示すべき COI が無いことを述べる一文(日本呼吸器学会の英語様式では The author(s) has no conflict of interest to disclose with respect to this presentation.)という並びで、所属の欄はありません。「あり」の場合も一文で書く形で、日本呼吸器学会はチェック付きの一文、日本胸部外科学会は Lecture fees have been received from ○○○○. のような一文です。iwor では「COI の文言」で English を選ぶと、COI の枚が英語の定型文に切り替わります。[1],[2]
iwor なら、COI の枚は型に最初から入っています。
COI の枚は型に最初から入っています。「ありません」か企業名かを入力欄で決め、置き場所は1枚目か2枚目かを選ぶだけ。様式を探して作り直す手間がなくなります。無料ではじめられます。
見本を見るiwor で作る場合:文言と位置を選ぶだけ
iwor の発表スライドでは、COI の枚は型に最初から入っていて、企業名を書くか「ありません」を選ぶかを入力欄で決めます。置き場所は「COI の位置」で、1枚目のタイトルに載せるか、2枚目に独立させるかを選べます。文言は「COI の文言」で演題発表内容・本研究・English から選べます。MAX なら学会プリセットで、比率・発表時間の目安・COI の位置を一度に合わせられます。どちらで作る場合も、大会ごとに毎年変わるので、最後は上で書いたとおり大会の案内で位置と期間を確かめてください。スライド全体の枚数の目安は発表時間別のスライド枚数に、経過表の作り方は症例報告の経過表の作り方に、ポスターでの構成とサイズは医学の学会ポスターのテンプレートに、発表資料の作り方の全体は別のページにまとめています。
よくある質問
COI が無いときもスライドは必要ですか?
日本呼吸器学会 第64回学術講演会と日本クリニカルパス学会 第25回学術集会の案内は、有無にかかわらず開示を求めています(前者は「利益相反の有無に関わらず」、後者は「利益相反の有無にかかわらず、全ての発表者に」と明記)。日本胸部外科学会 第77回定期学術集会の案内は「発表演題が臨床研究である場合」に申告を求める書き方です。自分の大会の案内が有無にかかわらず求めているなら、無いときは「ありません」の一文を載せた枚を置きます。[1],[3],[2]
共同演者の分も書きますか?
大会によります。日本呼吸器学会 第64回学術講演会の案内は共同演者の COI 状態も含めて開示するとし、日本クリニカルパス学会 第25回学術集会は筆頭発表者が共同発表者も含めて開示するとしています。一方、日本胸部外科学会 第77回定期学術集会の案内は「筆頭者自身の」COI と書いています。演者に共同演者がいる場合は、大会案内のこの1行を確かめてください。[1],[3],[2]
対象期間は発表の何年前からですか?
これも大会によります。日本呼吸器学会 第64回学術講演会は「抄録登録時の前年から遡って過去3年間」、日本胸部外科学会 第77回定期学術集会と日本クリニカルパス学会 第25回学術集会は「過去1年」です。3年と1年で申告する内容が変わることがあるので、期間を確かめてから企業名を並べてください。[1],[2],[3]
様式の PowerPoint をそのまま使わないといけませんか?
大会の案内によります。日本クリニカルパス学会 第25回学術集会は「書式は自由です」と明記しています。自分の大会が日本内科学会のように加工用の PowerPoint データを配っているなら、それを開いて項目を写すのが早い方法です。[3],[4]
まとめ
COI 開示スライドの中身は、見出し・発表者名と「開示すべき COI 関係にある企業等はありません」の一文(ありなら企業名と区分の一覧)の3つで、学会が配る様式はこの形でできています。割れていたのは、何枚目に置くか(1枚目・2枚目・ポスターの最後)、何年分か(1年・3年)、共同演者を含むか、の3点です。この3点は自分の大会の案内に書いてあるので、他学会の様式を流用せず、そのページを1回開いてから作ってください。[1],[2],[3]
出典
- 1.一次資料日本呼吸器学会(第64回学術講演会)「利益相反(COI)|発表演題に関する利益相反(COI)の開示について」 jrs.or.jp(2026-08-17 取得)
- 2.一次資料日本胸部外科学会(第77回定期学術集会)「COI開示スライドサンプル」 congre.co.jp(2026-08-17 取得)
- 3.一次資料日本クリニカルパス学会(第25回学術集会)「利益相反(COI)について」 jscp2025.jp(2026-08-17 取得)
- 4.一次資料日本内科学会「利益相反(COI)-開示スライド例」 naika.or.jp(2026-08-17 取得)
- 5.一次資料日本消化器がん検診学会「学術講演会等発表時のCOI開示例(スライドとポスター)」 jsgcs.or.jp(2026-08-17 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制