医師国家試験の過去問を無料で解く方法|公式PDFで手に入るもの・手に入らないもの
目次
医師国家試験の過去問は、厚生労働省が問題と正答を無料で公開しています。回ごとにA〜Fの6冊のPDFと、画像を収めた別冊、そして正答表が置かれています。ただし無料で手に入るのはここまでです。解説はなく、画像の別冊については「一部非公表又は加工により実際に出題された画像と異なる」と公式が明記しています。無料でどこまでやれるのかを、最初に線引きしておきます。[1]
厚生労働省の公式ページで手に入るもの
第120回医師国家試験(令和8年2月7日・8日実施)のページを例にすると、置かれているのは次のファイルです。[1]
- 問題PDF:A問題・B問題・C問題・D問題・E問題・F問題の6冊
- 別冊PDF:A〜Fそれぞれの画像(心電図・X線・眼底写真など)を収めたもの、計6冊
- 正答PDF:1ファイル(問題番号と正答の一覧のみ)
つまり1回分を手元で解くには、12個のPDFを開いて問題文と画像を行き来し、最後に正答表と突き合わせることになります。2026年8月時点では第95回から第120回までの26回分が残っているので、何年分を解くかを決めてから取りかかってください。年数の考え方は医師国家試験の過去問は何年分やるべきかにまとめています。
公式PDFで手に入らないもの
無料で公開されている範囲には、はっきりした制約が3つあります。
① 画像は本番と同じものとは限らない
厚生労働省は、別冊について次のように注記しています。
別冊については、ホームページ掲載にあたり一部非公表又は加工により実際に出題された画像と異なるものがあります。[1]
画像問題は国試のかなりの割合を占めます。その画像が非公表だったり加工されていたりすると、「この所見をどう読むか」という練習が成立しません。公式PDFだけで演習する場合、画像問題は解けたことにならない問題が一定数まざる、と理解しておく必要があります。
② 解説はない
公開されているのは正答表だけで、なぜその選択肢が正しいのかの説明はありません。正解した問題が本当に理解して選べたのか、消去法で残っただけなのかも区別できません。間違えた問題については、自分で教科書や講義に戻って調べる時間が必要になります。解説の使い方そのものは医師国家試験の過去問の解説をどう使うかで扱っています。
③ 検索も進捗管理もできない
PDFなので、「循環器の問題だけ」「必修だけ」「前回間違えた問題だけ」といった絞り込みができません。何をどこまで解いたかも自分で記録する必要があります。1〜2回分なら手作業で回せますが、10回分を2周する規模になると管理そのものが負担になります。
無料で手に入るもの・手に入らないもの
- 問題文:手に入る(厚生労働省・PDF)
- 正答:手に入る(同上・番号と正答の一覧)
- 解説:手に入らない
- 画像:一部が非公表または加工(公式の注記あり)
- 分野・必修・禁忌肢での絞り込み:できない
- 解いた記録・復習の管理:できない
この表の上2行だけで足りる使い方もあります。たとえば「本番と同じ時間配分で1回分通して解く」なら、公式PDFで十分です。時間感覚をつかむ目的なら、むしろ余計な機能がないほうが本番に近くなります。
無料の範囲でやるなら、こう使う
公式PDFの性質を踏まえると、向いている用途と向いていない用途がはっきり分かれます。
- 向いている:直近1回分を時間を計って通しで解く/必修の1ブロックだけ本番形式で試す/出題形式に慣れる
- 向いていない:分野別に潰していく/間違えた問題を周回する/画像問題の所見読みを鍛える
6年生の夏前に「本番の問題量を体感しておく」目的であれば、公式PDFを1回分ダウンロードして解くのが最も安上がりで確実です。第120回は受験者9,980人・合格9,139人・合格率91.6%でした。第120回の合格基準は必修160点以上/200点、必修以外が224点以上/300点、禁忌肢の選択数3問以下でした。合格基準は回ごとに設定されるので、自分の受験回の発表で確認してください。[2]
一方で、日々の演習を回す段階になると、絞り込みと記録ができないことが効いてきます。ここから先は、無料で使えるサービスか有料の問題集のどちらかに移る人が多数です。アプリの選び方は医師国家試験の過去問アプリで比較しています。
無料で「解説つきの演習」をする選択肢
予備校や学習アプリのなかには、無料の範囲で過去問演習を提供しているものがあります。無料枠の広さと解説の有無は各社で違うので、登録前に確認してください。
iwor の場合は、国試演習が1セッション5問・1日3セッションまで無料です(合計1日15問)。解説は問題ごとに表示され、分野・必修・禁忌肢・復習期日での絞り込みも無料の範囲で使えます(重要度☆での絞り込みと重要順の並べ替え、暗記カードの裏面表示と保存は有料プランの機能です)。
よくある質問
過去問PDFはどこからダウンロードできますか?
厚生労働省のサイトに、回ごとの「医師国家試験問題および正答について」というページがあります。検索するときは回数(例:第120回)を付けると見つかります。回次ごとのURLは連番になっていないので、埼玉医科大学附属図書館が公開している第95回からのリンク一覧のような、まとめページを経由すると早く着きます。[1],[4]
何年分が公開されていますか?
2026年8月時点で、第120回から第95回までの26回分が厚生労働省のサイトに残っていました。ただし形が揃っているのは第112回以降で、A〜Fの問題6ファイル・別冊6ファイル・正答1ファイルの計13という構成です。第111回以前はファイルの分かれ方が回ごとに違います(たとえば第110回のページには28個のPDFが並んでいます)。加えて古い回ほど出題基準(ガイドライン)が現在と異なるため、そのまま解いても得点に結びつきにくくなります。何年分やるかは公開年数ではなく学習目的で決めてください。目安は医師国家試験の過去問は何年分やるべきかにあります。[1],[4],[3]
公開はいつまで続きますか?
決まっていません。厚生労働省の検討部会は令和2年11月の報告書で、医師国家試験を再度、原則非公開とすることが妥当だと結論しており、2026年2月の部会でも非公開化が論点に挙がっています。一方で2026年8月時点では第120回まで公開が続いています。経緯は医師国家試験にプール問題はあるかにまとめました。
画像が見られない問題はどうすればいいですか?
公式の別冊で非公表または加工されている画像は、公式の範囲では補えません。画像所見の練習は、画像が揃っている問題集やアプリ、あるいは実習で見た画像で代替することになります。
無料の過去問だけで合格できますか?
問題文と正答だけで進めることもできますが、なぜその選択肢が正しいのかを自分で調べ直す時間と、進捗を管理する手間が上乗せされます。間違えた理由を自分で調べる時間と、進捗を自分で管理する手間が積み上がるためです。無料で始めて、演習の量が増えてきた段階で道具を見直すのが現実的です。
過去問PDFを友人に配ってもいいですか?
公的機関が公開しているページのURLを共有するのが安全です。ファイル自体を再配布したり、別のサイトに転載したりする場合は、掲載元の利用規約を確認してください。
まとめ
医師国家試験の過去問は、問題と正答が厚生労働省から無料で手に入ります。ただし解説はなく、画像は一部が非公表または加工されている、と公式が明記しています。無料の範囲は「本番形式で1回分通して解く」用途に向き、「分野別に潰して周回する」用途には向きません。まず1回分を公式PDFで解いてみて、演習を日課にする段階になったら道具を選び直す。この順番なら、お金をかけるべき場所も自分で判断できます。
出典
- 1.一次資料厚生労働省「第120回医師国家試験問題および正答について」 mhlw.go.jp(2026-07-28 取得)
- 2.一次資料厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」 mhlw.go.jp(2026-07-28 取得)
- 3.一次資料厚生労働省「第110回医師国家試験の問題および正答について」 mhlw.go.jp(2026-08-06 取得)
- 4.埼玉医科大学附属図書館「医師国家試験問題および正答について(第95回〜第120回のリンク一覧)」 opac.saitama-med.ac.jp(2026-08-06 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制