医学生の暗記カードの作り方は?|1枚1問・答えは1行・作る量に上限。回らなくなる前に決めること
目次
医学生の暗記カードは、「1枚に1つの問い」「読めば分かることは作らない」「答えは思い出せる最小まで削る」の3つで作りましょう。講義スライドを丸ごとカードにすると、復習が回らなくなります。カードは、作った枚数ではなく、思い出した回数で効きます。
カードは効くけれど、1枚あたりは軽い
米国の医学生72名の研究では、ほかの学力や試験不安などを調整したうえで、学習方法と医師免許試験(USMLE Step 1)の点数の関係が調べられました。練習問題を445問多く解くことと、Anki で別々のカードを1,700枚多く見ることが、それぞれおよそ1点分に対応していました。[1]
1件あたりで比べると、カード1枚の効き目は問題1問より小さくなります。しかも1,700枚は見た枚数で、作った枚数ではありません。
同じ研究では、もう1つの暗記カードのサービスで見た枚数は、点数と結びついていませんでした。カードの形なら何でも効く、とは言えません。[1]
単一の大学の観察研究で、日本の国試ではなく米国の Step 1 の話なので、「1,700枚で1点上がる」とは読めません。それでも、カードを際限なく増やすのは割に合いにくい、という目安にはなります。
思い出す練習と間隔をあけた復習は、学習法を比べたレビューで有用性が高いと評価されています。カードという道具の向きは合っています。[2]
カード作りの7原則
① 1枚に1つの問いだけ置く
間隔反復ソフトの元祖である SuperMemo の開発者が挙げる原則の中心が、最小情報の原則です。覚える単位はできるだけ小さくして、複雑な内容は小さな問いに分けてから覚えます。[3]
「Basedow病について説明せよ」のようなカードは、思い出せたかを自分で判定できず、毎回なんとなく「できた」で終わります。
② 読めば分かることは、カードにしない
教科書を読めばその場で分かる説明は、カードにしても復習が増えるだけです。カードにするのは、分かっていても思い出せないもの、つまり数値・固有名詞・組み合わせ・例外です。
③ 答えは1行にする
裏が3行あると、どこまで言えたら正解かを決められません。裏は1行にして、答えが複数あるならカードを分けましょう。
④ 穴埋め(cloze)を使う
文の一部を隠して答える形は、長い説明を小さな問いに分ける方法として勧められています。「◯◯病の治療の第一選択は【 】」のように、文脈を残して1点だけ問えます。[3]
⑤ 自分の言葉に直す
資料をそのまま写したカードは、文字の並びで覚えてしまい、言い換えられると答えにくくなります。作るときに、自分の言葉に直しておきましょう。
⑥ 画像は、隠して使う
解剖・心電図・皮膚所見のように見て答える知識は、画像のカードが向いています。ラベルや所見の部分を隠して答える形にすると、眺めるだけになりません。
⑦ 出どころを1行残す
教科書名とページ、または問題番号を1行残しておけば、あとで不安になったときにすぐ確かめられます。AI に作らせたカードは、とくに残しておきましょう。
医学で使いやすいカードの型
- 数値:検査値の基準など、数値そのものを問う
- 鑑別:所見1つから疾患を1つ答える(逆向きも作る)
- 副作用・禁忌:薬剤名から1つだけ答える
- 画像所見:所見の名前と、それが示す疾患を結ぶ
- 例外:原則を覚えたあとで、例外だけを別のカードにする
機序や病態生理の流れは、先に図やノートで通して理解して、流れの中の1点だけをカードにしましょう。
作りすぎる前に、決めておく3つ
作る日は楽しくても、復習は翌日からずっと続きます。次の3つを先に決めておきましょう。
- 作るきっかけを1つに絞る:演習で間違えたときだけ作る
- 1日の上限を決める:新しいカードは1日20〜30枚まで。作れなかった分は捨てる
- 止める基準を決める:今日の復習が終わらない日が3日続いたら、新しく作るのを止めて復習だけにする
復習がたまってから立て直すより、たまる前に作るのを止めましょう。いつ復習するかは、間隔反復に任せられます。
用意されたカードを使う手もある
良いカードを作るのは、何を残して何を捨てるかを決める編集の作業です。時間がかかり、その分だけ問題を解く時間が減ります。
自分の講義や大学の試験に合わせたい範囲は自作して、国試・CBT で共通する範囲は用意されたカードを使う、という分け方があります。
iwor の暗記カードは、表と裏が作成済みです。ライブラリからその場でデッキに保存でき、演習の解説に出る関連カードもめくってそのまま保存できます。学習したカードは、忘れかけたころに「今日の復習」に出てきます。
iwor なら、カードを作る手前でつまずかずにすみます。
表と裏が作成済みのカードを、そのままデッキに保存できます。学習したカードは、忘れかけたころに「今日の復習」に出てきます。iwor は医師のためのワークスペースです。
無料ではじめるアプリで迷っているなら、医学の暗記、Ankiの代わりになるアプリは?へ。共有デッキを探しているなら、医学生のAnkiおすすめデッキと選び方にまとめています。
CBT のカードを、国試まで使う
CBT と国試は範囲が重なるので、CBT のために作ったカードは国試でも使えます。そのためには、カードが「講義の第◯回」ではなく、知識そのものに結びついていることが大事です。出どころを1行残す(原則⑦)のも、ここで役に立ちます。
CBT 全体の進め方は、医学生のCBT勉強法にまとめています。知識ポイント単位で理解度を見る考え方は、知識ポイント単位の理解度へ。
よくある質問
暗記カードは、1日何枚作ればいいですか?
新しいカードは、1日20〜30枚までにしておきましょう。作ったカードは、翌日、数日後、1週間後と復習が続きます。復習が終わらない日が続いたら、作りすぎのサインです。
カードと問題演習は、どちらを優先しますか?
演習を軸にして、間違えたところをカードにしましょう。先の研究では、練習問題445問と Anki のカード1,700枚が、同じ1点分に対応していました。1件あたりで見ると、演習のほうが少ない数で済みます。[1]
AI にカードを作らせてもいいですか?
作る速さは上がります。医学の内容が正しいかは、自分で確かめましょう。数値・薬剤名・禁忌は、とくに注意が要ります。
手書きのカードでも効きますか?
思い出す練習としては同じです。違うのは復習の管理で、紙だといつどれを見直すかを自分で決めます。枚数が増えてきたら、間隔反復を自動でやってくれるアプリのほうが楽です。
まとめ
良い暗記カードは、思い出せたかを自分で正直に判定できるカードです。1枚1問まで削り、読めば分かることは作らず、答えは1行に。そして、作る量を復習が回る範囲に抑えましょう。
Anki を使うなら、上限の設定と FSRS の有効化は医学生のためのAnkiの使い方にあります。Goodnotes のノートからカードに落とすなら、Goodnotes を医学の勉強にどう使うかへ。
出典
- 1.一次資料Perspectives on Medical Education(Deng F, Gluckstein JA, Larsen DP)「Student-directed retrieval practice is a predictor of medical licensing examination performance(2015;4(6):308-313)」 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov(2026-09-17 取得)
- 2.一次資料Psychological Science in the Public Interest(Dunlosky J ほか)「Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques(2013;14(1))」 journals.sagepub.com(2026-09-17 取得)
- 3.一次資料SuperMemo(Piotr Wozniak)「Twenty rules of formulating knowledge」 supermemo.com(2026-09-17 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制