Goodnotes の Study Sets を使っていますか|医学の勉強での使いどころ
目次
GoodNotes を医学の勉強に使うとき、いちばん取りこぼされているのは Study Sets(学習セット)です。Goodnotes の英語版(US)の App Store 掲載文には、自分のノートからそのまま学習・練習ができる Study Sets があり、それは「アクティブリコールと間隔反復にもとづくフラッシュカード」だと明記されています。一方、医学生向けの活用法としてよく紹介されるのは、PDFの取り込み・書き込み・マスキングテープ・切り貼りのほうです。学習法の研究が高く評価しているのは、実は後者の作業ではなく前者のほうです。[2],[3],[6]
GoodNotes には間隔反復の機能がある
まず事実確認から。英語版(US)の App Store 掲載文には、次の一文があります。[2]
Study and practice straight from your notes with Study Sets — flashcards built on active recall and spaced repetition.[2]
日本語版の掲載文でも「学習効率の向上」の項に「学習セット:アクティブリコールを使った練習問題ができます。」と並んでいます。同じ項には「テープ機能:赤シートのように使うことで、暗記学習をすることができます。」も並んでいます。暗記系として掲載文に明記されているのはテープ機能と学習セットの両方で、マスキングだけではありません。[1]
復習の間隔についても公式ブログが説明しています。カードは自分が難しいと感じた度合いで並び替えられ、Smart Learn によって前回つまずいたカードが次のセッションで出やすくなる。そして各セッションの終わりに、次にフラッシュカードを見直す日を Goodnotes が提案する、と書かれています。[4]
この機能を見落としやすい理由には、構造的なものがあります。公式の料金ページの機能比較表には Study Sets の行がありません。料金ページの比較表だけを見ると、Study Sets の存在には気づきにくい構造になっています。[5]
なぜ「作る」より「思い出す」なのか
学習法の効果を横断的に評価した研究があります。Dunlosky らが2013年に Psychological Science in the Public Interest で発表したレビューは、10種類の学習法を取り上げて有用性を格付けしました。[6]
high utility とされたのは、思い出す練習(practice testing)と間隔をあけた復習(distributed practice)の2つです。学習者の年齢や能力を問わず効き、多くの課題で成績を押し上げるから、というのが理由でした。逆に low utility に分類されたのは5つで、そこには要約(summarization)、線を引くこと(highlighting)、繰り返し読むこと(rereading)が含まれます。同レビューは、学生が最も頼りがちな rereading と highlighting はどちらも成績を一貫して押し上げないので、代わりに他の技法(たとえば rereading の代わりに practice testing)を使うべきだとしています。[6]
この分類を GoodNotes の使い方に当てはめると、位置づけがはっきりします。Study Sets は practice testing と distributed practice の両方に対応する機能です。一方、レジュメに線を引く、画像を切り貼りしてまとめノートを作るといった作業は、レビューが low utility とした技法に近い形になります。
ここは慎重に書きます。Dunlosky らのレビューは「講義スライドの清書」や「GoodNotes での切り貼り」そのものを評価したわけではありません。10技法の中にそういう項目はない。清書している最中に起きていることが読み返しに近い、というのは編集部の解釈です。ただ、作る作業には達成感があるぶん、それだけで勉強した気になりやすい構造があるのは確かです。
「95%以上の医学生が使用」に出典はあるか
この領域の記事を読むときの注意をひとつ。ある医学部予備校のコラムには「いま95%以上の医学生が使用しているアプリが『GoodNotes(グッドノート)』です」という記述があります。2026年8月3日時点でそのページを通して読みましたが、調査名・実施主体・回答数のいずれも書かれていませんでした。[7]
95%という数字を裏づける公表調査は確認できませんでした。道具選びの判断材料に「みんな使っている」を置くと、自分の勉強に合うかどうかの検討が飛びます。
料金は買い切り一本ではありません
実務的な話も押さえておきます。2026年8月3日時点の公式料金ページによると、無料プランはノートブック・ホワイトボード・テキストドキュメントを合わせて3ファイルまでという制限があり、上位のプランは Essential・Pro・Teams・Enterprise というサブスクリプション構成です(個人向けは Essential と Pro。年額と月額を切り替えられます)。加えて、Apple では買い切りの Special Edition が用意されており、提供状況は地域によって異なるとされています。日本の App Store でもアプリ内課金として「特別版」が並んでいます。[5],[1]
2025年3月の体験記には「有料で4,000円以上するので、なかなか手が出せないでいました」という記述があります。買い切り版の価格帯としてはいまも近い水準ですが、無料で試す場合の3ファイル制限は、医学部の講義スライドを科目ごとに分ける使い方だとすぐ到達します。購入前に公式の料金ページで現在の構成を確認してください。[9],[5]
医学の勉強での組み立て方
以上を踏まえた運用は、こうなります。
- ① 講義中と直後:GoodNotes でスライドに書き込む。ここでは整えない。清書しない
- ② その日のうち:書き込んだ中から「試験で問われうる一問一答」に落とせるものだけを抜き出す。抜き出す数を絞るほど続く
- ③ 抜き出したものを、間隔をあけて出題してくれる仕組みに載せる。GoodNotes の Study Sets でもよいし、別のアプリでもよい
- ④ 図・シェーマ・手順のように一問一答にできないものは GoodNotes に残し、参照先として使う
②でつまずく人が多いのは、作業量が読めないからです。1コマから10枚作ろうとすると続きにくく、3枚程度に絞るほうが結果的に総量では勝ちやすくなります。カードに落とす基準は暗記カードの作り方、間隔をあけた復習の考え方は医学生のための間隔反復で扱っています。
③をどこでやるかは選択肢があります。Study Sets はノートと同じアプリで完結するのが利点です。Anki を併用している人もいて、それも合理的な選択です。乗り換えを検討する場合の比較はAnkiの代わりになるものにまとめました。国試の問題演習や解説と地続きにしたいなら、演習アプリ側でカードを持つ形になります(iwor の場合は、解説に出てくる関連カードをその場でめくる形です)。
どれを選ぶにせよ、判断の軸は1つです——その仕組みが、自分に次の復習日を持ってきてくれるかどうか。持ってこないなら、日付の管理は自分の仕事として残ります。
手書きを捨てなくていい
先にひとつ断っておくと、iwor のノートも「作る」側の道具で、次の復習日を出すのはノートではなく暗記カードのほうです。そのうえで——工程を分けると聞くと、手書きをやめてデジタルの一問一答に全部移す話に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。図を手で描くことには、文章に置き換えられない役割があります。捨てるべきなのは手書きではなく、「清書」です。
iwor のノートは、iPad・Apple Pencil を含むタッチ/ペン入力での手書きと、markdown でのタイプの両方に対応しています。図やシェーマは手書きで、文章は markdown で。書き出しは PNG・JPG・PDF に対応していて、無料で5冊まで作れます。国試の演習や暗記カードと同じアプリの中にあるので、参照先としてのノートと、演習で見つかった弱点が別アプリに散らばりません。
iwor なら、手書きの図も markdown の文章も同じ場所に残せます。
iwor は医師のためのワークスペースで、国試演習は毎日無料で使えます。iPad・Apple Pencil の手書きも markdown も無料で5冊までノートに残せて、演習や暗記カードと同じアプリにまとまります。
無料ではじめるiPad での勉強環境の組み方そのものはiPadで国試対策のノートをつくる、CBT に向けた全体の進め方は医学部CBTの完全ガイドにまとめています。
よくある質問
GoodNotes だけで国試まで戦えますか
参照資産の置き場としては最後まで使えますし、Study Sets ならセッションの終わりに次の復習日が提案されるので、日付の管理を自分で持たずに済みます。足りなくなるとすれば、国試の過去問演習と、その解説から弱点を拾う工程です。ノートアプリは自分が書いたものしか持っていないので、出題データにもとづく弱点の可視化は別の仕組みが要ります。[4],[1]
マスキングテープ機能は暗記に効きますか
隠して思い出す形式は、Dunlosky らのレビューで high utility とされた practice testing に近い使い方だと編集部は考えます(同レビューが特定のアプリ機能を評価しているわけではありません)。効かないとすれば仕組みではなく運用のほうで、隠したページを開き直す頻度を決めていないと機能しません。ページ単位で「何日後に開く」を管理するか、Study Sets のように次の日付を提案してくれる仕組みに載せてください。[6],[4]
教科書を取り込んで使ってもいいですか
一般論として、著作権法30条は「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」を目的とする複製を認めています。自分で購入した書籍を自分の学習のために電子化するのは、この範囲に入ります。ただし、この範囲は狭く、第三者に電子化を依頼する形(いわゆる自炊代行)や、コピー防止の技術的な保護を回避しての複製は、この例外の外に出るとされています。友人への共有も、この「限られた範囲」には原則として含まれません。共有するのは自分が書いた部分に限る、と決めておくのが安全です。個別の可否は、教材ごとの利用規約や権利者の許諾条件を確認してください。なお本項は一般的な情報であり、個別の事案についての法的助言ではありません。[8]
きれいなノートを作るのは無駄ですか
無駄ではありませんが、費用対効果は目的で変わります。Dunlosky らのレビューでは要約(summarization)も low utility に分類されているので、「まとめを作れば効く」とは言えません。ただし作る過程で何を残し何を捨てるかを判断する作業自体には意味があります。判断のない清書——スライドをそのまま書き写す作業——に使う時間を、思い出す練習に回すほうが割に合います。[6]
まとめ
Goodnotes 6 には Study Sets という、アクティブリコールと間隔反復にもとづくフラッシュカード機能があり、セッションの終わりに次の復習日を提案してくれます。公式の料金ページの比較表にこの行がないため見落とされやすく、医学生向けの活用法の紹介も、取り込み・書き込み・マスキング・切り貼りで止まりがちです。Dunlosky らの2013年のレビューは、思い出す練習と間隔をあけた復習を high utility、繰り返し読むことと線を引くことを low utility と評価しました。Goodnotes を使うなら、作る機能だけでなく Study Sets まで含めて使う。それが公式の機能記載と学習法の研究の両方から出てくる結論です。[2],[4],[6]
出典
- 1.一次資料Goodnotes(App Store)「Goodnotes: AI ノート、ドキュメント、PDF(日本の App Store)」 apps.apple.com(2026-08-03 取得)
- 2.一次資料Goodnotes(App Store・US)「Goodnotes: AI Notes, Docs, PDF」 apps.apple.com(2026-08-03 取得)
- 3.一次資料Goodnotes「For AI Assistants(Core Tools and Features)」 goodnotes.com(2026-08-03 取得)
- 4.一次資料Goodnotes「How to Study More Effectively with Digital Flashcards」 goodnotes.com(2026-08-03 取得)
- 5.一次資料Goodnotes「Pricing(料金プラン)」 goodnotes.com(2026-08-03 取得)
- 6.一次資料Psychological Science in the Public Interest(SAGE Publishing)「Dunlosky J, Rawson KA, Marsh EJ, Nathan MJ, Willingham DT. Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology. 2013;14(1):4-58.」 journals.sagepub.com(2026-08-03 取得)
- 7.医学部学士編入塾Cell「iPad × GoodNoteによる勉強効率化?」 hennyu-cell.com(2026-08-03 取得)
- 8.一次資料e-Gov 法令検索(デジタル庁)「著作権法 第三十条(私的使用のための複製)」 laws.e-gov.go.jp(2026-08-03 取得)
- 9.INFORMA by メディックメディア「[1〜2年生向け]【体験記】医学生の勉強法〜iPad活用術とおすすめ参考書〜」 informa.medilink-study.com(2026-08-03 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制