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ハイパー病院とハイポ病院|救急車の受入は218台から19,644台まで開いている

iwor 編集部9分で読めます
目次

ハイパー病院かハイポ病院かは、言葉で分類しようとすると決まりません。公式の定義が無く、話す人ごとに基準が違うからです。決まるのは数字のほうです。救急車の年間受入台数は、iwor が収録している1,026施設のうち1,025施設で分かり、218台から19,644台まで開いています(中央値3,834台)。当直回数は、待遇を収録している341施設のうち293施設が申告していて、中央値は月4回です。志望先についてこの2つを並べれば、自分にとってどちらなのかの見当は付けられます。[1],[4]

この言葉に公式の定義は無い

ハイパー・ハイポは学生や研修医のあいだで使われる言い回しで、制度上の区分ではありません。公的な定義が無いので、どこからがハイパーなのかは人によって基準が違います。ただ、この言葉で語られている中身のほうは具体的です。この記事では「救急車がどのくらい来るか」「当直が月に何回か」の2つを、その中身として扱います。どちらも病院が公表している数字だからです。

だからこの記事ではラベルを付けません。病院名を挙げてハイパーだ、ハイポだと分類することもしません。代わりに、その中身にあたる公表値をどこで見て、どう読むかを示します。どちらが良いかは価値観の問題で、外から決められるものではないからです。

救急の量は、台数で公表されている

救急車の年間受入数は、厚生労働省の病床機能報告オープンデータの「救急車の受入件数」欄に施設ごとの数字が載っています(この記事では読みやすさのため台数と書きます)。令和7年度の報告で、実績は2024年度ぶんです。iwor はこれを収録していて、1,026施設のうち1,025施設で値があります。分布はかなり広く、最小218台、最大19,644台、中央値3,834台。最小と最大でおよそ90倍の開きがあります。なお未記入が0として報告されている行があるため、その年に0で前年に実績のある施設については前年度の値で補ったうえでの集計です。[1],[2]

この差が、実感として語られる「症例数が多い/少ない」の正体に近いものです。年間3,834台は1日あたりおよそ10台、19,644台なら1日あたりおよそ54台。中央値と最大とで、1日に来る数が5倍ほど違います。ただし、これは病院全体の台数であって、研修医1人が診る数ではありません。当直帯にどれだけ回ってくるかは当直体制しだいですし、同じ台数でも研修医の人数が違えば1人あたりの経験量は変わります。定員と並べて見るのが実務的です。[1]

救急指定も併せて見ておくとよい情報です。iwor が収録している1,026施設のうち、救命救急センター(三次救急)として収録しているのは304施設。施設の規模そのものを見るなら常勤医師数もあり、収録値の中央値は88人でした。[1],[3]

数字の性質について、正確に言っておきます。病床機能報告は病院自身が報告するもので、未記入がそのまま0として出ている行があります。iwor では、その年に0と報告されていて前年に実績のある施設について、前年度(令和6年度報告)の値で補っています。それでも0や極端に小さい値は未記入である可能性が残るので、その場合は病院自身の公表資料で確かめてください。なお iwor が表に出している値に0はありません(最小は218台です)。[1],[2]

当直回数は申告されているが、差は出にくい

当直回数は、臨床研修病院ガイドブックの「当直の回数」欄に病院が申告しています。iwor が待遇を収録している341施設のうち、この欄の記載を数値として取れたのは293施設で、中央値は月4回です。ただしこの列には2つ注意が要ります。1つは、293施設のうち168施設(57%)が月4回に寄っていて、この列だけでは病院どうしの差が付きにくいこと。もう1つは、その168施設に「月3〜4回程度」「原則 週1回」「月4回以内」のように単一の回数で申告していない病院が混じっていて、iwor がそれを1つの数字に丸めていることです。つまり「月4回と書いた病院が168ある」わけではありません。[4]

それでも、真ん中から離れた病院は目に付きます。丸めたあとの値で月2回以下が25施設、月6回以上が18施設。ただしこの両端にも幅の申告が混じっていて、月6回以上の18施設では12施設が「月4〜6回程度」のような範囲の書き方でした。だから両端に入っていることも、そのまま鵜呑みにはできません。当直回数は「志望先がどのあたりにいるか」を粗く見る列で、病院どうしを細かく比べる列ではない、と考えてください。細かい差を見たいなら救急車の台数のほうで見分けが付きます。[4]

当直回数は収入にも関わります。当直手当が1回あたりで支給される病院では、回数がそのまま収入の差になります。募集要項から年収を組み立てる手順は研修病院の給料の見方にまとめました。なお臨床研修病院ガイドブックの掲載ページ自身が「掲載情報の入力、更新は各病院に任されています」「処遇等の最新情報については、必ず各病院から募集要項を入手する、直接病院の採用担当部署に尋ねるなどをして確認してください」と注意しています。ここでの数字も、その時点の申告です。[4]

数字で出ないところは、見学で聞く

公表値で分かるのは、病院全体の救急の量と、申告ベースの当直回数までです。実際の忙しさを左右するのに公表されていないものが、少なくとも3つあります。

  • 診療科ごとの差……同じ病院でも、外科系や手技の多い内科をローテートしている月と、そうでない月とで忙しさが変わることがあります。当直回数の欄に「回数は診療科ごとに異なる」と注記している病院もあります
  • 当直の体制……何人で当直に入るのか、上級医が院内にいるのか。同じ回数でも負担は変わり得ます。当直研修医数と研修医以外の当直医数を申告している病院もあります
  • 当直明けの扱い……明けに帰れるのか、そのまま日勤に入るのか。ガイドブックには、これを申告する欄そのものがありません
[4]

この3つは、見学のときに研修医へ直接聞けば答えが返ってくる種類の質問です。救急車の台数や当直回数のように公表されているものは先に調べておくと、見学の時間をこの3つに使えます。公表値で埋まるところは先に埋めて、見学では埋まらないところだけを聞く。聞くことの準備は病院見学で何を見るかにまとめています。

iwor の病院データベースでは、全国の研修病院をプログラム単位のまま、救急車受入・総病床数・常勤医師数・当直回数といった列を追加して並べ替えられます。救急指定は並べ替えではなく絞り込みの軸として使えて、都道府県や大学・市中の別と組み合わせられます。ここまでは無料プランのまま使えます(利用にはアカウント登録が必要です)。PRO なら、選んだ複数院を横並びで比較でき、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度といった iwor 指標の数字まで見られます。いずれも公表値からの推定で、席の取りやすさの目安です。研修の質や教育体制の評価ではなく、合否やマッチ結果を保証するものでもありません。

救急車の台数と当直回数を、同じ表に並べる。

iwor は医師のためのワークスペースです。救急車受入・総病床数・常勤医師数・当直回数を列に追加して並べ替えられ、救急指定では絞り込めます。当直回数は病院の申告値です。無料プランのまま使えます(利用にはアカウント登録が必要です)。PRO なら複数院の横並び比較と iwor 指標の数字まで見られます。指標は席の取りやすさの目安です。

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よくある質問

ハイパー病院とハイポ病院の境目はどこですか

決まった境目はありません。制度上の区分ではないので、誰かが定めた線があるわけではないからです。自分で線を引くなら、救急車の年間受入数を使うのがいちばん確かめやすい方法です。収録値の中央値は3,834台なので、志望先がその上か下かで見当はつきます(0や極端に小さい値は未記入の可能性が残るので、そこだけは病院の公表資料で確かめてください)。当直回数のほうは、収録293施設の57%が月4回に寄っていて線を引くのに向きません。いずれにせよ、中央値をまたいだかどうかで研修の中身が変わるわけではないので、線そのものにこだわらないほうがいいです。[1],[4]

忙しい病院のほうが成長できますか

これは価値観と相性の問題で、公表データからは決まりません。数として言えるのは、症例に触れる量には施設間で大きな差があるということだけです(救急車の受入で最小218台、最大19,644台)。量が多い施設ではそのぶん人員も多いことがあるので、1件あたりにどれだけ時間をかけられるかは体制しだいです。判断材料としては、量の数字に加えて、指導体制と当直体制を見学で確かめるのが現実的です。[1]

当直が月4回と書いてある病院は、実際も月4回ですか

そう申告されている、ということまでが分かる内容です。しかも「月4回」に見えている168施設には、もとの申告が「月3〜4回程度」「原則 週1回」「月4回以内」のように単一の回数でないものが混じっていて、iwor がそれを1つの数字に丸めています。診療科によって回数が違うと注記している病院もあります。実際の回数を知りたいなら、募集要項の原文を読むか、見学で研修医に聞いてください。ガイドブック自身も、掲載内容は各病院の入力によるもので最新は募集要項で確認するよう求めています。[4]

大学病院はハイポだと言えますか

そう語られることはありますが、この記事のデータは施設単位の救急量と当直回数なので、大学・市中という区分での断定はしません。同じ大学病院でも救命救急センターを持つところと持たないところがあり、救急車の受入台数にも幅があります。大学病院と市中病院の選ばれ方の違いは初期研修は大学病院と市中病院どっちで数字にしています。

倍率が高い病院はハイパーですか

別の話です。倍率は人気の指標で、忙しさとは違う軸です。倍率が低くても救急車の受入が多い病院はありますし、その逆もあります。倍率の読み方はマッチングの穴場病院の見つけ方で扱っています。忙しさを見たいなら、倍率ではなく救急車の台数と当直回数を見てください。

まとめ

ハイパーかハイポかというラベルには公式の定義が無いので、その言葉で候補を絞ろうとすると決まりません。決まるのは中身のほうです。救急車の年間受入数は1,025施設で分かり、218台から19,644台まで開いています。当直回数は341施設のうち293施設が申告していますが、57%が月4回に寄っているうえ幅のある申告も混じるので、粗い目安として使うものです。まず志望先についてこの2つを並べ、そのうえで診療科ごとの差・当直体制・当直明けの扱いを見学で聞く。この順番なら、噂に頼らずに自分の基準で判断できます。病院選びの軸そのものは研修病院の選び方にまとめました。

出典

  1. 1.一次資料厚生労働省病床機能報告 オープンデータ(令和7年度・施設票) mhlw.go.jp2026-07-05 取得)
  2. 2.一次資料厚生労働省病床機能報告 オープンデータ(令和6年度・施設票) mhlw.go.jp2026-07-05 取得)
  3. 3.一次資料厚生労働省 医政局救命救急センターの設置状況一覧 mhlw.go.jp2026-07-05 取得)
  4. 4.一次資料公益財団法人 医療研修推進財団臨床研修病院ガイドブック 2027年度版 guide.pmet.jp2026-08-04 取得)

本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制

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忙しさは、噂ではなく台数と回数で見る。

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