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ハイパー病院とハイポ病院|救急車の受入は218台から19,644台まで開いている

iwor 編集部8分で読めます
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目次

ハイパー病院かハイポ病院かは、言葉で分類しようとすると決まりません。公式の定義が無く、話す人ごとに基準が違うからです。決まるのは数字のほうです。救急車の年間受入台数は、iwor が収録している1,026施設のうち1,025施設で分かり、218台から19,644台まで開いています(中央値3,834台)。当直回数は、待遇を収録している358施設のうち308施設が申告していて、中央値は月4回です。志望先についてこの2つを並べれば、自分にとってどちらなのかの見当は付けられます。[1],[5]

この言葉に公式の定義は無い

ハイパー・ハイポは学生や研修医のあいだで使われる言い回しで、制度上の区分とは別です。公的な定義が無いので、どこからがハイパーなのかは人によって基準が違います。ただ、この言葉で語られている中身のほうは具体的です。ここでは「救急車がどのくらい来るか」「当直が月に何回か」の2つを、その中身として見ます。どちらも病院が公表している数字だからです。

だからこの記事ではラベルを付けません。病院名を挙げてハイパーだ、ハイポだと分類することもしません。代わりに、その中身にあたる公表値をどこで見て、どう読むかを示します。どちらが良いかは価値観の問題で、外から決められるものではないからです。なお「研修病院ランキング」としてよく見かけるものは、第一志望者数の順か口コミの順です。忙しさの順ではないので、ハイポかどうかを知りたいときの答えにはなりません。

救急の量は、台数で公表されている

救急車の年間受入数は、厚生労働省の病床機能報告オープンデータの「救急車の受入件数」欄に施設ごとの数字が載っています。この記事では読みやすさのため台数と書きます。令和7年度の報告で、実績は2024年度ぶんです。iwor はこれを収録していて、1,026施設のうち1,025施設で値があります。[1],[2]

分布はかなり広く、最小218台、最大19,644台、中央値3,834台。最小と最大でおよそ90倍の開きがあります。なお未記入が0として報告されている行があるため、その年に0で前年に実績のある施設については前年度の値で補ったうえでの集計です。

この差が、実感として語られる「症例数が多い/少ない」の正体です。年間3,834台は1日あたりおよそ10台、19,644台なら1日あたりおよそ54台。中央値と最大とで、1日に来る数が5倍ほど違います。ただし、これは病院全体の台数であって、研修医1人が診る数とは違います。当直帯にどれだけ回ってくるかは当直体制しだいですし、同じ台数でも研修医の人数が違えば1人あたりの経験量は変わります。定員で割った値は次の節で見ます。[1]

救急指定も併せて見ておくとよい情報です。iwor が収録している1,026施設のうち、救命救急センター(三次救急)として収録しているのは304施設。施設の規模そのものを見るなら常勤医師数もあり、収録値の中央値は88人でした。救急を軸に候補を作る手順は研修病院を救急で選ぶに分けて書いています。[1],[3]

定員で割ると、4割強は順番が変わる

台数はその病院に来た数で、研修医の人数は考えに入っていません。そこでこの記事では、施設の年間台数を、その施設のプログラムの募集定員(1学年ぶん)の合計で割りました。研修医1人が診る数ではなく、病院の救急の量を受け入れ人数で割り直した目安です。台数と定員の両方が分かるのは1,025施設で、中央値は定員1人あたり558台でした。[1],[4]

幅は21台から4,592台まであります。台数そのものの幅が90倍だったのに対して、こちらは200倍を超えます。定員が少ない病院ほど、1人あたりの数は大きく出ます。

順番も変わります。台数では中央値より上なのに、定員1人あたりでは中央値以下になる施設が224、逆向きも224でした。あわせて448施設、1,025施設の4割強で、台数だけの印象と入れ替わります。

iwor の表には救急車受入と定員が別の列で並びます。救急車受入は施設の値、定員はプログラムの値なので、同じ病院に複数のプログラムがあるときは定員を足してから割ります。

当直回数は申告されているが、差は出にくい

当直回数は、臨床研修病院ガイドブックの「当直の回数」欄に病院が申告しています。待遇を収録した358施設のうち、当直回数を数値として取れたのは308施設で、中央値は月4回です。うち5施設はガイドブックではなく病院の募集要項から取っています。ただしこの列には2つ注意が要ります。[5]

1つは、308施設のうち174施設(56%)が月4回に寄っていて、この列だけでは病院どうしの差が付きにくいこと。もう1つは、その174施設に「月3~4回程度」「原則 週1回」「月4回以内」のように単一の回数で申告していない病院が混じっていることです。iwor はそれを1つの数字に丸めています。

それでも、真ん中から離れた病院は目に付きます。丸めたあとの値で月2回以下が28施設、月6回以上が19施設。ただしこの両端にも幅の申告が混じっていて、月6回以上の19施設では12施設が「月4~6回程度」のような範囲の書き方でした。だから両端に入っていることも、そのまま鵜呑みにはできません。当直回数は「志望先がどのあたりにいるか」を粗く見る列で、病院どうしを細かく比べる列ではない、と考えてください。細かい差を見たいなら救急車の台数のほうで見分けが付きます。

当直回数は収入にも関わります。当直手当が1回あたりで支給される病院では、回数がそのまま収入の差になります。募集要項から年収を組み立てる手順は研修病院の給料の見方にまとめました。[5]

なお臨床研修病院ガイドブックの掲載ページ自身が注意しています。「掲載情報の入力、更新は各病院に任されています」。あわせて「処遇等の最新情報については、必ず各病院から募集要項を入手する、直接病院の採用担当部署に尋ねるなどをして確認してください」ともあります。ここでの数字も、その時点の申告です。[5]

数字で出ないところは、見学で聞く

公表値で分かるのは、病院全体の救急の量と、申告ベースの当直回数までです。実際の忙しさを左右するのに公表されていないものが、少なくとも3つあります。

  • 診療科ごとの差……同じ病院でも、外科系や手技の多い内科をローテートしている月と、そうでない月とで忙しさが変わることがあります。当直回数の欄に「回数は診療科ごとに異なる」と注記している病院もあります
  • 当直の体制……何人で当直に入るのか、上級医が院内にいるのか。同じ回数でも負担は変わり得ます。当直研修医数と研修医以外の当直医数を申告している病院もあります
  • 当直明けの扱い……明けに帰れるのか、そのまま日勤に入るのか。ガイドブックには、これを申告する欄そのものがありません
[5]

この3つは、見学のときに研修医へ直接聞けば答えが返ってくる種類の質問です。救急車の台数や当直回数のように公表されているものは先に調べておくと、見学の時間をこの3つに使えます。公表値で埋まるところは先に埋めて、見学では埋まらないところだけを聞く。聞くことの準備は病院見学で何を見るかにまとめています。

iwor の病院データベースでは、全国の研修病院をプログラム単位のまま、救急車受入・総病床数・常勤医師数・当直回数といった列を追加して並べ替えられます。救急指定は並べ替えではなく絞り込みの軸として使えて、都道府県や大学・市中の別と組み合わせられます。選んだ複数院を横並びで比較できます。

救急車の台数と当直回数を、同じ表に並べる。

iwor は医師のためのワークスペースです。救急車受入・総病床数・常勤医師数を列に追加して並べ替えられ、救急指定では絞り込めます。当直回数も列で見られます(病院の申告値)。複数院の横並び比較もできます。

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よくある質問

ハイパー病院とハイポ病院の境目はどこですか

決まった境目は無く、公式の区分でもありません。救急車の年間受入数と当直回数を志望先について並べて、自分の基準で決めてください。

忙しい病院のほうが成長できますか

価値観と相性の問題で、公表データからは決まりません。言えるのは、病院に来る救急車の量の差だけです(最小218台、最大19,644台)。指導体制は見学で見ます。

当直が月4回と書いてある病院は、実際も月4回ですか

そう申告されている、というところまでです。「月4回」の174施設には「月3〜4回程度」「月4回以内」を丸めたものが混じります。実際の回数は募集要項の原文か見学で。

大学病院はハイポだと言えますか

そう語られることはありますが、この記事のデータは施設単位の救急量と当直回数なので、大学・市中という区分での断定はしません。同じ大学病院でも救急の量に幅があります。

倍率が高い病院はハイパーですか

別の話です。倍率は人気の指標で、忙しさとは違う軸です。倍率が低くても救急車の受入が多い病院はあります。忙しさを見るなら救急車の台数と当直回数を見てください。

まとめ

ハイパーかハイポかというラベルには公式の定義が無いので、その言葉で候補を絞ろうとすると決まりません。決まるのは中身のほうです。救急車の年間受入数は1,025施設で分かり、218台から19,644台まで開いています。募集定員で割ると中央値は1人あたり558台で、台数の順番とは448施設が入れ替わります。当直回数は358施設のうち308施設が申告していますが、56%が月4回に寄っているうえ幅のある申告も混じるので、粗い目安として使ってください。

まず志望先についてこの2つを並べ、そのうえで診療科ごとの差・当直体制・当直明けの扱いを見学で聞く。この順番なら、噂に頼らずに自分の基準で判断できます。病院選びの軸そのものは研修病院の選び方にまとめました。

出典

  1. 1.一次資料厚生労働省「病床機能報告 オープンデータ(令和7年度・施設票)」 mhlw.go.jp(2026-07-05 取得)
  2. 2.一次資料厚生労働省「病床機能報告 オープンデータ(令和6年度・施設票)」 mhlw.go.jp(2026-07-05 取得)
  3. 3.一次資料厚生労働省 医政局「救命救急センター設置状況一覧」 mhlw.go.jp(2026-07-05 取得)
  4. 4.一次資料公益財団法人 医療研修推進財団「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果(募集定員)」 jrmp2.jp(2026-09-26 取得)
  5. 5.一次資料公益財団法人 医療研修推進財団「臨床研修病院ガイドブック 2027年度版」 guide.pmet.jp(2026-09-09 取得)

本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制

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忙しさは、噂ではなく台数と回数で見る。

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