研修病院の給料の見方|月給が同じ27施設で、年収が128万円ひらいた
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研修病院の募集要項に並ぶ「月給◯◯万円」は、そのままでは比べられません。月給がほぼ同じでも、賞与の有無、当直の回数と単価、宿舎の家賃で、1年間に手に入る額は変わるからです。賞与の効き方だけでも大きい。iwor が収録している341施設から1年次の月給が39万〜41万円に収まる27施設を取り出し、月給×12か月と賞与を足した額を並べると、4,680,000円から5,960,000円まで開きます。この帯では月給の差は最大でも2万円なので、128万円の開きはほぼ賞与によるものです。当直と宿舎はこの計算に入っていないので、実際の差はここからさらに動きます。この記事では、募集要項の何を見れば比較できるようになるかを、実際の病院の処遇ページと収録データから整理します。
年収を公表している病院は、341施設中3施設
最初に前提を1つ。iwor が待遇を収録している341施設のうち、年収そのものを公表しているのは3施設です。残りは、月給・賞与・当直手当・宿舎といった部品が別々に書かれていて、年収は読み手が組み立てることになります。さらに28施設は、賞与が金額としても月数としても読み取れないため、年収を下限としてしか出せません。加えて10施設は、月給が日給や時給で示されていて、年収そのものを算出できていません。
収録している341施設は全国の研修病院すべてではありません。大半は公益財団法人 医療研修推進財団『臨床研修病院ガイドブック』2027年度版への病院の申告値で、残りは各病院の募集要項から取っています。いずれも申告・公表された時点の値なので、実際に受け取る額の保証ではありません。応募の前には必ず最新の募集要項を確認してください。[1]
同じ「処遇」でも、書かれている量が違う
2つの病院の処遇ページを並べると、この差が具体的に見えます。どちらが良いという話ではなく、読み手が何を補わなければならないかが違う、という話です。[2],[3]
- 順天堂医院……同院の処遇ページによれば、1年目の本給は月額290,000円で「賞与なし」。そのうえで「モデル年収」として4,821,600円を示している(残業26時間/月と諸手当を含む場合、と条件つき)。当直手当は別で、平日10,000円/回・土曜15,000円/回・第2土曜および日祝休日20,000円/回。住宅手当は31,300円(支給要件に該当する場合)
- 東京大学医学部附属病院……同院の処遇ページによれば、身分は非常勤職員で、1年次は時給1,560円(1,560円/時間×7.75時間/日=12,090円/日、基本手当は月平均253,890円)。賞与・時間外手当・住居手当はいずれも「有」とだけ書かれ、金額は示されていない。当直も「有(診療科による)」。宿舎は「有(単身用、敷地内)」。この253,890円は賞与・時間外・当直を含まない基本手当なので、順天堂医院のモデル年収4,821,600円と直接くらべられる数字ではありません
順天堂医院のページからは、月給と賞与の有無に加えてモデル年収まで読めます。ただしそのモデルは残業26時間/月を前提にした条件つきの数字で、当直手当は別枠です。東京大学医学部附属病院のページは、時給と1か月あたりの基本手当までは明示していますが、賞与額も当直料も書かれていないので、このページだけでは年収を出せません。募集要項を読むときは、まず「年収が出せるページか、出せないページか」を判定するのが実務的です。[2],[3]
年収を組み立てる4つの部品
順番に見ていきます。341施設の収録値から、それぞれがどのくらいの幅を持つかも添えます。
① 月給
1年次の月給の中央値は35万円(350,000円)です。申告値の幅は200,000円から640,000円までで、高い順に並べた実名リストは研修医の給料が高い病院はどこかにあります。ここで確認したいのは金額より中身で、その額に時間外手当が含まれるのかどうかです。固定残業代を導入していると申告している施設もあり、その場合は一定時間ぶんの時間外手当が月給に組み込まれているので、額面が同じでも意味が違います。募集要項に「固定残業代」「みなし残業」の記載があるかを見てください。
② 賞与
ここが年収を最も動かします。341施設のうち115施設が、賞与なしと申告しています。金額を明示している施設もあれば、月数で示す施設、「有」とだけ書いて金額を示さない施設もあります。賞与込みの平均年収という数字を目にしたときは、収録している341施設のうち115施設が賞与なしと申告していることを踏まえて読む必要があります(この比率が全国の分布を表すわけではありません)。順天堂医院のように、賞与なしと明記したうえで、モデル年収と当直手当で説明している病院もあります。[2]
③ 当直手当
当直1回あたりの単価は、申告のある148施設の中央値で19,200円です。回数は293施設の中央値で月4回。単価と回数の両方を申告している145施設について、単価×回数×12か月を計算すると、年額は120,000円から3,024,000円まで開き、うち50施設が100万円を超えます。順天堂医院のように曜日で単価が変わる病院もあります。募集要項に「当直手当は別途支給」とだけ書かれている場合、月給の額面だけを比べると、この部分がまるごと抜け落ちます。[2]
④ 宿舎と住宅手当
宿舎ありと申告している施設は238です。家賃は病院によって幅があり、給与には出てこないぶん見落とされますが、家賃の差はそのまま生活費の差になります。宿舎がない場合は住宅手当の有無を見ます。順天堂医院は住宅手当31,300円(支給要件に該当する場合)と金額まで示しています。[2]
この4つを揃えると、ようやく病院どうしを同じ土俵で並べられます。収録値から算出した年収の中央値は4,700,000円でした。ただしこれは算出できた施設の中央値であって、全国の平均ではありません。
月給が同じでも、年収は揃わない
冒頭に挙げた数字をもう一度置きます。1年次の月給が39万〜41万円に収まる27施設で、算出した年収は4,680,000円から5,960,000円まで開きました。月給の差は最大でも2万円なのに、年収では128万円ひらく。このレンジを作っているのはほぼ賞与です。27施設のうち14施設は賞与なしと申告していて、最小はその1つ。最大のほうは賞与を1,268,000円と金額で申告している病院でした。ここで使っている年収は月給×12か月と賞与を足した値なので、当直手当と宿舎はこのレンジの外にさらに乗ります。
だから月給だけで探すと、比較したことになりません。見るべきは、その月給に何が含まれていて、外に何がぶら下がっているかです。月給だけの比較は、賞与のある病院を過小評価し、当直の多い病院を過小評価します。
iwor では、全国の研修病院をプログラム単位のまま、月給(1年次・2年次)・賞与・当直回数・当直料・固定残業・想定手取り・宿舎の各列で並べ替えられます。都道府県や大学・市中の別で絞り込むこともできて、ここまでは無料プランのまま使えます。PRO なら、上で組み立てた年収がそのまま列になった「換算年収」で並べ替えられて、選んだ複数院を横並びで比較でき、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度といった iwor 指標の数字まで見られます。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質や教育体制の評価ではありません。
待遇は、月給だけでは比べられない。
iwor は医師のためのワークスペースです。全国の研修病院をプログラム単位のまま、月給・賞与・当直回数・当直料・宿舎の列で並べ替えられます。無料プランのまま(登録のみで)使えて、PRO なら複数院の横並び比較と iwor 指標の数字まで見られます(席の取りやすさの目安であり、研修の質の評価ではありません)。
無料ではじめるよくある質問
研修医の年収の平均はいくらですか
iwor が収録している341施設から算出した1年次の年収の中央値は4,700,000円です。ただしこれは収録した施設の中央値であって、全国の研修病院の平均ではありません。また、年収を下限として扱っている28施設は下限値のまま中央値の計算に入っているので、中央値は低めに出ます。年収を算出できない10施設は計算から外れています。平均という1つの数字より、行きたい病院の募集要項から4つの部品を拾うほうが役に立ちます。
手取りはどのくらいになりますか
額面から社会保険料と税が引かれるので、手取りは額面より下がります。想定手取りを自分から示している病院もあり、iwor でもその申告値を収録して並べ替えの対象にしています。ただし手取りは扶養・住民税・保険の種類で変わるので、示された想定手取りはあくまでモデルです。病院ごとの前提条件が違う点に注意してください。
当直はどのくらい年収に効きますか
施設ごとに単価×回数×12か月を計算できるのは145施設で、年額は120,000円から3,024,000円まで開きます。うち50施設が100万円を超えました。中央値どうし(単価19,200円・月4回)を掛けた値は同じ病院で成り立つとは限らないので、比べるときは病院ごとに掛けてください。順天堂医院のように曜日で単価が変わる病院もあります。当直の回数が募集要項に書かれている場合は、単価と一緒に確認してください。当直回数は収入であると同時に働く時間そのものなので、ハイパー病院とハイポ病院も併せて見てください。[2]
大学病院と市中病院では給料が違いますか
傾向として語られることが多い論点ですが、この記事の収録データは施設単位の待遇なので、大学・市中の比較はここでは扱いません。倍率や第一志望率といった選ばれ方の違いは初期研修は大学病院と市中病院どっちで数字にしています。給料については、区分でまとめるより、候補にしている病院の募集要項を4つの部品で読むほうが確実です。
募集要項に賞与の金額が書かれていない場合はどうしますか
その病院は年収の下限までしか出せません。iwor でも、賞与が読み取れない28施設は年収を下限として扱い、月給が日給・時給表記で算出できない10施設は年収を出していません。研修担当の事務窓口への問い合わせか、見学・説明会の質疑で直接確認するのが最短です。聞き方も含めた見学の準備は病院見学の申し込みメールにまとめました。
まとめ
研修病院の給料は、月給の数字を並べても比べたことになりません。年収そのものを公表しているのは341施設中3施設で、残りは月給・賞与・当直手当・宿舎から自分で組み立てることになります。賞与なしと申告している施設が115あり、当直1回あたりの中央値は19,200円、宿舎ありは238施設。月給が39万〜41万円の27施設では、年収が4,680,000円から5,960,000円まで開きました。候補の病院が決まったら、この4つを募集要項から拾って同じ形に揃える。それが給料を比べるということです。なお待遇は病院選びの一軸にすぎません。当直の回数は収入であると同時に働く時間そのものなので、研修の中身と併せて見てください。病院選びの軸そのものは研修病院の選び方、公表データの見方は研修病院データベースの使い方で扱っています。
出典
- 1.一次資料公益財団法人 医療研修推進財団「臨床研修病院ガイドブック 2027年度版」 guide.pmet.jp(2026-07-27 取得)
- 2.一次資料順天堂大学医学部附属順天堂医院 臨床研修センター「処遇(募集要項・処遇・研修環境)」 hosp.juntendo.ac.jp(2026-08-04 取得)
- 3.一次資料東京大学医学部附属病院 総合研修センター「医師臨床研修 研修環境・処遇」 h.u-tokyo.ac.jp(2026-08-04 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制