マッチングに「内定」はあるのか|病院が必ず採用するのは、組合せが決まってから
目次
医師臨床研修マッチング協議会は、組合せが決定した参加者については必ず採用するよう、参加病院に定めています。注意事項が例外として挙げているのは、医師国家試験に不合格だった場合と、退学または留年した場合の2つです。この義務が生じるのは組合せが決まってからで、2026年度の発表は10月22日(木)14時。選考の場で「内定」と言われた段階では、まだそこに至っていません。だから、その一言に合わせて希望順位表を書き換える必要はありません。行きたい順に書いてください。[1],[3]
「内定」という言葉が、2つの意味で使われている
混乱の元は、同じ言葉が別々の場面で使われていることです。ひとつは公的な集計で使われる「内定者」。厚生労働省は毎年10月にマッチング結果を発表していて、令和7年度は募集定員10,527人に対し、希望順位登録者9,651人、内定者8,910人、内定率92.3%でした。この「内定者」には注記が付いています。[5]
内定者とは、今回のマッチングにより、希望順位を登録した研修希望者のうち、臨床研修を受ける病院が内定した者。[5]
「今回のマッチングにより」と書かれているとおり、これは結果発表でマッチした人を指す集計上の言葉です。令和7年度の組合せ決定は10月23日14時でした。もうひとつが、その前の夏の選考の場で、病院から口頭で伝えられる「内定」です。読者が検索するのはたいてい後者ですが、答えを出すには前者の仕組みから見る必要があります。[5],[4]
採用の手続きは、マッチング協議会が決めている
マッチングは参加者と病院の双方が規約に同意して参加する仕組みで、それぞれがやることが決められています。参加者側は、参加登録・各病院の選考手続きの完了・希望順位表の提出、そして組合せが決定した場合に、それに従って採用される仮契約を結ぶこと。病院側も同じ並びで、参加登録・採用選考の実施・希望順位表の提出、そして組合せが決定した場合に仮契約を結び、その状況を報告することとされています。採用の仮契約が、どちらの側でも組合せ決定の後ろに置かれているのが分かります。[2]
そのうえで協議会は、参加病院への注意事項でこう書いています。[1]
研修医マッチングに参加して組み合わせが決定した参加者については、必ず採用してください。[1]
続けて例外が2つ挙げられています。参加者が医師国家試験に不合格だった場合と、退学または留年した場合です。ここが、マッチングの結果が「口約束」と決定的に違うところです。あわせて協議会は、参加病院は募集定員の全てをマッチングで募集することとし、定員が充足しなかったぶんを2次募集で補う場合には、病院が協議会に照会を行うよう求めています。採用枠がマッチングの外側で先に埋まる建て付けにはなっていません。[1],[2]
病院側にこれを明記しているところもあります。岩手県立大船渡病院は、初期臨床研修のよくある質問に「マッチング希望病院登録前に事前に内定通知など通知があるのでしょうか?」という問いを立てて、こう答えています。[6]
事前の内定通知などはいたしません。すべてコンピューターマッチングにより採用決定した方に、マッチング終了後、内定通知および誓約書を郵送します。[6]
これは1つの病院が自院について書いていることですが、内定通知が出てくる位置がはっきり分かります。マッチング終了後です。志望先が同じことを書いているかどうかは、募集要項とよくある質問のページを開けば確かめられます。[6]
「うちが第一志望ですか」と聞かれたら
ここで知っておくと楽になるのは、言われた内容に合わせて自分の希望順位表を書き換えても、マッチする確率は上がらないということです。協議会は参加者向けの注意事項で、人気のあるプログラムだからといって第一希望を差し替えても確率は上がらないと説明し、逆に本当の第一希望を下げると、そこでマッチできる可能性が下がると書いています。確率を上げる方法として挙げられているのは2つで、できるだけ多くの病院とコンタクトを取ることと、研修してもよいと思うプログラムを全て希望順位表に載せることです。[1]
病院側も同じ方向で案内されています。協議会は病院に対し、採用したいと思う参加者は全て希望順位表に載せるよう求め、募集定員以上の人数を載せても定員を超える組合せは生じないと明記しています。病院が多めに載せておくことに不利益がない設計なので、「第一志望と言ってくれた人だけを載せる」必要も、制度上はありません。[1]
令和7年度にマッチした8,910人のうち、第1希望でマッチした人は5,403人(60.6%)、第3希望までで87.7%でした。参加者が希望順位表に載せたプログラム数は平均5.22です。希望順位表の具体的な組み立て方は希望順位表に、どの病院をどの順で書くか、なぜ並べ替えが効かないのかは研修医マッチングのアルゴリズムにまとめました。[4]
希望順位表に載せる1つを、増やす。
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無料ではじめるマッチングの結果が出たあとに来るのが、本当の内定
10月22日14時にマッチングシステムで結果を確認します。参加者が確認できるのは、自分とマッチした研修プログラムの名称です。マッチした場合は、その結果に従って採用の仮契約を結ぶ流れになります。大船渡病院の書き方でいえば、内定通知と誓約書が郵送されてくるのがこの段階です。当日の動き方はマッチングの結果発表はいつか、どこにもマッチしなかった場合の動き方はマッチングでアンマッチだったらにまとめました。[4],[2],[3],[6]
なお、結果に従うよう求められているのは参加者も同じです。協議会は参加者向けの注意事項の冒頭に、組合せが決定した場合はその結果に従うようにと書いています。だからこそ、希望順位表には研修したくないと思うプログラムを入れないよう案内されています。載せた以上はマッチする可能性があり、マッチしたら従うのが前提だからです。[1]
よくある質問
病院から「内定」と言われました。順位を上げるべきですか
上げるべきかどうかは、その病院に行きたいかどうかだけで決めてください。協議会は、第一希望を本当に希望するプログラム以外にすると、もともとの第一希望とマッチできる可能性が下がると説明しています。順位の入れ替えでマッチ確率が上がる仕組みにはなっていないので、自分の希望どおりに並べて損をすることはありません。行きたい病院なら上に、そうでないなら下に置けば足ります。[1]
内定と言われたのにマッチしないことはありますか
あります。病院に採用の義務が生じるのは組合せが決まってからなので、それ以前の口頭のやりとりは結果を保証しません。マッチするかどうかは、自分が希望順位表にどう書いたか、病院が誰を何位で載せたか、そして他の参加者がどう動いたかで決まります。結果は参加者と参加病院がそれぞれ自分のぶんを確認する仕組みなので、病院が誰を何位に置いたかは外からは確かめようがありません。自分の側で動かせるのは、希望順位表に載せるプログラム数のほうです。[1],[2]
事前に内定を出さない病院は、どう考えればよいですか
手続きどおりだと考えて構いません。大船渡病院のように、事前の内定通知はしないと明記したうえで、マッチング後に内定通知と誓約書を送ると案内している病院があります。採用は組合せの決定に従って行うことになっているので、事前に出さない病院があるのはそのためです。逆に事前の言葉があったとしても、それが組合せの結果を動かすわけではありません。[6],[1]
内定率92.3%というのは、どこの数字ですか
厚生労働省が発表した令和7年度の数字で、分母は希望順位を登録した9,651人です。募集定員10,527人ではありません。参加登録だけして希望順位表を出さなかった人が251人いますが、この人たちも分母に入っていません。[5],[4]
マッチングの前に、複数の病院から内定めいた話をもらいました
どれも採用を確定させるものではないので、比較の材料としては使えません。判断材料にするなら、募集要項に書かれている選考方法、見学で見た指導体制、公表されている定員や充足率のほうが確かです。そのうえで、受ける病院を絞りすぎないでください。候補の絞り方は研修病院の選び方にまとめました。[1]
まとめ
病院に「必ず採用してください」という縛りがかかるのは、組合せが決まってからです。注意事項が例外として挙げているのは国試不合格と退学・留年の2つ。2026年度の発表は10月22日(木)14時です。だから選考中の「内定」に合わせて希望順位表を動かす理由はありません。やることは変わらず、多くの病院とコンタクトを取り、研修してもよいと思うプログラムを、行きたい順に、できるだけ多く載せることです。選考で何が課されるかはマッチングの採用試験は何が出るかにあります。[1],[3]
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(事務局=公益財団法人 医療研修推進財団)「医師臨床研修マッチングに参加する際の注意事項」 jrmp2.jp(2026-08-09 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(事務局=公益財団法人 医療研修推進財団)「医師臨床研修マッチングの概要」 jrmp2.jp(2026-08-09 取得)
- 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(事務局=公益財団法人 医療研修推進財団)「2026年度医師臨床研修マッチングスケジュール」 jrmp2.jp(2026-08-09 取得)
- 4.一次資料医師臨床研修マッチング協議会「令和7年度 研修医マッチングの結果(記者発表資料・2025年10月23日)」 jrmp2.jp(2026-08-09 取得)
- 5.一次資料厚生労働省 医政局医事課医師臨床研修推進室「令和7年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします(報道発表資料・2025年10月23日/研修医マッチングの結果)」 mhlw.go.jp(2026-08-09 取得)
- 6.一次資料岩手県立大船渡病院「初期臨床研修医についてよくある質問(令和8年7月1日更新)」 oofunato-hp.com(2026-08-09 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制