研修医がつらいのは珍しくない|全国約6,000人の調査で37.3%に抑うつのサイン
目次
研修医のつらさは、数字にも出ています。日本の研修医6,045人の全国調査では、2つの質問で抑うつのサインが出た人が37.3%でした。[1]
研修が始まって3か月で新たに抑うつ症状が出た1年目は22.6%で、週の勤務が長い人ほど多くなっていました。つらさを自分の弱さのせいだけにしなくていい数字です。[2]
つらいときの相談先
心や体の不調が続いているなら、厚生労働省の「こころの耳」に、働く人向けの電話・SNS・メールの相談窓口がまとまっています。[4]
「死にたい」「消えたい」という気持ちがあるときは、#いのちSOS(0120-061-338)に電話できます。フリーダイヤルで、毎日24時間受け付けています。[5]
誰に言えばいいか分からないときは、話しやすい指導医や同期からでかまいません。
日本の研修医の37.3%に、抑うつのサイン
全国の研修医の約3分の1が受ける GM-ITE という試験のあとに、2020年1月、1年目と2年目を対象に行われた調査です。回答がそろった6,045人を集計しています。[1]
抑うつは、2つの質問のどちらかに「はい」と答えると陽性になる方式で調べていて、37.3%が陽性でした。バーンアウトは21.6%、強いストレスは39.2%です。いずれも質問票でふるい分けた数字で、うつ病と診断された割合とは別です。[1]
研修が始まると増える
1年目の研修医を、研修が始まる時点と3か月後の2回調べた研究があります。2011年に全国250の研修病院で、1,241人が2回とも答えました。開始時点ですでに16.0%に症状があり、症状がなかった人のうち22.6%が、3か月後に新たに抑うつ症状を示していました。[2]
北米を中心に各国の54研究をまとめたメタ解析でも、研修の前後を追った7研究では、研修が始まって1年以内に抑うつ症状が中央値で15.8ポイント増えていました。著者らは、原因が研修という経験に共通していることを示唆すると考察しています。[3]
1年目だけの話ではない
同じメタ解析で、1年目だけを調べた研究と上の年次だけを調べた研究を比べると、31.9%と26.6%で、統計的に有意な差は出ていません。[3]
勤務時間が長いほど多い
2011年の調査で、1年目の週の勤務時間は平均79.4時間でした。44.6%が週80時間以上、7.8%が週100時間以上働き、睡眠は1日平均5.8時間です。[2]
3か月後に新たに抑うつ症状が出た割合は、週80時間未満で17.3%、80〜99時間で25.1%、100時間以上で45.5%でした。[2]
2020年の全国調査でも、週100時間以上働く研修医では45.9%に抑うつのサインが出ていました。[1]
つらさを相談するときは、週に何時間働いているかも一緒に伝えると、話が具体的になります。
休む・辞めるを考えたら
休みたい、辞めたいと考えたときのことは研修医を辞めたいと思ったらにまとめています。休止できる日数、中断したあとの再開、病院の中での相談の相手まで載せています。決める前に、まず誰かに相談してください。
よくある質問
研修医がつらいのは、自分が弱いからですか
研修が始まると増えることが、日本の調査でも海外のメタ解析でも出ています。研修開始時に症状がなかった1年目のうち22.6%が、3か月後に新たに抑うつ症状を示していました。
つらいのは1年目だけですか
メタ解析では、1年目だけの研究と上の年次だけの研究で、統計的に有意な差は出ていません。2年目でもつらさが続くことはあります。
誰に相談すればいいですか
院外なら、厚生労働省の「こころの耳」に電話・SNS・メールの窓口があります。「死にたい」「消えたい」という気持ちがあるときは、#いのちSOSが毎日24時間受け付けています。病院の中での相談の相手は研修医を辞めたいと思ったらにあります。
まとめ
日本の全国調査では37.3%の研修医に抑うつのサインが出ていて、1年目は研修が始まって3か月で22.6%に新たな症状が出ていました。週の勤務時間が長いほど多くなります。
つらさが続くときは、ひとりで抱えずに相談してください。週に何時間働いているかは、そのときの材料になります。
出典
- 1.一次資料Scientific Reports(PubMed Central)「Nagasaki K, Nishizaki Y, Shinozaki T, et al. Association between mental health and duty hours of postgraduate residents in Japan: a nationwide cross-sectional study. Sci Rep. 2022;12:10626.」 doi.org(2026-09-22 取得)
- 2.一次資料BMC Medical Education(PubMed Central)「Ogawa R, Seo E, Maeno T, et al. The relationship between long working hours and depression among first-year residents in Japan. BMC Med Educ. 2018;18:50.」 doi.org(2026-09-22 取得)
- 3.一次資料JAMA(PubMed Central)「Mata DA, Ramos MA, Bansal N, et al. Prevalence of Depression and Depressive Symptoms Among Resident Physicians: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA. 2015;314(22):2373-83.」 pmc.ncbi.nlm.nih.gov(2026-09-22 取得)
- 4.一次資料厚生労働省「こころの耳 相談窓口案内」 kokoro.mhlw.go.jp(2026-09-22 取得)
- 5.一次資料厚生労働省「まもろうよ こころ」 mhlw.go.jp(2026-09-22 取得)
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