マッチングの倍率は何倍が普通か|全1,470プログラムの中央値は3.5倍
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2025年度のマッチングに参加した全1,470プログラムの倍率を集計すると、中央値は3.5倍でした。よく見かける平均6.4倍は、最大140倍という一部のプログラムに引っ張られた値です。10倍以上が214プログラム(14.6%)で、2倍に届かないものも354あります。だから、志望先が5倍と聞いても、それが高いのか低いのかは分布のどこにあるかで決まります。そしてもう1つ。この倍率は、そのプログラムを希望順位表のどこかに書いた人数を定員で割った値です。第1希望にした人だけで数え直すと、中間公表の時点では906プログラム(61.6%)で登録が定員に届いていません。[1],[2]
倍率の中央値は3.5倍、平均は6.4倍
協議会が公表しているプログラム別のマッチ結果には、募集定員と、そのプログラムを希望順位登録した学生数が並んでいます。この2つを割って、1,470プログラムぶんを小さい順に並べると次のようになります。[1]
- 中央値:3.5倍(ちょうど真ん中のプログラム)
- 75%点:6.6倍(これを超えると、倍率が高いほうから4分の1に入る)
- 90%点:13倍(これを超えると、高いほうから1割に入る)
- 最大:140倍
- 平均:6.4倍
平均が中央値の2倍近くあるのは、上の裾が極端に長いからです。倍率は下には1倍未満までしか下がりませんが、上には140倍まで伸びます。少数の突出したプログラムが平均を押し上げるので、代表値としては外れ値に引きずられない中央値のほうが適切です。「平均より上か」ではなく「真ん中の3.5倍より上か」で見てください。[1]
10倍以上が214プログラム(14.6%)、2倍未満が354プログラムです。つまり10倍以上なら、希望順位表に載せた人の多さで上位1.5割に入るということです。3倍前後なら真ん中あたりになります。[1]
大学病院と臨床研修病院では、真ん中の位置が違う
同じ分布を大学病院402プログラムと臨床研修病院1,068プログラムに分けると、中央値は5.7倍と3.2倍でした。大学病院のほうが高く出ます。これは定員の大きさの違いではありません。定員が1人のプログラムだけを比べても、大学病院の倍率の中央値は19倍、臨床研修病院は7倍です。効いているのは登録のされ方のほうで、大学病院に登録された延べ24,246件のうち第1希望は1,955件(およそ8%)、臨床研修病院は26,169件のうち7,329件(およそ28%)でした。大学病院は併願先として登録されやすく、第1希望に選ばれる割合が低いぶん、倍率が膨らみます。大学と市中の選び方そのものは大学病院と市中病院はどちらを選ぶかにまとめました。[1],[4],[2]
その倍率は、延べ人数で数えられている
倍率を読むうえで外せないのが、分子が何かです。1,470プログラムの登録学生数を合計すると50,415人になりますが、この年に希望順位表を提出したのは9,651人です。1人が平均5.22のプログラムを登録しているので、同じ人が5回前後、別々のプログラムの分子として数えられています。募集定員の合計は10,527人ですから、全体をならせば4.8倍という計算になりますが、この数字が意味しているのは「1つの席を4.8人が奪い合った」ことではありません。[1],[4]
順位が上のほうでマッチすれば、下位に書いたプログラムには行きません。だから倍率が高くても、その全員が本気でそこを狙っているわけではないのです。倍率が重ね書きで膨らむ仕組みは研修病院の人気ランキングの読み方で扱っています。[1]
第1希望だけで数え直すと、6割は定員に届かない
では本気の人数はどう数えるか。協議会は中間公表で、そのプログラムを第1希望に登録した学生数を出しています。この数を定員で割ると、1,470プログラムの中央値は0.64倍でした。906プログラム(61.6%)では、第1希望に書いた人が定員に届いていません。[2]
協議会のプログラム別マッチ結果を倍率順に並べると、上のほうはどこも激戦に見えます。ところが10倍以上の214プログラムに限っても、128(59.8%)は第1希望の登録が定員に届いていません。倍率10倍は「10人に1人しか入れない」という意味ではありません。中間公表の見方はマッチングの中間公表で何が分かるかにまとめました。[2]
ただし第1希望の数は中間公表時点の断面で、そのあと希望順位を変える人がいますし、この時点で登録を終えていない人もいます。確定値としてプログラム別に公表されるのは、最初に挙げた登録学生数のほうです。2つの数字は、どちらかが正しいというより、見ている角度が違います。[2],[1]
自分の志望先の倍率を、3つの順番で見る
ここまでの数字を使うと、確かめる順番は3つになります。
- ① 登録学生数÷定員を出して、中央値3.5倍・75%点6.6倍・90%点13倍のどこに入るかを見る。倍率で見たときの全国の位置が分かります
- ② 中間公表の第1希望者数÷定員を出す。その時点で1倍を割っていても、第2希望以下に書いた人で埋まることが多いので、席が余るとは限りません
- ③ 単年で決めない。倍率は毎年動くので、複数年の推移で高止まりしているかを見ます
なお、どこにもマッチしないことを避けるために自分でできるのは、行きたい順に正直に登録することと、研修してもよいと思うプログラムを加えて登録数を増やすことの2つです。協議会も、人気のあるプログラムだからといって第1希望を差し替えても確率は上がらないと案内しています。[3]
①と②が食い違うプログラムは、候補として調べ直す手がかりになります。見かけの倍率は高いのに第1希望の登録が定員に届いていないなら、そのプログラムは第1希望以外で登録されている割合が高いということです。ただしその人たちは、第1希望でマッチできなければこの席を争う相手になります。逆の探し方はマッチングの穴場病院の見つけ方に、空席が出る仕組みは定員割れした病院は狙い目かにあります。
iwor でこれをやる場合、各病院のページは登録なしで倍率・定員・充足率まで見られて、応募者数と倍率の推移(公表が揃っている年のぶん・最大5年)は無料登録するとアプリで見られます。③を単年ではなく傾向で判断できるのはここです。全国の一覧を応募者数・倍率・定員・充足率で並べ替えるのも無料登録の範囲で、PRO なら複数院を横並びで比べられて、公表値から算出した指標の数字も出ます。マッチ難易度は、第1志望にした人の割合を織り込んだ実質の競争率を偏差値にした指標で、定員が4人以下のプログラムは値のブレを補正しています。穴場度は、空きやすさと低倍率、第1志望者の減り方から算出します。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではなく、合否を予測するものでもありません。
その5倍が、全国のどのあたりか。
iwor は医師のためのワークスペースです。全国の研修病院をプログラム単位で、倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や大学・市中の別で絞り込んだりできます。
無料ではじめるよくある質問
倍率は何倍から「高い」と言えますか
全1,470プログラムの中では、6.6倍を超えると上位4分の1、13倍を超えると上位1割です。中央値は3.5倍なので、3倍台なら真ん中あたりということになります。ただし高い倍率がそのまま入りにくさを意味するわけではないので、第1希望の人数と併せて見てください。[1]
倍率はどこで調べられますか
医師臨床研修マッチング協議会のサイトで、プログラム別のマッチ結果と中間公表結果が公開されています。前者には募集定員と希望順位登録した学生数が、後者には第1希望にした学生数が載っています。どちらも前年度までの数字です。[1],[2]
倍率が1倍未満のプログラムもありますか
あります。1,470のうち、そのプログラムを希望順位表に載せた人が定員に届かなかったものが100あります。ただし空席が出たプログラムの多くは、定員以上の人が載せていたのに埋まらなかったほうです。内訳は定員割れした病院は狙い目かにまとめました。[1]
大学病院の倍率が高いのは人気だからですか
それだけではありません。大学病院402プログラムの中央値は5.7倍で臨床研修病院より高く出ますが、定員が1人のプログラムに限っても19倍と7倍で、定員の大きさでは説明がつきません。大学病院に登録された延べ24,246件のうち第1希望は1,955件(およそ8%)で、臨床研修病院の28%より小さい割合です。併願先として登録されやすいぶん、倍率が膨らみます。[1],[4],[2]
去年の倍率は今年も同じですか
同じとは限りません。公表されるのは前年度までの結果で、倍率は年ごとに動きます。単年の数字で決めず、複数年の推移で高止まりしているかを見てください。iwor では無料登録すると、公表が揃っている年のぶんの推移をアプリで見られます。
まとめ
マッチングの倍率は、2025年度の全1,470プログラムで中央値3.5倍、75%点6.6倍、90%点13倍でした。平均6.4倍は最大140倍という裾に引っ張られた値なので、自分の志望先を測るなら中央値と比べてください。そのうえで、第1希望だけで数え直すと景色が変わります。見かけの倍率で上位に並ぶプログラムでも、中間公表の時点では第1希望の登録が定員に届いていないことがあります。見かけの倍率と第1希望の人数、この2つを並べて初めて、その病院の競争が見えます。[1],[2]
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果」 jrmp2.jp(2026-08-09 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表」 jrmp2.jp(2026-08-09 取得)
- 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(事務局=公益財団法人 医療研修推進財団)「医師臨床研修マッチングに参加する際の注意事項」 jrmp2.jp(2026-08-09 取得)
- 4.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修医マッチングの結果(記者発表資料・2025年10月23日)」 jrmp2.jp(2026-08-09 取得)
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