福岡の研修病院はどこを受けるか|第一志望が多い3院と、久留米大学病院の12コース(2025年度)
目次
答えを先に書きます。福岡で第一志望者数の実数でも定員に対する比でも上位に入るのは、飯塚病院・福岡徳洲会病院・白十字病院の3院です。第一志望者数の実数で並べても、定員に対する比で並べても、この3院が上位10に入ります。候補集めはここから始めるのが早いです。ただし福岡では、病院を決めたあとにもうひとつ決めることがあります。どのコースで登録するかです。久留米大学病院は12プログラム、九州大学病院は5プログラム、福岡大学病院は4プログラムを持ち、コースごとに第一志望者数は8人から0人まで割れています。病院名だけを見て決めると、まったく違う枠に出すことになります。[1],[2]
候補をどこから集めるか
先に1つ断っておきます。登録する順番は、自分が行きたい順です。順位を戦略的に動かしても有利にならない仕組みなので(マッチングの希望順位登録)、以下は候補の探し方であって、登録する順番の指示ではありません。順位を実際の志望と違う順に付け替えても、有利にはなりません。動かせるのは、採用試験を受けて「行ってもよい」と言えるプログラムを1つでも多く登録することです。
- まず見る……第一志望が集まっている3院(飯塚・福岡徳洲会・白十字)と、実数最多の国立病院機構九州医療センター 総合プログラム(定員20人・第一志望35人)を軸に、自分の条件で絞る
- 次に見る……聖マリア病院(定員17人・第一志望29人)・北九州総合病院・浜の町病院・福岡赤十字病院など
- 登録の数を増やすために足す……大学病院。ただし「久留米大学病院」ではなく、その12コースのどれかを1つずつ選ぶ。九州大学病院の広域連携型プログラムのように、定員7人で7席まるごと空いた枠もあります
空席の出たプログラムを順位表に加えておく意味は、こう整理できます。順位表は病院側もつくります。JRMPはマッチングにゲール・シャープレーのアルゴリズムを用いると公表しており、その性質から次のことが言えます——病院側の順位表に載っていて、かつ空席の出たプログラムを自分の希望順位表に書いていた人は、そのプログラムか、それより上位の希望のどこかにマッチしている。空席が残るということは、そこを希望し、かつ病院側の順位表に載っていた人は全員、より上の希望に入れたか、その枠に入ったかのどちらかだからです。これは公表資料に書かれた記述ではなく、アルゴリズムから導かれる帰結です。ただし、採用試験を受けることと病院の順位表に載ることは同じではありません。JRMPは「参加病院は、採用試験の結果に基づいて採用しても良いと考える受験者のみを希望順位登録しますので、アルゴリズム上、そのようなケースも発生します」と明記していて、第1希望のプログラムに空席があるのに自分はアンマッチ、ということが起こりえます。2025年度のアンマッチは741人でした。だから空席は「受けておけば必ず入れた席」ではありません。それでも、マッチングの中でその席を受け皿にできるのは、採用試験を受けてそこを順位表に書いておいた人だけです。なおマッチング後に残った席が二次募集に回ることもありますが、募集を出さない病院もあります(マッチングでアンマッチだったら)。順位表の作り方そのものはマッチングの希望順位登録を参照してください。[3],[1]
福岡県全体の数字
まず全体を見ます。2025年度のマッチングで、福岡県には66のプログラムがあり、43の病院に分かれています。募集定員の合計は396人、マッチした人数は370人で、充足率は93.4%でした。全国の充足率が84.6%なので、九州のなかでは埋まりやすい県です。空席は26席、空席が出たプログラムは11件でした。[1]
第一志望者数の合計は438人で、定員396人に対して1.11倍にあたります。全国では0.88倍です。ただしこの比がそのまま個人の難易度になるわけではありません。誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まります。なお第一志望者数は中間公表時点の断面値で、プログラム別の確定値は公表されません。[2],[1]
久留米大学病院の12コース
ここが本題です。全国1,470プログラムを病院名で畳むと1,026病院になりますが、1病院あたりのプログラム数が最も多いのが久留米大学病院の12です。病院単位で合算すると、定員38人・第一志望24人・0.63倍という1行になります。内訳は次のとおりです(数字が同じコースはまとめて書いています)。[1],[2]
- 久大/聖マリア病院コース……定員6人/マッチ6人/第一志望8人
- 久留米大学病院総合研修コース……定員10人/マッチ10人/第一志望6人
- 久大/九州医療センターコース……定員2人/マッチ2人/第一志望5人
- 久大/済生会二日市病院コース……定員2人/マッチ2人/第一志望3人
- 久大/新古賀病院コース……定員2人/マッチ2人/第一志望1人
- 久大/大牟田市立病院コース……定員2人/マッチ2人/第一志望1人
- 久留米大学病院小児科コース・久留米大学病院産婦人科コース……各定員2人/各マッチ2人/各第一志望0人
- 久大/公立八女総合病院コース・久大/高木病院コース・久大/社会保険田川病院コース……各定員2人/各マッチ2人/各第一志望0人
- 久留米大学病院広域連携コース……定員4人/マッチ1人/第一志望0人/空席3
同じ病院名の下で、第一志望8人のコースと0人のコースが並んでいます。しかも半分以上のコースは、久留米大学病院そのものではなく協力病院との組み合わせで名前が付いています。ここで選ぶのは「大学か市中か」ではなく、「どの組み合わせか」です。病院単位で合算した0.63倍という数字は、そのどれとも一致しません。[1],[2]
同じことは福岡の他の大学病院でも起きています。九州大学病院は5プログラムで、定員44人の「協力病院-九大病院プログラム」が第一志望16人・マッチ44人と定員が埋まった状態である一方、定員7人の広域連携型プログラムは第一志望0人・マッチ0人で7席がまるごと空きました。福岡大学病院は4プログラムで、定員31人の主プログラムは第一志望22人で定員が埋まり、小児科研修プログラムは定員2人で第一志望0・マッチ0です。第一志望者数やマッチ者数が少ないことは、研修の質や教育体制の評価とは関係がありません。[1],[2]
第一志望が0だったプログラムは福岡全体で14件あり、そのうち9件は定員2人以下でした。空席が出た11プログラムのうち7件は第一志望0のプログラムと重なります。ただしこれを「狙い目」と読み替えないことです。定員2人の枠に何人が下位順位で登録しているかは公表されていません。応募要件もコースごとに違うので、募集要項で個別に確認してください。空席の読み方はマッチングの穴場病院の見つけ方にまとめています。[1],[2]
大学病院と市中病院で、測っているものが違う
福岡全体で1.11倍という数字は、大学病院と市中病院を混ぜた平均です。分けて見ると様子が変わります。[1],[2]
大学病院の比が低く出るのは、人気がないという意味ではありません。大学病院は併願先として順位表の下位に登録されやすく、第1位に置かれにくいためです。実際、大学病院の充足率は89.5%で、席の大半は埋まっています。大学病院と市中病院の違いそのものは大学病院と市中病院を数字で比較するで扱っています。[1],[2]
ランキングは、何で並べるかで顔ぶれが変わる
病院単位で集計した場合でも、何で並べるかで結果は変わります。福岡の病院を「第一志望者数の実数」で並べた場合と、「第一志望者数÷定員」で並べた場合で、上位10病院に共通して入るのは3病院だけでした。以下はいずれも第一志望に選んだ人数の多寡であって、研修の質の順位ではありません。[2],[1]
実数で並べると、定員の大きい病院が上位に来ます。[2],[1]
- 国立病院機構九州医療センター……第一志望39人/定員27人(144%)
- 飯塚病院……31人/17人(182%)
- 聖マリア病院……29人/17人(171%)
- 福岡徳洲会病院……28人/12人(233%)
- 久留米大学病院……24人/38人(63%)
- 福岡大学病院……23人/39人(59%)
- 九州大学病院……22人/58人(38%)
- 北九州総合病院……16人/9人(178%)
- 白十字病院……15人/3人(500%)
- 福岡赤十字病院・浜の町病院……ともに13人/12人(108%・同数で10位)
比で並べると、定員の小さい市中病院が上位に集まります。こちらも定員に対する第一志望者数の比であって、研修の質の順位ではありません。[2],[1]
- 白十字病院……500%(第一志望15人/定員3人)
- 福岡青洲会病院……367%(11人/3人)
- 福岡県済生会二日市病院……300%(6人/2人)
- 国立病院機構福岡東医療センター……250%(10人/4人)
- 福岡徳洲会病院……233%(28人/12人)
- 北九州市立八幡病院……233%(7人/3人)
- 製鉄記念八幡病院……220%(11人/5人)
- 国立病院機構小倉医療センター……200%(8人/4人)
- 飯塚病院……182%(31人/17人)
- 新古賀病院……180%(9人/5人)
両方に入っているのは、飯塚病院・福岡徳洲会病院・白十字病院の3病院だけです。九州大学病院は実数では7位ですが、定員58人に対する比では0.38倍になります。定員が小さいほど比は振れやすくなる点には注意してください。いずれも中間公表時点の断面値による並びで、病院の質を示すものではありません。ランキングの読み方の全体像は研修医マッチングの人気病院ランキングの読み方にまとめています。[2],[1]
この数字は、全国のどのあたりなのか
ここまでは福岡の中だけで並べてきました。実際に志望先を決めるときに効いてくるのは「この数字は全国で見てどのくらいなのか」です。白十字病院の500%という競争の激しさが全国のどのあたりなのか、久留米大学病院の12コースのどれが競争として厳しいのかは、残り1,400件以上のプログラムの分布を知らないと判断できません。候補が増えるほど、全国の分布と突き合わせる手間は増えていきます。
iwor はこの判断のために、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。定義は無料で確認できます。
- マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
- 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
- 穴場度:0〜100。空きやすさ・低倍率・志望者の減少から算出した値。高いほど競争が緩い傾向です
- 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります
この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数・空席は、いずれもこれらの指標の材料そのものです。指標はプログラム単位で算出しているので、久留米大学病院の12コースにもそれぞれ別の値が付きます。福岡の66プログラムをプログラム単位のまま倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりするところまでは、無料プランのまま使えます。PRO なら4指標の数字とマッチ難易度の全国順位まで見られます。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではありません。公表値からの推定であって、合否や受け入れを保証するものでも、個人の合否を予測するものでもありません。主要な研修病院は福岡県の研修病院で一覧にしています(定員と志願者が一定以上の18プログラムなので、定員3人以下の白十字病院・福岡青洲会病院などは入りません)。66プログラム全件はアプリの病院データベースで絞り込めます。
福岡の66プログラムを、合算せずに1つずつ見る。
iwor は医師のためのワークスペースです。プログラム単位のまま、倍率・定員・充足率で並べ替えたり都道府県・区分で絞り込んだりできます。PRO なら選んだ複数院の横並び比較と、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度の数字と、マッチ難易度の全国順位まで見られます。
無料ではじめるこの記事の数字の出どころ
本記事の集計は、医師臨床研修マッチング協議会が公表している2025年度の研修プログラム別マッチ結果(募集定員・マッチ者数・空席数・希望順位登録学生数の確定値)と、中間公表(第一志望者数)に基づいて iwor が独自に行ったものです。集計の単位は公表資料と同じくプログラム単位で、病院単位の数字は同じ病院名のプログラムを足し合わせて算出しました。全国1,026病院という数字も、同じ手順でプログラムを病院名で畳んだものです。なお大学病院と市中病院の区分は公表資料に列として存在しないため、iwor が病院名から分類したものです(大学附属の分院は大学病院に含めています)。[1],[2]
本記事でいう第一志望者数とは、中間公表の前日14時時点で各プログラムを第1位で希望順位登録している参加者数です。中間公表の後も順位登録は変更できるため、最終結果とは一致しません。中間公表の位置づけはマッチングの中間公表とはで解説しています。[2]
よくある質問
福岡の研修病院は結局どこから見ればいいですか
第一志望が集まっている3院から見てください。飯塚病院・福岡徳洲会病院・白十字病院で、いずれも実数と定員比の両方で県内上位です。実数だけなら国立病院機構九州医療センターの総合プログラム(定員20人・第一志望35人)と聖マリア病院も入ります。ここは「同学年が実際にどこを一番に選んだか」であって、研修の質の順位ではありません。ただし候補をゼロから探すよりは早い出発点になります。そのうえで自分の条件(救急の体制、大学か市中か、通勤範囲、診療科の重点)で絞ってください。条件の決め方は研修病院の選び方にまとめています。
同じ病院なら、どのプログラムで出しても同じですか
違います。マッチングはプログラム単位で行われるため、募集定員も順位づけもプログラムごとに独立しています。久留米大学病院のように、同じ病院名の下で第一志望8人のコースと0人のコースが並んでいることがあります。応募要件や研修内容もコースごとに違うので、病院を決めた後にどのプログラムで登録するかは、募集要項で個別に確認してください。[2],[1]
福岡市内で探すべきですか、県全体で探すべきですか
公表データは市区町村別に集計されていないため、この記事では県単位で扱っています。ただし実数・比の両方で上位に入った病院には、北九州市立八幡病院・国立病院機構小倉医療センター(いずれも北九州市)、飯塚病院(飯塚市)、久留米大学病院(久留米市)のように福岡市外のものが並びます。福岡市内だけを見ていると、定員に対して志望が集まっているプログラムを取りこぼす可能性があります。[2],[1]
第一志望者が多いプログラムは避けたほうがいいですか
順位の付け方を変える理由にはなりません。マッチングで使われるアルゴリズムは「耐戦略性」を持つと公表されており、自分の希望どおりの順位で登録することが最良の結果になるとされています。ただし第一志望者が多いプログラムほどその枠の競争は激しくなります。順位表を長くしておくとアンマッチの可能性は下がりますが、なくなるわけではありません。JRMPも、登録数の多いプログラムを希望していて不安な場合は「登録順位の変更」ではなく「登録順位数を増やす」ことを勧めています。順位の付け方はマッチングの希望順位登録を参照してください。[2]
まとめ
候補は、実数でも定員比でも県内上位に入る3院(飯塚・福岡徳洲会・白十字)と、実数最多の国立病院機構九州医療センターから始めてください。そして福岡では、病院を決めたあとにコースを選びます。久留米大学病院の12プログラムは、プログラムを病院名で畳んだ全国1,026病院のなかで最多で、コースごとの第一志望者数は8人から0人まで割れています。順位表に書くのは病院名ではなくプログラムなので、募集要項でコースを1つずつ確かめてから登録してください。[1],[2]
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果」 jrmp2.jp(2026-08-04 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表」 jrmp2.jp(2026-08-04 取得)
- 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2026年度版 研修医マッチングの手引き【6年生用・既卒者用】」 jrmp.jp(2026-08-04 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制