宮城の研修病院はどこを受けるか|第一志望が定員を超えたのは3院、空席52席の6割は2つの大学病院(2025年度)
目次
答えを先に書きます。宮城県で第一志望者数が募集定員を超えたのは、国立病院機構仙台医療センター(第一志望43人/定員23人)・石巻赤十字病院(29人/14人)・仙台市立病院(18人/17人)の3院だけです。候補集めはこの3院から始めるのが早いです。そのうえで宮城には、順位表の下のほうに書いておく枠がはっきりあります。県全体で空いた52席のうち31席は、東北大学病院と東北医科薬科大学病院の枠でした。2つの大学病院の充足率は39.2%です。この記事の数字は第一志望に選んだ人数や登録の状況、マッチした人数といった席の埋まり方の記録であって、研修の質・教育体制の評価ではありません。[1],[2]
候補をどこから集めるか
先に1つ断っておきます。登録する順番は、自分が行きたい順です。順位を戦略的に動かしても有利にならない仕組みなので(マッチングの希望順位登録)、以下は候補の探し方であって、登録する順番の指示ではありません。動かせるのは、採用試験を受けて「行ってもよい」と言えるプログラムを1つでも多く登録することです。
- まず見る……第一志望が定員を超えた3院(仙台医療センター・石巻赤十字・仙台市立)を軸に、自分の条件で絞る
- 次に見る……満員になったが第一志望は定員未満の病院。大崎市民病院・みやぎ県南中核病院・東北労災病院・東北公済病院・仙台厚生病院・登米市立登米市民病院は、いずれも空席0で埋まりました
- 行ってもよいと言える範囲で、登録の数を増やすために足す……2つの大学病院。東北大学病院(3プログラム・定員26人・マッチ9人・空席17席)と東北医科薬科大学病院(3プログラム・定員25人・マッチ11人・空席14席)
空席の出たプログラムを順位表に加えておく意味は、アンマッチの受け皿を持つことです。ただし空席は「受けておけば必ず入れた席」ではありません。病院側は採用試験の結果に基づいて、採用してもよいと考える受験者だけを順位登録するため、空席があるのにアンマッチ、ということも起こりえます。それでも、その席を受け皿にできるのは、採用試験を受けてそこを順位表に書いておいた人だけです。空席が出るかどうかも年によって動きます。仕組みの詳細はマッチングの希望順位登録とマッチングでアンマッチだったらを参照してください。[3]
宮城県全体の数字
2025年度のマッチングで、宮城県には25のプログラムがあり、19の病院に分かれています。募集定員の合計は211人、マッチした人数は159人で、充足率は75.4%でした。全国の充足率(全プログラム合算)が84.6%なので、宮城は全国の水準より席が余る県です。空席は52席、空席が出たプログラムは15件でした。[1]
第一志望者数の合計は149人で、定員211人に対して0.71倍です。全国では0.88倍なので、こちらも下回ります。ただしこの比がそのまま個人の難易度になるわけではありません。誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まります。なお第一志望者数は中間公表時点の断面値で、プログラム別の確定値は公表されません。[2],[1]
52席の空きは、2つの大学病院に集中している
空席52席のうち31席、6割は大学病院の枠です。プログラム別に見ると、空きが大きいのは次の枠でした。[1]
- 東北大学病院……自由選択プログラム 定員20人/マッチ9人/空席11席、小児科・産婦人科プログラム 定員4人/マッチ0人、地域医療重点プログラム 定員2人/マッチ0人。3プログラム計で定員26人に対し空席17席
- 東北医科薬科大学病院……臨床研修プログラムA(標準コース) 定員18人/マッチ10人/空席8席、同B(地域たすき掛けコース) 定員3人/マッチ1人、同C(小児産婦人科コース) 定員4人/マッチ0人。3プログラム計で定員25人に対し空席14席
大学病院と市中病院を分けると、県内の構図がはっきりします。大学病院は6プログラム・定員51人で、第一志望者数は定員の0.18倍、充足率39.2%。市中病院は19プログラム・定員160人で、第一志望者数は定員の0.88倍、充足率86.9%です。第一志望者数やマッチ者数が少ないことは、研修の質や教育体制の評価とは関係がありません。実際、東北大学病院の自由選択プログラムには最終的に31人が希望順位登録しましたが、中間公表時点でここを第一志望に置いていたのは3人でした。志望者がいないのではなく、順位表の2位以下に書かれやすい、という形です。大学病院と市中病院の選び方そのものは大学病院と市中病院どっちで扱っています。[1],[2]
第一志望の人数だけで並べると、宮城の半分は見えない
病院を第一志望者数で並べたランキングは、検索するといくつも出てきます。ただ宮城でそれをやると、県の実像から2つのことが抜け落ちます。
1つ目は、第一志望が少なくても埋まりきる病院があることです。大崎市民病院は第一志望7人に対して定員19人ですが、マッチは19人で満員です。登米市立登米市民病院にいたっては、中間公表時点の第一志望は0人のまま、定員3人がすべて埋まりました。中間公表時点では第1位に登録していなかった人がマッチしたことになります(順位登録は中間公表後も最終締切まで変更できます)。第一志望の人数だけを見て「志望者がいない病院」と読むと外します。[1],[2],[3]
2つ目は、第一志望10人未満の病院を載せないランキングだと、2025年度の宮城は19病院中3病院しか出てこないことです。上で挙げた「満員だが第一志望は定員未満」の6院は、すべて残り16病院の側に入っています。宮城で候補を数字から絞るなら、全19病院を同じ物差しで見る必要があります。ランキングの読み方の全体像は研修医マッチングの人気病院ランキングの読み方にまとめています。[2]
そのうえで、第一志望の実数で県内を並べると次のようになります。いずれも中間公表時点の断面値で、第一志望に選んだ人数の多寡であって、研修の質の順位ではありません。[2]
- 国立病院機構仙台医療センター……第一志望43人/定員23人(187%)※2プログラム合算
- 石巻赤十字病院……29人/14人(207%)
- 仙台市立病院……18人/17人(106%)
- 大崎市民病院……7人/19人(37%・満員)
- みやぎ県南中核病院……7人/10人(70%・満員)
- 東北労災病院……6人/11人(55%・満員)
- 坂総合病院……6人/13人(46%)※2プログラム合算
- 東北医科薬科大学病院……6人/25人(24%)※3プログラム合算
- 東北公済病院……5人/6人(83%・満員)
- 栗原市立栗原中央病院……5人/6人(83%)
定員に対する比で並べ直すと、トップは仙台市内ではなく石巻赤十字病院の207%です。仙台医療センターの187%、仙台市立病院の106%が続き、100%を超えるのはこの3院で終わります。「仙台 研修病院」で市内だけを見ていると、県内で最も第一志望が集中した病院を最初から外すことになります。[2],[1]
この数字は、全国のどのあたりなのか
ここまでは宮城の中だけで並べてきました。実際に志望先を決めるときに効いてくるのは「この数字は全国で見てどのくらいなのか」です。石巻赤十字病院の207%という集中が全国のどのあたりなのか、東北大学病院の17席の空きをどう読むのかは、残り1,400件以上のプログラムの分布と突き合わせて初めて判断できます。
iwor はこの判断のために、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。定義は無料で確認できます。
- マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
- 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
- 穴場度:0〜100。空きやすさ・低倍率・志望者の減少から算出した値。高いほど競争が緩い傾向です
- 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります
この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数・空席は、いずれもこれらの指標の材料の一部です。とくに穴場度は、この記事で扱った空きやすさの話を大きな比重で含む指標です。宮城の25プログラムをプログラム単位のまま倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりするところまでは、無料プランのまま使えます。PRO なら4指標の数字とマッチ難易度の全国順位まで見られます。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではありません。公表値からの推定であって、合否や受け入れを保証するものでも、個人の合否を予測するものでもありません。主要な研修病院は宮城県の研修病院で一覧にしています(定員と志願者が一定以上のプログラムに絞った一覧です)。25プログラム全件はアプリの病院データベースで絞り込めます。
宮城の25プログラムを、合算せずに1つずつ見る。
iwor は医師のためのワークスペースです。プログラム単位のまま、倍率・定員・充足率で並べ替えたり都道府県・区分で絞り込んだりできます。PRO なら選んだ複数院の横並び比較と、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度の数字まで見られます。
無料ではじめるこの記事の数字の出どころ
本記事の集計は、医師臨床研修マッチング協議会が公表している2025年度の研修プログラム別マッチ結果(募集定員・マッチ者数・空席数・希望順位登録学生数の確定値)と、中間公表(第一志望者数)に基づいて iwor が独自に行ったものです。集計の単位は公表資料と同じくプログラム単位で、病院単位の数字は同じ病院名のプログラムを足し合わせて算出しました。大学病院と市中病院の区分は公表資料に列として存在しないため、iwor が病院名から分類したものです。[1],[2]
本記事でいう第一志望者数とは、中間公表の前日14時時点で各プログラムを第1位で希望順位登録している参加者数です。中間公表の後も順位登録は最終締切まで変更できるため、最終結果とは一致しません。中間公表の位置づけはマッチングの中間公表とはで解説しています。[2],[3]
よくある質問
宮城の研修病院は結局どこから見ればいいですか
第一志望が定員を超えた3院(仙台医療センター・石巻赤十字・仙台市立)から見てください。ここは「同学年が実際にどこを一番に選んだか」であって、研修の質の順位ではありませんが、候補をゼロから探すよりは早い出発点になります。そのうえで自分の条件(救急の体制、大学か市中か、通勤範囲、診療科の重点)で絞ってください。条件の決め方は研修病院の選び方にまとめています。
仙台市外の病院はどう見ればいいですか
第一志望の集中の比で見ると、県内トップは石巻赤十字病院(207%)で仙台市外です。大崎市民病院・みやぎ県南中核病院・登米市立登米市民病院も満員で終えています。公表データは市区町村別に集計されていないためこの記事は県単位で扱っていますが、仙台市内だけに絞ると、集中度の高い病院と満員の病院の両方を取りこぼします。所在地は公表資料に含まれないため、市名は各病院の公開情報によります。[1],[2]
宮城は席が余っているから、どこでも入れますか
県として席が余ることと、志望する枠に入れることは別です。空いた52席のうち31席は2つの大学病院に集中する一方、石巻赤十字病院は定員14人に第一志望29人、仙台医療センターは定員23人に43人が集まっています。第1志望に選ばれる病院では競争があり、順位表の2位以下に書かれやすい大学病院に席が残る、という形です(東北大学病院の自由選択プログラムは希望順位登録31人に対し第一志望3人でした)。[1],[2]
第一志望者が0人のプログラムは避けたほうがいいですか
第一志望0は「志望者がいない」という意味ではありません。県内で第一志望0だったのは6プログラムで、そのうち登米市立登米市民病院は定員3人がすべて埋まりました。中間公表時点で第1位に登録していなかった人がマッチしたことになります。逆に、定員の小さい枠を「誰も志望していないから入りやすい」と読み替えるのも危険です。プログラム別に公表されるのは、希望順位登録した学生数の合計と、中間公表時点で第1位に登録した人数までです。2位以下に何人が登録しているかは公表されていません。空席の読み方はマッチングの穴場病院の見つけ方にまとめています。[1],[2]
まとめ
候補は、第一志望が定員を超えた3院(仙台医療センター・石巻赤十字・仙台市立)から始めてください。行ってもよいと言える範囲で、空席が出た枠を順位表の下位に足します。宮城は25プログラム・19病院で、定員211人に対しマッチ159人・充足率75.4%、空席52席のうち31席は東北大学病院と東北医科薬科大学病院でした。満員の病院は9院あり、そのなかには第一志望7人の大崎市民病院や、第一志望0人の登米市立登米市民病院も入っています。第一志望の人数は出発点であって、埋まるかどうかとは別、という県です。[1],[2]
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果」 jrmp2.jp(2026-08-13 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表」 jrmp2.jp(2026-08-13 取得)
- 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2026年度版 研修医マッチングの手引き【6年生用・既卒者用】」 jrmp.jp(2026-08-13 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制