大阪の人気研修病院ランキングの読み方|4件に1件は第一志望0、それでも定員は埋まる(2025年度)
目次
大阪府には120の研修プログラムがあり、2025年度のマッチングで第一志望者数が0だったプログラムは30件、つまり4件に1件でした。それでも大阪府全体で空席が出たプログラムは8件にとどまり、府の充足率は98.2%です。第一志望に選ばれなかったプログラムのほとんどが、下位の順位で登録した人によって埋まっています。ただしこれは「狙い目」という意味ではありません。埋まる理由は下位順位での登録であり、第2位以下で何人が登録したかは公表されないからです。人気ランキングの順位と、席が埋まるかどうかは別のことを測っている、という一例です。実数で最も多いのは大阪市立総合医療センター(第一志望45人)、定員に対する比で最も高いのは和泉市立総合医療センター(4.50倍)でした。この記事では大阪120プログラムを同じ指標で並べ直します。[1],[3]
大阪府全体の数字
まず全体を見ます。大阪府には120のプログラムがあり、募集定員の合計は625人、マッチした人数は614人でした。充足率は98.2%です。全国の充足率が84.6%なので、大阪は全国でもかなり定員が埋まる地域です。[1]
大阪のプログラムを第1位で希望順位登録した人は合計770人で、定員625人に対して1.23倍にあたります。全国では0.88倍です。ただしこの比がそのまま個人の難易度になるわけではありません。誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まります。なお第一志望者数は中間公表時点の断面値で、プログラム別の確定値は公表されません。[3],[1]
第一志望0のプログラムが30件、空席は8件
本題です。大阪の120プログラムのうち、中間公表の時点で第一志望者数が0だったプログラムは30件ありました。この30件の定員を合計すると51人で、実際にマッチしたのは41人です。30件のうち23件は空席ゼロ、つまり定員をすべて埋めています。[1],[3]
第一志望者が1人もいないのに席が埋まるのは、順位登録の仕組みからすると自然なことです。希望順位表には複数のプログラムを並べるので、第2位・第3位に書かれたプログラムにも人は入ります。第一志望者数は「そこを一番に書いた人の数」であって、「そこに入りたい人の総数」ではありません。
この30件には共通した特徴があります。定員が1人のプログラムが18件、2人が9件で、大半が定員1〜2人の小さな枠です。30件のうち18件は、名称に「広域連携」を含むプログラムでした。定員が小さいほど、第一志望者数は0にも大きな比にも振れやすくなります。[3],[1]
ここで注意したいのは、これを「狙い目」と読み替えないことです。定員1人の枠に何人が下位順位で登録しているかは公表されていません。重点コースは応募要件が限定されている場合もあるので、募集要項で個別に確認してください。実際、この30件のうち7件では空席が出ています。空席の読み方はマッチングの穴場病院の見つけ方にまとめています。[1]
大学病院と市中病院で3倍以上の開き
大阪全体の1.23倍という数字は、大学病院と市中病院を混ぜた平均です。分けて見ると、開きはかなり大きくなります。[1],[3]
大学病院では、定員に対して第一志望者数がおよそ半分です。たとえば大阪公立大学医学部附属病院は定員63人に対して第一志望者数25人(0.40倍)、大阪医科薬科大学病院は定員54人に対して37人(0.69倍)でした。一方で市中病院は定員364人に対して第一志望者数がその1.76倍です。[3],[1]
これは大学病院の人気がないという意味ではありません。全国の集計では、第1希望でマッチした5,403人のうち大学病院は28.3%(1,531人)ですが、第4希望以下でマッチした1,095人では大学病院が65.0%(712人)を占めます。大学病院は志望順位の下位に登録されやすい、ということです。実際、大阪の大学病院の充足率は98.5%で、席自体はほぼ埋まっています。比の低さは研修の質や教育体制とは関係がありません。大学病院と市中病院の違いそのものは研修病院の選び方で扱っています。[2],[1]
病院単位の表とプログラム単位の実態
ランキング表は病院名で1行にまとめられていることがほとんどですが、希望順位を登録する単位はプログラムです。大阪は70病院に対して120プログラムがあり、35病院、つまり半数が複数のプログラムを持っています。[1]
たとえば医学研究所北野病院は、定員を合計すると11人、第一志望者数を合計すると29人で、比は2.64倍になります。内訳は次のとおりです。[3],[1]
- 外科系プログラム……定員3人/第一志望12人(4.00倍)
- 総合プログラム……定員4人/第一志望12人(3.00倍)
- 小児科・産婦人科プログラム……定員3人/第一志望4人(1.33倍)
- 広域連携型プログラム……定員1人/第一志望1人(1.00倍)
同じことが他の病院でも起きています。淀川キリスト教病院は合算2.00倍ですが、総合研修プログラムが2.14倍、小児重点広域連携型プログラム(定員1人)は第一志望者0です。定員1人の枠で第一志望0は珍しくなく、多くは下位順位の登録で埋まります。大阪赤十字病院は合算3.27倍で、卒後臨床研修プログラムが3.20倍、広域連携型が4.00倍。和泉市立総合医療センターは合算4.50倍で、内訳は本体のプログラムが5.67倍、広域連携型が1.00倍でした。[3],[1]
登録の単位はプログラムなので、同じ病院でも希望する順に一つずつ並べます。募集定員も順位づけもプログラムごとに独立しているためです。同じ手法で東京を見た記事が東京の研修病院ランキングの見方にあります。東京は複数プログラムを持つ病院の割合が大阪より低い一方、大学病院の定員が全体の6割を占めるという別の偏りがあります。[1]
並べ方を変えても、大阪は顔ぶれがあまり変わらない
大阪の病院を「第一志望者数の実数」で並べた場合と、「第一志望者数÷定員」で並べた場合で、上位10病院に共通して入るのは5〜6病院でした(比の10位が同率なので幅が出ます)。同じことを東京都で行うと3病院、関東1都6県では4病院といずれも一意に決まるので、大阪は2つの並べ方がやや近い地域です。[3],[1]
実数で並べた上位10病院は次のとおりです。以下はいずれも第一志望に選んだ人数の多寡であって、研修の質の順位ではありません。[3],[1]
- 大阪市立総合医療センター……第一志望45人/定員18人(250%)
- 大阪医科薬科大学病院……37人/54人(69%)
- 大阪赤十字病院……36人/11人(327%)
- 国立病院機構大阪医療センター……34人/12人(283%)
- 大阪急性期・総合医療センター……34人/18人(189%)
- 市立豊中病院……32人/11人(291%)
- 大阪警察病院……32人/13人(246%)
- 淀川キリスト教病院……30人/15人(200%)
- 医学研究所北野病院……29人/11人(264%)
- 高槻病院……26人/10人(260%)
比で並べた上位9病院は次のとおりです。10位は250%ちょうどで4病院が並ぶため、同率のない9位までを載せます。こちらも定員に対する第一志望者数の比であって、研修の質の順位ではありません。[3],[1]
- 和泉市立総合医療センター……450%(第一志望18人/定員4人)
- 大阪赤十字病院……327%(36人/11人)
- ベルランド総合病院……314%(22人/7人)
- なにわ生野病院……300%(6人/2人)
- 市立豊中病院……291%(32人/11人)
- 国立病院機構大阪医療センター……283%(34人/12人)
- 医学研究所北野病院……264%(29人/11人)
- 高槻病院……260%(26人/10人)
- 市立東大阪医療センター……257%(18人/7人)
両方に入っているのは、大阪赤十字病院・市立豊中病院・国立病院機構大阪医療センター・医学研究所北野病院・高槻病院の5病院です。ただし250%で並ぶ4病院のうち大阪市立総合医療センターは実数1位なので、同率をどこまで含めるかで6病院にもなります。比の上位に来る和泉市立総合医療センター・なにわ生野病院は定員2〜4人で、比は高く出ますが実数では上位に入りません。実数で2位の大阪医科薬科大学病院は、比では0.69倍になります。定員が大きいほど実数は伸び、定員が小さいほど比は振れやすくなります。いずれも中間公表時点の断面値による並びで、病院の質を示すものではありません。[3],[1]
大阪で2つの並べ方が比較的近くなるのは、大学病院のプログラムが23件と少なく、定員の大きい枠がランキングを押し上げる度合いが小さいためです。近畿2府4県での比較は関西の人気研修病院はどこか、ランキングの読み方の全体像は研修医マッチングの人気病院ランキングの読み方で扱っています。
この数字は、全国のどのあたりなのか
ここまでは大阪の中だけで並べてきました。実際に志望先を決めるときに効いてくるのは「この数字は全国で見てどのくらいなのか」です。ベルランド総合病院の314%が高いのか、大阪公立大学の0.40倍が低いのかは、残り1,300件以上のプログラムの分布を知らないと判断できません。候補が増えるほど、全国の分布と突き合わせる手間は増えていきます。
iwor はこの判断のために、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。定義は無料で確認できます。
- マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
- 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
- 穴場度:0〜100。空きやすさ・低倍率・志望者の減少から算出した値。高いほど競争が緩い傾向です
- 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります
この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数は、いずれもこれらの指標の材料そのものです。大阪の120プログラムをプログラム単位のまま倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりするところまでは、無料プランのまま使えます。PRO なら4指標の数字とマッチ難易度の全国順位まで見られます。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではありません。公表値からの推定であって、合否や受け入れを保証するものでも、個人の合否を予測するものでもありません。主要な研修病院は大阪府の研修病院で一覧にしています(募集規模の大きい42プログラム)。120プログラム全件はアプリの病院データベースで絞り込めます。
大阪の120プログラムを、合算せずに1つずつ見る。
iwor は医師のためのワークスペースです。プログラム単位のまま、倍率・定員・充足率で並べ替えたり都道府県・区分で絞り込んだりできます。PRO なら選んだ複数院の横並び比較と、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度の数字と、マッチ難易度の全国順位まで見られます。
無料ではじめるこの記事の数字の出どころ
本記事の集計は、医師臨床研修マッチング協議会が公表している2025年度の研修プログラム別マッチ結果(募集定員・マッチ者数・空席数・希望順位登録学生数の確定値)と、中間公表(第一志望者数)に基づいて iwor が独自に行ったものです。集計の単位は公表資料と同じくプログラム単位で、病院単位の数字は同じ病院名のプログラムを足し合わせて算出しました。[1],[3]
本記事でいう第一志望者数とは、中間公表の前日14時時点で各プログラムを第1位で希望順位登録している参加者数です。2025年度の中間公表では、参加登録者9,902人のうち9,284人が登録を済ませた時点の集計でした。中間公表の後も順位登録は変更できるため、最終結果とは一致しません。中間公表の位置づけはマッチングの中間公表とはで解説しています。[3]
1点、集計上の注意があります。公表資料の「当該プログラムを希望順位登録した学生数」は合算していません。1人の学生が複数のプログラムに順位登録するため、足し合わせると同じ人を何度も数えることになるからです。なお公表資料の注記のとおり、この列は採用試験を受けに来た人数でも、病院側が登録した人数でもありません。第一志望者数は1人につき1プログラムなので、合算して比較できます。
よくある質問
大阪の研修病院は結局どこが人気ですか
何を人気と呼ぶかで答えが変わります。第一志望者数の実数で見れば大阪市立総合医療センターが最も多く(45人)、定員に対する比で見れば和泉市立総合医療センターが最も高くなります(定員4人に第一志望18人=4.50倍)。ただし定員が小さいほど比は振れやすくなります。どちらの数字も「そこを一番に書いた人が何人いたか」を測っているだけで、病院の質や自分との相性を示すものではありません。条件の決め方は研修病院の選び方にまとめています。[3]
大阪は他の地域より受かりにくいですか
大阪の充足率98.2%は全国の84.6%を大きく上回り、第一志望者数も定員の1.23倍(全国0.88倍)です。地域として席が埋まりやすいのは確かです。ただし府内でも大学病院は0.49倍、市中病院は1.76倍と分かれるので、地域単位で難易度を判断するより志望するプログラム単位で見てください。[1],[3]
第一志望者数が0のプログラムに出せば入りやすいですか
そうとは限りません。公表されているのは第一志望者数までで、第2位以下で何人がそのプログラムを登録しているかは分かりません。大阪では第一志望者0の30件のうち23件が定員を埋めており、残り7件では空席が出ました。また定員1〜2人の枠が大半で、応募要件はプログラムごとに違います。募集要項で個別に確認してください。[1],[3]
まとめ
大阪府には120プログラム・70病院があり、定員625人に対しマッチ614人・充足率98.2%、第一志望者数770人は定員の1.23倍でした。第一志望者0のプログラムは30件ありましたが、そのうち23件は定員を埋めています。人気ランキングの順位は「そこを一番に書いた人の数」であって、席の埋まりやすさとは別の数字です。また大学病院0.49倍・市中病院1.76倍という開きがあり、70病院のうち35病院は複数プログラムを持っています。ランキングを見るときは、それが実数か比か、病院単位かプログラム単位か、大学病院を含むかどうかを先に確かめてください。[1],[3]
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果」 jrmp2.jp(2026-08-03 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修医マッチングの結果(表3 希望順位ごとのマッチ者数/表5 臨床研修病院・大学病院別の順位とマッチ結果)」 jrmp2.jp(2026-08-03 取得)
- 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表」 jrmp2.jp(2026-08-03 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制