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マッチング

東京の研修病院はどこを受けるか|第一志望が多い3院と、同じ病院でも中身が違うプログラム(2025年度)

iwor 編集部14分で読めます
目次

答えを先に書きます。東京で第一志望者数の実数でも定員に対する比でも上位に入るのは、虎の門病院・武蔵野赤十字病院・東京都立墨東病院の3院です。第一志望者数の実数で並べても、定員に対する比で並べても、この3院が上位10に入ります。候補集めはここから始めるのが早いです。ただし東京には、他の道府県より1工程多い作業があります。91病院のうち26病院が複数のプログラムを持つため、病院を決めた後にどのプログラムで登録するかを選ぶ必要があるということです。実際、虎の門病院の4プログラムは第一志望37人のコースから0人のコースまで分かれていました。病院名だけを見て決めると、まったく違う枠に出すことになります。[1],[3]

候補をどこから集めるか

先に1つ断っておきます。登録する順番は、自分が行きたい順です。順位を戦略的に動かしても有利にならない仕組みなので(マッチングの希望順位登録)、以下は候補の探し方であって、登録する順番の指示ではありません。順位を実際の志望と違う順に付け替えても、有利にはなりません。動かせるのは、採用試験を受けて「行ってもよい」と言えるプログラムを1つでも多く登録することです。

  • まず見る……第一志望が集まっている3院(虎の門・武蔵野赤十字・東京都立墨東)を軸に、自分の条件で絞る。ただし登録するのは病院ではなくプログラムなので、同じ病院の中のどのコースかまで決める
  • 次に見る……実数では上位だが比では2倍前後の病院(順天堂大学医学部附属順天堂医院・国立国際医療センター・聖路加国際病院など)
  • 登録の数を増やすために足す……大学病院の大きなプログラム。東京の大学病院は定員738人(都全体の6割)で、第一志望者数は定員の0.70倍にとどまる一方、充足率は95.4%
[3],[1]

東京は充足率97.0%・空席37席で、席が埋まる都です。「空席の出た枠を登録先に足す」という手は他の道府県ほど使えません。代わりに効くのが大学病院の大きなプログラムで、第一志望者数が定員を下回るのにほぼ埋まる、という形でデータに現れます。全国では第4希望以下でマッチした人の65.0%が大学病院でした。順位表の作り方そのものはマッチングの希望順位登録を参照してください。以下、順に数字で示します。[2],[1],[3]

東京都全体の数字

まず全体を見ます。2025年度のマッチングで、東京都には166のプログラムがあり、募集定員の合計は1,218人、マッチした人数は1,181人でした。充足率は97.0%です。全国の充足率が84.6%なので、東京は定員が埋まりやすい地域です。[1]

もう一つの指標が第一志望者数です。東京のプログラムを第1位で希望順位登録した人は合計1,395人で、定員1,218人に対して1.15倍にあたります。全国では0.88倍ですから、東京は定員に対して第一志望が上回っている数少ない地域です。ただしこの比がそのまま個人の難易度になるわけではありません。誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まります。なお第一志望者数は中間公表時点の断面値で、プログラム別の確定値は公表されません。[3],[1]

「東京は激戦」は、主に市中病院の話

東京全体で1.15倍という数字は、大学病院と市中病院を混ぜた平均です。分けて見ると、様子がかなり変わります。[1],[3]

  • 大学病院……74プログラム/定員738人/第一志望者数は定員の0.70倍
  • 市中病院……92プログラム/定員480人/第一志望者数は定員の1.83倍
[1],[3]

東京の定員1,218人のうち738人、つまり6割は大学病院の枠です。その大学病院では第一志望者数が定員を下回っています。一方で市中病院は定員480人に対して第一志望者数がその1.83倍です。「東京は激戦」という言い方で普通に想像されているのは、この市中病院側の状況でしょう。[1],[3]

これは大学病院の人気がないという意味ではありません。全国の集計では、第1希望でマッチした5,403人のうち大学病院は28.3%(1,531人)ですが、第4希望以下でマッチした1,095人では大学病院が65.0%(712人)を占めます。大学病院は志望順位の下位に登録されやすい、ということです。実際、東京の大学病院の充足率は95.4%で、席自体はほぼ埋まっています。測っているものが違うだけです。大学病院と市中病院の違いそのものは研修病院の選び方で扱っています。[2],[1]

病院単位の合算が隠しているもの

ここが本題です。ランキング表は病院名で1行にまとめられていることがほとんどですが、順位登録はプログラム単位です。同じ病院の中に、性格の違うプログラムが並んでいます。[3]

たとえば虎の門病院は、定員を合計すると21人、第一志望者数を合計すると72人で、比は3.43倍になります。病院単位の表ではこの1行だけが載ります。ところが内訳は次のとおりです。[3],[1]

  • 外科系プログラム……定員6人/第一志望37人(6.17倍)
  • 内科系プログラム……定員11人/第一志望33人(3.00倍)
  • 産婦人科重点コース……定員2人/第一志望2人(1.00倍)
  • 小児科重点コース……定員2人/第一志望0人(0倍)。マッチしたのは1人で、空席が1つ出ました。ただし2024年度は6人・2023年度は4人が第一志望に選んでいます
[3],[1]

同じ病院の中で、6.17倍のプログラムと第一志望者0のプログラムが同居しています。合算した3.43倍という数字は、どちらの実感とも合いません。同じことが他の病院でも起きています(以下は主なプログラムの抜粋で、全プログラムではありません)。[3],[1]

  • 聖路加国際病院……合算1.77倍。小児科3.00倍/外科系2.11倍/内科系1.33倍/産婦人科1.00倍
  • 国立国際医療センター……合算1.70倍。総合診療科3.50倍/救急科2.00倍/内科系1.25倍
  • 東京大学医学部附属病院……合算0.51倍。広域連携型0.62倍/Bプログラム0.59倍/Aプログラム0.45倍/産婦人科重点0倍
  • 慶應義塾大学病院……合算0.69倍。小児科1.50倍/大学一貫1.15倍/地域-大学0.50倍
[3],[1]

後半2件のように大学病院の比が低く出るのは、併願先として順位表の下位に登録されやすいためで、研修の質や教育体制とは関係がありません。

第一志望者が0になるのは、定員の小さい枠に集中しています。東京166プログラムのうち第一志望者数が0だったプログラムは24件で、そのすべてが定員6人以下、23件は定員4人以下でした。内訳は、名称に「広域連携」を含むものが8件、小児科・産婦人科系のコースが9件、残る7件がその他でした。空席が出たプログラムも24件あり、そのうち10件は第一志望0のプログラムと重なります。東京全体の充足率97.0%という数字の裏側で、こうしたプログラムが一定数あります。[1],[3]

ここで注意したいのは、第一志望者が少ないプログラムを「狙い目」と読み替えないことです。定員が2人しかない枠に何人が下位順位で登録しているかは公表されていません。応募要件はプログラムごとに違うので、募集要項で個別に確認してください。空席の読み方はマッチングの穴場病院の見つけ方にまとめています。

ランキングは、何で並べるかで顔ぶれが変わる

病院単位で集計した場合でも、何で並べるかで結果は変わります。東京の病院を「第一志望者数の実数」で並べた場合と、「第一志望者数÷定員」で並べた場合で、上位10病院に共通して入るのは3病院だけでした。[3],[1]

実数で並べると、定員の大きい病院が上位に来ます。東京の第一志望者数の上位10病院は次のとおりです。以下はいずれも第一志望に選んだ人数の多寡であって、研修の質の順位ではありません。[3],[1]

  • 虎の門病院……第一志望72人/定員21人(343%)
  • 順天堂大学医学部附属順天堂医院……70人/41人(171%)
  • 武蔵野赤十字病院……60人/10人(600%)
  • 国立国際医療センター……51人/30人(170%)
  • 東京大学医学部附属病院……48人/95人(51%)
  • 東京科学大学病院……46人/94人(49%)
  • 国立病院機構東京医療センター……43人/24人(179%)
  • 東京都立墨東病院……42人/14人(300%)
  • 聖路加国際病院……39人/22人(177%)
  • 順天堂大学医学部附属練馬病院……36人/34人(106%)
[3],[1]

比で並べると、定員の小さい市中病院が上位に集まります。こちらも定員に対する第一志望者数の比であって、研修の質の順位ではありません。[3],[1]

  • 武蔵野赤十字病院……600%(第一志望60人/定員10人)
  • 虎の門病院……343%(72人/21人)
  • 東京都立広尾病院……317%(19人/6人)
  • 東京都立豊島病院……317%(19人/6人)
  • 東京都立墨東病院……300%(42人/14人)
  • 東京都済生会中央病院……282%(31人/11人)
  • 立川病院……260%(13人/5人)
  • 東京逓信病院……255%(28人/11人)
  • 東京警察病院……250%(20人/8人)
  • 河北総合病院……245%(27人/11人)
[3],[1]

両方に入っているのは、虎の門病院・武蔵野赤十字病院・東京都立墨東病院の3病院です。東京大学は実数では5位ですが、定員95人に対する比では0.51倍になります。定員が小さいほど比は振れやすくなる点には注意してください。いずれも中間公表時点の断面値による並びで、病院の質を示すものではありません。[3],[1]

つまりランキングを見るときは、それが実数の順位なのか、定員に対する比の順位なのか、そして病院単位なのかプログラム単位なのかを先に確かめる必要があります。この考え方の全体像は研修医マッチングの人気病院ランキングの読み方、関東1都6県の比較は関東の人気研修病院はどこか、隣県の内訳は神奈川の研修病院ランキングの見方で扱っています。

この数字は、全国のどのあたりなのか

ここまでは東京の中だけで並べてきました。実際に志望先を決めるときに効いてくるのは「この数字は全国で見てどのくらいなのか」です。東京都立墨東病院の300%が高いのか、東京大学の0.51倍が低いのかは、残り1,300件以上のプログラムの分布を知らないと判断できません。候補が増えるほど、全国の分布と突き合わせる手間は増えていきます。

iwor はこの判断のために、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。定義は無料で確認できます。

  • マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
  • 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
  • 穴場度:0〜100。空きやすさ・低倍率・志望者の減少から算出した値。高いほど競争が緩い傾向です
  • 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります

この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数は、いずれもこれらの指標の材料そのものです。東京の166プログラムをプログラム単位のまま倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりするところまでは、無料プランのまま使えます。PRO なら4指標の数字とマッチ難易度の全国順位まで見られます。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではありません。公表値からの推定であって、合否や受け入れを保証するものでも、個人の合否を予測するものでもありません。主要な研修病院は東京都の研修病院で一覧にしています(定員と志願者が一定以上の86プログラム)。166プログラム全件はアプリの病院データベースで絞り込めます。

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この記事の数字の出どころ

本記事の集計は、医師臨床研修マッチング協議会が公表している2025年度の研修プログラム別マッチ結果(募集定員・マッチ者数・空席数・希望順位登録学生数の確定値)と、中間公表(第一志望者数)に基づいて iwor が独自に行ったものです。集計の単位は公表資料と同じくプログラム単位で、病院単位の数字は同じ病院名のプログラムを足し合わせて算出しました。[1],[3]

本記事でいう第一志望者数とは、中間公表の前日14時時点で各プログラムを第1位で希望順位登録している参加者数です。2025年度の中間公表では、参加登録者9,902人のうち9,284人が登録を済ませた時点の集計でした。中間公表の後も順位登録は変更できるため、最終結果とは一致しません。中間公表の位置づけはマッチングの中間公表とはで解説しています。[3]

1点、集計上の注意があります。公表資料の「当該プログラムを希望順位登録した学生数」は合算していません。1人の学生が複数のプログラムに順位登録するため、足し合わせると同じ人を何度も数えることになるからです。なお公表資料の注記のとおり、この列は採用試験を受けに来た人数でも、病院側が登録した人数でもありません。第一志望者数は1人につき1プログラムなので、合算して比較できます。

よくある質問

東京の研修病院は結局どこから見ればいいですか

第一志望が集まっている3院から見てください。虎の門病院・武蔵野赤十字病院・東京都立墨東病院で、いずれも実数と定員比の両方で都内上位です。実数だけなら順天堂大学医学部附属順天堂医院・国立国際医療センター・聖路加国際病院も入ります。ここは「同学年が実際にどこを一番に選んだか」であって、研修の質の順位ではありません。ただし候補をゼロから探すよりは早い出発点になります。そのうえで自分の条件(救急の体制、大学か市中か、通勤範囲、診療科の重点)で絞ってください。条件の決め方は研修病院の選び方にまとめています。

同じ病院なら、どのプログラムで出しても同じですか

違います。マッチングはプログラム単位で行われるため、募集定員も順位づけもプログラムごとに独立しています。虎の門病院のように、同じ病院の中で第一志望者数が6.17倍のプログラムと0のプログラムが並んでいることがあります。応募要件や研修内容もプログラムごとに違うので、病院を決めた後にどのプログラムで登録するかは、募集要項で個別に確認してください。[3]

第一志望者数が多い病院は避けたほうがいいですか

順位の付け方を変える理由にはなりません。マッチングで使われるアルゴリズムは「耐戦略性」を持つと公表されており、自分の希望どおりの順位で登録することが最良の結果になるとされています。志望順を実際の志望と変える必要はありません。ただし第一志望者が多いプログラムほどその枠の競争は激しくなります。順位表を長くしておくとアンマッチの可能性は下がりますが、なくなるわけではありません。JRMPも、登録数の多いプログラムを希望していて不安な場合は「登録順位の変更」ではなく「登録順位数を増やす」ことを勧めています。順位の付け方はマッチングの希望順位登録を参照してください。[3]

まとめ

候補は、実数でも定員比でも都内上位に入る3院(虎の門・武蔵野赤十字・東京都立墨東)から始めてください。行ってもよいと言える範囲で、大学病院の大きなプログラムも登録しておきます。東京は充足率97.0%・空席37席と席が埋まる都で、空いた枠を受け皿にする手が使いにくいためです。そして登録するのは病院ではなくプログラムです。26の病院が複数のプログラムを持ち、虎の門病院では同じ病院の中で6.17倍のコースと第一志望0のコースが並んでいました。病院名で1行にまとまった表を見たら、その1行がいくつのプログラムを畳んだものかを必ず確かめてください。[1],[3]

出典

  1. 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)令和7年度 研修プログラム別マッチ結果 jrmp2.jp2026-08-03 取得)
  2. 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)令和7年度 研修医マッチングの結果(表3 希望順位ごとのマッチ者数/表5 臨床研修病院・大学病院別の順位とマッチ結果) jrmp2.jp2026-08-03 取得)
  3. 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表 jrmp2.jp2026-08-03 取得)

本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制

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