関西の人気研修病院はどこか|近畿2府4県を同じ指標で並べ直す(2025年度マッチング)
目次
第一志望に選んだ人数(中間公表時点)で見ると、2025年度に近畿で最も多かったのは大阪市立総合医療センターで、定員18人に対して45人でした。マッチ者数では京都大学医学部附属病院の72人が最多ですが、この並びは主に定員の大きさを表します。[2],[1]
定員が大きい病院ほどマッチ者数も大きくなるため、マッチ者数の順位は規模の順位に近づきます。何人がそこを第一志望に選んだかは別の数字で、両者はずれます。
近畿全体の位置づけ
まず地域全体の輪郭です。2025年度のマッチングで、近畿2府4県には245のプログラムがあり、募集定員の合計は1,631人、実際にマッチした人数は1,557人でした。充足率は95.5%です。全国の充足率が84.6%であることを踏まえると、近畿は定員がほぼ埋まる地域です。[1]
もう一つの指標が第一志望者数です。近畿のプログラムを第一志望に選んだ人は合計1,683人で、定員1,631人に対して1.03倍にあたります。全国では0.88倍ですから、近畿は「定員より第一志望者のほうが多い」数少ない地域です。
府県ごとに、はっきり差がある
近畿でひとくくりにすると見えなくなりますが、府県の間には大きな開きがあります。定員・マッチ者数・充足率・第一志望者数を同じ形で並べると次のようになります。
- 大阪府……120プログラム/定員625・マッチ614・充足98.2%/第一志望770人(定員の1.23倍)
- 兵庫県……51プログラム/定員397・マッチ386・充足97.2%/第一志望424人(定員の1.07倍)
- 滋賀県……16プログラム/定員122・マッチ110・充足90.2%/第一志望114人(定員の0.93倍)
- 京都府……34プログラム/定員248・マッチ243・充足98.0%/第一志望223人(定員の0.90倍)
- 奈良県……13プログラム/定員122・マッチ119・充足97.5%/第一志望88人(定員の0.72倍)
- 和歌山県……11プログラム/定員117・マッチ85・充足72.6%/第一志望64人(定員の0.55倍)
府県別で最も規模が大きいのは大阪府です。大阪の120プログラムをさらに分解した記事が大阪の人気研修病院ランキングの読み方にあります。大阪では第一志望者数が0だったプログラムが30件ある一方、空席が出たのは8件でした。[1],[2]
次に規模の大きい兵庫県の51プログラムは兵庫の研修病院はどこを受けるかにあります。京都府の34プログラムは京都の研修病院はどこを受けるかで分解しています。
京都府は充足率と第一志望者数の差が大きい
この表で目を引くのが京都府です。充足率は98.0%で大阪と並ぶ高さなのに、第一志望者数は定員の0.90倍です。定員は埋まっているが、第一志望者の数は定員を下回る、という組み合わせになっています。充足率だけを見て混雑の度合いを判断すると、この差は見えません。[1],[2]
和歌山県は充足率が近畿で最も低い
和歌山県は充足率72.6%、第一志望者数は定員の0.55倍で、いずれも近畿で最も低い水準です。全国のプログラムを合算した84.6%も下回っています。
マッチ者数ランキングが人気ランキングにならない理由
マッチ者数は、その病院が何人採ったかを表す数字です。定員が大きい病院ほど大きくなるので、実質的には規模の順位になります。なお以下の順位はすべて病院単位です。1つの病院が複数の研修プログラムを持つことがあり、近畿では245プログラムが165病院に属します。
- 1位 京都大学医学部附属病院……マッチ72人/定員72人/第一志望37人
- 2位 京都府立医科大学附属病院……マッチ63人/定員63人/第一志望34人
- 2位 神戸大学医学部附属病院……マッチ63人/定員64人/第一志望22人
- 4位 大阪公立大学医学部附属病院……マッチ61人/定員63人/第一志望25人
- 5位 大阪大学医学部附属病院……マッチ57人/定員58人/第一志望14人
近畿のマッチ者数上位10病院は、いずれも大学病院でした。定員が大きいほど上位に来る指標なので、これは自然な結果です。一方で第一志望者数を見ると、同じ上位の中でも12人から43人まで幅があります。大学病院の第一志望者数は、その大学の学生の進路選択や地域の事情といった構造的な要因に左右されるため、市中病院の数字とは別に見ます。
第一志望者数で並べ替えると、顔ぶれが変わります。
- 1位 大阪市立総合医療センター……第一志望45人/定員18人(比2.50)
- 2位 和歌山県立医科大学附属病院……第一志望43人/定員74人(比0.58)
- 3位 京都大学医学部附属病院……第一志望37人/定員72人(比0.51)
- 3位 大阪医科薬科大学病院……第一志望37人/定員54人(比0.69)
- 3位 神戸市立医療センター中央市民病院……第一志望37人/定員15人(比2.47)
顔ぶれは重なりますが、並び方も、数字の意味も変わります。和歌山県立医科大学附属病院と京都大学医学部附属病院は、第一志望の実数では上位です。定員がそれぞれ74人・72人と大きいため、定員に対する比は0.58倍・0.51倍です。逆に大阪市立総合医療センターは定員18人に対して第一志望45人で、比にすると2.50倍になります。実数と比は別の話です。ただしこれは「第一志望のまま入れる割合」ではありません。[2],[1]
実際に誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まるからです。ランキングの読み方そのものは研修病院の人気ランキングをどう読むかで詳しく整理しています。
定員に対する比で並べると、上位は定員の小さい市中病院に集まります。定員が小さいほど比は振れやすいので、ここでは定員5人以上に絞ります。比が高いのは5つです。京都桂病院は第一志望18人/定員5人で3.60倍、大阪赤十字病院は36人/11人で3.27倍、ベルランド総合病院は22人/7人で3.14倍。市立豊中病院は32人/11人で2.91倍、国立病院機構大阪医療センターは34人/12人で2.83倍です。
「関西の倍率」という数字は作れない
志願者数を府県や地域で足し合わせても、倍率にはなりません。公表されている志願者数は「当該プログラムを希望順位登録した学生数」であり、1人の学生が複数のプログラムを登録します。したがって府県ごとに志願者数を足し上げると、同じ学生を何度も数えます。近畿の志願者数を合計して定員で割れば見かけ上は大きな倍率が出ますが、その数字は何も意味しません。[1]
一方、第一志望は1人につき1つです。だから第一志望者数は足し上げても二重に数えられません。第一志望者数なら、地域や府県を横に並べて比べられます。プログラム単位であれば志願者数を定員で割った倍率にも意味がありますが、その場合も「第一志望で選ばれているか」とは別の話として読んでください。
この数字を自分の選択にどう使うか
順番としては、まず条件で候補を絞り、その後に数字を見るのが実務的です。府県をまたいで検討している場合に、大阪と和歌山では前提が違うという点は押さえておく価値がありますが、最終的な順位づけは自分の条件と優先順位で決めてください。
なお、ここで扱っているのは定員と人数だけです。研修の中身、当直の体制、給与や住宅の条件は、この数字からは何も分かりません。数字は候補を絞る道具であって、選ぶ理由そのものにはなりません。病院の探し方の全体像は研修病院の選び方にあります。見学から面接までの流れはマッチングのスケジュールにまとめています。
「比2.50倍」は、全国のどのあたりなのか
ここまでは近畿の中だけで並べてきましたが、2.50倍が高いのか低いのかは全国と並べないと分かりません。大阪市立総合医療センターの2.50倍が全国のどのあたりかは、マッチ難易度の全国順位で出ます。候補が増えるほど、その突き合わせに手間がかかります。
iwor は、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。
- マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
- 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
- 穴場度:0〜100。空きやすさ(空席・低充足)と低倍率を主に、志望者の減少傾向を加味した値です
- 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります
この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数は、いずれもこれらの指標の材料そのものです。近畿の245プログラムを倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりできます。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではありません。公表値からの推定であって、合否や受け入れを保証するものでも、個人の合否を予測するものでもありません。
指標の設計思想は研修病院の人気ランキングをどう読むかにあります。空席の読み方はマッチングの穴場はどこかで扱っています。同じ集計を関東1都6県で行ったものは関東の人気研修病院はどこかにあります。
iwor なら、近畿の245プログラムを全国の分布のなかに置き直せます。
iwor は医師のためのワークスペースです。倍率・定員・充足率で並べ替え、都道府県・区分で絞り込めます。マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度の数字と、マッチ難易度の全国順位まで見られます。
無料ではじめるよくある質問
関西で一番人気の研修病院はどこですか?
第一志望に選んだ人数では、2025年度は大阪市立総合医療センターが近畿で最多でした。定員18人に第一志望45人です。マッチ者数では京都大学医学部附属病院の72人が最多です。
関西の研修病院は入りにくいですか?
近畿全体では第一志望者数が定員の1.03倍で、全国の0.88倍より高い水準です。地域としては希望者が多いほうです。ただし府県差が大きく、大阪は1.23倍、和歌山は0.55倍です。「関西だから」ではなく、府県と病院の単位で見てください。
大学病院と市中病院はどちらが人気ですか?
近畿ではマッチ者数の上位10病院がいずれも大学病院で、定員の大きさを反映しています。定員に対する第一志望者数の比が高いのは、定員の小さい市中病院です。
この数字はいつのものですか?
2025年度のマッチング結果です。定員・マッチ者数は確定値、第一志望者数は中間公表時点の断面値です。プログラム別の第一志望者数は最終公表されません。翌年度の結果が公表され次第、更新します。
まとめ
近畿2府4県は245プログラム・定員1,631人で、充足率95.5%・第一志望者数は定員の1.03倍。全国は充足率84.6%・0.88倍なので、希望者の多い地域です。大阪1.23倍から和歌山0.55倍まで府県差が大きく、京都のように充足率は高いのに第一志望者数が定員を下回る府県もあります。
そしてマッチ者数の順位は規模の順位であって人気の順位ではありません。地域単位の倍率は志願者数の二重計上になるため計算できないので、比べるなら第一志望者数と定員の比を使ってください。ランキングの読み方は研修病院の人気ランキングをどう読むかにまとめています。
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果」 jrmp2.jp(2026-07-05 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表」 jrmp2.jp(2026-07-05 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制