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マッチング

神奈川の研修病院はどこを受けるか|第一志望が多い5院と、空きが18席しかない県での選び方(2025年度)

iwor 編集部13分で読めます
目次

答えを先に書きます。神奈川で第一志望者数の実数でも定員に対する比でも上位に入るのは、川崎市立川崎病院・横浜労災病院・関東労災病院・新百合ヶ丘総合病院・横浜市立みなと赤十字病院の5院です。第一志望者数の実数で並べても、定員に対する比で並べても、この5院が上位10に入ります。候補集めはここから始めるのが早いです。ただし神奈川は空席が18席しかない県で、他県のように「空いた枠を順位表の下に置いて保険にする」やり方が使いにくい県です。代わりになるのが大学病院です。横浜市立大学附属病院の基本プログラムは第一志望3人のまま39人がマッチしました。上位が外れた人の受け皿として実際に機能しています。[1],[2]

候補をどこから集めるか

先に1つ断っておきます。登録する順番は、自分が行きたい順です。順位を戦略的に動かしても有利にならない仕組みなので(マッチングの希望順位登録)、以下は候補の探し方であって、登録する順番の指示ではありません。順位を実際の志望と違う順に付け替えても、有利にはなりません。動かせるのは、採用試験を受けて「行ってもよい」と言えるプログラムを1つでも多く登録することです。

  • まず見る……第一志望が集まっている5院(川崎市立川崎・横浜労災・関東労災・新百合ヶ丘総合・横浜市立みなと赤十字)を軸に、自分の条件で絞る。いずれも定員6〜15人で、第一志望は定員の2.6〜6.0倍
  • 次に見る……実数では上位だが比では2倍前後の病院(湘南鎌倉総合病院・横浜市立市民病院・横須賀共済病院など)
  • 登録の数を増やすために足す……大学病院の基本プログラム。神奈川の大学病院は定員302人(県全体の46%)で、第一志望者数は定員の0.49倍にとどまる一方、充足率は96.4%
[2],[1]

神奈川は空席が18席しかないので、「空席の出た枠を登録先に足す」やり方は他県ほど使えません。代わりになるのが大学病院の大きなプログラムです。第一志望者数が定員の半分を下回るのにほぼ埋まる、という形でデータに現れていて、横浜市立大学附属病院の基本プログラムは定員41人・第一志望3人でマッチ39人でした。第1志望として選ばれる数と、実際に入る人数は別だということです。順位表の作り方そのものはマッチングの希望順位登録を参照してください。以下、順に数字で示します。[1],[2]

神奈川県全体の数字

まず全体を見ます。2025年度のマッチングで、神奈川県には76のプログラムがあり、60の病院に分かれています。募集定員の合計は656人で、東京の1,218人に次いで全国2番目の規模です。マッチした人数は638人、充足率は97.3%でした。全国の充足率が84.6%ですから、神奈川は定員の埋まる地域です。空席は18席、空席が出たプログラムは11件にとどまりました。[1]

第一志望者数の合計は742人で、定員656人に対して1.13倍にあたります。全国では0.88倍です。ただしこの比がそのまま個人の難易度になるわけではありません。誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まります。なお第一志望者数は中間公表時点の断面値で、プログラム別の確定値は公表されません。[2],[1]

第一志望者数とマッチ者数は、別の数字

ここが本題です。ランキングで「人気」として並べられているのは、たいてい第一志望者数か、それに近い数字です。ところが実際に何人が入るかは、第2志望以下の登録にも左右されます。神奈川ではその差が両極端に出ています。[2],[1]

  • 川崎市立川崎病院……定員10人/第一志望60人(600%)/マッチ10人。第1位で登録した60人のうち、その枠に入れたのは最大10人です
  • 横浜市立大学附属病院 基本臨床研修プログラム……定員41人/第一志望3人/マッチ39人/空席2。第1位に選んだのは3人ですが、39人が入りました
[2],[1]

後者のような埋まり方は、大学病院で起きやすいものです。神奈川の大学病院は第一志望者数が定員の0.49倍にとどまるのに充足率96.4%、という形でデータに現れます。参加者が順位表の何位に何を置いたかは公表されていないので、その理由は公表資料からは分かりません。ただし全国では第4希望以下でマッチした人の65.0%が大学病院で、大学病院が上位の志望から外れた人の行き先になっていることは数字で見えます。研修の質や教育体制とは関係がありません。順位表のどこに何を置くかという話はマッチングの希望順位登録で扱っています。[4],[2],[1]

この2つを1つの表に並べると、どちらも「定員が埋まった病院」になります。数字の意味がまったく違うのに、同じ行に見えるということです。

「神奈川は激戦」は、主に市中病院の話

神奈川全体で1.13倍という数字は、大学病院と市中病院を混ぜた平均です。分けて見ると、様子がかなり変わります。[1],[2]

  • 大学病院……24プログラム/定員302人/第一志望者数は定員の0.49倍/充足率96.4%
  • 市中病院……52プログラム/定員354人/第一志望者数は定員の1.68倍/充足率98.0%
[1],[2]

神奈川の定員656人のうち302人、つまり46%が大学病院の枠です。その大学病院では第一志望者数が定員の半分を下回っています。一方で市中病院は定員354人に対して第一志望者数がその1.68倍。「神奈川は激戦」という言い方で想像されているのは、この市中病院側の状況でしょう。それでも大学病院の充足率は96.4%で、席自体はほぼ埋まっています。測っているものが違うだけです。大学病院と市中病院の違いそのものは大学病院と市中病院を数字で比較するで扱っています。[1],[2]

ランキングは、何で並べるかで顔ぶれが変わる

病院単位で集計した場合でも、何で並べるかで結果は変わります。神奈川の病院を「第一志望者数の実数」で並べた場合と、「第一志望者数÷定員」で並べた場合で、上位10病院に共通して入るのは5病院でした。以下はいずれも第一志望に選んだ人数の多寡であって、研修の質の順位ではありません。[2],[1]

実数で並べると、定員の大きい病院も上位に入ってきます。[2],[1]

  • 川崎市立川崎病院……第一志望60人/定員10人(600%)
  • 湘南鎌倉総合病院……47人/23人(204%)
  • 横浜労災病院……39人/15人(260%)
  • 北里大学病院……38人/43人(88%)
  • 東海大学医学部付属病院……35人/45人(78%)
  • 横浜市立市民病院……34人/19人(179%)
  • 関東労災病院……33人/12人(275%)
  • 新百合ヶ丘総合病院……27人/6人(450%)
  • 横浜市立みなと赤十字病院……23人/8人(288%)
  • 横須賀共済病院……23人/12人(192%)
[2],[1]

比で並べると、定員の小さい市中病院が上位に集まります。こちらも定員に対する第一志望者数の比であって、研修の質の順位ではありません。[2],[1]

  • 川崎市立川崎病院……600%(第一志望60人/定員10人)
  • 新百合ヶ丘総合病院……450%(27人/6人)
  • 横浜市立みなと赤十字病院……288%(23人/8人)
  • 川崎市立井田病院……280%(14人/5人)
  • 関東労災病院……275%(33人/12人)
  • 横浜労災病院……260%(39人/15人)
  • けいゆう病院……250%(15人/6人)
  • 海老名総合病院……233%(21人/9人)
  • 川崎幸病院……233%(7人/3人)
  • 地域医療機能推進機構横浜中央病院……225%(9人/4人)
[2],[1]

両方に入っているのは、川崎市立川崎病院・横浜労災病院・関東労災病院・新百合ヶ丘総合病院・横浜市立みなと赤十字病院の5病院です。北里大学病院と東海大学医学部付属病院は実数では上位ですが、定員が43人・45人と大きいため比では0.88倍・0.78倍になります。定員が小さいほど比は振れやすくなる点には注意してください。いずれも中間公表時点の断面値による並びで、病院の質を示すものではありません。ランキングの読み方の全体像は研修医マッチングの人気病院ランキングの読み方、関東1都6県の比較は関東の人気研修病院はどこかにまとめています。[2],[1]

第一志望0のプログラムは、どこにあるか

神奈川の76プログラムのうち、第一志望者数が0だったのは12件でした。そのうち11件は定員2人、残る1件が定員4人です。空席が出たのは11プログラム・18席で、うち7件は第一志望0のプログラムと重なります。多くは小児科・産婦人科の重点コースで、外科重点や、その病院の単独プログラムも含みます。[1],[2]

ここでも「狙い目」と読み替えないことです。定員2人の枠に何人が下位順位で登録しているかは公表されていません。応募要件もプログラムごとに違います。空席の読み方はマッチングの穴場病院の見つけ方にまとめています。なお神奈川で複数のプログラムを持つ病院は9つで、東京の26と比べると少なく、病院単位の表とプログラム単位の実態のずれは東京ほど大きくありません。[1]

この数字は、全国のどのあたりなのか

ここまでは神奈川の中だけで並べてきました。実際に志望先を決めるときに効いてくるのは「この数字は全国で見てどのくらいなのか」です。川崎市立川崎病院の600%という競争の激しさが全国のどのあたりなのか、北里大学病院の0.88倍をどう読むのかは、残り1,300件以上のプログラムの分布を知らないと判断できません。候補が増えるほど、全国の分布と突き合わせる手間は増えていきます。

iwor はこの判断のために、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。定義は無料で確認できます。

  • マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
  • 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
  • 穴場度:0〜100。空きやすさ・低倍率・志望者の減少から算出した値。高いほど競争が緩い傾向です
  • 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります

この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数は、いずれもこれらの指標の材料そのものです。とくに志望集中度は、この記事の柱そのものを1つの数字にしたものです。神奈川の76プログラムをプログラム単位のまま倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりするところまでは、無料プランのまま使えます。PRO なら4指標の数字とマッチ難易度の全国順位まで見られます。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではありません。公表値からの推定であって、合否や受け入れを保証するものでも、個人の合否を予測するものでもありません。主要な研修病院は神奈川県の研修病院で一覧にしています(定員と志願者が一定以上の46プログラム)。76プログラム全件はアプリの病院データベースで絞り込めます。

神奈川の76プログラムを、合算せずに1つずつ見る。

iwor は医師のためのワークスペースです。プログラム単位のまま、倍率・定員・充足率で並べ替えたり都道府県・区分で絞り込んだりできます。PRO なら選んだ複数院の横並び比較と、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度の数字と、マッチ難易度の全国順位まで見られます。

無料ではじめる

この記事の数字の出どころ

本記事の集計は、医師臨床研修マッチング協議会が公表している2025年度の研修プログラム別マッチ結果(募集定員・マッチ者数・空席数・希望順位登録学生数の確定値)と、中間公表(第一志望者数)に基づいて iwor が独自に行ったものです。集計の単位は公表資料と同じくプログラム単位で、病院単位の数字は同じ病院名のプログラムを足し合わせて算出しました。なお大学病院と市中病院の区分は公表資料に列として存在しないため、iwor が病院名から分類したものです(大学附属の分院・医療センターは大学病院に含めています)。[1],[2]

本記事でいう第一志望者数とは、中間公表の前日14時時点で各プログラムを第1位で希望順位登録している参加者数です。中間公表の後も順位登録は変更できるため、最終結果とは一致しません。マッチ者数・空席数は最終結果の確定値なので、両者は取得時点が異なります。中間公表の位置づけはマッチングの中間公表とはで解説しています。[2],[1]

よくある質問

神奈川の研修病院は結局どこから見ればいいですか

第一志望が集まっている5院から見てください。川崎市立川崎病院・横浜労災病院・関東労災病院・新百合ヶ丘総合病院・横浜市立みなと赤十字病院で、いずれも実数と定員比の両方で県内上位です。ここは「同学年が実際にどこを一番に選んだか」であって、研修の質の順位ではありません。ただし候補をゼロから探すよりは早い出発点になります。そのうえで自分の条件(救急の体制、大学か市中か、通勤範囲、診療科の重点)で絞ってください。条件の決め方は研修病院の選び方にまとめています。

第一志望3人のプログラムに39人がマッチしたのはなぜですか

マッチングが第1志望だけで決まらないためです。協議会はマッチングに Gale-Shapley の安定マッチングのアルゴリズムを用いると公表しており、第1志望の枠から外れた人は順位表の第2志望・第3志望へと順に照合されます。定員41人という大きな枠に、他を第1志望にしていた人が下位順位で登録していれば、その枠は埋まります。第一志望者数は「そこを一番に選んだ人の数」であって、「そこに登録した人の数」でも「入る人の数」でもありません。[3],[2],[1]

第一志望者が多いプログラムは避けたほうがいいですか

順位の付け方を変える理由にはなりません。マッチングで使われるアルゴリズムは「耐戦略性」を持つと公表されており、自分の希望どおりの順位で登録することが最良の結果になるとされています。ただし第一志望者が多いプログラムほどその枠の競争は激しくなります。順位表を長くしておくとアンマッチの可能性は下がりますが、なくなるわけではありません。JRMPも、登録数の多いプログラムを希望していて不安な場合は「登録順位の変更」ではなく「登録順位数を増やす」ことを勧めています。[2]

神奈川と東京の両方を候補にするとき、何に気をつけますか

神奈川の定員656人は東京の1,218人に次ぐ規模で、両方を候補にする人は少なくないでしょう。順位表に何をどう並べるかはマッチングの希望順位登録で扱っています。併願するなら、採用試験の日程が重複しないかを各病院の募集要項で確かめてください。関東全体の比較は関東の人気研修病院はどこか、東京の内訳は東京の研修病院ランキングの見方を参照してください。[1]

まとめ

候補は、実数でも定員比でも県内上位に入る5院(川崎市立川崎・横浜労災・関東労災・新百合ヶ丘総合・横浜市立みなと赤十字)から始めてください。行ってもよいと言える範囲で、大学病院の大きなプログラムも登録しておきます。神奈川は充足率97.3%・空席18席と席が埋まる県で、空いた枠を受け皿にする手が使いにくいためです。実際、横浜市立大学附属病院の基本プログラムは定員41人・第一志望3人でマッチ39人でした。第一志望を数えた数字と、実際に入った人数は別物だと覚えておいてください。[1],[2]

出典

  1. 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)令和7年度 研修プログラム別マッチ結果 jrmp2.jp2026-08-04 取得)
  2. 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表 jrmp2.jp2026-08-04 取得)
  3. 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)医師臨床研修マッチングとは(マッチングのアルゴリズム) jrmp.jp2026-08-04 取得)
  4. 4.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)令和7年度 研修医マッチングの結果(表3 希望順位ごとのマッチ者数) jrmp2.jp2026-08-04 取得)

本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制

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