症例報告のスライドのテンプレート|公開されている雛形と、科ごとに足すスライド
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症例報告のスライドは、表紙・利益相反(COI)・現病歴・現症・検査・画像・経過・症例のまとめ・考察・結語の順に並びます。この順番は学会誌の解説でも公開されている雛形でもほぼ同じで、自分で決めるのは画面の比率と COI の位置、それに科ごとに足すスライドです。
公開されている雛形は、PDF か会員限定
東京北医療センター総合診療科は、症例プレゼンの雛形を18枚のスライドとして公開しています。作った理由をこう書いています。「参考になる書籍もたくさんありますが,「先輩から教わる.しかもなんとなく」というパターンが実は最も多いのではないでしょうか?」[2],[3]
東京北のページで配られているのは PDF です。同じ雛形は Antaa Slide にも投稿されていて、そちらは登録なしで本文まで読めます。
医学書院の gastropedia には PowerPoint のサンプルファイルが付いた記事があります。読むには会員登録とアクセスコードが要ります。[4]
症例発表のスライドの作り方をまとめた論文にも電子付録が付いていて、こちらは無料で取れます。中身は操作の動画2本と10項目のチェックリストで、雛形そのものではありません。[1]
そのまま書き込める PowerPoint のファイルが手に入るのは、会員登録をした場合だけです。画面で見ながら、同じ並びを自分の PowerPoint に作ります。
3つを並べても、順番はほぼ同じ
論文が挙げる代表的な構成は、表紙・利益相反・現病歴・現症・検査・画像・神経生理検査・経過図・考察・結論の10項目です。解説ではここに「症例のまとめ」が加わります。[1]
東京北の雛形では、COI は表紙の中に入っています。緒言・症例・身体所見・検査所見・画像・生理検査・プロブレム・経過・考察・結語と続き、症例は主訴と現病歴、既往と生活歴に分かれます。緒言・生理検査・プロブレムが加わり、画像と経過と考察も複数枚に分かれるぶん、枚数が増えています。[3]
iwor の症例発表のテンプレートは次の11枚です。
- 表紙(演題名・発表者・所属)
- 利益相反(COI)の開示
- 主訴・現病歴
- 既往歴・生活歴・内服
- 身体所見(初診時)
- 検査所見(入院時)
- 画像所見
- 臨床経過
- 症例のまとめ
- 考察
- 結語
順番はもう決まっているので、時間をかけるのは中身の取捨選択のほうです。
発表時間に対して何枚が適当かは発表時間別のスライド枚数にまとめました。スライドより先に締切が来る抄録の書き方は症例報告の抄録の書き方にあります。
雛形のまま出すと合わないのは、比率と COI の位置
雛形には比率と COI の位置が最初から入っています。どちらも大会ごとに違うので、雛形の値をそのまま出すと合わないことがあります。
1つ目は比率です。16:9 と 4:3 があり、指定は大会の案内に書かれています。ワイド画面が主流で、4:3 のスライドでは両端が黒く抜けます。作り始める前に確かめます。[1]
2つ目は COI の位置です。論文は「規定に従い,利益相反は表紙か2枚目のスライドで提示する」と書いています。どちらにするか、文言、申告の対象期間は大会で違います。[1]
文言と対象期間の実例はCOI 開示スライドの書き方と例にまとめました。
自分の科では、どのスライドを足すか
内科系の症例なら、共通の並びで足ります。手術をした症例で臨床経過の1枚に術式も術中所見も病理も詰めると、聴衆はどこを見ればよいか分かりません。
iwor の診療科別のテンプレートは18本あり、共通の11枚にスライドを足すか、中身を差し替える作りです。
- 外科:術前診断と手術適応/手術(術式・術中所見)/切除標本の写真/病理組織診断の4枚を足す
- 整形外科:身体所見が受傷機転・可動域・徒手筋力に替わり、手術と術後リハビリのスライドが加わる
- 眼科:身体所見が視力・眼圧・前眼部・眼底に替わり、OCT・造影のスライドが加わる
- 放射線科:画像所見が2枚に分かれ、画像診断の要点と病理との対比が加わる
- 救急科:現病歴が来院までの経過に、身体所見が primary survey と secondary survey に替わる
- リハビリテーション科:結論を先に置く別の並び(結論→背景→症例概要→評価→問題点→介入→経過)
発表ごとに違うのは比率と COI の位置で、大会の案内に合わせ直す作業が毎回発生します。iwor には発表形式ごとの初期値が入っていて、比率と COI の位置が形式ごとに変わります。見本は22件あり、そのうち自分の科のものを開いて症例を差し替えるところから始められます。
文字の大きさと1枚の行数
東京北の雛形は、文字の大きさを「最低24pt.できれば28pt以上」としています。行数は「一画面に表示される行数はタイトルを除き,おおよそ8行くらいまで」です。フォントは学会指定に従うこと、単語の途中で改行しないことも書かれています。[3]
論文が挙げているのは pt ではなく、行間と配置と色です。行間は1.2〜1.3倍、テキストは左端で揃えて中央揃えにしません。色は白・黒・灰色のほかにメインとアクセントの2色までです。和文はメイリオ、英数字は Segoe UI が例です。[1]
埋める順番:表紙から順に書かない
手を動かす前に、患者の同意と匿名化の扱いは所属施設の規定が正です。年代で書く、日付は第◯病日にする、写真はマスキングする。ここを後から直すと全部のスライドに波及します。
そのうえで、雛形を開いて表紙から順に埋めると考察で止まりやすくなります。先に決めるのは「この症例で聴衆に持ち帰ってほしいことは何か」の1文です。それが決まると結語がその1文になり、載せる検査と画像も決まります。
- 持ち帰ってほしいこと(1文)を決める
- 結語を書く。演題名と呼応させる
- 臨床経過(経過表)を作る。症例の背骨で、面積も時間も一番使う
- 検査所見・画像所見を、その経過を説明するのに要るものだけ選ぶ
- 現病歴・既往歴・身体所見を埋める
- 考察を1点に絞って書く
- 表紙と COI を、大会の案内どおりに整える
結語では、稀少性だけを述べたり過剰に一般化したりしません。悪い例は「稀な脊髄炎の1例を報告した.」「今後症例の蓄積が必要である.」です。考察も箇条書きは避け、表か図解にします。[1]
臨床経過は文字で追わずに1枚の図にすると読み手が追えます。作り方は症例報告の経過表の作り方にまとめました。
よくある質問
テンプレートは PowerPoint のファイルでないと困りますか?
最後に PowerPoint のファイルになれば困りません。会場のパソコンで開くのは .pptx なので、図形と文字のまま .pptx で出せるかだけ見ます。
作ったあとに見直す方法はありますか?
10項目のチェックリストが電子付録として公開されていて、無料で取れます。[1]
同じ症例でポスターも作れますか?
作れます。構成とサイズはスライドと別に決まるので、医学の学会ポスターのテンプレートにまとめました。
まとめ
雛形は公開されていますが、多くは画面で見る形で、ファイルとして落ちてきません。順番は論文の構成も公開されている雛形もほぼ一致するので、探す時間より、1本開いて自分の科のスライドを足すほうが速く終わります。埋める順番は表紙からではなく、持ち帰ってほしいこと1文から決めます。
出典
- 1.一次資料日本神経学会(臨床神経学)「平賀陽之. 経験した症例をまとめる:わかりやすく効果的なスライドの作り方. 臨床神経学 2025;65(6):459-467」 jstage.jst.go.jp(2026-08-17 取得)
- 2.一次資料東京北医療センター総合診療科(地域医療振興協会)「症例プレゼン雛形(プレゼン部・2021年1月21日)」 tokyokita-jadecom.jp(2026-08-17 取得)
- 3.一次資料Antaa Slide(投稿者:東京北医療センター総合診療科)「<東京北プレゼン部>症例報告スライドの雛形(全18枚・2021年7月12日投稿)」 slide.antaa.jp(2026-08-17 取得)
- 4.医学書院(gastropedia)「名和田義高. モテる! 症例発表で会場を沸かせるスライドの作り方(PowerPointサンプルファイル ダウンロード)」 gastro.igaku-shoin.co.jp(2026-08-17 取得)
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