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学会発表

症例報告のスライドのテンプレート|公開されている雛形と、自分の科で足す枚

iwor 編集部9分で読めます
目次

結論から書くと、雛形を探すより、並びを知って自分の症例で埋めるほうが速く終わります。並びは、学会誌の解説も、公開されている雛形も、iwor の型もほぼ同じです。表紙、利益相反(COI)、現病歴、現症、検査、画像、経過、症例のまとめ、考察、結語。自分で決めることになるのは、スライドの比率と COI を何枚目に置くか(これは大会の案内で決まります)、そして自分の科でだけ要る枚です。

公開されている雛形は「見るもの」が多い

東京北医療センター総合診療科は、症例プレゼンの雛形を18枚のスライドとして公開しています。作った理由をこう書いています。「参考になる書籍もたくさんありますが,「先輩から教わる.しかもなんとなく」というパターンが実は最も多いのではないでしょうか?」。同じ18枚は Antaa Slide にも投稿されていて、そちらは本文まで読めます。ファイルは PDF として上がっていて、PowerPoint の形では配られていません。[2],[3]

医学書院の gastropedia には PowerPoint のサンプルファイルが付いた記事がありますが、読むには会員登録とアクセスコードが要ります。症例発表のスライドの作り方をまとめた論文(臨床神経学 2025年)にも電子付録が付いていて、こちらは無料で取れますが、中身は操作の動画2本と10項目のチェックリストで、雛形そのものではありません。[4],[1]

そのまま書き込める PowerPoint のファイルは、あまり出回っていません。多くは画面で見ながら、同じ並びを自分の PowerPoint に作ることになります。

並べてみると、枚の順番はほぼ一致する

臨床神経学の論文は、代表的な構成として表紙・利益相反・現病歴・現症・検査・画像・神経生理検査・経過図・考察・結論の10項目を挙げ、解説ではそこに「症例のまとめ」を加えた11の節を立てています。東京北の雛形は18枚で、COI を表紙の中に入れ、緒言・症例(主訴と現病歴)・症例(既往と生活歴)・身体所見・検査所見・画像・生理検査・プロブレム・経過・考察・結語と続きます。緒言・生理検査・プロブレムが加わり、画像と経過と考察が複数枚に分かれているぶん、枚数が増えています。[1],[3]

iwor の症例発表の型は次の11枚です。診療科別の型18本のうち、リハビリテーション科(結論を先に置く並び)を除く17本は、この11枚を土台にしています。

  • 表紙(演題名・発表者・所属)
  • 利益相反(COI)の開示
  • 主訴・現病歴
  • 既往歴・生活歴・内服
  • 身体所見(初診時)
  • 検査所見(入院時)
  • 画像所見
  • 臨床経過
  • 症例のまとめ
  • 考察
  • 結語

3つを見比べて分かるのは、迷う余地があるのは枚の順番ではないということです。順番はもう決まっていて、時間をかけるべきなのは中身の取捨選択のほうです。発表時間に対して何枚が適当かは発表時間別のスライド枚数に、スライドより先に締切が来る抄録の書き方は症例報告の抄録の書き方にまとめました。

雛形をそのまま出すと合わない2点

雛形には比率と COI の位置が最初から入っています。どちらも大会ごとに違うので、雛形の値をそのまま出すと合わないことがあります。

1つ目は比率です。16:9 と 4:3 があり、指定は大会の案内に書かれています。論文はワイド画面(16:9)が主流だとし、4:3 のスライドでは両端が黒く抜けるとしています。作り始める前に確かめる項目です。[1]

2つ目は COI を何枚目に置くかです。論文も「規定に従い,利益相反は表紙か2枚目のスライドで提示する」としています。どちらにするか、文言、申告の対象期間は大会で違うので、COI 開示スライドの書き方と例にまとめました。[1]

iwor では、この2つは型に埋め込まず、発表ごとに選ぶ設定として分けています。比率(16:9・4:3)と COI の位置(1枚目・2枚目)と COI の文言は、どのプランでも選べます。発表形式ごとのプリセット(内科地方会・学術集会・英語発表・院内 CPC など)を選んで比率と COI の位置をまとめて切り替える機能は MAX プランです。

自分の科では、どの枚を足すか

内科系の症例であれば、共通の11枚で足りることが多くなります。一方、手術をした症例で「臨床経過」の1枚に術式も術中所見も病理も詰めると、聴衆はどこを見ればよいか分からなくなります。iwor の診療科別の型は、共通の11枚を土台に、科ごとに枚を足すか、枚の中身を差し替える作りにしています。

  • 外科:術前診断と手術適応/手術(術式・術中所見)/切除標本の写真/病理組織診断の4枚を足す
  • 整形外科:身体所見が受傷機転・可動域・徒手筋力に替わり、手術と術後リハビリの枚が加わる
  • 眼科:身体所見が視力・眼圧・前眼部・眼底に替わり、OCT・造影の枚が加わる
  • 放射線科:画像所見が2枚に分かれ、画像診断の要点と、病理との対比の枚が加わる
  • 救急科:現病歴が来院までの経過に、身体所見が primary survey と secondary survey に替わる
  • リハビリテーション科:結論を先に置く別の並び(結論→背景→症例概要→評価→問題点→介入→経過)

iwor には診療科別の型が18本と、完成した見本が22件あります。見本は内科5件(市中肺炎・敗血症性ショック/うっ血性心不全/発熱性好中球減少症/単純ヘルペス脳炎/2型糖尿病)と、外科・小児科・産婦人科・精神科・整形外科・皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・脳神経外科・放射線科・麻酔科・臨床検査・救急科・形成外科・リハビリテーション科・総合診療の各1件です。すべて架空症例で、登録しなくても中身を開いて見られます。

自分の科の見本から作りはじめる。

22件の見本と、診療科別の型18本。自分の科の見本を開いて、症例を差し替えるところから始められます。無料ではじめられます。

見本を見る

文字の大きさと1枚の行数

東京北総診が公開している雛形は、文字について「文字の大きさは最低24pt.できれば28pt以上」「一画面に表示される行数はタイトルを除き,おおよそ8行くらいまで」としています。フォントは学会指定に従うこと、単語の途中で改行しないことも書かれています。[3]

論文のほうは pt ではなく、行間を1.2〜1.3倍にすること、テキストは左端で揃えて中央揃えにしないこと、白・黒・灰色のほかは2色(メインとアクセント)にすることを挙げています。和文にメイリオ、英数字に Segoe UI という組み合わせが例として示されています。[1]

iwor の型は書体を4種類(メイリオ・BIZ UDPゴシック・MS Pゴシック・游ゴシック)から選べ、色は色覚に依らず見分けられる朱と青の2種類を既定にしています。文字の大きさと行間は紙面に合わせて自動で決まります。

埋める順番:表紙から順に書かない

手を動かす前に、患者の同意と匿名化の扱いを所属施設の規定で確かめてください。年代で書く、日付は第◯病日にする、写真はマスキングする——ここは後から直すと全部の枚に波及します。そのうえで、雛形を開いて表紙から順に埋めると考察で止まりやすくなります。先に決めるのは「この症例で聴衆に持ち帰ってほしいことは何か」の1文です。それが決まると、結語がその1文になり、考察はその1点だけを論じる形になり、載せる検査と画像も決まります。

  • 持ち帰ってほしいこと(1文)を決める
  • 結語を書く。演題名と呼応させる
  • 臨床経過(経過表)を作る。症例の背骨で、面積も時間も一番使う
  • 検査所見・画像所見を、その経過を説明するのに要るものだけ選ぶ
  • 現病歴・既往歴・身体所見を埋める
  • 考察を1点に絞って書く
  • 表紙と COI を、大会の案内どおりに整える

論文は結語について、稀少性だけを述べたり過剰に一般化したりしてはいけないとし、悪い例として「稀な脊髄炎の1例を報告した.」「今後症例の蓄積が必要である.」を挙げています。考察も箇条書きは避け、表か図解にするとしています。[1]

臨床経過の枚は、文字で追わずに1枚の図にすると読み手が追えます。作り方は症例報告の経過表の作り方にまとめました。

よくある質問

テンプレートは PowerPoint のファイルでないと困りますか?

最後に PowerPoint のファイルになれば困りません。会場のパソコンで開くのは .pptx なので、どこで作るにしても「図形と文字のまま .pptx で出せるか」だけ確かめてください。画像として貼り付ける書き出しでは、会場で誤字1つを直すことができません。iwor は図形のまま .pptx で書き出せます(PRO プラン)。

検査値の表は毎回作り直すのですか?

iwor では検査所見の枚に項目のプリセットを16種類入れてあり、血算・生化学・凝固などのまとまりを選ぶと項目名と単位が入ります。値を入れると表の形に整い、基準値から外れた値には印が付きます。本文の定型文(症例の基本・現病歴の型・考察の型・結語の型など)も11種類あります。

作ったあとに見直す方法はありますか?

臨床神経学の論文には、正確さ・整列と余白・色・考察・結論など10項目のチェックリストが電子付録として付いていて、無料で取れます。iwor にも書き出す前のチェックがあり、文字の溢れ、全角の英数字、数値と単位の間の空き、商品名らしい表記、氏名や患者 ID の欄・実日付といった形の決まった記述が残っていないかを機械的に見ます。最終的な確認は人が行うものです。[1]

同じ症例でポスターも作れますか?

作れます。iwor では発表スライドと学会ポスターを相互に組み直せます。ポスターの構成とサイズは医学の学会ポスターのテンプレートにまとめました。

まとめ

雛形は公開されていますが、多くは画面で見る形で、ファイルとして落ちてくるものではありません。そして中身の順番は、論文の構成も公開されている雛形も iwor の型もほぼ一致します。探す時間をかけるより、並びが同じものを1本開いて、自分の科で要る枚(手術・病理・手技・ADL)を足し、比率と COI の位置を大会の案内に合わせるほうが速く終わります。埋める順番は表紙からではなく、持ち帰ってほしいこと1文から。

出典

  1. 1.一次資料日本神経学会(臨床神経学)平賀陽之. 経験した症例をまとめる:わかりやすく効果的なスライドの作り方. 臨床神経学 2025;65(6):459-467 jstage.jst.go.jp2026-08-17 取得)
  2. 2.一次資料東京北医療センター総合診療科(地域医療振興協会)症例プレゼン雛形(プレゼン部・2021年1月21日) tokyokita-jadecom.jp2026-08-17 取得)
  3. 3.一次資料Antaa Slide(投稿者:東京北医療センター総合診療科)<東京北プレゼン部>症例報告スライドの雛形(全18枚・2021年7月12日投稿) slide.antaa.jp2026-08-17 取得)
  4. 4.医学書院(gastropedia)名和田義高. モテる! 症例発表で会場を沸かせるスライドの作り方(PowerPointサンプルファイル ダウンロード) gastro.igaku-shoin.co.jp2026-08-17 取得)

本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制

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