テコム模試(医師国家試験)の難易度は回ごとに違う|公式の出題意図で読み解く
目次
テコムの全国統一模擬試験(医師国家試験向け)は全4回で、公式が各回に別々のテーマを掲げています。第1回は過去10年の分析にもとづく高頻出テーマの基本的な内容、第2回は合否を分ける問題とマイナー科目、第3回は新傾向問題への対応、第4回は国試のシミュレーションとしての総決算です。つまり「テコム模試は難しい」という評判は、第何回の話かで意味が変わります。難易度そのものの数値は公表されていないので、判断材料になるのはこの設計意図と、自分の分野別の正答率だけです。[1]
先に:看護のテコム模試とは別物です
「テコム模試」で検索すると、看護師国家試験向けのテコム模試の話が混ざります。テコムを運営するエムスリーエデュケーションは医科・歯科・看護・福祉など複数領域でサービスを展開していて、サービス一覧でも「TECOM」と「テコム看護」は別に並んでいます。難易度の評判を読むときは、それが医師国家試験の全国統一模擬試験の話かどうかを最初に確認してください。この記事は医師国家試験向けだけを扱います。[4]
全4回、それぞれ何を測っている模試なのか
公式の「特長・内容」ページは、4回を通じて国試出題範囲の重要項目をすべてカバーする計画のもと、各回の実施時期に応じたテーマを掲げて出題していると説明しています。各回の説明を編集部で要約すると次のとおりです(カッコ内は公式が掲げている表現)。[1]
- 第1回 国試チャレンジ模擬試験:過去10年間の国試分析をもとに、メジャー科目を中心とした高頻度出題テーマから基本的な内容を出題する回。落としてはいけない問題の特徴と自身の弱点を把握する位置づけ
- 第2回 国試センター模擬試験:出題が予想されるのに対策の穴になりやすい範囲(公式の表現では「合否を分ける問題」)と、マイナー科目の重要テーマを重点的に出す回
- 第3回 国試予想模擬試験:直前情報を含む予想問題を出す回。公式は「100名以上の臨床医をはじめとするTECOM独自の情報網」を挙げ、「国試の約3割にあたる新傾向問題の完全対応を図る」と掲げている
- 第4回 国試ファイナル模擬試験:頻出問題・予想問題による総決算。公式は「疾患分布や問われ方,難易度設定など,あらゆる角度から徹底的に研究し尽くした」としている
第3回の「完全対応」のように、公式ページには販売上の表現も含まれます。これは公式がそう掲げているという事実であって、iwor がその内容を保証するものではありません。
この4つを並べると、点数の読み方が回ごとに変わることが分かります。第1回で落とした問題は、公式の言い方を借りれば「落としてはいけない問題」に近い位置にあります。ここでの失点は、難易度の問題ではなく手つかずの範囲がある合図です。一方で第3回は新傾向問題を積極的に入れる回なので、ここで見たことのない問題が並ぶのは設計どおりです。[1]
公式はもうひとつ、模試には「テスト」としての機能と「プラクティス」または「トレーニング」としての機能の2つがあると書いています。前者は全国最大スケールの母集団のなかで自分の位置を知ること、後者は知識を新たに獲得し、近年の国試で増えている思考力を身につけることです。どの回でも両方が働きますが、自分が今回どちらを目的に受けるのかを決めておくと、結果の見方が定まります。[1],[3]
「難易度」は公表されていない、という前提
ここが見落とされやすい点です。全国統一模擬試験の公式ページ(トップ/特長・内容/実施要項・日程/Q&A/受験後サービス/国試との親和性)のどこにも、各回の難易度を数値で示したものはなく、他社模試との難易度比較もありません(合否の判定については「国試との親和性」のページに別の形で記載があります。後述します)。したがって「テコ3は難しい」「テコ4は本番より難しい」といった話は、受験した人の体感にもとづくものだと考えてください。体感が無価値だという話ではありませんが、根拠の種類が違うことは押さえておいたほうが安全です。[1],[2],[3]
実例を挙げます。解説ブログのなかには、第4回を「国試本番が簡単に思えるようにやや難易度高め」と説明しているものがあります。公式の第4回の説明は上に引いたとおりで、「難易度設定など,あらゆる角度から徹底的に研究し尽くした」とは書かれていますが、本番より難しくするとは書かれていません。読むときは、公式の記述と解説者の解釈を分けてください。[1]
受験料についても、「1回の模試の値段は10,000円弱」と書いている解説を見かけますが、これは2026年8月3日時点の公式記載とは異なります。実施要項の記載は個人受験が各回15,000円(税込)、大学単位が1名あたり各回9,700円(税込)です。金額の桁が変わる話なので、申し込む前に公式で確認してください。[2]
2026年度(第121回向け)の実施要項
第121回医師国家試験は、厚生労働省の施行告示により令和9年(2027年)2月6日・7日に行われます。以下の第4回が2027年1月なのは、その直前期にあたるからです。[5]
公式の実施要項から、確認すべき点だけ挙げます。以下は2026年8月3日時点の記載です。日程・価格は変更されることがあるため、申し込み前に必ず公式ページで最新を確認してください。[2]
- 第1回:2026年6月3日〜8月3日(公開実施期間。2026年度はこの記事の公開日が最終日。当日の受付可否・締切時刻は公式で確認してください)
- 第2回:2026年9月2日〜10月16日
- 第3回:2026年11月4日〜12月4日
- 第4回:2027年1月4日〜1月9日
- 受験料:個人受験 各回15,000円(税込)/大学単位 1名あたり各回9,700円(税込)
- 受験形式:自宅受験(2026年度の実施要項では会場受験の実施はなしと記載)
第4回だけ公開実施期間が6日間と極端に短いことに注目してください。第1回から第3回は1〜2か月の幅があり、自分の都合で日を選べます。第4回は事実上その週に解くしかないので、直前期の予定に先に置いておかないと受けられません。[2]
もうひとつ、公式が「大学様単位で一括購入している場合がございます。購入前に大学様、国対委員様にご確認ください」と注記しています。個人受験の15,000円に対して大学単位は1名あたり9,700円なので単価は低くなります。自己負担がいくらになるかは大学によるので、個人で申し込む前に国試対策委員に確認してください。模試全体の日程と回数の決め方は医師国家試験の模試はどれを受ける?にまとめました。[2]
自宅受験であることが、難易度の体感を歪める
2026年度の実施要項では、テコムの全国統一模擬試験は自宅受験のみで会場受験の実施はないとされています。これは難易度そのものとは別に、点の出方に影響します。会場受験なら通しで解かされますが、自宅では中断も、時間の超過も、手元の資料を見ることもできてしまう。同じ問題を解いても、条件が違えば得点は比較できません。[2]
点が低かったときにまず確認すべきは、難易度ではなく受け方のほうです。ブロックごとの制限時間を守って解いたか、途中で調べていないか。ここが崩れていると、その回の偏差値は実力の指標としては参考程度にとどめてください(分野別の正誤は条件が崩れても使えます)。逆に言えば、通しで解く練習を自宅で成立させられるなら、それ自体が本番への準備になります。第121回の本試験は2日間にわたって行われます。[5]
点が悪かったときに見る順番
回ごとの設計が分かると、結果の読み方も決まります。順番は次のとおりです。
- ① 受け方が本番と同じだったか(通しで解いたか・調べていないか)を先に確認する
- ② 第何回かを確認する。第1回で落とした問題は範囲の穴、第3回で落とした新傾向問題は伸びしろ
- ③ 総合順位ではなく分野別の正答率を見る。手つかずの分野が残っているだけなら、それは学習計画の問題であって実力の問題ではない
- ④ 間違いを「知らなかった」「知っていたが引き出せなかった」「読み違えた」に仕分ける。反復に載せるのは2つめだけ
④の仕分けは国試模試の復習のやり方で詳しく扱っています。1つめは知識の穴なので講義や教科書に戻る作業、3つめは解き方の問題で、反復しても直りません。
iwor なら、模試で落とした範囲を翌週の演習に落とし込めます。
iwor は医師のためのワークスペースで、国試演習は毎日無料で使えます。落とした分野を iwor で解き直すと、分野別の理解度ヒートマップに穴が数値で出ます。
無料ではじめる合格率の水準そのものについては医師国家試験の難易度、必修・禁忌肢の対策は国試の必修対策で扱っています。
なお本記事は、エムスリーエデュケーション株式会社と関係のない第三者が、同社の公表情報を整理したものです。
よくある質問
テコム模試は本番より難しいのですか
今回確認した公式サイトの範囲では、本番との難易度差は示されていません。回ごとの狙いは公表されていて、第1回は高頻出テーマの基本的な内容、第3回は新傾向問題、第4回は総決算です。「難しい」という声は第3回・第4回について語られることが多いのですが、これは受験生の体感であって公式の設計値ではありません。[1]
4回とも受けるべきですか
公式は「既出問題の演習と併せて,4回受験・復習することで国試対策が完成します。」と説明しています。ただし模試1回の復習には時間がかかりますし、他社模試や卒業試験と重なる時期でもあります。復習日を先にカレンダーに置いてから回数を決めてください。受けっぱなしにすると、復習まで含めた分の価値が取り切れません。[1]
第1回はいつ受けるのがいいですか
2026年度の第1回は6月3日から8月3日までの2か月間で、この記事の公開日が最終日です(当日の受付可否は公式で確認してください)。以下はおもに次年度の判断材料としてお読みください。この回の目的は順位ではなく、手をつけていない分野の洗い出しです。範囲を一通り触ってから受けるより、早めに受けて穴を見つけるほうが、残り期間の使い道が決まります。[2],[1]
偏差値がどれくらいあれば安心ですか
公式が出しているのは、偏差値ではなく判定ベースの対応です。「国試との親和性」のページには、テコムの国試合否学力診断は一般・臨床・必修の分野別に「努力圏・注意圏・安全圏」の3段階で判定され、3分野すべてで安全圏と評価された受験生の国試合格率は98.5%だと記載されています。逆に言えば、偏差値そのものと合否を対応づけた表は公表されていません。判断の軸は分野別の正答率と、この3段階の判定に置くほうが実務的です。なお公式は受験者母集団が業界最大だと説明していますが、それでも模試を受けた人の中での位置であることに変わりはありません。[6],[3]
まとめ
テコムの全国統一模擬試験は全4回で、公式が回ごとに別のテーマを掲げています。第1回は高頻出テーマの基本的な内容、第2回は合否を分ける問題とマイナー、第3回は新傾向問題、第4回は総決算。難易度そのものの数値は公表されていないので、「難しい」という評判は体感として扱ってください。2026年度は6月・9月・11月・翌1月の4回、個人受験は各回15,000円(税込)、大学単位は9,700円(税込)で、自宅受験のみです。点が悪かったときは、受け方 → 第何回か → 分野別正答率の順に見れば、次の1週間にやることが決まります。メック模試のほうは難易度の設定が公表されているので、比べたい場合はメック模試の難易度を参照してください。[1],[2]
出典
- 1.一次資料エムスリーエデュケーション株式会社(テコム)「全国統一模擬試験 特長・内容」 m3e.jp(2026-08-03 取得)
- 2.一次資料エムスリーエデュケーション株式会社(テコム)「全国統一模擬試験 実施要項・日程」 m3e.jp(2026-08-03 取得)
- 3.一次資料エムスリーエデュケーション株式会社(テコム)「全国統一模擬試験」 m3e.jp(2026-08-03 取得)
- 4.一次資料エムスリーエデュケーション株式会社「私たちについて(サービス一覧)」 m3e.jp(2026-08-03 取得)
- 5.一次資料厚生労働省「医師国家試験の施行について」 mhlw.go.jp(2026-08-03 取得)
- 6.一次資料エムスリーエデュケーション株式会社(テコム)「全国統一模擬試験 国試との親和性」 m3e.jp(2026-08-03 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制