医師国家試験は難しい?合格率の正しい読み方と「落ちる人」の特徴
目次
「医師国家試験は難しいの?」という問いに、合格率だけで答えると誤解します。合格率は例年9割前後と高いのですが、それは試験が易しいからではなく、受験する時点で医学生がすでに何重もの選抜を通過しているからです。しかも合格率は新卒と既卒でまったく違い、毎年一定数が「落としてはいけない設問」で不合格になります。
この記事では、まず最新(第120回)の合格率を一次資料で確認し、その“平均9割”をどう読むべきか、なぜ「高いのに難しい」と言われるのか、そして落ちる人に共通する特徴までを順に解説します。漠然とした不安を、正しい現状認識に変えるのが狙いです。
結論:合格率は高いが「易しい」わけではない
先に結論を言うと、医師国家試験は「合格率は高いが、難易度は低くない」試験です。9割が受かるという数字は易しさの証明ではなく、厳しい選抜を勝ち抜いた集団の中での9割だ、という点をまず押さえてください。
まず数字で見る(第120回)
2026年に実施された第120回の合格率は、全体で91.6%でした。受験者9,980人に対し合格者は9,139人です。内訳を見ると、新卒者は94.7%、既卒者は約54.6%と、同じ試験でも立場によって大きな差があります。[1]
なお男女別では男性91.1%・女性92.4%とほとんど差がなく、合格者に占める女性の割合はゆるやかに増えています。性別よりも、新卒か既卒かのほうがはるかに大きな差を生みます。[1]
“平均9割”の正しい読み方
ここがこの記事のいちばん大事な点です。「合格率91.6%」という平均値だけを見ると安心しがちですが、その平均は性質の異なる2つの集団を混ぜた数字です。
新卒と既卒は別物
新卒94.7%に対し、既卒は約54.6%。既卒、つまり一度不合格を経験した受験生にとっては、2人に1人前後しか受からない試験になります。現役生なら数字の上では大きく有利ですが、その有利さは同時に「新卒のうちに確実に受かることの重要性」も意味します。[1]
なぜ既卒は下がるのか
既卒の合格率が下がる背景には、一緒に対策する同期の集団から外れて情報や学習リズムを保ちにくくなること、前回の不合格で苦手分野が固定化していること、モチベーションの維持が難しくなることなどがあります。裏を返せば、現役のうちに弱点を残さず仕上げることが最大のリスク回避になります。
合格率が高いのに「難しい」と言われる理由
では、なぜ9割が受かるのに「難しい」と言われるのでしょうか。理由は大きく2つあります。
受験者層がすでに選抜されている
医師国家試験を受ける時点で、医学生は医学部入試・6年間の進級試験・卒業試験という何重もの関門を通過しています。母集団そのものが鍛えられているため、合格率が高く出ます。一般的な資格試験と単純に合格率を比べても意味がないのは、このためです。
必修8割・禁忌肢という落とし穴
試験の中身にも難しさがあります。出題は必修100問・総論150問・各論150問の計400問。とくに必修問題は約8割という絶対基準があり、ここを割ると総合点が高くても不合格になります。さらに禁忌肢(患者の死亡や重大な不利益に直結する選択肢)を一定数選ぶと不合格です。第120回も、必修160点/200点・一般臨床224点/300点・禁忌肢3問以下が合格基準でした。必修と禁忌肢の具体的な守り方は必修問題と禁忌肢の対策で解説しています。[1],[2]
落ちる人に共通すること
不合格になる人の多くは、才能の問題ではなく、対策の進め方に共通の落とし穴があります。代表的なものを挙げます。
- 着手が遅く、直前期に範囲を終えられない
- 卒業試験で燃え尽き、国試対策に切り替えられない
- 講義を見るだけのインプット偏重で、解く練習(アウトプット)が足りない
- 過去問を丸暗記し、病態生理の理解が薄いまま本番の問われ方に対応できない
- 得意分野ばかり繰り返し、苦手を最後まで放置する
共通するのは「弱点を直視しないまま時間が過ぎる」ことです。逆に言えば、自分の弱点を早く正確に把握し、そこを優先的に潰せれば、合格はぐっと現実的になります。
不安なら、何から始めるか
「難しそうで不安」という人は、まず自分の弱点の地図を作るところから始めましょう。iwor は、解いた結果を知識ポイント単位の理解度に集約し、理解度ヒートマップで穴を色の濃淡で見せます。色の薄い分野から潰していけば、限られた時間を最も効果の高いところに使えます。全体の進め方は医師国家試験の勉強法とスケジュールに、直前期の回し方は医師国家試験 直前期の勉強法にまとめています。
よくある質問
国試は何割取れば受かりますか?
一般・臨床実地問題は相対基準のため毎年変動しますが、第120回は必修が8割(160/200点)、一般・臨床が224/300点(約7.5割)でした。必修の8割は絶対基準なので、ここは確実に超える必要があります。[1]
既卒(浪人)は不利ですか?
数字の上では不利です。既卒の合格率は5割前後で、新卒の9割超と大きく差があります。ただしこれは「既卒だから落ちる」のではなく、学習環境や情報の維持が難しくなることが主因です。対策の型を立て直せば十分に合格は狙えます。
「簡単すぎ」という声も聞きますが?
合格率の高さだけを見た印象です。母集団が選抜済みであること、必修8割・禁忌肢という落とし穴があることを踏まえると、油断できる試験ではありません。
何%くらいの人が落ちますか?
第120回は全体で約8.4%(受験9,980人中841人)が不合格でした。毎年800〜1,000人前後が涙をのんでいる計算です。[1]
まとめ
医師国家試験は、合格率だけ見れば約9割の試験です。しかしその数字は選抜済みの集団での9割であり、新卒と既卒では別物、落ちる人は必修・禁忌肢の取りこぼしや弱点の放置でつまずきます。難易度は平均合格率ではなく構造で読む——そう捉えれば、やるべきことは「現役のうちに弱点を残さない」というシンプルな一点に絞れます。直近回の合格基準を確定値で確認したい場合は第120回医師国家試験のボーダーを、直近回が本当に難化したのかを出題データで確かめたい場合は第120回医師国家試験は難化したのかを参照してください。
出典
- 1.一次資料厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」 mhlw.go.jp(2026-06-28 取得)
- 2.一次資料厚生労働省「医師国家試験の施行について」 mhlw.go.jp(2026-06-28 取得)
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