A-DROP スコアの計算|5項目のうち1〜2個で中等症、3個で重症。敗血症性ショックがあれば1項目でも超重症
目次
A-DROP は、日本呼吸器学会の成人肺炎診療ガイドライン2024が、市中肺炎の重症度の評価に使う5項目のスコアです。当てはまる項目を数えて、0個は軽症、1〜2個は中等症、3個は重症、4〜5個は超重症とします。敗血症性ショックがあれば、1項目のみでも超重症です。[1]
5項目と、それぞれの閾値
ガイドラインの表1は、5項目を次のように定めています。[1]
- A(Age)……男性70歳以上、女性75歳以上
- D(Dehydration)……BUN 21mg/dL 以上、または脱水あり
- R(Respiration)……SpO₂ 90%以下(PaO₂ 60Torr 以下)
- O(Orientation)……意識変容あり
- P(Blood Pressure)……収縮期血圧 90mmHg 以下
年齢は男女で閾値が違います。血圧は収縮期だけを見ます。
区分は4つ。敗血症性ショックは点数とは別に見る
- 軽症……5項目のいずれも満たさない
- 中等症……1つまたは2つ
- 重症……3つ
- 超重症……4つまたは5つ。敗血症性ショックがあれば1項目のみでも超重症
ガイドラインのフローチャートは、重症度の判断より前に「敗血症性ショックの有無の判断」を置いています。[1]
何点で入院か
ガイドラインは、肺炎と診断したら治療の場(外来・一般病棟・ICU)を決める必要があるとして、その判定に A-DROP を使っています。[1]
市中肺炎のフローチャートでは、軽症(0点)は外来の枠だけに入り、重症(3点)以上は入院の枠だけに入ります。重症は一般病棟か ICU、超重症と敗血症性ショックは ICU またはこれに準ずる病室です。中等症(1〜2点)は外来と入院の両方の枠に入っていて、点数だけでは決まりません。[1]
その前に、反復する誤嚥性肺炎や、疾患末期・老衰と考えられる状態かを確かめる分岐があり、当てはまれば個人の意思や QOL を考慮した治療・ケアに進みます。ガイドラインの委員会は、A-DROP を使って入退院を決めた論文はこれまでに無かったと記録しています。[1]
CURB-65 との違い
ガイドラインは、A-DROP を英国の CURB-65 を改良したスコアとしています。項目の並びは近く、違うのは閾値と呼吸の見方です。[1]
- 年齢……CURB-65 は65歳以上。A-DROP は男性70歳以上・女性75歳以上
- 腎機能と脱水……CURB-65 は尿素 7mmol/L 超。A-DROP は BUN 21mg/dL 以上か脱水あり
- 呼吸……CURB-65 は呼吸数30回/分以上。A-DROP は SpO₂ 90%以下(PaO₂ 60Torr 以下)
- 血圧……CURB-65 は収縮期90mmHg 未満か拡張期60mmHg 以下。A-DROP は収縮期90mmHg 以下だけ
- 意識……CURB-65 は Confusion、A-DROP は意識変容
ガイドラインは14編の観察研究をまとめ、短期死亡の予測能をほぼ同じと評価しました。AUC は A-DROP 0.79、CURB-65 0.78、PSI 0.79 です。[1]
そのうえで A-DROP による評価を弱く推奨しています(エビデンスの確実性 C)。身体診察と基本的な採血でつけられること、DPC の臨床指標に入っていて国内で広く使われていることを理由に挙げています。[1]
死亡とは相関するが、悪化の予測には向かない
ガイドラインは、A-DROP は死亡率とはよく相関する一方で、肺炎の進行を予測するのには向かないと書いています。そのため、敗血症の有無を見る qSOFA の項目もあわせて考えます。[1]
qSOFA の血圧の閾値は収縮期100mmHg 以下で、A-DROP の90mmHg 以下とは違います。3項目の数え方はqSOFA スコアの3項目と閾値にあります。
医療・介護関連肺炎と院内肺炎では
医療・介護関連肺炎(NHCAP)でも、A-DROP か I-ROAD のどちらかによる重症度の評価を弱く推奨しています。こちらは耐性菌のリスクの判断とあわせて使います。院内肺炎(HAP)の重症度は、フローチャートでは I-ROAD で判断します。[1]
iwor で計算する
iwor の計算ツールでは、5項目と敗血症性ショックの有無を選ぶと、点数と4つの区分が出ます。出すのは区分までで、治療の場や抗菌薬の選び方は出しません。
よくある質問
意識変容は何で判断しますか
表1は「意識変容あり」とだけ書いていて、GCS などの基準は付いていません。同じガイドラインの qSOFA の表は、注で厳密には GCS 15未満としています。[1]
外来でも使えますか
使えます。ガイドラインは、PSI は煩雑で外来では使いにくいため、A-DROP による評価を勧めるとしています。[1]
まとめ
A-DROP は5項目の数で、軽症・中等症・重症・超重症に分けます。敗血症性ショックがあれば1項目でも超重症です。区分は治療の場を決める材料の1つで、悪化を見るには qSOFA の項目もあわせて考えます。
出典
- 1.一次資料日本呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン2024」 jrs.or.jp(2026-09-22 取得)
- 2.一次資料Thorax(PubMed)「Lim WS, van der Eerden MM, Laing R, et al. Defining community acquired pneumonia severity on presentation to hospital: an international derivation and validation study. Thorax. 2003;58(5):377-382.」 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov(2026-09-22 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制