JCS の計算のしかた|足し算ではなく桁で決める。不穏は R、失禁は I を後ろに付ける
目次
JCS は足し算をしないスケールです。まず覚醒の様子で桁を決めて、その桁の中から1つ選びます。刺激しなくても覚醒していれば1桁、刺激すると覚醒するなら2桁、刺激しても覚醒しなければ3桁です。[1]
桁が決まれば、残りは3択です。全部で9段階です。
9段階の中身
脳卒中治療ガイドライン2009の付録 表1 は、次の9段階です。[1]
Ⅲ 刺激をしても覚醒しない(3桁)
- 300 痛み刺激に全く反応しない
- 200 痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめる
- 100 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
Ⅱ 刺激すると覚醒する(2桁)
- 30 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼する
- 20 大きな声または体を揺さぶることにより開眼する
- 10 普通の呼びかけで容易に開眼する
Ⅰ 刺激しないでも覚醒している(1桁)
- 3 自分の名前、生年月日が言えない
- 2 見当識障害がある
- 1 意識清明とは言えない
3桁は痛み刺激への反応、2桁は何をすれば開眼するか、1桁は覚醒したうえで何がずれているか。桁ごとに見ているものが違うので、桁を先に決めると迷いません。意識清明は0として扱い、表の9段階には入りません。意識変容を項目に持つスコアはqSOFA スコアの3項目と閾値にもあります。
R・I・A は数字の後ろに付ける
数字だけでは表せない状態には、3つの記号が用意されています。
- R … Restlessness(不穏)
- I … Incontinence(失禁)
- A … Apallic state(失外套状態)または Akinetic mutism(無動性無言)
書き方は「30R」または「30 不穏」、「20I」または「20 失禁」です。記号でも日本語でもかまいません。[1]
足し算をしないので、合計点は出ない
GCS は開眼・言語・運動の3つを別々に点にして足しますが、JCS は1つ選ぶだけです。だから「JCS 何点」という合計は存在しません。[1]
GCS の付け方はGCS の計算のしかたにまとめています。作りが違うので、数字の大小の向きも逆です。JCS は数字が大きいほど重く、GCS は小さいほど重くなります。
GCS への換算表はあるが、診療で置き換えるものではない
JCS を GCS に換算する方法は、2023年に妥当性が検証されて報告されています。日本の救急外来3施設の成人8,194人を対象に、JCS ごとの GCS の中央値から換算表を作り、別のコホートで確かめています。[2]
検証コホートでの完全一致率は80.3%、1カテゴリーのずれを許容した一致率は93.2%でした。[2]
この研究が想定しているのは、JCS しか入っていない国内のデータベースを、世界で通用する GCS に直して解析する場面です。目の前の患者さんの GCS を、JCS の数字から逆算するのには使えません。診療では、それぞれのスケールで患者さんを見て付けます。[2]
出どころは1975年の報告
JCS は、太田富雄・和賀志郎・半田肇らが1975年の第3回脳卒中の外科研究会講演集で報告した方式です。3桁・2桁・1桁の中がそれぞれ3段階なので、3-3-9度方式とも呼ばれます。[1]
国内で広く使われている一方、国際的には GCS が標準なので、論文にするときは GCS が求められます。[2]
表を思い出さずに付ける
救急外来で表を思い出しながら選ぶのは、慣れないうちは手間です。iwor の計算ツールなら、段階を1つ選ぶだけで、R や I の付記まで含んだ表記が出ます。ほかのスコアの付け方はChild-Pugh 分類の点の付け方にもまとめています。
画像の側で使うASPECTS の付け方もまとめています。
よくある質問
JCS は合計点ですか
違います。9段階から1つ選ぶだけなので、足し算はしません。「JCS 何点」という合計は出ません。
「30R」はどういう意味ですか
呼びかけを繰り返しながら痛み刺激を加えるとかろうじて開眼し(30)、かつ不穏がある(R)状態です。「30 不穏」と書いても同じです。
JCS から GCS に直せますか
研究のための換算表はあります。ただし完全一致率は80.3%で、診療で数字を置き換えるのには向きません。[2]
数字が大きいほど重いのですか
重くなります。意識清明を0として、表に並ぶのは1から300の9段階で、300が最も重い状態です。GCS とは向きが逆なので、並べて書くときは注意してください。
まとめ
JCS は足し算ではありません。覚醒の様子で桁を決めて、その中から1つ選びます。不穏は R、失禁は I、失外套状態や無動性無言は A を数字の後ろに付けます。
GCS への換算表は研究のために作られたもので、診療では置き換えません。数字の向きも逆なので、両方を書くときは取り違えないようにしてください。
出典
- 1.一次資料脳卒中合同ガイドライン委員会(日本神経治療学会のサイトに掲載)「脳卒中治療ガイドライン2009 付録 表1 Japan Coma Scale(p.341)」 jsnt.gr.jp(2026-09-21 取得)
- 2.一次資料Journal of Epidemiology(J-STAGE・オープンアクセス)「Nakajima M, Okada Y, Sonoo T, Goto T. Development and Validation of a Novel Method for Converting the Japan Coma Scale to Glasgow Coma Scale. J Epidemiol. 2023;33(10):531-535.」 doi.org(2026-09-21 取得)
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