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CHA₂DS₂-VASc スコアの使いどころ|日本では推奨クラス IIb、IIa は HELT-E2S2

iwor 編集部4分で読めます
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目次

心房細動の塞栓症リスク評価について、日本のガイドラインは順番を決めています。2024年のフォーカスアップデート版では、CHADS₂ を用いるのが推奨クラス I です。HELT-E2S2 の使用を考慮するのが IIa、CHA₂DS₂-VASc の使用を考慮してもよいのが IIb になります。[1]

日本が CHADS₂ を基本にしている理由

2020年改訂版のガイドラインは、わが国の3つのレジストリーの統合解析を挙げています。J-RHYTHM Registry・Fushimi AF Registry・Shinken Database の3つです。そこでは、CHA₂DS₂-VASc が追加した年齢65〜74歳・血管疾患・女性が、日本人の抗凝固療法未施行例で血栓塞栓症の有意な危険因子ではありませんでした。[2]

そのうえで、現時点では日本人のリスク評価に CHADS₂ スコアを基本にすることが適切だと判断した、と書いています。2024年の改訂は、その基本を保ったまま HELT-E2S2 を IIa に置き、CHA₂DS₂-VASc を IIb にしました。[2],[1]

違いは3因子の追加だけではない

「CHADS₂ に3つの因子を足したものが CHA₂DS₂-VASc」と説明されることがありますが、配点の違いは4か所あります。[2]

  • 年齢65〜74歳に1点(CHADS₂ には無い)
  • 血管疾患に1点(CHADS₂ には無い)
  • 女性に1点(CHADS₂ には無い)
  • 年齢75歳以上の配点が、CHADS₂ の1点から2点に変わる
[2]

4つ目は見落とされやすいところです。75歳以上の患者では、追加された3因子がひとつも当てはまらなくても点数がずれます。

同じ患者で、点数はどれだけ変わるか

年齢の3区分・性別・心不全・高血圧・糖尿病・脳卒中の既往・血管疾患を組み合わせた192通りで両方を計算すると、点数が一致するのは16通りだけです。残りの176通りでは食い違い、差は最大3点になります。

  • 66歳・女性・ほかに危険因子なし:CHADS₂ は0点、CHA₂DS₂-VASc は2点
  • 68歳・女性・高血圧のみ:CHADS₂ は1点、CHA₂DS₂-VASc は3点

上の例では、増えた分がそのまま「年齢65〜74歳」と「女性」です。どちらのスコアで話しているかを先に決めておかないと、同じ患者の話が噛み合いません。

点数に入らないリスクがある

ガイドラインは「その他のリスク」として、心筋症、年齢65〜74歳、血管疾患、持続性心房細動、低体重(50kg以下)、腎機能障害、左房径45mm超を挙げています。CHADS₂ に含まれない因子という位置づけです。点数だけで抗凝固療法の可否が決まるわけではない、という前提がここにあります。[2]

出血のリスクを見る HAS-BLED の付け方は、HAS-BLED スコアの計算にまとめています。

iwor の計算ツールで出せること

iwor の臨床計算ツールにある心房細動のスコアは、CHADS₂ と CHA₂DS₂-VASc を同時に出します。CHA₂DS₂-VASc だけが多く付けた点数も一緒に表示するので、差が何点かがその場で分かります。推奨クラスも画面に添えてあります。

HELT-E2S2 は扱っていません。抗凝固療法をどうするかも出しません。点数と、点数に含まれない因子があることまでです。同じ場所にある体表面積(BSA)はどの式で計算するかも、日本と海外で基準が違う例です。境界の値の扱いで点数が変わる例はChild-Pugh 分類の点の付け方にまとめました。

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よくある質問

海外の論文に合わせるなら CHA₂DS₂-VASc を使うべきですか

どちらを使うかは目的で決まります。国内のガイドラインに沿って評価するなら CHADS₂ が推奨クラス I で、CHA₂DS₂-VASc は IIb です。海外の文献と比べるときは、相手がどのスコアで書いているかを先に確かめてください。[1]

女性というだけで1点が付くのはなぜですか

CHA₂DS₂-VASc の配点にそう定められているためです。ただし日本のガイドラインは、国内3レジストリーの統合解析で女性が血栓塞栓症の有意な危険因子ではなかったとして、CHADS₂ を基本に置いています。[2]

2つのスコアで点数が食い違ったらどこを見ますか

差がどの項目から来たかを見てください。年齢65〜74歳・血管疾患・女性・75歳以上の配点のいずれかです。そのうえで、スコアに含まれない因子も併せて主治医が判断する部分になります。

まとめ

日本のガイドラインでは CHADS₂ が推奨クラス I、HELT-E2S2 が IIa、CHA₂DS₂-VASc が IIb です。CHADS₂ と CHA₂DS₂-VASc の差は3因子の追加に加えて、年齢75歳以上の配点が1点から2点に変わる点を含めた4か所にあります。192通りのうち176通りで点数が食い違うので、どちらで話しているかを先に決めておくと行き違いが減ります。

出典

  1. 1.一次資料日本循環器学会/日本不整脈心電学会「2024年 JCS/JHRS ガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療(表19 心房細動患者における心原性塞栓症のリスク評価の推奨とエビデンスレベル)」 j-circ.or.jp(2026-09-08 取得)
  2. 2.一次資料日本循環器学会/日本不整脈心電学会「2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン(表30・表31 各スコアの配点/表29 脚注 その他のリスク)」 j-circ.or.jp(2026-09-08 取得)

本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制

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