Child-Pugh 分類の点の付け方|境界の値はすべて2点側、PBC はビリルビンの基準が違う
目次
同じ患者なのに計算機によって点数が変わることがあります。原因は境界の扱いです。日本消化器病学会・日本肝臓学会の肝硬変診療ガイドライン2020 の表では、境界にちょうど当たる値はすべて2点側に入ります。[1]
5項目の配点と、境界の値
評点は1点・2点・3点の3段階で、項目は肝性脳症・腹水・血清ビリルビン値・血清アルブミン値・凝固能の5つです。
- 肝性脳症:なし1点/軽度(Ⅰ・Ⅱ)2点/昏睡(Ⅲ以上)3点
- 腹水:なし1点/軽度2点/中度量以上3点
- 血清ビリルビン値:2.0mg/dL未満1点/2.0〜3.0mg/dLが2点/3.0mg/dL超3点
- 血清アルブミン値:3.5g/dL超1点/2.8〜3.5g/dLが2点/2.8g/dL未満3点
- プロトロンビン時間活性値:70%超1点/40〜70%が2点/40%未満3点
- 国際標準比(INR):1.7未満1点/1.7〜2.3が2点/2.3超3点
並べて見ると、1点の側は「未満」か「超」で、2点の側が境界を含みます。ビリルビン2.0と3.0mg/dL、アルブミン3.5と2.8g/dL、PT活性値70と40%、INR 1.7と2.3は、いずれも2点です。境界ちょうどの値が出たときに、どちらへ倒すかで class が変わることがあります。
PBC ではビリルビンの基準が変わる
表には脚注があり、血清ビリルビン値は胆汁うっ滞(PBC)の場合、4.0mg/dL未満を1点とし、10.0mg/dL以上を3点とする、と定められています。[1]
通常の2.0と3.0mg/dL のままで計算すると、PBC の患者では点数が高く出ます。原発性胆汁性胆管炎ではビリルビンが胆汁うっ滞そのものを反映するので、肝予備能の指標としての意味が変わる、という趣旨です。計算機がこの脚注を持っていなければ、自分で読み替えます。
凝固能は、どちらか一方だけ
表にはプロトロンビン時間活性値と INR の両方が載っていますが、合計するのは5項目です。凝固能はどちらか一方を使います。両方を足すと6項目分になり、点数が過大になります。[1]
合計点で class が決まり、5〜6点が class A、7〜9点が class B、10〜15点が class C です。
腹水の「軽度」「中度量以上」には、量の目安がある
腹水と肝性脳症は、ほかの3項目と違って数値で決まりません。ここが施設や評価者で振れるところですが、目安が公表されている場面があります。
ガイドラインは参考として、厚生労働省の身体障害者手帳の診断書に、Child-Pugh 分類に基づく腹水の程度と量の記載欄があることを紹介しています。[1]
その注釈は「原則として,超音波検査,体重の増減,穿刺による排出量を勘案して見込まれる量が概ね 1 L 以上を軽度,3 L 以上を中程度以上とする」です。[1]
iwor の計算ツールで出せること
iwor の臨床計算ツールにある Child-Pugh 分類は、5項目を選ぶと点数と class を出します。凝固能はプロトロンビン時間活性値と INR のどちらか一方を選ぶ形で、両方を足してしまうことがありません。
点数と class までで、治療の可否は出しません。日本と海外で基準が分かれるもうひとつの例はCHA₂DS₂-VASc スコアの使いどころにまとめました。基準そのものが改訂された例は急性期DIC診断基準は2025年6月に変わったにあります。点数はそのままで表の名前が見直された例は、GCS の計算のしかたにまとめました。そもそも点数を足さない分類の例はASA-PS分類の付け方へ。
iwor なら、臨床の計算を出典つきで確かめられます。
腎機能・体格・検査値・重症度スコアの計算がそろっていて、どれも発行元と表題つきの出典が付きます。当直やオンコールの表づくり、ふるさと納税の上限もここでできます。iwor は医師のためのワークスペースです。
無料ではじめるよくある質問
ビリルビンがちょうど2.0のときは1点ですか2点ですか
2点です。表は1点の側を「2.0未満」、2点の側を「2.0〜3.0」としているので、境界の値は2点側に入ります。3.0も同じく2点で、3点になるのは「3.0超」からです。[1]
PT活性値と INR の両方が分かるときはどちらを使いますか
どちらか一方です。合計するのは5項目なので、両方を足すと点数が過大になります。どちらを使うかは施設の運用によります。
点数が資料によって違うことがあるのはなぜですか
同じ Child-Pugh でも、どの資料の表を採るかで境界や脚注の扱いが変わります。iwor のものも含めて、どの表に基づいた値なのかを確かめてください。
まとめ
Child-Pugh は5項目・15点満点で、5〜6点が A、7〜9点が B、10〜15点が C です。押さえておきたいのは3つ。境界にちょうど当たる値はすべて2点側に入ること、胆汁うっ滞ではビリルビンの基準が4.0と10.0に変わること、凝固能はどちらか一方だけを使うこと。腹水と肝性脳症は数値ではないぶん、診断書のような場面では国の側の目安が効いてきます。[1]
出典
- 1.一次資料日本消化器病学会・日本肝臓学会「肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)各種分類・診断基準「3.Child-Pugh 分類」(p.xxiv)、腹水治療フローチャートの【参考】(p.xxi)、肝性脳症の昏睡度分類の註(p.xxiii)」 jsge.or.jp(2026-09-08 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制