GCS の計算のしかた|E・V・M の点の付け方と、挿管中は V を「NT」にする
目次
GCS は、開眼・言語・運動の3つ(E・V・M)で、それぞれいちばん良い反応の点を足します。満点は E が4点、V が5点、M が6点なので、合計は3〜15点です。[1],[4]
カルテや申し送りでは、合計だけでなく「E3V4M6」のように内訳も書きます。4〜14点の合計には E・V・M の組み合わせが118通りあって、合計だけでは中身が伝わらないからです。[2]
E・V・M の点数表
開眼(E)
- 4点 自発開眼:刺激する前から目を開けている
- 3点 音声で開眼:話しかけるか、大きな声で指示すると開ける
- 2点 圧迫で開眼:指先を圧迫すると開ける
- 1点 開眼しない:開けない。ほかに評価を邪魔するものもない
言語(V)
- 5点 見当識あり:名前・場所・日付を正しく言える
- 4点 混乱した会話:見当識はないが、はっきりやりとりできる
- 3点 発語のみ:はっきりした単語は言える
- 2点 発声のみ:うめき声やうなり声だけ
- 1点 発声なし:声が聞こえない。ほかに評価を邪魔するものもない
運動(M)
- 6点 指示に従う:2段階の指示に従える
- 5点 刺激部位がわかる:頭や首への刺激に、手を鎖骨より上まで持ってくる
- 4点 正常屈曲:肘をすばやく曲げる。異常屈曲の特徴はない
- 3点 異常屈曲:肘を曲げる。ほとんどに異常屈曲の特徴がある
- 2点 伸展:肘を伸ばす
- 1点 まったく動かさない:手も足も動かさない。ほかに評価を邪魔するものもない
覚えるときは、満点が E4・V5・M6 と1つずつ増えるところを先に入れておくと楽です。
刺激は、声 → 指先 → 僧帽筋か眼窩上切痕の順に
まず話しかけて、反応がなければ大きな声で指示します。それでも目を開けなければ、指先を圧迫します。
M の5点は、頭や首への刺激に手を持ってくるかで決まります。確かめるときは、僧帽筋をつまむか、眼窩上切痕を押します。
胸骨をこぶしでこする刺激は、公式サイトがはっきり勧めていません。あざになりやすく、反応も読みにくいからです。[3]
迷いやすいのは M の4点と3点
刺激で肘を曲げたとき、4点の正常屈曲か、3点の異常屈曲かで迷います。評価表は、曲げ方の特徴で分けています。
- 異常屈曲(3点):ゆっくりした常同運動/上肢が胸の前でクロスする/前腕が内旋する/母指を握る/下肢を伸展する
- 正常屈曲(4点):素早い/変動する/腕が体幹から離れる
5点との境目は、手がどこまで来るかです。刺激した場所に向かって手が鎖骨より上まで来れば5点、肘を曲げるだけなら4点以下です。
挿管中や目が開けられないときは「NT」
評価できない項目は、1点にしないで「NT」と書きます。いちばん多いのは、挿管中や気管切開で話せないときの V です。E と M は、そのまま付けられます。[2]
目のまわりのけがで目が開かないときの E、筋弛緩薬が効いているときの M も NT です。
NT があるときは、合計点を出しません。V を1点として足すと、実際より重く見えてしまうからです。E と M の点を書いて、V は NT と添えます。
教科書の表と名前が違うのは、言い方が見直されたから
日本語の表には、古い名前のままのものがあります。脳卒中治療ガイドライン2009 の付録の表もそうです。段階と点数はそのままで、名前が変わっています。[4]
- E2:痛み刺激により開眼 → 圧迫で開眼
- V3:不適当な発語 → 発語のみ
- V2:理解不明の音声 → 発声のみ
- M6:命令に応じて可 → 指示に従う
- M5:疼痛部へ → 刺激部位がわかる
- M4:逃避反応として → 正常屈曲
- M3:異常な屈曲運動 → 異常屈曲
- M2:伸展反応(除脳姿勢) → 伸展
GCS の発表は1974年です。作った Teasdale らが、40年目の2014年に、こうした名前と評価の手順をまとめ直しました。「痛み」が「圧迫」になった理由のひとつは、実際に加える刺激に名前を合わせるためです。[5],[3]
JCS の数字から GCS には置き換えない
JCS は、覚醒の程度を1〜300の9段階で表します。GCS は、3つの反応を別々に点にします。[4]
作りが違うので、JCS の数字から GCS を出すのではなく、患者さんを見てそれぞれ付けます。JCS の付け方はJCS の計算のしかたにまとめています。
救急外来で表を思い出しながら数えるのは、慣れないうちは意外と手間です。iwor の計算ツールなら、E・V・M の選択肢を選ぶだけで、合計点と「E3V4M5」の形の内訳が出ます。ほかのスコアの付け方はChild-Pugh 分類の点の付け方にもまとめています。
よくある質問
目を閉じていて、声をかけるとすぐ開けます。E は何点ですか?
3点です。4点は刺激する前から目を開けているときで、声で開けたら「音声で開眼」になります。
V の4点と3点はどう分けますか?
やりとりが成り立つかで分けます。見当識がなくても、はっきり会話ができれば4点。はっきりした単語は出ても、会話にならなければ3点です。
子どもにも同じ表を使えますか?
5歳より上なら、そのまま使えます。それより小さい子は見当識や指示への反応を確かめにくいので、言葉と運動の項目を変えた小児版を使います。[2]
新生児にも同じスコアを使いますか
出生直後は別のスコアです。5項目を0〜2点で足す採点のしかたはAPGARスコアの計算にまとめています。
まとめ
E・V・M のいちばん良い反応を足して3〜15点、書くときは内訳まで。評価できない項目は1点にせず NT にして、合計は出さない。この2つを押さえておけば、表の名前が古くても新しくても迷いません。
出典
- 1.一次資料Glasgow Coma Scale 公式サイト(glasgowcomascale.org)「GLASGOW COMA SCALE: Do it this way 日本語版(評価表・© Sir Graham Teasdale 2015)」 glasgowcomascale.org(2026-09-16 取得)
- 2.一次資料Glasgow Coma Scale 公式サイト(glasgowcomascale.org)「Frequently Asked Questions(1. 評価を妨げる因子/2. 子どもへの使用/7. Scale と Score)」 glasgowcomascale.org(2026-09-16 取得)
- 3.一次資料Glasgow Coma Scale 公式サイト(glasgowcomascale.org)「GCS Aid: Structured Assessment(Eye and Verbal Scales/Motor Response/Stimulation)」 glasgowcomascale.org(2026-09-16 取得)
- 4.一次資料脳卒中合同ガイドライン委員会(日本神経治療学会のサイトに掲載)「脳卒中治療ガイドライン2009 付録 表1 Japan Coma Scale・表2 Glasgow Coma Scale(p.341)」 jsnt.gr.jp(2026-09-16 取得)
- 5.一次資料The Lancet(PubMed)「Teasdale G, Jennett B. Assessment of coma and impaired consciousness. A practical scale. Lancet. 1974;2(7872):81-84.」 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov(2026-09-16 取得)
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