医学論文の読み方|研究デザインごとに、書いてあるはずの項目の一覧が公開されている
目次
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医学論文は全文を読まない。ここまではどの解説も同じことを言います。
残るのは「では、どこを読むか」のほうです。これには公開された答えがあります。研究デザインごとに、報告に入っているはずの項目の一覧が出ているからです。
報告ガイドラインは、読み手の一覧でもある
報告ガイドラインは、論文に何を書くべきかを定めた一覧です。EQUATOR Network が集約していて、700本を超える数が並んでいます。[1]
書き手の作法に見えますが、そうとも限りません。国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)は、雑誌が著者にこれらに従うよう求めることを勧めています。理由として挙げているのは、編集者・査読者・読者・ほかの研究者が評価できるだけの詳しさで研究が記述されることです。[2]
読者が評価できるように、という前提が最初から入っています。だから逆から使えます。書いてあるはずの項目が分かっていれば、飛ばす場所と戻る場所が先に決まります。
デザイン4つと、対応する一覧
臨床で読む論文のほとんどは、次の4つのどれかに当たります。
- ランダム化比較試験 … CONSORT 2025(30項目のチェックリストと、参加者の流れを示す図)
- コホート研究・症例対照研究・横断研究 … STROBE(22項目)
- システマティックレビュー・メタ解析 … PRISMA 2020(27項目)
- 症例報告 … CARE(13項目)
CONSORT は2025年に更新されました。30項目と流れ図という構成です。[3]
STROBE は観察研究の3つのデザインをまとめて扱います。PRISMA 2020 は27項目で、システマティックレビューの報告を対象にしています。CARE の13項目は症例報告のもので、書く側の使い方は英語の症例報告の書き方にあります。[4],[5],[6]
どの一覧を開くかはデザインで決まるので、最初に確かめるのはデザイン名です。STROBE は項目1で、題か抄録にデザインを一般的な用語で示すよう求めています。[4]
一覧を、読む順番に組み替える
STROBE の22項目は、論文の並び(背景・方法・結果・考察)と同じ順に並んでいます。臨床の疑問から読むなら、拾う順番は別になります。[4]
- 項目6(対象)… 組み入れの基準と、参加者の選び方
- 項目16(主な結果)… 調整前と調整後の推定値と、その精度(95%信頼区間など)
- 項目19(限界)… バイアスや不正確さの原因と、その向きと大きさ
このうち項目6は、自分の患者と重なるかを見るところです。
項目16には、読むときにそのまま効く一文が入っています。[4]
If relevant, consider translating estimates of relative risk into absolute risk for a meaningful time period[4]
意味のある期間について、相対リスクの推定値を絶対リスクに直して示すことを検討する、という趣旨です。相対の減り方だけが目立つ書き方になっていないかは、読む側も同じ場所で確かめられます。
項目19も同じ読み方ができます。「限界はあるが」の一言で終わっていれば、向きと大きさはまだ書かれていません。
記入済みのチェックリストが、論文と一緒に出ていることがある
一覧は書き手も使います。そして、書き手が記入したものをそのまま公開している雑誌があります。
PLOS ONE は、臨床試験の投稿に、記入済みの CONSORT チェックリストを supporting information として出すよう求めています。受理されれば論文と一緒に公開されるとしています。システマティックレビューでは PRISMA のチェックリストを同じ扱いにしています。[8]
メンデルランダム化の研究では、ページ番号と該当する本文を記入した STROBE-MR のチェックリストを求めています。どの項目をどこに書いたかを、著者自身が申告した表になります。[8]
本文に入る前に supplementary の一覧を開くと、探している項目の在り処が先に分かることがあります。
日本語で当たりをつけてから、原文のその場所を開く
一覧があっても、読む論文を選ぶ手間は残ります。iwor では、29領域・127誌の新着が毎日ライブラリに入り、週1回は「今週の要チェック」の号になります。PubMed の URL・PMID・DOI を貼れば、号の外の論文も同じ形で読めます。
日本語の要点で当たりをつけて、確かめたいところだけ原文を開く。探す側の話はPubMed の使い方にあります。要約の道具の選び方は医学論文の要約AIにまとめました。
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無料ではじめるよくある質問
デザインが書いていない論文はどう読みますか
方法の最初の段落を見ます。STROBE は項目1で、題か抄録にデザインを一般的な用語で示すよう求めているので、そこに無いこと自体が読み取りになります。[4]
項目が抜けていたら、その論文は読まないほうがいいですか
抜けているのは報告であって、研究そのものの評価とは別です。分かるのは「その項目は確かめられない」ということで、そこから先の判断は読み手のものになります。
日本語の論文にも使えますか
使えます。報告ガイドラインは言語を問わない報告の作法で、CARE は日本語訳も公開されています。[7]
抄読会で発表するときも同じ順番でいいですか
読む順番と、人に見せる順番は別です。並べ方は抄読会スライドの作り方にまとめています。
まとめ
医学論文の読み方でつまずくのは、英語よりも「どこを読むか」のほうです。研究デザインが決まれば、書いてあるはずの項目の一覧が決まります。ランダム化比較試験は CONSORT 2025 の30項目、観察研究は STROBE の22項目。システマティックレビューは PRISMA 2020 の27項目、症例報告は CARE の13項目です。
出典
- 1.一次資料EQUATOR Network「Enhancing the QUAlity and Transparency Of health Research(Search 700+ reporting guidelines)」 resources.equator-network.org(2026-09-25 取得)
- 2.一次資料ICMJE(国際医学雑誌編集者委員会)「Recommendations — Preparing for Submission(Reporting Guidelines)」 icmje.org(2026-09-25 取得)
- 3.一次資料CONSORT / SPIRIT「CONSORT 2025 statement(30-item checklist and flow diagram)」 consort-spirit.org(2026-09-25 取得)
- 4.一次資料STROBE Statement「STROBE Statement—Checklist of items that should be included in reports of cohort studies」 strobe-statement.org(2026-09-25 取得)
- 5.一次資料BMJ「The PRISMA 2020 statement: an updated guideline for reporting systematic reviews(BMJ 2021;372:n71)」 doi.org(2026-09-25 取得)
- 6.一次資料CARE Case Report Guidelines「CARE Checklist — CARE Case Report Guidelines」 care-statement.org(2026-09-25 取得)
- 7.一次資料CARE Case Report Guidelines「Japanese - CARE Checklist for case reports (2013)」 care-statement.org(2026-09-25 取得)
- 8.一次資料PLOS ONE「Submission Guidelines(Reporting guidelines / Supporting information)」 journals.plos.org(2026-09-25 取得)
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