医師の開業の手順|診療所は開設後10日以内に届出、保険診療には別に保険医療機関の指定が要る
目次
医師が診療所を開業するときの手続きは、法律2本で2段に分かれます。医療法で診療所を開き、健康保険法で保険診療ができる状態にします。
1段目の医療法では、臨床研修等修了医師が病床のない診療所を開設したときは、開設の許可は要らず、届出です。期限は開設後10日以内です。[1]
病床のない診療所は「許可」ではなく「届出」
医療法の第8条は、臨床研修等修了医師が診療所を開設したときは、開設後10日以内に所在地の都道府県知事に届け出なければならない、と定めています。[1]
届出先は、所在地が保健所を設置する市や特別区の区域にあるなら、その市長や区長です。開設する場所で届出先が変わるので、自治体の窓口を先に確かめます。[1]
開設の前に出す手続きではなく、開設したあとに10日以内に出す手続きだという点が、許可制の病院とは違います。
ただし診療所に病床を設けるときは、臨床研修等修了医師でも、病床を設ける前に都道府県知事の許可が要ります。[1]
臨床研修等修了医師でない者の開設は、許可制
同じ医療法の第7条は、臨床研修等修了医師でない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない、としています。病院の開設も許可制です。[1]
保険診療をするなら、2段目の手続きが要る
診療所を開設しただけでは、健康保険を使った診療はできません。健康保険法の第65条は、保険医療機関の指定は病院や診療所の開設者の申請によって行う、としています。[2]
指定とは別に、そこで診療する医師個人にも条件があります。第64条は、保険医療機関で健康保険の診療に従事する医師は、厚生労働大臣の登録を受けた保険医でなければならない、と定めています。[2]
- 診療所の開設 … 医療法第8条。臨床研修等修了医師が病床のない診療所を開くなら開設後10日以内に届出
- 保険医療機関の指定 … 健康保険法第65条。開設者が申請する
- 保険医の登録 … 健康保険法第64条。診療する医師が受けている必要がある
勤務医として保険診療をしてきた人は、保険医の登録をすでに受けています。開業で新たに要るのは、診療所としての届出と、保険医療機関としての指定のほうです。
資金は、診療科と物件で大きく変わる
開業にかかる金額は、診療科、テナントか戸建てか、検査機器をどこまで揃えるかで大きく変わります。
勤務医のうちの所得と税の扱いは医師のバイトの確定申告にまとめています。
開業のほかに、勤めながら別の要件を積む進路もあります。産業医の要件と手続きは産業医の資格の取り方にまとめています。
iwor なら、臨床の計算を出典つきで確かめられます。
腎機能・体格・検査値・重症度スコアの計算がそろっていて、どれも発行元と表題つきの出典が付きます。当直やオンコールの表づくり、ふるさと納税の上限もここでできます。iwor は医師のためのワークスペースです。
無料ではじめるよくある質問
診療所の開設届はいつまでに出しますか
臨床研修等修了医師が診療所を開設した場合は、開設後10日以内です。[1]
どこに届け出ますか
所在地の都道府県知事です。保健所を設置する市や特別区の区域なら、その市長や区長になります。
保険医の登録はやり直しますか
勤務医として保険診療をしてきたなら、保険医の登録はすでに受けています。開業で新たに要るのは、保険医療機関としての指定です。
まとめ
開業の手続きは2段です。医療法で診療所を開設し、臨床研修等修了医師が病床のない診療所を開くなら開設後10日以内に届け出ます。臨床研修等修了医師でない者の開設と、病床を設けることは許可制です。
保険診療をするなら、健康保険法で開設者が保険医療機関の指定を申請します。診療する医師は保険医の登録を受けていなければなりません。
出典
- 1.一次資料e-Gov 法令検索(デジタル庁)「医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第七条(病院・診療所の開設の許可)・第八条(臨床研修等修了医師が診療所を開設したときの届出=開設後十日以内)」 laws.e-gov.go.jp(2026-09-22 取得)
- 2.一次資料e-Gov 法令検索(デジタル庁)「健康保険法(大正十一年法律第七十号)第六十四条(保険医)・第六十五条(保険医療機関の指定は開設者の申請により行う)」 laws.e-gov.go.jp(2026-09-22 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制