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専攻医のバイト|バイト先と自院を合わせた上限がかかる。960時間と1,860時間の分かれ目

iwor 編集部6分で読めます
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目次

専攻医のバイトは禁じられていません。ただし2024年4月から、バイト先と自院を合わせた時間に医師個人の上限がかかります。その上限が年960時間なのか1,860時間なのかは、本務先だけでは決まりません。勤務先のどれかで特例水準の特定医師として働いていれば、そちらの上限が自分に適用されます。

上限は2種類あり、バイトに効くのは片方だけ

労働基準法141条は、医師の上限を2つに分けています。2項の「特別延長時間の上限」は、36協定で延長できる時間の上限です。厚生労働省のQ&Aは、この上限について、副業・兼業の有無にかかわらず自らの医療機関における時間外・休日労働時間のみで範囲内に収める、としています。[1]

もう一方の3項の上限は、特定医師個人に対する時間外・休日労働時間の上限です。こちらは副業・兼業があった場合、バイト先での時間と自らの医療機関での時間を合わせた時間数で範囲内かどうかを見ます。バイトの本数に効くのは、この個人の上限のほうです。スポットバイトのサイトの仕組み(派遣ではなく職業紹介)と許可の確かめ方は医師のスポットバイトのサイトにまとめています。雇われて働く副業と、雇用によらない副業で通算の扱いが分かれる点は医師の副業の種類へ。[1]

水準ごとの上限と、上限とセットの休息のルールは医師の働き方改革の上限にまとめています。

個人の上限が960か1,860かは、勤務先のどれかで決まる

個人の上限は、A水準で1年960時間、連携B水準・B水準・C水準で1年1,860時間です。どちらも1か月100時間未満という上限が別にかかります。[1]

ここが取り違えやすいところで、適用される上限は本務先の水準では決まりません。A水準の病院でA水準の特定医師として勤務する人が、B水準の病院でB水準の特定医師として副業・兼業を始めたとします。Q&Aは、この医師にB水準の上限が適用されると書いています。逆に、B水準の病院で働く人がA水準の病院で勤務を始めた場合も、引き続きB水準の上限が適用されます。[1]

そのうえで、各病院での時間外・休日労働はその病院の36協定の範囲内に収まる形になります。個人の上限に余裕があっても、勤務先ごとの枠は別にかかります。[1]

専攻医に関係が深いのは2つの水準です。C-1水準は、臨床研修および専門研修に関わる業務のために設けられました。連携B水準は、自院での時間外・休日労働が年960時間以内でも、副業・兼業先と通算すると年960時間を超える場合のための水準です。[2]

自分にどれが適用されるかは、勤務先それぞれの指定と、そこで従事している業務で決まります。答えは求人の側ではなく、勤務先の労務担当の側にあります。

宿日直許可は「その許可の範囲」だけを規制の外に出す

同じ当直でも、宿日直許可のあるものと無いものでは扱いが違います。厚生労働省は、労働基準監督署長の許可を受けた場合にはその許可の範囲で労働基準法上の労働時間規制が適用除外となる、と説明しています。上限規制との関係で労働時間としてカウントされない、とも書いています。[3]

範囲という言葉が効きます。宿日直の許可は、所属診療科・職種・時間帯・業務の種類などを限って得ることもできます。深夜の時間帯のみ、病棟宿日直業務のみといった許可もあり、外に出るのはその範囲だけです。[3]

許可の前提も定められています。一般の宿直業務以外には特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務に限られることや、宿直の場合は夜間に十分睡眠がとり得ることです。

休息の側にも効きます。宿日直許可を得た宿日直に、業務の開始から24時間を経過するまでに連続して9時間以上従事する場合、9時間の連続した休息が確保されたものとみなされます。9時間未満の場合は、9時間の連続した休息を別に確保する扱いです。[2]

許可が当直という名前に付いてくることはありません。応募の前に、その勤務に宿日直許可があるか、許可の範囲がどこまでかを募集元に聞いておきます。

移動時間は労働時間に入らない

バイト先への移動時間は各職場に向かう通勤時間であり、労働時間に該当しないため勤務間インターバルに含めることができます。遠距離の自動車の運転などで休息が取れない場合には、別に休息時間を確保するための配慮が要るとされています。[2]

始める前に確かめる3つ

  • 本務先の手続き。公立病院などでは兼業に事前の許可が要ります。就業規則と研修プログラムの定めを先に見る
  • 自分に適用される個人の上限。勤務先のどれかで特例水準の特定医師として働いていれば、そちらの上限が自分に適用される
  • そのバイトの宿日直許可と、その範囲。診療科・時間帯・業務を限った許可があり、規制の外に出るのはその範囲だけ

時給と勤務地は最後で足ります。上限は健康を守るために引かれた線で、埋めるための枠ではありません。先の3つが分かってから条件を見ると、選ぶ順番が変わります。

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よくある質問

専攻医はバイトをしてはいけないのですか

法令で一律に禁じられてはいません。公立病院などでは事前の許可が要り、本務先の就業規則や研修プログラムの定めにも従います。まず本務先の手続きを確かめます。

バイト先の時間は自院と別に数えられますか

医師個人に対する上限は、バイト先と自院を合わせた時間で見ます。一方、36協定で延長できる時間の上限は、副業の有無にかかわらず自院の時間だけで見ます。

本務先がA水準なら年960時間までですか

勤務先のどれかで特例水準の特定医師として働いていれば、そちらの上限が個人に適用されます。A水準の病院で働く人がB水準の病院で勤務を始めた場合、B水準の上限が適用されます。

寝当直なら時間に数えられませんか

宿日直許可の有無と、その許可の範囲で決まります。許可を受けた範囲は上限規制との関係で労働時間としてカウントされません。募集元に許可の有無と範囲を確かめるのが先です。

バイト先までの移動時間はどう扱われますか

通勤時間にあたるため労働時間には入りません。勤務間インターバルに含めることはできますが、遠距離の運転で休息が取れない場合は別に休息時間が要ります。

まとめ

専攻医のバイトは、2024年4月を境に「バイト先と自院を合わせた1本の時間」の話になりました。自分に何時間の上限がかかるかは本務先だけでは決まらず、勤務先のどれかで特例水準の特定医師として働いているかで変わります。宿日直許可はその許可の範囲だけを規制の外に出します。この3つを先に押さえると、求人を見る順番が変わります。

出典

  1. 1.一次資料厚生労働省労働基準局「医師の時間外労働の上限規制に関するQ&A(令和5年6月版)」 iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp(2026-09-25 取得)
  2. 2.一次資料厚生労働省「医師の働き方改革に関するFAQ(2023年6月7日 ver.)」 iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp(2026-09-08 取得)
  3. 3.一次資料厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関するFAQ(2024年8月6日 ver.)」 iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp(2026-09-08 取得)

本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制

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