ペイシェントハラスメント(ペイハラ)と医師|2026年10月から病院の対策が義務に。相談を理由にした不利益な扱いは法律で禁止
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2026年10月1日から、病院や診療所は、患者や家族などからのハラスメント(カスタマーハラスメント)を防ぐ措置をとる義務を負いました。根拠は改正された労働施策総合推進法33条です。[1],[3]
病院は相談窓口を設けて知らせなければならず、相談したことを理由にした解雇などの不利益な扱いは、同じ条文で禁じられています。
法律がいうカスハラは、3つの要素をすべて満たすもの
- 顧客等の言動であること。顧客等には、病院などの施設の利用者が含まれる
- 医師などが従事する業務の性質などに照らして、社会通念上許容される範囲を超えていること
- それによって、働く人の就業環境が害されること
電話やSNSなど、インターネット上で行われるものも含まれます。
許容される範囲を超える言動の例
- 要求の内容:理由のない要求、契約などで想定しているサービスを著しく超える要求、対応が著しく困難・不可能な要求、不当な損害賠償の要求
- 手段や態様:暴行・傷害、脅迫・中傷・侮辱・暴言・土下座の強要、威圧的な言動、継続的で執拗な言動、居座りや監禁
病院が講じなければならない措置
- カスハラには毅然と対応し、働く人を守るという方針を決めて、職員に知らせる
- カスハラの内容と、あらかじめ決めた対処の内容を職員に知らせる
- 相談窓口を決めて知らせ、担当者が適切に対応できるようにする
- 起きたら事実を確かめ、被害者に配慮し、再発を防ぐ
- 特に悪質なカスハラへの対処の方針を決めて知らせ、対処できる体制を作る
- 相談者のプライバシーを守り、相談したことを理由に不利益な扱いをしないと定めて知らせる
厚生労働省のリーフレットは、対処の内容の例を挙げています。上司に対応の方針の指示を仰ぐ、できる限り一人で対応させない、犯罪に当たりうる言動は警察に通報する、などです。
勤務医が使えるもの
- 院内の相談窓口:カスハラに当たるか微妙な場合や、起きるおそれがある段階でも、広く相談に応じるとされている
- 不利益な扱いの禁止:相談したことや、事実の確認に協力して事実を話したことを理由に、解雇などの不利益な扱いをしてはならない
- 労働局の援助と調停:カスハラへの措置や、相談したあとの扱いをめぐって勤務先と揉めたら、都道府県労働局長に助言・指導・勧告を求めたり、調停を申請したりできる
労働局の援助と調停は、国家公務員と地方公務員には適用されません。[1]
勤務先がどんな方針と対処の内容を決めたかは、院内の周知文書で確かめておきます。
迷惑行為をする患者の診療を断れるか
応招義務についての厚生労働省の通知は、迷惑行為の態様に照らして診療の基礎となる信頼関係が失われている場合、新たな診療を行わないことが正当化されるとしています。例として、診療内容と関係のないクレームを繰り返し続けることを挙げています。[4]
緊急性や勤務時間による考え方は、応招義務とはにまとめています。
日本医師会の相談窓口
日本医師会は2025年1月に、ペイシェントハラスメントとネット上の悪質な書き込みの相談窓口を開きました。相談のページを開くには、日医の会員用アカウントが要ります。[5]
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口コミサイトやSNSへの書き込みも含まれますか
厚生労働省のリーフレットは、電話やSNSなどインターネット上で行われるものもカスハラに含めています。日本医師会の相談窓口も、ネット上の悪質な書き込みを扱っています。[2],[5]
まとめ
2026年10月から、病院は患者や家族からのハラスメントへの方針・相談窓口・対処の体制を整える義務を負いました。勤務先が決めた対処の内容を確かめ、一人で抱えずに院内の窓口へ相談します。
出典
- 1.一次資料e-Gov 法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第33条・第36条・第37条・第48条」 laws.e-gov.go.jp(2026-10-15 取得)
- 2.一次資料厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!カスタマーハラスメント対策の義務化【改正労働施策総合推進法・指針の内容】」 mhlw.go.jp(2026-10-15 取得)
- 3.一次資料厚生労働省「医療分野のカスタマーハラスメント対策について(第5回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会 資料4・令和8年9月14日)」 mhlw.go.jp(2026-10-15 取得)
- 4.一次資料厚生労働省「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について(令和元年12月25日 医政発1225第4号)」 mhlw.go.jp(2026-10-15 取得)
- 5.一次資料日本医師会「日本医師会ペイシェントハラスメント・ネット上の悪質な書込み相談窓口(日医ペイハラ・ネット相談窓口)」 med.or.jp(2026-10-15 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制