コンテンツへスキップ
便利ツール

応招義務とは|時間外の診療を断ってよいかを、厚労省の通知は緊急性と勤務時間で分けて考える

iwor 編集部3分で読めます
当直・オンコール表なら iwor。入れない日を招待リンクで集めて、表を自動で組めます。
目次

応招義務は、医師法19条1項の「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」という義務です。「応召義務」とも書きます。[2],[1]

通知は、断ってよいかを緊急性と勤務時間の内か外かで整理しています。ここでの勤務時間は「勤務医として診療を提供することが予定されている時間」です。[1]

夜間でも、当直として病院で診療を受け持っている時間は、診療を提供することが予定されている時間です。

断ってよいかの4つの場合

厚生労働省の2019年の通知は、最も重要な考慮要素を「患者について緊急対応が必要であるか否か(病状の深刻度)」としています。そのうえで、勤務時間の内か外かと、患者との信頼関係も考慮要素に挙げています。[1]

  • 緊急で、勤務時間内:事実上診療が不可能といえる場合にのみ、診療しないことが正当化される
  • 緊急で、勤務時間外:応急的に必要な処置をとることが望ましいが、原則として公法上・私法上の責任は問われない
  • 緊急でなく、勤務時間内:原則として診療する。ただし正当化される場合は緊急時より緩やかに解釈される
  • 緊急でなく、勤務時間外:即座に対応する必要はなく、診療しないことは正当化される
[1]

緊急でなく時間外の場合も、時間内の受診を勧めたり、診察できるほかの医療機関を紹介したりすることが望ましいとされています。断るときは、次の行き先を伝えます。

義務を負うのは、勤務医個人

応招義務は、医師が国に対して負う公法上の義務で、患者に対して負う私法上の義務ではありません。勤務医として病院で働いていても、義務を負うのは医師個人です。[1]

これとは別に、病院などの医療機関にも、正当な理由なく診療を拒んではならない責務があります。

労働契約を超える指示は、応招義務の問題ではない

通知は、労使協定や労働契約の範囲を超えた診療の指示を、使用者と勤務医の労働関係法令の問題と整理しています。応招義務とは別の問題です。[1]

労働基準法などに違反することになるのを理由に勤務医が診療を断っても、応招義務違反には当たらないと通知は書いています。自分の勤務時間がどこまでかは、労働契約と病院の規程で確かめます。

通知が挙げている個別の場合

  • 迷惑行為:診療の基礎となる信頼関係が失われている場合は、新たな診療を行わないことが正当化される
  • 医療費の不払い:以前の不払いだけを理由に断るのは正当化されない。支払能力があるのに悪意をもって払わない場合などは正当化される
  • 退院や転院:医学的に入院の継続が必要ない場合の退院や、病状に応じた紹介・転院は原則として正当化される
  • 差別的な扱い:年齢・性別・人種・国籍・宗教などだけを理由に断るのは正当化されない
  • 外国人患者:日本人患者と同じ基準で判断するのが原則
[1]

患者や家族からのハラスメントについて、2026年10月から病院に義務づけられた対策は、ペイシェントハラスメントと医師にまとめています。

ここに挙がった場合でも、緊急対応が必要なら、さきほどの4つの場合の整理に戻ります。[1]

時間外の呼び出しは、当番で先に決めておく

当直やオンコールの当番が決まっていれば、時間外の求めはまず当番に回ります。

iwor の当直・オンコール表では、メンバーから入れない日を集めて、条件を守った割り当ての案を作れます。

iwor なら、当直表の希望集めから配布までが1か所で終わります。

入れない日を招待リンクや QR で集めて、条件を守った割り当てを自動で組めます。できた表は画像・PDF で配れます。回数の上限や一緒にしない組を条件に加えるのは PRO です。iwor は医師のためのワークスペースです。

無料ではじめる

当番の表の組み方は当直表の作り方にまとめています。

診療で知った情報をどこまで話してよいかは、医師の守秘義務で家族への説明と学会発表に分けて見ています。

よくある質問

研修医にも応招義務はありますか

条文の対象は「診療に従事する医師」です。研修医も医師として診療に従事しているので、対象になります。

まとめ

応招義務は、緊急性と勤務時間の内外を軸に考えます。緊急で勤務時間内なら原則として診療し、緊急でなく勤務時間外なら診療しないことは正当化され、そのときは次の受診先を伝えるのが望ましいとされています。

労働契約を超える指示を断るのは、応招義務ではなく労働の問題です。

出典

  1. 1.一次資料厚生労働省「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について(令和元年12月25日 医政発1225第4号)」 mhlw.go.jp(2026-10-11 取得)
  2. 2.一次資料e-Gov 法令検索「医師法(昭和23年法律第201号)」 laws.e-gov.go.jp(2026-10-11 取得)

本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制

関連記事

その場で、迷わず計算する。

CHA₂DS₂-VASc から eGFR まで、出典つきのスコアをスマートフォンから。