医師法21条(異状死体の届出)|検案して異状を認めたら24時間以内に所轄警察署へ。届けるかは検案した医師が個々の状況で判断する
目次
医師法21条は、死体または妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたとき、24時間以内に所轄警察署へ届け出ることを医師に求めています。違反すると50万円以下の罰金です。[1]
厚生労働省の質疑応答集は、届け出るかどうかは、死体を検案した医師が個々の状況に応じて判断するものだとしています。[2]
「検案」は、死体の外表を検査すること
質疑応答集は、21条の「検案」を、最高裁判決(平成16年4月13日・都立広尾病院事件)が示すとおり「死因等を判定するために死体の外表を検査すること」としています。[2]
同じ質疑応答集に引かれた国会答弁は、自分の患者かどうかは問わず、自分の患者でも検案の対象になると説明しています。[2]
2019年の通知は、届け出る範囲を広げていない
厚生労働省は2019年2月8日に「医師による異状死体の届出の徹底について」を出し、同年4月24日に質疑応答集をまとめました。質疑応答集は、この通知について次のように整理しています。[2]
- 医師が検案して異状を認めるかを判断するときに、考慮すべき事項を示したもので、届出の範囲を新たに広げるものではない
- 医師は検案の際に知り得たさまざまな情報も考慮して、死体の外表を検査し、異状を判断する
- 死体が見つかったいきさつや発見場所、状況などを、医師が積極的に自分で調べることまで検案に含めたものではない
- 最高裁判決が示した「検案」と、届出義務が生じる時点の解釈を変えるものではない
この質疑応答集は、令和8年度版の死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルにも、参考⑤として載っています。[2]
医療事故と21条の届出
質疑応答集は、医療事故などの事案も、これまでどおり、検案した医師が個々の状況に応じて判断し、異状があると認めたときに届出義務が生じるとしています。[2]
これとは別に、医療法の医療事故調査制度があります。勤務する医療従事者が提供した医療に起因する(疑いを含む)死亡や死産で、管理者が予期しなかったものは、病院などの管理者が医療事故調査・支援センターに報告します。報告先は警察ではなく、報告するのは管理者です。[3]
死亡診断書・死体検案書との関係
- 交付する書類が死亡診断書か死体検案書かにかかわらず、異状を認めたら所轄警察署に届け出る
- 届け出たときは、捜査機関による検視などの結果も踏まえて、死亡診断書か死体検案書を交付する
- 死体に異状が認められないときは、所轄警察署に届け出る必要はない
死亡診断書と死体検案書の使い分けや各欄の書き方は、死亡診断書の書き方にまとめています。
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外表に異常がなければ、届け出なくてよいですか
質疑応答集は、検案は死体の外表を検査することで、医師は知り得た情報も考慮して外表を検査し、異状を判断するとしています。届け出るかは、検案した医師が個々の状況に応じて判断します。[2]
まとめ
検案して異状を認めたら、書類の種類にかかわらず24時間以内に所轄警察署へ届け出ます。医療事故調査制度の報告は、管理者がセンターへ行う別の手続きで、21条の届出が要るかは、医療事故でも検案した医師が判断します。
出典
- 1.一次資料e-Gov 法令検索「医師法(昭和23年法律第201号)第21条・第33条の3」 laws.e-gov.go.jp(2026-10-15 取得)
- 2.一次資料厚生労働省「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 令和8年度版(2 死亡診断書と死体検案書の使い分け・参考⑤「医師による異状死体の届出の徹底について」に関する質疑応答集)」 mhlw.go.jp(2026-10-15 取得)
- 3.一次資料e-Gov 法令検索「医療法(昭和23年法律第205号)第6条の10」 laws.e-gov.go.jp(2026-10-15 取得)
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