J-OSLER の病歴要約テンプレート|枠より先に、9項目それぞれ何を書くかが決まっている
目次
病歴要約の様式は9項目です。枠そのものはJ-OSLERの画面にありますが、そこに何を書くかは日本内科学会の作成の手引きが項目ごとに決めています。テンプレートを埋める前に、この線引きを知っておくと戻される回数が減ります。[1]
9項目と、項目ごとに求められるもの
構成は、基本情報、病歴、主な入院時現症、主要な検査所見、プロブレムリスト、入院後経過と考察、退院時処方、総合考察、そして任意の添付画像です。[1]
- 病歴 … 主病名を中心に書く。副病名や合併症がどう動いたかにも短く触れる
- 主な入院時現症 … 身体所見は系統立てて並べ切らず、大事なものだけに絞る
- 主要な検査所見 … 全ての検査結果は並べない。その病気で異常が出うる項目と、あえて正常だった値、それに特殊検査を書く
- プロブレムリスト … 確定した病名を並べる欄ではない。受け持つなかで手を打つ必要が出た事柄を立てる
- 入院後経過と考察 … 診断と、そう判断した根拠。治療と、それを選んだ裏づけ。そして転帰。考察はプロブレムごとに書く
- 退院時処方 … 薬剤名は一般名で書く。商品名は括弧で添えられる
- 総合考察 … 主病名の重さと副病名とのつながり、診断と治療の選び方が妥当だったか
- 添付画像 … 経過図や検査等一覧表は任意。症例を理解する助けになり、はっきり読み取れるものだけにする
「全部書かなくてよい」と「省略できない」の線引き
手引きは、書かなくてよいものをはっきり書いています。既往歴も家族歴も生活歴も、全部を書く必要はありません。身体所見を系統立てて並べ切る必要もなく、検査結果も全ては載せません。[1]
その一方で、省略できないものがあります。既往歴などのうち、主病名に関わる大事なものは必ず書きます。手引きが挙げている例は気管支喘息のアレルギー歴です。身体所見も、主病名につながるものは落とさないこととされています。[1]
空欄の書式は枠を埋める助けになりますが、どこを削ってどこを残すかまでは示しません。分量はA4で2枚以内・紙面の80%以上という制約があるので、この線引きがそのまま削る順番になります。[1]
プロブレムリストは、診断名の一覧ではない
手引きは、確定した病名の一覧ではないと手引きは書いています。受け持つなかで手を打つ必要が出た事柄を立てます。拾う材料は、初診時か受け持ち開始前後に得たものからです。医療面接で引っかかったこと、症状、診察の所見、検査値のずれを拾い上げます。[1]
診断が先についている病名でも、主病名と関わるならプロブレムに立てて構いません。考察はこのプロブレムごとに書くので、ここの立て方が入院後経過と考察の構成をそのまま決めます。[1]
総合考察は、疾患の解説ではなく自分の症例の話
総合考察には、主病名がどれくらい重いか、副病名とどうつながるかに触れ、診断と治療の選び方が妥当だったかを簡潔に書きます。手引きは、その病気の一般論ではなく、自分が受け持った症例の話を書くように、と釘を刺しています。[1]
総合考察には、病気だけでなく人として患者を見た記述が必ず要ります。プロブレムどうしのつながりや、社会的・心理的な面に触れることは、望ましいとされています。[1]
前医から引き継いだ症例と、外来症例には読み替えがある
空欄の書式では埋められないのがここです。前医から引き継いだ症例には、項目ごとに読み替えがあります。[1]
- 病歴 … 自分が受け持ち始めるまでの経過を書く
- 主な入院時現症 … 受け持ち始めた時点の身体所見を書く
- 主要な検査所見 … 受け持ち始めた前後の検査所見を書く
- 入院後経過と考察 … 自分が受け持っていた期間のプロブレムを軸に、経過と考察を書く
外来症例も同じように読み替えます。入院時現症は外来診察時現症、退院時処方は最終診察時の処方、入院後経過は外来診療中の経過です。考察に手術所見まで入れるのが外科に紹介した症例、剖検所見まで入れるのが剖検症例です。[1]
テンプレートに残りやすい3つの穴
枠を埋める作業に集中すると、書式の決まりのほうが抜けます。[1]
- 病院名 … 患者が特定されうる病院名は書かず、「近医」などにする
- 薬剤名 … 退院時処方は一般名で書く。確定した診断名のほうは略語にしない
- 添付画像 … 画像の中に患者の情報が写り込まないようにする
分量の決まりと文献の書き方、29篇をどの領域から何篇出すかはJ-OSLER の病歴要約29篇の内訳にまとめています。完成形は学会が10篇を公開していて、その一覧はJ-OSLER の病歴要約サンプルはどこにある?にあります。
枠を決めてから、中身を書く
どの分野・疾患群で書くかが決まっていないと、テンプレートを開いても手が止まります。29篇はすべて異なる疾患群から出すので、先に枠を並べるほうが早く進みます。
iwor では29篇の枠を登録すると、残りと疾患群の重複が出ます。枠を選べば、その疾患群に合わせた下書きのプロンプトで外部のAIを開けます。提出前のセルフチェックには、手引きの形式の決まりを短く言い直して並べています。
iwor は日本内科学会・日本専門医機構・厚生労働省の公式システムではないので、正式な登録と評価はJ-OSLERで行います。
iwor なら、修了要件の残りが数字で見えます。
症例と疾患群、病歴要約29篇、講習・学術・JMECC・360度評価の6項目を、残りいくつかで逆算できます。EPOC の経験すべき症候29・疾病26にも対応しています。iwor は医師のためのワークスペースです。
無料ではじめるよくある質問
公式のWordテンプレートはありますか
学会が載せているのは、作成の手引きと評価の手引き、それに10篇のサンプルです。入力はJ-OSLERの画面で行うので、Wordの空欄書式そのものは配られていません。[1],[2]
検査所見はどこまで書きますか
全ての検査結果は並べません。その病気で異常が出うる項目と、あえて正常だった値、それに特殊検査を書きます。検査所見の略語は、医師国家試験や内科専門医試験の問題で使われている水準なら構いません。[1]
商品名で処方を書いてもいいですか
一般名で書きます。商品名を括弧で添えるのは認められています。[1]
まとめ
テンプレートは枠をくれますが、何を書くかは手引きが項目ごとに決めています。既往歴も身体所見も検査も全部は書かず、主病名に関連するものだけ省略しません。プロブレムリストの立て方が考察の構成を決め、総合考察は疾患の解説ではなく自分の症例の話にします。前医から引き継いだ症例と外来症例には項目ごとの読み替えがあるので、そこだけはテンプレートに頼れません。
手引きは改訂されます。書き始める前にJ-OSLERの登録と評価のページで現行版を確かめてください。
出典
- 1.一次資料日本内科学会「J-OSLER 病歴要約 作成の手引き(2026/04/23)」 cdn-naikaprod.pressidium.com(2026-09-19 取得)
- 2.一次資料日本内科学会「専攻医登録評価システム(J-OSLER)登録と評価」 naika.or.jp(2026-09-19 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制