J-OSLER の病歴要約29篇の内訳|領域ごとに数が決まっていて、全部ちがう疾患群から出す
目次
J-OSLER の病歴要約は29篇で、どの領域から何篇出すかが決まっています。29篇は全部ちがう疾患群から出し、1篇はA4で2枚以内・紙面の80%以上です。評価は3段階あり、最初の個別評価は専攻医1年目から始まります。[1]
何期生でも29篇という数は同じです。期生で変わるのは症例数のほうで、そちらはJ-OSLER の160症例は誰の要件?にまとめています。
29篇の内訳は、領域ごとに決まっている
要件表と作成の手引きは、同じ内訳を載せています。合計して29篇です。[1],[2]
- 総合内科Ⅰ(一般)・Ⅱ(高齢者)・Ⅲ(腫瘍)… あわせて2篇
- 消化器 3篇/循環器 3篇/呼吸器 3篇
- 内分泌と代謝 … あわせて3篇
- 腎臓 2篇/血液 2篇/神経 2篇/感染症 2篇/救急 2篇
- アレルギー 1篇/膠原病及び類縁疾患 1篇
- 外科紹介症例 2篇/剖検症例 1篇
内訳には条件が2つ付きます。消化器は「消化管」「肝臓」「胆・膵」から出します。内分泌と代謝は、それぞれ1篇以上です。29篇の枠でいうと、No.9には内分泌、No.10には代謝しかセットできず、No.11はどちらでも置けます。[1]
消化管の1篇として、研修手帳の消化器領域・疾患群9にある「急性腹症」は数えません。救急領域や外科紹介症例、剖検症例としてなら出せます。[1]
全部ちがう疾患群から。重複が認められるのは2つだけ
29篇は、すべて異なる疾患群から作ります。疾患群の重複が認められるのは、外科紹介症例(No.27・No.28)と剖検症例(No.29)だけです。[1]
救急領域は少し事情が違います。救急は消化器系・循環器系・呼吸器系などの疾患項目でできているので、病名が他領域と重なることがあります。それぞれの領域として充分に書けていれば、同じ疾患の病歴要約を救急と他領域で出すことは認められます。ただし手引きは、幅広い症例経験を勧める立場から、病名も重ならないほうが望ましいと書いています。[1]
外科紹介症例には3つの条件があります。主担当医として受け持った内科系疾患に外科的専門治療が必要だと診断し、その治療に外科系医師があたり、それが全身麻酔下かそれに相当する手術であることです。全身麻酔が基本なので、胃瘻作成、胆道ステント留置による内瘻化、透析のシャント術、脳神経外科で施行された頸動脈ステントは対象外です。[1]
転科の有無や、名指しされていない処置の扱いはJ-OSLER の外科紹介症例は2篇にまとめました。
剖検症例は4つです。死亡の宣告あるいは死亡診断に関与すること、遺族への剖検依頼に関与すること、剖検に際しての臨床上の問題点等を整理して病理へ提出すること、剖検に立ち会うことです。病理所見が出るまで時間がかかるときに限り、解剖時の肉眼的所見で充分な考察ができれば作成が認められます。[1]
外来は7篇まで、初期研修の症例は14篇まで
29篇のうち、外来症例で出せるのは7篇までです。初期研修や、プログラム外の内科研修で経験した症例で出せるのは14篇までです。[1]
外来症例でも、主訴、病歴、主な身体所見、主な検査所見、プロブレムリスト、診断・治療経過・管理、総合考察までを含めることが求められます。担当指導医の承認も要ります。[1]
外来症例は入力欄の名前が入院症例のままなので、欄ごとの読み替えが要ります。登録できる症例数の上限が期生で違う点とあわせてJ-OSLER の外来症例にまとめました。
初期研修中の症例をJ-OSLERに登録できるのは、3つを満たすときです。15歳以上の内科系疾患の成人症例であること。主担当医として担当していた当時に、内科指導医から指導を受けていること。所属するプログラムが内科専門研修相当の症例と認めること。この3つを満たしていれば、経験した診療科は問いません。[1]
1篇の形は、A4で2枚以内・紙面の80%以上
記述様式はPOS(Problem Oriented System)方式です。印刷またはPDF化したときにA4で2枚以内に収め、紙面の80%以上を記載します。手引きは、80%以上は必要条件であって十分条件ではない、と書いています。[1]
患者を特定できる氏名・イニシャル・生年月日・居住地は書きません。患者IDは照合のため所属施設のIDを使いますが、施設が責任を持って管理する限りは独自のIDでも構いません。[1]
略語にも決まりがあります。確定診断名には略語を使いません。糖尿病(DM)と皮膚筋炎(DM)のように複数の用語を意味する略語は、初出部に書いてから使います。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)のような、サブスペシャルティ領域の略語も同じです。検査所見のJCS・GCS・SpO2・Xp・CT・MRIなどは、医師国家試験や内科専門医試験の問題に準じて一般的な略語として使えます。[1]
構成は、基本情報、病歴、主な入院時現症、主要な検査所見、プロブレムリスト、入院後経過と考察、退院時処方、総合考察、そして任意の添付画像です。[1]
完成形は学会が10篇を公開しています。どの領域の何が載っているかはJ-OSLER の病歴要約サンプルはどこにある?にまとめました。
文献の書き方は、2026年4月の版で細かくなった
作成の手引きの現行版は2026年4月23日付です。学会は同じ日の告知で、作成の手引きと評価の手引きの文献の記載について一部改訂したと書いています。作成の手引きでは17〜18ページにあたります。[3]
引用の形式が明文化されました。原則として、筆頭著者名・雑誌名・発行年・巻数・始頁をこの順に丸カッコで囲んで書きます。手引きが挙げている例は「(Abe S. JAMA 1997;278:485)」です。著者名は筆頭著者名だけ、雑誌名は医学雑誌で表記される略名が望ましく、論文タイトルは書きません。字数の限られた紙面を、症例と考察に使うためです。[1]
引く先は、医学中央雑誌やPubMedなどで閲覧できる公的機関の医学雑誌や学術図書が基本です。文献は必ず文中に記載します。Web媒体から引くときは、各学会や厚生労働科学研究班などのオーソライズされたものに限られます。この場合は学会名・ガイドライン名に続けて、最も参照した代表的な頁と発行年、掲載先まで書くのが望ましいとされています。[1]
同じ節に「実在しない文献の記載は虚偽記載とみなされる」という一文が入りました。生成AIの使い方そのものは別の文書が定めています。J-OSLER で生成AIはどこまで使える?にまとめました。[1]
評価は3段階。1篇ずつの個別評価は1年目から
書いた順に3つの評価を通ります。時期と担い手は手引きが示しています。[1]
- 個別評価 … 専攻医1年目〜2年目末頃。これまでの担当指導医の中から専攻医が指名し、1篇ずつ評価を受ける
- 一次評価 … 専攻医3年目の春〜夏頃。病歴指導医が29篇をまとめて評価し、その後プログラム統括責任者が改めて評価する
- 二次評価 … 専攻医3年目の初夏〜秋頃。プログラム外部の査読委員が29篇をまとめて評価する。査読委員と専攻医の双方が匿名で、査読委員はシステム上で機械的に指名される
29篇をまとめて見られるのは3年目です。その前の2年間で1篇ずつ通しておく設計になっています。7期生以降の要件表は、病歴要約の目安を専攻医1年修了時に10篇、2年修了時に20篇と置いています。同じ表は「目標はあくまで目安であるため必達ではなく、修了要件を満たせば問題ない」とも書いています。[2]
学年ごとに実際どれだけ積み上がっているかは、学会が半年ごとに出す登録実績概況で見られます。数字はJ-OSLER とはに載せました。要件に届きそうにないときの措置はJ-OSLER が間に合わないときへ。
iwor では、29篇の枠を登録すると、残りと疾患群の重複が出ます。本文は保存しません。
提出前のセルフチェックは、手引きの形式の決まりを短く言い直して並べています。iwor は日本内科学会・日本専門医機構・厚生労働省の公式システムではないので、正式な登録と評価はJ-OSLERで行います。
iwor なら、修了要件の残りが数字で見えます。
症例と疾患群、病歴要約29篇、講習・学術・JMECC・360度評価の6項目を、残りいくつかで逆算できます。EPOC の経験すべき症候29・疾病26にも対応しています。iwor は医師のためのワークスペースです。
無料ではじめるよくある質問
病歴要約に文字数の決まりはありますか?
文字数ではなく紙面で決まっています。印刷またはPDF化したときにA4で2枚以内、紙面の80%以上です。80%は必要条件であって、満たせば十分というものではありません。[1]
同じ疾患で2篇出せますか?
疾患群が同じなら出せません。認められるのは外科紹介症例と剖検症例だけです。救急領域は、他領域と病名が重なっても、それぞれの領域として充分に書けていれば認められます。[1]
1年目のうちに何篇書けばいいですか?
7期生以降の要件表は、1年修了時に10篇、2年修了時に20篇を目安としています。必達ではありません。1篇ずつの個別評価が1年目から2年目末頃に置かれているので、その2年で通す前提の設計です。[2],[1]
参考文献に論文のタイトルは書きますか?
書きません。現行版は筆頭著者名・雑誌名・発行年・巻数・始頁の形式で、著者名は筆頭著者名のみ、雑誌名は略名が望ましいとしています。紙面を症例と考察に使うためです。[1]
まとめ
29篇は領域ごとに数が決まっていて、全部ちがう疾患群から出します。外来は7篇まで、初期研修の症例は14篇までです。1篇はA4で2枚以内・紙面の80%以上で、確定診断名に略語は使いません。文献は現行版の形式に合わせます。個別評価が1年目から始まるので、どの枠をどの疾患群で埋めるかは早めに決めておくと動きやすくなります。
手引きは改訂されます。書き始める前に、J-OSLERの登録と評価のページで現行版を確かめてください。
出典
- 1.一次資料日本内科学会「J-OSLER 病歴要約 作成の手引き(2026/04/23)」 cdn-naikaprod.pressidium.com(2026-09-19 取得)
- 2.一次資料日本内科学会「内科専門研修 修了要件(症例数・疾患群・病歴要約)一覧表 修了要件120症例の場合(専攻医7期生以降)」 cdn-naikaprod.pressidium.com(2026-09-19 取得)
- 3.一次資料日本内科学会「専攻医登録評価システム(J-OSLER)登録と評価(2026年4月23日追記)」 naika.or.jp(2026-09-19 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制