研修医が単独で行ってよい医療行為|一覧を作っているのは各病院、麻薬の処方には麻薬施用者免許が要る
目次
研修医が単独で行ってよい処置や処方の一覧を、国は作っていません。決めているのは、それぞれの病院です。
だから最初にすることは、自分の病院の基準を見つけて、表の列だけでなく注記まで読むことです。基準の中身は病院で違いますが、読み方には共通のコツがあります。
国の指導ガイドラインに、一覧は無い
厚生労働省の医師臨床研修指導ガイドライン2024年度版にも「単独」は出てきます。研修を終えるときに一般外来・病棟・初期救急・地域医療で単独で診療できる、という到達目標と、そこへ進む段階や評価のレベルです。研修の途中で、どの処置を研修医が単独で行ってよいかの一覧は載っていません。[1]
その代わりに、多くの病院が「研修医が単独で行ってよい処置・処方の基準」のような名前で、自分の病院の基準を作って公開しています。九州大学病院の基準は、卒後臨床研修委員会が作り、病院運営会議の了承を経たものと明記されています。[2]
形は病院で違う
九州大学病院の基準は、診察・検査・治療などの分野ごとに「研修医が単独で行ってよいこと」と「研修医が単独で行ってはいけないこと」を並べる形です。北海道大学病院は、単独で行ってよい行為、指導医の許可を得た上で単独で行ってよい行為、指導医の立ち会いを必須とする行為の3段階で分けています。形が違うので、別の病院の基準を覚えていても、自分の病院の基準で読み直しましょう。[2],[3]
「単独で行ってよい」にも、条件が付いている
九州大学病院の基準を読むと、単独で行ってよい側にも条件が並んでいます。一般の内服薬や注射の処方は単独で行ってよい側ですが、どちらも処方箋の作成の前に、処方内容を上級医あるいは指導医と協議する、と書かれています。同じ基準で、超音波検査は単独で行ってよい側でも、結果の解釈と判断は協議するとされています。[2]
同じ九州大学病院の基準では、動脈穿刺は単独で行ってよい側にあり、動脈ラインの留置は単独で行ってはいけない側です。気道確保も単独で行ってよい側にありますが、その下に、気管挿管は研修医単独でやってはいけない、と注記されています。[2]
列だけを見て「単独でよい」と覚えると、この条件を落とします。表を渡されたら、まず注記の文を拾っておくのが安全です。緊急時はこの限りではない、という一文が冒頭に置かれていることもあります。[2]
単独で行ってはいけない側の九州大学病院の例は、中心静脈穿刺、正式な場での病状説明、全身麻酔、胸腔や腹腔の穿刺などです。向精神薬や抗悪性腫瘍剤の処方は主治医がすべきこととされ、研修医が単独で登録して主治医や指導医が後追いで承認することも禁止されています。[2]
麻薬は、病院の基準の前に法律
麻薬の処方だけは、病院の基準より先に法律で決まっています。麻薬及び向精神薬取締法は、麻薬施用者でなければ、麻薬を記載した処方箋を交付してはならないと定めています。麻薬施用者は、都道府県知事の免許を受けた人です。[4]
九州大学病院や北海道大学病院の基準も、この法律を理由に、麻薬施用者免許を受けている医師以外は麻薬を処方してはいけないと書いています。免許を持たないうちは、病院の基準がどうであっても麻薬の処方箋は出せません。[2],[3],[4]
自分の病院の基準の見つけ方
臨床研修病院の多くは、研修医向けのページやマニュアルにこの基準を置いています。見つからなければ、研修の担当部署に聞くのがいちばん早いです。基準は研修医の手を縛るためだけのものではなく、迷ったときに指導医を呼ぶ理由にもなります。
研修で経験したことは、EPOC の経験すべき症候と疾病・病態に記録していきます。何を記録するかはEPOC で研修医が入力するものにまとめました。
iwor は EPOC の経験すべき症候29と疾病・病態26を一覧で持っています。iwor は厚生労働省の公式システムではなく、正式な登録と評価は PG-EPOC で行います。
よくある質問
研修医が単独で行ってよい処置は、厚生労働省が決めていますか
一覧は厚生労働省の指導ガイドラインには載っていません。各病院が自分の基準を作って公開しています。[1]
研修医は麻薬を処方できますか
麻薬施用者の免許を受けていなければ、麻薬の処方箋は交付できません。麻薬及び向精神薬取締法が定めています。[4]
「単独で行ってよい」と書いてあれば、相談しなくていいですか
そうとは限りません。九州大学病院の基準では、単独で行ってよい処方にも、処方箋の作成前に指導医と協議すると書かれています。注記まで読みましょう。[2]
まとめ
研修医が単独で行ってよい医療行為は、国ではなく各病院が基準を作って決めています。形は病院で違い、単独で行ってよい側にも条件が付いているので、列だけでなく注記まで読みましょう。
麻薬の処方だけは法律で、麻薬施用者の免許が要ります。研修が始まったら、まず自分の病院の基準を見つけて、迷ったら指導医を呼ぶ根拠として手元に置いておきましょう。
出典
- 1.一次資料厚生労働省「医師臨床研修指導ガイドライン -2024年度版-」 mhlw.go.jp(2026-09-27 取得)
- 2.一次資料九州大学病院 臨床教育研修センター「九州大学病院における研修医が単独にて行って良い処置・処方の基準(平成17年3月16日 病院運営会議了承・平成22年9月15日改定)」 kenshu.hosp.kyushu-u.ac.jp(2026-09-27 取得)
- 3.一次資料北海道大学病院 臨床研修センター「医療行為の基準について(研修医の医療行為に関する基準)」 clinical-training-center.huhp.hokudai.ac.jp(2026-09-27 取得)
- 4.一次資料e-Gov 法令検索(デジタル庁)「麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第十八号・第二十七条第一項」 laws.e-gov.go.jp(2026-09-27 取得)
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