病院見学で何科を見るか|必修は7分野。一般外来は別に4週以上いる
目次
見学でどの科を見るかは、好みではなく制度から決まります。2年間で必ず回る分野があるので、そこから選ぶほうが早いです。
そして1日で回れる科の数には限りがあります。だから優先順位が要ります。
必ず回るのは7分野と、一般外来
厚生労働省は、内科・外科・小児科・産婦人科・精神科・救急・地域医療を必修分野と定め、これに一般外来での研修を含めることとしています。期間の下限も決まっていて、内科は24週以上、救急は12週以上、残りの5分野はそれぞれ4週以上です。外科・小児科・産婦人科・精神科・地域医療は8週以上が望ましいともされています。[1]
つまり志望科がどこであっても、この7分野は回ります。見学で見る科をここから選べば、自分が実際に過ごす場所を見られます。
地域医療は原則として2年次で、へき地・離島の医療機関や200床未満の病院、診療所を選んで研修します。見学の日に院内で見られる科からは外れます。[1]
分野ごとに、見る場所まで書かれている
見落とされやすいのは、同じ通知が分野ごとに研修の場所まで書き分けていることです。[1]
- 内科・外科・小児科・産婦人科……幅広い疾患に対する診療を行う病棟研修を含むこと
- 精神科……精神科専門外来または精神科リエゾンチームでの研修を含むこと。急性期入院患者の診療を行うことが望ましい
- 救急……頻度の高い症候と疾患、緊急性の高い病態に対する初期救急対応の研修を含むこと
精神科だけが外来とリエゾンチームで、ほかの4分野は病棟です。見学を申し込むときに「精神科を見たい」と伝えても、見せてもらえる場所が病棟とは限らないのはこのためです。
救急には組み方の幅もあります。4週以上のまとまった期間に研修したうえで残りを並行研修に回すことや、麻酔科の研修期間を4週を上限として救急に算入することが認められています。同じ12週でも中身が変わるので、救急を見るなら組み方を聞いてください。詳しくは研修病院を救急で選ぶにまとめています。[1]
継続診療のない救急外来は、一般外来研修に数えられない
ここがいちばん誤解されるところです。一般外来研修は4週以上で、8週以上が望ましいとされています。ではどこで受けるのかというと、通知は含まれないものを名指ししています。[1]
特定の症候や疾病のみを診察する専門外来や、慢性疾患患者の継続診療を行わない救急外来、予防接種や健診・検診などの特定の診療のみを目的とした外来は含まれない。[1]
想定されているのは、総合診療、一般内科、一般外科、小児科、地域医療などでの研修です。初診患者の診療と、慢性疾患患者の継続診療を含むこととされています。[1]
だから救急を見学して「外来の雰囲気も分かった」とはなりません。その病院に継続診療のできる一般外来があるか、研修医がそこに入っているかは、別に確かめる項目です。
1日に回れる科の数から逆算する
見学で1日に回れる科の数には限りがあります。筑波メディカルセンター病院は、希望者が集中する期間は1日1診療科を推奨しています。1日1診療科か、半日ずつ2診療科かを、申し込みのときに書くよう案内しています。[3]
同院は、研修医がローテーションしている科も公開しています。救急診療科、内科(総診・循内・呼内・消内)、小児科では研修医の様子を見られるとしています。外科やマイナー科は、時期によっては研修医が回っていないことがあるそうです。研修医に会えるかどうかは科と時期で変わります。[3]
1日の進み方と拘束時間は病院見学の1日はどう進むかにあります。何ヵ所行くかの考え方はマッチングの病院見学は何ヵ所行くべきかにまとめました。
同じ科でも、病院によって量が違う
必修分野が同じでも、その分野で何を経験できるかは病院で変わります。臨床研修病院ガイドブックの診療実績欄を収録できたのは359施設でした。そのうち年間分娩件数を0件と申告したのが144施設、剖検件数0件が30施設、心肺停止状態の搬送患者0件が62施設です。いずれも令和7年1月から12月の実績として病院が申告した値です。[2]
産婦人科を4週回っても、分娩が0件の病院では立ち会えません。件数の見方は研修病院で手技をどれだけ経験できる?にまとめています。
この順で決める
- 内科と救急は期間が長いので、まずこの2つ。救急は組み方(まとめてか、並行研修か、麻酔科を算入するか)を聞く
- 志望科が必修7分野に入っていれば、そこを1つ足す
- 入っていなければ、志望科が選択期間で回れるかを確かめる。志望科の見学は、指導医に会える場でもある
- 一般外来を研修医がどこで受けているかを聞く。継続診療のない救急外来は数えられないので、別に確かめる
- 分娩・剖検・心肺停止の件数は公表されているので、見学の前に見ておく
よくある質問
志望科が決まっていない場合は何を見ればいいですか
内科と救急です。期間が長く、どのプログラムでも必ず回るので、その病院で過ごす時間がいちばん長い場所になります。[1]
マイナー科を志望しています。見学もマイナー科でいいですか
志望科を見るのは有効です。必修7分野に入っていない科は選択期間で回ることになるので、その病院で選択期間がどれだけ取れるかも一緒に聞いておくと、2年間の見通しが立ちます。
救急を見学すれば外来も分かりますか
一般外来は別に確かめてください。通知は、慢性疾患患者の継続診療を行わない救急外来を一般外来研修に含めないとしています。4週以上必要なので、研修医がどの外来に入っているかを見学のときに聞いてください。[1]
精神科の見学では何を見ますか
通知は、精神科について専門外来または精神科リエゾンチームでの研修を含むこととしています。病棟だけを想定して申し込むと、見るものがずれます。[1]
まとめ
見学で見る科は、必修7分野のうち期間の長いものから選ぶと外れません。内科24週以上と救急12週以上が二本柱で、残りの5分野はそれぞれ4週以上です。分野ごとに病棟か外来かまで決まっていて、継続診療のない救急外来は一般外来研修に数えられません。回る場所が決まれば、見る場所も決まります。
出典
- 1.一次資料厚生労働省「臨床研修の到達目標、方略及び評価(医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について・令和8年3月31日付一部改正 別添)」 mhlw.go.jp(2026-09-27 取得)
- 2.一次資料公益財団法人 医療研修推進財団「臨床研修病院ガイドブック 2027年度版(病院申告)」 guide.pmet.jp(2026-09-09 取得)
- 3.一次資料筑波メディカルセンター病院「病院見学(医学生用)」 tmch.or.jp(2026-09-27 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制