研修病院を救急で選ぶ|救命救急センター303施設のうち66は受入が中央値を下回る
目次
救急で研修病院を選ぶなら、見るのは「救命救急センターかどうか」ではなく、救急車の年間受入台数と、必修の12週をどう組んでいるかの2つです。救急はどの研修病院でも必修なので、差が出るのは有無ではなく中身のほうです。iwor は1,025施設の救急車受入台数を収録していて、218台から19,644台まで開いています。
病院の絞り込み全体の手順は研修病院の選び方にまとめています。
救急は全員が回る。差が出るのは組み方
臨床研修では、内科・外科・小児科・産婦人科・精神科・救急・地域医療が必修分野と定められていて、原則として内科は24週以上、救急は12週以上を研修します。つまり「救急を回れるかどうか」で病院は分かれません。[2]
分かれるのは組み方のほうです。救急については、4週以上のまとまった期間に研修したうえで、週1回の研修を通年で実施するような並行研修に残りを回すことが認められています。さらに麻酔科の研修期間を、4週を上限として救急の研修期間とすることもできます。[2]
だから同じ「救急12週」でも、12週をまとめて救急で過ごす病院と、4週のまとまった研修に麻酔科4週と週1回の並行研修を足して満たす病院があります。募集要項の週数を並べても、この差は出てきません。見学の質問リストに入れておく項目です。
救急の規模は、台数で公表されている
その病院にどれだけ救急が来ているかは、救急車の年間受入台数で分かります。厚生労働省の病床機能報告オープンデータに施設ごとの受入件数が載っていて、iwor はそれを1,025施設ぶん収録しています。最小218台から最大19,644台まで開いていて、中央値は3,834台。上位25%の境目は5,573台でした。[1]
この台数が数えているのは病院全体の受入で、研修医が診た数とは別です。それでも、その病院に運ばれてくる救急の量は分かるので、候補を作る段階の物差しとしては働きます。募集定員で割った値はハイパー病院とハイポ病院にあります。
iwor では、全国の研修病院一覧で救急車の受入台数を列に追加できます。
救命救急センターかどうかは、台数の順番までは決めない
救急指定のほうも公表されています。救命救急センター303施設の受入の中央値は5,512台、救命救急センターではない719施設は3,263台です。真ん中どうしを比べれば、指定と台数は同じ向きを向いています。[3],[1]
ただし中央値が離れていても、台数の並びには両方が混ざります。救命救急センターの303施設のうち66施設は受入が全体の中央値3,834台を下回り、25施設は下位25%(2,529台以下)に入ります。逆に、そうでない719施設のうち108施設は上位25%の5,573台を超えています。
救命救急センターではない719施設のうち、713施設は二次救急です。
「救命救急センターだけを見る」も「救命救急センターを外す」も、候補の作り方としては粗すぎます。指定で絞る前に台数で並べ、そのうえで通いやすさや診療科の構成といった自分の条件を重ねてください。
見学で確かめる3つ
台数と週数で候補を作ったら、残りは見学で埋めます。数字に出ないのは、その救急に研修医がどう関わるかの部分です。
- 研修医がファーストタッチに入るのか、上級医の診療を横で見るのか。同じ台数でも、経験として残る量はここで変わる
- 並行研修の日は、救急に何人の研修医が入るのか。人数が多ければ、1人あたりが担当する患者は減る
- 麻酔科の期間を救急に算入しているか。プログラムの表からは読み取れないことがあるので、直接聞く
見学を何ヵ所行くかの決め方はマッチングの病院見学は何ヵ所行くべきかにあります。メールの書き方は病院見学のメールにまとめました。
よくある質問
救急車の受入台数が多い病院ほど、研修は良いのですか
台数が示すのは量で、教育体制の評価は別の話です。台数で候補を作り、教育体制は見学で確かめる、という順で使ってください。
救命救急センターでない病院を選んで大丈夫ですか
指定の有無は、候補から外す理由にはなりません。救命救急センターではない719施設のうち108施設は、受入が上位25%に入ります。ただし台数が示すのは量までで、どんな患者が運ばれてくるかや教育体制は、見学で確かめてください。
救急が12週より長いプログラムは有利ですか
12週は下限なので、それより長い病院もあります。ただ、長さだけでは経験量は決まりません。同じ期間でも、来る台数と、その中で自分が何番目に患者へ会うかで中身が変わります。週数を比べる前に、台数と関わり方を確かめるほうが早いです。
まとめ
救急で研修病院を選ぶなら、順番は「台数で並べる → 12週の組み方を確かめる → 見学で関わり方を聞く」です。救命救急センターかどうかは、候補を作る段階の物差しとしては粗すぎます。指定された303施設のうち66施設は受入が全体の中央値を下回り、指定されていない719施設のうち108施設は上位25%に入るからです。分娩・剖検・当直の体制まで含めた見方は研修病院で手技をどれだけ経験できるかにまとめました。
出典
- 1.一次資料厚生労働省「病床機能報告 オープンデータ(令和7年度・施設票)」 mhlw.go.jp(2026-09-07 取得)
- 2.一次資料厚生労働省「臨床研修の到達目標、方略及び評価(医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について・令和8年3月31日付一部改正 別添)」 mhlw.go.jp(2026-09-07 取得)
- 3.一次資料厚生労働省 医政局「救命救急センター設置状況一覧」 mhlw.go.jp(2026-09-07 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制