専門医のポートフォリオは制度ごとに別物|総合診療は経験省察研修録、内科は病歴要約29篇
目次
ポートフォリオの書き方を探す前に、自分が作るのがどの書類なのかを確かめてください。専門医の制度では、書類の名前も様式も、登録するシステムも別々に決まっています。
総合診療専門研修では経験省察研修録と呼び、J-GOAL というオンラインの研修手帳に登録します。[4]
新・家庭医療専門医の制度ではポートフォリオと呼び、詳細事例報告を16例出します。内科専門研修にポートフォリオはなく、代わりに病歴要約を29篇出します。[1],[6]
取り違えると、作った記録がそのまま通らないことがあります。2020年度以降に研修を始めた人が古い様式で作ると、画面上はアップロードできても機構は受理しません。[3]
総合診療専門研修は、記録するシステムが2つに分かれる
日本専門医機構の総合診療専門研修では、内科分野だけが総合診療版 J-OSLER で、それ以外の分野は J-GOAL というオンライン研修手帳です。[2]
専攻医は J-GOAL に研修の記録を積み上げ、日々指導医に提出します。指導医が内容を確認してフィードバックを入力し、プログラム管理委員会は J-GOAL の評価記録に基づいて、内科分野を除く修了認定を行います。
経験省察研修録はこの J-GOAL に入ります。ポートフォリオという言い方もされますが、機構の書類名は経験省察研修録です。
2020年度からはタイプBだけ。タイプAは送れても受理されない
経験省察研修録にはタイプAとタイプBがあります。2020年度以降に研修を開始した専攻医はオンライン版の J-GOAL を使い、経験省察研修録はタイプBに一本化されました。[3]
注意が要るのはここです。2019年度に研修を開始した専攻医のために、仕様上はタイプAもアップロードできる状態が残っています。ただし機構は受理しないと明記しています。[3]
送信できたことは、受理されたことではありません。自分が何年度の開始かが先です。
新・家庭医療専門医は16例(機構の総合診療専門医とは別の制度)
日本プライマリ・ケア連合学会の新・家庭医療専門医制度で出すのは、詳細事例報告16例です。こちらは機構の総合診療専門医とは別の制度です。[1]
領域は2024年6月7日に改訂され、新しい領域は2025年3月修了時から適用されています。改訂前の20領域を載せたページも残っているので、自分がどちらに当たるかを先に見てください。[1]
16例のうち11は、次の領域から1つずつ出します。
- 1. 未分化な健康問題
- 2. 予防医学と健康増進
- 3. 慢性疾患のケア
- 4. 長期的な全人的関係に基づくケア
- 5. 患者中心の医療
- 6. 家族志向のケア
- 7. 地域志向のプライマリ・ケア
- 8. 障害とリハビリテーション
- 9. EBMの実践
- 10. メンタルヘルス
- 11. 健康の社会的決定要因とアドボカシーおよびアクセス
残りの5例は、aとbのどちらか1つを出します。
- 12a. 複雑困難事例のケア / 12b. 多疾患併存
- 13a. 統合されたケア / 13b. チーム医療・ケアの調整や移行
- 14a. 高いプロフェッショナリズムに基づく行動 / 14b. 倫理的に困難な意思決定を伴う事例のケア
- 15a. セクシャルヘルス/性を考慮したケア / 15b. 思春期のケア
- 16a. 緩和ケア / 16b. 人生の最終段階におけるケア
学会は、提出を電子的なウェブフォームへの入力のみで受け付けると案内し、下書き用のファイルを用意しています。ルーブリックと評価の方針も同じページから開けます。
内科専門研修にポートフォリオは無い
内科専門研修で出すのは病歴要約で、29篇です。領域ごとに提出数が決まっていて、内訳はJ-OSLER の病歴要約29篇の内訳にまとめています。[6]
紛らわしいのは、総合診療専門研修にも J-OSLER という名前が出てくることです。総合診療版 J-OSLER は内科学会版 J-OSLER とは別のシステムで、内科学会版に登録済みの内科指導医でも、総合診療版への登録手続きが別に要ります。両者のあいだで登録情報の移行はできません。[2]
内科学会版のほうの仕組みはJ-OSLER とはにあります。iwor の J-OSLER は内科学会版の修了要件を数える道具で、iwor は公式システムではありません。登録そのものは J-OSLER で行います。
iwor なら、修了要件の残りが数字で見えます。
症例と疾患群、病歴要約29篇、講習・学術・JMECC・360度評価の6項目を、残りいくつかで逆算できます。内科専攻医と初期研修医向けで、総合診療版 J-OSLER と J-GOAL には対応していません。iwor は医師のためのワークスペースです。
無料ではじめる生成AIで下書きしてよいか。機構が2026年7月にガイドラインを出した
機構の総合診療専門医検討委員会は、2026年7月31日に「総合診療版生成AI利用ガイドライン」を策定しました。J-GOAL(経験省察研修録等)、総合診療版 J-OSLER、My portfolio(事例報告)などの書類を作成するときに順守する基準だとしています。[5]
よくある質問でも、生成AIを使用することは可能だが、必ずこのガイドラインに従って利用するように、と答えています。指導医についても、このガイドラインに基づいて指導するよう案内されています。[4]
機構が示しているのは、使ってよいかどうかの可否ではなく、従うべき基準のほうです。下書きに使う前にガイドライン本体を開いてください。
これは総合診療の話です。内科学会版 J-OSLER には、日本内科学会が別に出しているガイドラインがあります。そちらの扱いはJ-OSLER で生成AIはどこまで使えるかにまとめています。
規程そのものも動いています。総合診療専門研修プログラム整備基準は2026年6月19日に改訂されました。様式や要件は、手元の冊子ではなく現行版に当たってください。[5]
よくある質問
ポートフォリオと経験省察研修録は違うものですか
総合診療専門研修では同じものを指します。機構の書類名は経験省察研修録で、J-GOAL に登録します。新・家庭医療専門医の制度ではポートフォリオと呼びます。
タイプAで作ってしまいました。出せますか
2020年度以降に研修を開始したなら受理されません。仕様上はアップロードできますが、機構は受理しないと明記しています。
生成AIで下書きしてもいいですか
総合診療専門研修では可能です。ただし「総合診療版生成AI利用ガイドライン」に従うことが条件です。内科学会版 J-OSLER は別のガイドラインなので、J-OSLER で生成AIはどこまで使えるかを見てください。
内科専攻医もポートフォリオを作りますか
作りません。内科は病歴要約が29篇です。内訳はJ-OSLER の病歴要約29篇の内訳にあります。
新・家庭医療専門医は何例出しますか
詳細事例報告を16例です。11の領域から1つずつと、5つの組からaかbを1つずつ出します。2024年6月の改訂後の数で、2025年3月修了時から適用されています。
まとめ
書き方より先に、どの制度のどの書類かです。総合診療専門研修は経験省察研修録を J-GOAL へ、2020年度以降はタイプBだけ。新・家庭医療専門医は詳細事例報告が16例。内科は病歴要約29篇で、ポートフォリオという書類は出てきません。
生成AIは使えますが、機構のガイドラインに従うことが条件です。新・家庭医療専門医の領域は2024年6月に、総合診療の整備基準は2026年6月に改訂されているので、要件は現行版を見てください。
出典
- 1.一次資料日本プライマリ・ケア連合学会「ポートフォリオについて(新制度)=詳細事例報告16例・各領域1つずつ11+a/bいずれか5組・2024.06.07 改訂/2025年3月修了時より適用・ウェブフォーム入力のみ・下書き用ファイル」 primary-care.or.jp(2026-09-21 取得)
- 2.一次資料日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会「J-GOAL/J-OSLER(総合診療専門研修で使用するオンラインシステムの概要・注1 総合診療版J-OSLERは内科学会版とは異なるシステム)」 jbgm.org(2026-09-21 取得)
- 3.一次資料日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会「よくある質問 Q7「2020年度以降の専攻医の研修手帳(J-GOAL)について」(タイプBに一本化・タイプAは受理しない)」 jbgm.org(2026-09-21 取得)
- 4.一次資料日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会「よくある質問 Q1「J-GOAL(経験省察研修録等)、総合診療版 J-OSLER、My portfolio(事例報告)等の書類を作成する際に生成 AI を利用しても良いですか。」」 jbgm.org(2026-09-21 取得)
- 5.一次資料日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会「お知らせ(2026/07/31 総合診療版生成AI利用ガイドライン策定について・2026/06/23 各規程の改訂について=総合診療専門研修プログラム整備基準 令和8年6月19日改訂)」 jbgm.org(2026-09-21 取得)
- 6.一次資料日本内科学会「内科専門研修 修了要件(症例数・疾患群・病歴要約)一覧表 修了要件120症例の場合(専攻医7期生以降)」 cdn-naikaprod.pressidium.com(2026-09-21 取得)
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