静岡の研修病院はどこを受けるか|第一志望が定員を上回った8院と、空席が2席しかない中部(2025年度)
目次
静岡で第一志望者数が定員を上回ったのは8院です。そのうち第一志望者数の実数でも県内上位に入るのは6院です。静岡県立総合病院・静岡市立静岡病院・聖隷三方原病院・静岡済生会総合病院・藤枝市立総合病院・磐田市立総合病院です。[1],[2]
そして静岡には、先に知っておくとよいことがあります。静岡県は公式サイトで研修病院を東部・中部・西部に分けて紹介していますが、この3つで状況がまるで違います。中部は静岡市から藤枝・島田・焼津にかけての8病院で、空席はわずか2席、第一志望は定員の1.21倍でした。東部は0.79倍で空席10席、西部は0.82倍で空席10席です。「静岡は空いている」とも「静岡は激戦」とも、県全体では言えません。
なお、席が空いていることと入りやすさは別です。採用試験を受けて病院側の順位表に載ることが前提です。
候補をどこから集めるか
登録する順番は、自分が行きたい順です。順位を実際の志望と違う順に付け替えても、有利にはなりません。動かせるのは、採用試験を受けて「行ってもよい」と言えるプログラムを1つでも多く登録することです。以下は候補の探し方であって、登録する順番の指示ではありません。[4]
- まず見る……第一志望が定員を上回り、実数でも県内上位に入る6院を軸に、自分の条件で絞る。静岡県立総合・静岡市立静岡・聖隷三方原・静岡済生会総合・藤枝市立総合・磐田市立総合
- 次に見る……第一志望が定員ちょうど前後の病院。浜松医療センター100%・島田市立総合医療センター100%・沼津市立病院100%。国立病院機構静岡医療センター100%・中東遠総合医療センター93%・聖隷浜松病院82%など
- 採用試験を受けたうえで「行ってもよい」と言える範囲で足す……空席が出たのは10プログラム・22席。内訳は浜松医科大学医学部附属病院5席・国際医療福祉大学熱海病院5席・伊東市民病院4席。浜松赤十字病院4席・静岡県立総合病院2席・国立病院機構静岡医療センター1席・遠州病院1席
以上は候補の探し方で、順位表に書く順とは別です。空席の多い枠を「狙い目」と読み替えないでください。
空席の出た枠を順位表に入れておく意味は、ひとことで言えば受け皿になりうるからです。受け皿になるには、条件が2つあります。
- 病院側の順位表にも載っていること……採用試験を受けても載るとは限りません。JRMPは「参加病院は、採用試験の結果に基づいて採用しても良いと考える受験者のみを希望順位登録しますので、アルゴリズム上、そのようなケースも発生します」と明記しています
- 行ってもよいと言える枠であること……マッチしたあとは基本的に動かせません
空席が残ったのは、そこを希望して病院側の順位表にも載っていた人が、全員より上の希望に入れたからです。これはJRMPが用いるゲール・シャープレーのアルゴリズムからの帰結で、公表資料にある記述ではありません。裏を返せば、第1希望に空席があるのに自分はアンマッチ、も起こります。2025年度のアンマッチは741人でした。残った席が二次募集に回ることもありますが、募集を出さない病院もあります(マッチングでアンマッチだったら)。
空席が出るかどうかは年によって動きます。2025年度に空いたからといって2026年度も空くとは限りません。行ってもよいと言える範囲で、空席の実績がある枠を複数登録しておくと、アンマッチの可能性を下げる方向には働きます。ただしそれも病院側の順位表に載っていることが前提です。順位表の作り方そのものはマッチングの希望順位登録を参照してください。
静岡県全体の数字
2025年度のマッチングで、静岡県には30のプログラムがあり、24の病院に分かれています。この24という数は、静岡県が公表している基幹型の臨床研修病院の数と一致します。募集定員の合計は301人、マッチした人数は279人で、充足率は92.7%でした。全国全体の充足率が84.6%なので、それより埋まる県です。空席は22席、空席が出たプログラムは10件でした。複数のプログラムを持つ病院は4つです。[1],[5]
第一志望者数の合計は284人で、定員301人に対して0.94倍です。全国全体では0.88倍なので、それをやや上回る程度で、定員そのものは第一志望者数より多い県です。ただしこの比は、そのまま個人の難易度にはなりません。誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まります。なお第一志望者数は中間公表時点の断面値で、プログラム別の確定値は公表されません。
東部・中部・西部で、埋まり方が大きく違う
静岡県は研修病院を紹介するとき、東部7病院・中部8病院・西部9病院の3つに分けています。この区分をそのままJRMPの数字に当てはめると、県全体の平均では見えないものが出てきます。[5],[1]
- 中部(8病院・10プログラム)……定員101人/マッチ99人/充足率98.0%/空席2席/第一志望122人(定員の1.21倍)
- 西部(9病院・11プログラム)……定員122人/マッチ112人/充足率91.8%/空席10席/第一志望100人(定員の0.82倍)
- 東部(7病院・9プログラム)……定員78人/マッチ68人/充足率87.2%/空席10席/第一志望62人(定員の0.79倍)
中部は第一志望が定員の1.21倍で、空席は県立総合病院の2席だけです。参考までに、都道府県単位でこの比が最も高いのは大阪の1.23倍、次いで東京の1.15倍です。中部はエリア単位の集計なので単純には比べられませんが、県内の一部に、それに近い水準の地域があります。
一方の東部と西部は第一志望が定員の8割前後で、空席がそれぞれ10席出ました。同じ静岡県でも、どのエリアを見るのかで候補の集め方が変わります。エリアの区分は静岡県の公式サイトの掲載区分によるもので、JRMPの公表資料に列として存在するものではありません。
空席22席の内訳を見ます。東部の10席は国際医療福祉大学熱海病院5席・伊東市民病院4席・国立病院機構静岡医療センター1席。西部の10席は浜松医科大学医学部附属病院5席・浜松赤十字病院4席・遠州病院1席。中部の2席は静岡県立総合病院初期臨床研修産婦人科プログラムです。空席の多寡は立地・定員規模・併願のされ方に強く左右されるもので、研修の質や教育体制とは別の話です。低い倍率をどう読み分けるかはマッチングの穴場病院の見つけ方にまとめています。[1]
大学病院は3つで、埋まり方が分かれた
静岡県内の大学病院は、順天堂大学医学部附属静岡病院・浜松医科大学医学部附属病院・国際医療福祉大学熱海病院の3つです。3つ合わせて6プログラム・定員77人で、県全体301人の26%です。[3]
- 順天堂大学医学部附属静岡病院……2プログラム/定員37人/マッチ37人/空席0/第一志望26人
- 浜松医科大学医学部附属病院……3プログラム/定員31人/マッチ26人/空席5/第一志望12人
- 国際医療福祉大学熱海病院……1プログラム/定員9人/マッチ4人/空席5/第一志望2人
大学病院全体では6プログラム・定員77人でマッチ67人、充足率87.0%、第一志望者数は40人で定員の0.52倍です。市中病院は24プログラム・定員224人で、第一志望者数は定員の1.09倍、充足率94.6%でした。3つの中身は違います。順天堂大学医学部附属静岡病院は第一志望26人で定員37人が埋まった一方、国際医療福祉大学熱海病院は定員9人のうち5席が空きました。
「静岡の大学病院」という括りでは判断できません。大学病院は併願先として登録されやすく第1志望率が低く出る、というのが iwor の見方です。大学病院と市中病院の選び方そのものは大学病院と市中病院どっちで扱っています。
第一志望者数が0だったプログラムは県内で3件です。定員2人の静岡県立総合病院初期臨床研修産婦人科プログラムは登録8人、同じく定員2人の浜松医科大学医学部附属病院臨床研修プログラムCは登録10人。定員1人の伊東市民病院地域医療重点プログラムは登録7人でした。いずれも定員1〜2人の枠です。第一志望者数が0であることは、そのプログラムの研修内容の評価ではありません。第一志望が0でも、順位表に登録した学生はいます。[1],[2]
第一志望が定員を上回ったのは8院
静岡の病院を、定員に対する第一志望者数の比で並べます。定員に対する比が100%を超えたのは8院でした。8位と9位の間には比の差があるので、この位置で切るのが自然です。第一志望者数はいずれも中間公表時点の断面値です。[2],[1]
- 富士宮市立病院……300%(第一志望12人/定員4人)
- 静岡市立静岡病院……169%(22人/13人)
- 静岡県立総合病院……168%(37人/22人)
- 静岡済生会総合病院……150%(18人/12人)
- 浜松労災病院……150%(6人/4人)
- 聖隷三方原病院……138%(22人/16人)
- 磐田市立総合病院……107.1%(15人/14人)
- 藤枝市立総合病院……106.7%(16人/15人)
このうち富士宮市立病院と浜松労災病院は定員が4人と小さく、第一志望が12人・6人でも比が大きく出ます。定員が小さいほど比は振れやすいので、この2つは実数のほうも見てください。残る6院は、第一志望者数の実数でも県内上位に入ります。静岡県立総合病院・静岡市立静岡病院・聖隷三方原病院・静岡済生会総合病院・藤枝市立総合病院・磐田市立総合病院です。
第一志望者数の実数で並べると、次のようになります。こちらも中間公表時点の断面値です。実数の1位は静岡県立総合病院の37人で、これは3つのプログラムの合計です。2位の順天堂大学医学部附属静岡病院は定員37人に対して26人なので、比では70%になります。実数で並べると定員の大きい病院が上に来て、比で並べると定員の小さい病院が上に来る、という関係は静岡でも同じです。
- 静岡県立総合病院……第一志望37人/定員22人(168%)
- 順天堂大学医学部附属静岡病院……26人/37人(70%)
- 静岡市立静岡病院……22人/13人(169%)
- 聖隷三方原病院……22人/16人(138%)
- 静岡済生会総合病院……18人/12人(150%)
- 藤枝市立総合病院……16人/15人(107%)
- 磐田市立総合病院……15人/14人(107%)
- 聖隷浜松病院……14人/17人(82%)
- 中東遠総合医療センター……13人/14人(93%)
- 浜松医療センター……13人/13人(100%)
なお、比で「上位10」という切り方は静岡では使えません。9位から12位に、第一志望者数が定員とちょうど同じ100.0%の病院が4つ並ぶためです。国立病院機構静岡医療センター・沼津市立病院・島田市立総合医療センター・浜松医療センターです。だからこの記事では「定員を上回った8院」という区切りを使っています。ランキングの読み方の全体像は研修医マッチングの人気病院ランキングの読み方にまとめています。
この数字は、全国のどのあたりなのか
ここまでは静岡の中だけで並べてきました。実際に志望先を決めるときに効いてくるのは「この数字は全国で見てどのくらいなのか」です。自分の志望先の数字が全国では何番目なのかは、残り1,400件以上のプログラムの分布を知らないと分かりません。候補が増えるほど、全国の分布と突き合わせる手間は増えていきます。[1]
iwor はこの判断のために、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。
- マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
- 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
- 穴場度:0〜100。空きやすさ(空席・低充足)と低倍率を主に、志望者の減少傾向を加味した値です
- 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります
この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数・空席は、いずれもこれらの指標の材料そのものです。とくにマッチ難易度は、富士宮市立病院のように定員4人で第一志望12人という、比だけでは読みにくい状態を補正したうえで全国の分布に置き直しています。静岡の30プログラムをプログラム単位のまま倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりできます。
いずれも公表値からの推定で、席の取りやすさの目安です。研修の質の評価でも、個人の合否の予測でもありません。主要な研修病院は静岡県の研修病院で一覧にしています。30プログラム全件はアプリの病院データベースで絞り込めます。
静岡の30プログラムを、同じ物差しで見比べる。
iwor は医師のためのワークスペースです。プログラム単位のまま、倍率・定員・充足率で並べ替えたり都道府県・区分で絞り込んだりできます。選んだ複数院の横並び比較、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度の数字、マッチ難易度の全国順位まで見られます。
無料ではじめるこの記事の数字の出どころ
本記事の数値は、医師臨床研修マッチング協議会が公表している資料から iwor が出しています。募集定員・マッチ者数・空席数・希望順位登録学生数の確定値は、2025年度の研修プログラム別マッチ結果から。第一志望者数は中間公表からです。集計の単位は公表資料と同じくプログラム単位で、病院単位の数字は同じ病院名のプログラムを足し合わせて算出しました。[1],[2],[5]
東部・中部・西部の区分は、静岡県地域医療支援センターが公表している臨床研修病院一覧の掲載区分をそのまま用いています。JRMPの公表資料には、この区分の列が用意されていません。医学部を持つ大学の附属病院に限り、分院・医療センターも含めます。
本記事でいう第一志望者数とは、中間公表の前日14時時点で各プログラムを第1位で希望順位登録している参加者数です。中間公表の後も順位登録は変更できるため、最終結果とは一致しません。中間公表の位置づけはマッチングの中間公表とはで解説しています。[2]
よくある質問
静岡の研修病院は結局どこから見ればいいですか
第一志望が定員を上回り、実数でも県内上位に入るのは次の6院です。静岡県立総合病院・静岡市立静岡病院・聖隷三方原病院・静岡済生会総合病院・藤枝市立総合病院・磐田市立総合病院です。研修の質の順位ではなく、候補を探す出発点として見てください。
中部と西部では、どちらが入りやすいですか
エリアの集計値は、個人の入りやすさを表しません。2025年度は中部が充足率98.0%で空席2席、西部が91.8%で空席10席でした。プログラム単位の数字で見てください。
静岡県立総合病院に空席があるのはなぜですか
産婦人科プログラム(定員2人)で第一志望者もマッチ者も0人だったためです。他のプログラムは埋まり、第一志望者数の合計37人は県内最多です。病院単位の数字だけでは実態を取り違えます。
愛知や神奈川の病院と併願する場合、静岡はどう位置づければいいですか
静岡の定員301人は全国10位の規模で、選択肢としては十分あります。第一志望者数は定員の0.94倍で、愛知の0.996倍・神奈川の1.13倍よりは低い水準です。
まとめ
候補は、第一志望が定員を上回り実数でも県内上位に入る6院です。静岡県立総合・静岡市立静岡・聖隷三方原・静岡済生会総合・藤枝市立総合・磐田市立総合でした。そのうえで静岡では、県内のどのエリアを見ているかを先に決めることです。中部は充足率98.0%・空席2席・第一志望が定員の1.21倍で、県内で最も埋まります。東部と西部は空席が各10席出ました。東部と西部は空席が各10席出ました。内訳は本文に挙げています。県全体の平均で判断せず、エリアとプログラムごとの数字を見てください。
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果」 jrmp2.jp(2026-08-04 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表」 jrmp2.jp(2026-08-04 取得)
- 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修医マッチングの結果(記者発表資料・2025年10月23日)」 jrmp2.jp(2026-09-18 取得)
- 4.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2026年度版 研修医マッチングの手引き【6年生用・既卒者用】」 jrmp.jp(2026-08-04 取得)
- 5.一次資料静岡県地域医療支援センター(静岡県)「静岡県臨床研修病院一覧」 fujinokuni-doctor.jp(2026-08-04 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制