研修医の病状説明|4病院の基準はどれも、正式な説明を研修医1人では行わないとしている。悪い知らせの説明はSPIKESの6段階
目次
研修医が1人でしてよい行為の範囲を、基準として決めて公開している病院があります。
九州大学病院・長崎大学病院・熊本大学病院・新東京病院の基準は、どれも正式な場での病状説明を研修医1人では行わないとしています。ベッドサイドでの簡単な質問に答えることは、どの基準も認めています。悪い知らせの説明には、SPIKESという6段階の型があります。
4病院の基準が決めていること
九州大学病院の基準は、正式な場での病状説明を、研修医が単独で行ってはならないとしています。ベッドサイドで病状について簡単な質問に答えるのは、差し支えないとしています。[1]
長崎大学病院と熊本大学病院の基準も、ほぼ同じ文言です。長崎大学病院の基準は、国立大学医学部附属病院長会議の常置委員会が2004年2月に示したものをもとにしていると書いています。[2],[3]
新東京病院の基準は、もう少し細かく分けています。[4]
- 1人でしてよい:回診時の検査の説明、指導医の指示のもとでの簡単な検査結果の説明、ベッドサイドでの簡単な質問への対応(内容はカルテに書く)
- 1人でしてはいけない:正式な検査結果の説明、診断名・治療・予後などの正式な病状説明
- 検査・処置・治療の同意書の説明は、指導医のもとでなら行ってよい
研修が始まったら、自分の病院に同じような基準があるかを、研修の手引きや院内のページで確かめてください。
ベッドサイドで聞かれたら
新東京病院の基準では、診断名・治療・予後の説明は正式な病状説明に入ります。答えられる範囲を越えたら、指導医に伝えて、あらためて一緒に説明する場を作ります。
答えた内容はカルテに書いておきます。指導医が次に説明するとき、患者さんが何を聞いて、何と答えられたかを知っておけます。
カルテの書き方は、カルテ(SOAP)の書き方にまとめています。
指導医や他科に相談するときの伝え方は、研修医のコンサルトにまとめています。
説明は医師の努力義務で、研修の到達目標にも入っている
医療法は、医師などの医療の担い手に「適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と求めています。[5]
臨床研修の到達目標も、コミュニケーション能力の項目にこれを挙げています。患者や家族に必要な情報を整理し、分かりやすい言葉で説明して、患者の主体的な意思決定を支援することです。[6]
研修医にとって、説明を学ぶ場は指導医の説明への同席です。同席したら、何から話し、どこで質問を受けたかを見ておきます。
厚生労働省の指針が、診療中の患者に説明する事項として挙げる7つは、医師の説明義務にまとめています。
悪い知らせの説明は、SPIKESの6段階で組み立てられる
SPIKES は、がんの患者に悪い知らせを伝えるための6段階のプロトコルで、2000年に Baile らが発表しました。[7]
- S(Setting up):面談の場を整える
- P(Perception):患者がいまの状態をどう理解しているかを聞く
- I(Invitation):どこまで知りたいかを確かめる
- K(Knowledge):情報を伝える
- E(Emotions):患者の感情に、共感をもって応える
- S(Strategy and Summary):今後の方針を決め、まとめる
指導医の説明に同席するとき、この6段階のどこにいるかを追うと、説明の組み立てが見えてきます。
研修の記録を、一覧で数える
臨床研修の方略は、経験すべき症候29と疾病・病態26の経験も求めています。iwor の J-OSLER・EPOC アプリでは、経験済みにした項目と残りの項目を一覧で数えられます。iwor は厚生労働省の公式システムではないので、正式な登録と評価は EPOC で行います。
経験すべき症候と疾病・病態の残りを、一覧で数える。
経験すべき症候29と疾病・病態26が並び、経験済みにした項目は薄くなって、未経験の項目が濃く残ります。iwor は医師のためのワークスペースです。
無料ではじめるよくある質問
同意書の説明は、研修医がしてもいいですか
新東京病院の基準では、検査・処置・治療の同意書の説明は、指導医のもとでなら行ってよいとしています。扱いは病院ごとなので、自分の病院の基準で確かめます。[4]
まとめ
4病院の基準では、正式な病状説明は指導医と一緒に行います。ベッドサイドの簡単な質問には答え、内容をカルテに残し、悪い知らせの場ではSPIKESの6段階を追って学びます。
出典
- 1.一次資料九州大学病院 臨床教育研修センター「研修医が単独にて行って良い処置・処方の基準(平成22年9月15日改定)」 kenshu.hosp.kyushu-u.ac.jp(2026-10-15 取得)
- 2.一次資料長崎大学病院「研修医が単独で行ってよい処置・処方の基準(研修医の医療行為に対する安全管理体制)」 mh.nagasaki-u.ac.jp(2026-10-15 取得)
- 3.一次資料熊本大学病院「研修医が単独で行ってよい医療行為の基準」 www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp(2026-10-15 取得)
- 4.一次資料新東京病院「研修医が単独で行ってよい検査・処置・手技・処方の基準」 shin-tokyohospital.or.jp(2026-10-15 取得)
- 5.一次資料e-Gov 法令検索「医療法(昭和23年法律第205号)第1条の4第2項」 laws.e-gov.go.jp(2026-10-15 取得)
- 6.一次資料厚生労働省「臨床研修の到達目標、方略及び評価(令和8年3月31日付一部改正 別添)B-4 コミュニケーション能力・Ⅱ 実務研修の方略」 mhlw.go.jp(2026-10-15 取得)
- 7.一次資料The Oncologist「Baile WF, et al. SPIKES—A six-step protocol for delivering bad news: application to the patient with cancer. Oncologist. 2000;5(4):302-11. doi:10.1634/theoncologist.5-4-302」 doi.org(2026-10-15 取得)
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