千葉の研修病院はどこを受けるか|第一志望が多い6院と、大学病院8つの中身の違い(2025年度)
目次
答えを先に書きます。千葉で第一志望者数の実数でも定員に対する比でも上位に入るのは、千葉労災病院・千葉市立海浜病院・松戸市立総合医療センター・亀田総合病院・船橋市立医療センター・国立国府台医療センターの6院です。第一志望者数の実数で並べても、定員に対する比で並べても、この6院が上位10に入ります。候補集めはここから始めるのが早いです。そして千葉には、他の県と違う事情がひとつあります。大学病院が8つもあり、その中身が大きく違うことです。順天堂大学医学部附属浦安病院は第一志望33人で定員が埋まり、東京慈恵会医科大学附属柏病院は定員25人のうち14席が空きました。「大学病院だから空いている」も「大学病院だから入りやすい」も、千葉では成り立ちません。[1],[2]
候補をどこから集めるか
先に1つ断っておきます。登録する順番は、自分が行きたい順です。順位を戦略的に動かしても有利にならない仕組みなので(マッチングの希望順位登録)、以下は候補の探し方であって、登録する順番の指示ではありません。順位を実際の志望と違う順に付け替えても、有利にはなりません。動かせるのは、採用試験を受けて「行ってもよい」と言えるプログラムを1つでも多く登録することです。
- まず見る……第一志望が集まっている6院(千葉労災・千葉市立海浜・松戸市立総合医療センター・亀田総合・船橋市立医療センター・国立国府台)を軸に、自分の条件で絞る
- 次に見る……比が1.5〜2.3倍の中規模市中病院(セコメディック病院2.25倍・千葉メディカルセンター2.14倍・千葉徳洲会病院2.00倍・千葉市立青葉病院1.50倍など)
- 登録の数を増やすために足す……大学病院。ただし8つを同じ扱いにしない。空席が大きかったのは東京慈恵会医科大学附属柏病院14席・国際医療福祉大学成田病院12席・東京女子医科大学附属八千代医療センター9席の3院で、千葉大学医学部附属病院2席・帝京大学ちば総合医療センター1席も空きました。順天堂大学医学部附属浦安病院・東邦大学医療センター佐倉病院・日本医科大学千葉北総病院は定員が埋まっています
空席の出たプログラムを順位表に加えておく意味は、こう整理できます。順位表は病院側もつくります。JRMPはマッチングにゲール・シャープレーのアルゴリズムを用いると公表しており、その性質から次のことが言えます——病院側の順位表に載っていて、かつ空席の出たプログラムを自分の希望順位表に書いていた人は、そのプログラムか、それより上位の希望のどこかにマッチしている。空席が残るということは、そこを希望し、かつ病院側の順位表に載っていた人は全員、より上の希望に入れたか、その枠に入ったかのどちらかだからです。これは公表資料に書かれた記述ではなく、アルゴリズムから導かれる帰結です。ただし、採用試験を受けることと病院の順位表に載ることは同じではありません。JRMPは「参加病院は、採用試験の結果に基づいて採用しても良いと考える受験者のみを希望順位登録しますので、アルゴリズム上、そのようなケースも発生します」と明記していて、第1希望のプログラムに空席があるのに自分はアンマッチ、ということが起こりえます。2025年度のアンマッチは741人でした。だから空席は「受けておけば必ず入れた席」ではありません。それでも、マッチングの中でその席を受け皿にできるのは、採用試験を受けてそこを順位表に書いておいた人だけです。なおマッチング後に残った席が二次募集に回ることもありますが、募集を出さない病院もあります(マッチングでアンマッチだったら)。[3],[1]
空席が出るかどうかは年によって動きます。2025年度に空いたからといって2026年度も空くとは限りません。行ってもよいと言える範囲で、空席の実績がある枠を複数登録しておくと、アンマッチの可能性を下げる方向には働きます。ただしそれも病院側の順位表に載っていることが前提です。順位表の作り方そのものはマッチングの希望順位登録を参照してください。以下、順に数字で示します。
千葉県全体の数字
2025年度のマッチングで、千葉県には61のプログラムがあり、40の病院に分かれています。募集定員の合計は487人、マッチした人数は441人で、充足率は90.6%でした。全国の充足率が84.6%なので、全国平均より埋まる県です。空席は46席、空席が出たプログラムは16件でした。[1]
第一志望者数の合計は404人で、定員487人に対して0.83倍です。全国では0.88倍なので、こちらは下回ります。定員に対して第一志望が少ないのに充足率は全国平均より高い、という組み合わせです。ただしこの比がそのまま個人の難易度になるわけではありません。誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まります。なお第一志望者数は中間公表時点の断面値で、プログラム別の確定値は公表されません。[2],[1]
大学病院が8つ、定員が埋まったところと半分以上空いたところがある
千葉県の特徴は、県内に大学病院が8つあることです。定員の合計は190人で、県全体487人の4割近くを占めます。ところがこの8つは、ひとくくりにできません。定員が埋まったところもあれば、定員の半分以上が空いたところもあります。[1],[2]
- 順天堂大学医学部附属浦安病院……3プログラム/定員43人/マッチ43人/空席0/第一志望33人。第一志望者数は県内3位で、市中の亀田総合病院とほぼ並びます
- 千葉大学医学部附属病院……4プログラム/定員49人/マッチ47人/空席2/第一志望15人
- 東邦大学医療センター佐倉病院……1プログラム/定員19人/マッチ19人/空席0/第一志望5人
- 日本医科大学千葉北総病院……1プログラム/定員12人/マッチ12人/空席0/第一志望0人。第一志望に選んだ人が0でも、定員は埋まりました
- 東京慈恵会医科大学附属柏病院……4プログラム/定員25人/マッチ11人/空席14
- 国際医療福祉大学成田病院……3プログラム/定員28人/マッチ16人/空席12
- 東京女子医科大学附属八千代医療センター……3プログラム/定員11人/マッチ2人/空席9
- 帝京大学ちば総合医療センター……1プログラム/定員3人/マッチ2人/空席1
県全体の空席46席のうち38席、8割強は大学病院の枠です。ただしその38席のうち35席は3つ(慈恵柏14席・国際医療福祉大成田12席・女子医大八千代9席)に集中しています。残る5つのうち3つは定員が埋まり、千葉大は49人中2席、帝京大ちばは3人中1席の空きでした。「千葉の大学病院」という括りで判断できないということです。[1]
なかでも日本医科大学千葉北総病院は、第一志望に選んだ人が0でありながら定員12人が埋まっています。第一志望者数とマッチ者数が別の数字であることの、いちばんはっきりした例です。第一志望者数が少ないことは、研修の質や教育体制の評価とは関係がありません。順位表の何位に置かれやすいか、という話です。大学病院と市中病院の選び方そのものは大学病院と市中病院どっちで扱っています。[1],[2]
大学病院全体では20プログラム・定員190人で、第一志望者数は定員の0.34倍、充足率80.0%。市中病院は41プログラム・定員297人で、第一志望者数は定員の1.14倍、充足率97.3%です。第一志望者数が0だったプログラムは県内で16件あり、うち11件は定員2人、2件が定員3人で、定員12人・7人・5人のプログラムも1件ずつ含まれます。定員の小さい枠に何人が下位順位で登録しているかは公表されていないので、ここを「狙い目」と読み替えないでください。空席の読み方はマッチングの穴場病院の見つけ方にまとめています。[1],[2]
ランキングは、何で並べるかで顔ぶれが変わる
病院単位で集計した場合でも、何で並べるかで結果は変わります。千葉の病院を「第一志望者数の実数」で並べた場合と、「第一志望者数÷定員」で並べた場合で、実数と比の両方で上位10に入るのは、この6病院です。ただし実数の10位は千葉大学医学部附属病院と千葉メディカルセンターがともに15人の同数で、後者を採ると7病院になります。同数の並びがあるので「ちょうど6」という数え方は一意ではありません。以下はいずれも第一志望に選んだ人数の多寡であって、研修の質の順位ではありません。[2],[1]
- 千葉労災病院……第一志望36人/定員10人(360%)
- 亀田総合病院……34人/24人(142%)
- 順天堂大学医学部附属浦安病院……33人/43人(77%)
- 松戸市立総合医療センター……29人/14人(207%)
- 千葉市立海浜病院……24人/8人(300%)
- 成田赤十字病院……23人/20人(115%)
- 船橋市立医療センター……18人/12人(150%)
- 国立国府台医療センター……17人/10人(170%)
- 総合病院国保旭中央病院……17人/30人(57%)
- 千葉大学医学部附属病院……15人/49人(31%)
比で並べると、定員の小さい市中病院が上位に集まります。こちらも定員に対する第一志望者数の比であって、研修の質の順位ではありません。[2],[1]
- 千葉労災病院……360%(第一志望36人/定員10人)
- 千葉市立海浜病院……300%(24人/8人)
- セコメディック病院……225%(9人/4人)
- 千葉メディカルセンター……214%(15人/7人)
- 松戸市立総合医療センター……207%(29人/14人)
- 千葉徳洲会病院……200%(10人/5人)
- 国立国府台医療センター……170%(17人/10人)
- 船橋市立医療センター……150%(18人/12人)
- 千葉市立青葉病院……150%(12人/8人)
- 亀田総合病院……142%(34人/24人)
両方に入っているのは、千葉労災病院・千葉市立海浜病院・松戸市立総合医療センター・亀田総合病院・船橋市立医療センター・国立国府台医療センターです。千葉大学医学部附属病院は実数では10位前後に入りますが、定員49人に対する比では0.31倍になります。定員が小さいほど比は振れやすくなる点には注意してください。いずれも中間公表時点の断面値による並びで、病院の質を示すものではありません。ランキングの読み方の全体像は研修医マッチングの人気病院ランキングの読み方、関東1都6県の比較は関東の人気研修病院はどこかにまとめています。[2],[1]
この数字は、全国のどのあたりなのか
ここまでは千葉の中だけで並べてきました。実際に志望先を決めるときに効いてくるのは「この数字は全国で見てどのくらいなのか」です。千葉労災病院の360%という競争の激しさが全国のどのあたりなのか、東京慈恵会医科大学附属柏病院の14席の空きをどう読むのかは、残り1,400件以上のプログラムの分布を知らないと判断できません。候補が増えるほど、全国の分布と突き合わせる手間は増えていきます。
iwor はこの判断のために、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。定義は無料で確認できます。
- マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
- 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
- 穴場度:0〜100。空きやすさ・低倍率・志望者の減少から算出した値。高いほど競争が緩い傾向です
- 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります
この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数・空席は、いずれもこれらの指標の材料そのものです。とくに志望集中度は、日本医科大学千葉北総病院のように「第一志望0でも定員が埋まる」という状態を1つの数字にしたものです。千葉の61プログラムをプログラム単位のまま倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりするところまでは、無料プランのまま使えます。PRO なら4指標の数字とマッチ難易度の全国順位まで見られます。いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではありません。公表値からの推定であって、合否や受け入れを保証するものでも、個人の合否を予測するものでもありません。主要な研修病院は千葉県の研修病院で一覧にしています(定員と志願者が一定以上の35プログラム)。61プログラム全件はアプリの病院データベースで絞り込めます。
千葉の8つの大学病院を、1つずつ見分ける。
iwor は医師のためのワークスペースです。プログラム単位のまま、倍率・定員・充足率で並べ替えたり都道府県・区分で絞り込んだりできます。PRO なら選んだ複数院の横並び比較と、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度の数字と、マッチ難易度の全国順位まで見られます。
無料ではじめるこの記事の数字の出どころ
本記事の集計は、医師臨床研修マッチング協議会が公表している2025年度の研修プログラム別マッチ結果(募集定員・マッチ者数・空席数・希望順位登録学生数の確定値)と、中間公表(第一志望者数)に基づいて iwor が独自に行ったものです。集計の単位は公表資料と同じくプログラム単位で、病院単位の数字は同じ病院名のプログラムを足し合わせて算出しました。なお大学病院と市中病院の区分は公表資料に列として存在しないため、iwor が病院名から分類したものです(医学部を持つ大学の附属病院に限り、分院・医療センターも含めます。医学部を持たない大学の附属病院である東京歯科大学市川総合病院は市中病院に分類しています)。[1],[2]
本記事でいう第一志望者数とは、中間公表の前日14時時点で各プログラムを第1位で希望順位登録している参加者数です。中間公表の後も順位登録は変更できるため、最終結果とは一致しません。中間公表の位置づけはマッチングの中間公表とはで解説しています。[2]
よくある質問
千葉の研修病院は結局どこから見ればいいですか
第一志望が集まっている6院から見てください。千葉労災病院・千葉市立海浜病院・松戸市立総合医療センター・亀田総合病院・船橋市立医療センター・国立国府台医療センターで、いずれも実数と定員比の両方で県内上位です。ここは「同学年が実際にどこを一番に選んだか」であって、研修の質の順位ではありません。ただし候補をゼロから探すよりは早い出発点になります。そのうえで自分の条件(救急の体制、大学か市中か、通勤範囲、診療科の重点)で絞ってください。条件の決め方は研修病院の選び方にまとめています。
第一志望0の病院で定員が埋まるのはなぜですか
マッチングが第1志望だけで決まらないためです。第1志望の枠から外れた人は、順位表の第2志望・第3志望へと順に照合されます。日本医科大学千葉北総病院は第一志望0で定員12人が埋まりましたが、これは他を第1志望にしていた人が下位順位に登録していれば起こります。第一志望者数は「そこを一番に選んだ人の数」であって、「そこに登録した人の数」でも「入る人の数」でもありません。[1],[2]
東京の病院と併願する場合、千葉はどう位置づければいいですか
千葉の定員487人は東京1,218人・神奈川656人・大阪625人・愛知548人に次ぐ全国5位の規模で、選択肢としては十分あります。併願するなら、採用試験の日程が重複しないかを各病院の募集要項で確かめてください。関東全体の比較は関東の人気研修病院はどこか、東京の内訳は東京の研修病院はどこを受けるか、隣接する埼玉は埼玉の研修病院はどこを受けるかを参照してください。[1]
第一志望者が多いプログラムは避けたほうがいいですか
順位の付け方を変える理由にはなりません。マッチングで使われるアルゴリズムは「耐戦略性」を持つと公表されており、自分の希望どおりの順位で登録することが最良の結果になるとされています。ただし第一志望者が多いプログラムほどその枠の競争は激しくなります。順位表を長くしておくとアンマッチの可能性は下がりますが、なくなるわけではありません。JRMPも、登録数の多いプログラムを希望していて不安な場合は「登録順位の変更」ではなく「登録順位数を増やす」ことを勧めています。順位の付け方はマッチングの希望順位登録を参照してください。[2]
まとめ
候補は、実数でも定員比でも県内上位に入る6院(千葉労災・千葉市立海浜・松戸市立総合医療センター・亀田総合・船橋市立医療センター・国立国府台)から始めてください。登録先には大学病院も入れますが、千葉では8つをひとくくりにしないことです。空席46席のうち38席は大学病院の枠ですが、その大半は東京慈恵会医科大学附属柏病院・国際医療福祉大学成田病院・東京女子医科大学附属八千代医療センターの3つに集中し、順天堂大学医学部附属浦安病院は第一志望33人で定員が埋まりました。日本医科大学千葉北総病院のように、第一志望0でも定員が埋まる病院もあります。病院名の括りではなく、プログラムごとの数字を見てください。[1],[2]
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果」 jrmp2.jp(2026-08-04 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表」 jrmp2.jp(2026-08-04 取得)
- 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2026年度版 研修医マッチングの手引き【6年生用・既卒者用】」 jrmp.jp(2026-08-04 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制