岐阜の研修病院はどこを受けるか|46席が空き、その半分は大学病院の3プログラム(2025年度)
目次
岐阜で第一志望者数の実数でも定員に対する比でも上位5に入るのは、岐阜市民病院と松波総合病院の2院です。そのうえで岐阜は、県全体で46席が空いた県でもあります。ただしその空席は県内に散らばっておらず、半分にあたる23席は岐阜大学医学部附属病院の3プログラムに集まっています。空席が出た枠を受け皿にできるのは、採用試験を受けて、行ってもよいと言える範囲で順位表に書いた人だけです。[1],[2]
候補をどこから集めるか
登録する順番は、自分が行きたい順です。マッチングの希望順位登録に書いたとおり、順位を実際の志望と違う順に付け替えても有利にはなりません。以下は候補の探し方であって、登録する順番の指示ではありません。動かせるのは、採用試験を受けて「行ってもよい」と言えるプログラムを1つでも多く登録することです。
- まず見る……第一志望が集まっている岐阜市民病院(16人/定員16人)と松波総合病院(13人/定員12人)を軸に、自分の条件で絞る
- 次に見る……定員に対する比では上位でも実数が小さい病院(岐阜赤十字病院・羽島市民病院・多治見市民病院)。そして実数では上位でも比が届かない病院(大垣市民病院・岐阜県総合医療センター・中部国際医療センター)
- 採用試験を受けたうえで「行ってもよい」と言える範囲で足す……空席が出たプログラム。岐阜では12プログラム・46席が空きました。うち23席は岐阜大学医学部附属病院の3プログラム
空席の出た枠を順位表に入れておく意味は、ひとことで言えば受け皿になりうるからです。受け皿になるには、条件が2つあります。
- 病院側の順位表にも載っていること……採用試験を受けても載るとは限りません。JRMPは「参加病院は、採用試験の結果に基づいて採用しても良いと考える受験者のみを希望順位登録しますので、アルゴリズム上、そのようなケースも発生します」と明記しています
- 行ってもよいと言える枠であること……マッチしたあとは基本的に動かせません
空席が残ったのは、そこを希望して病院側の順位表にも載っていた人が、全員より上の希望に入れたからです。これはJRMPが用いるゲール・シャープレーのアルゴリズムからの帰結で、公表資料にある記述ではありません。裏を返せば、第1希望に空席があるのに自分はアンマッチ、も起こります。2025年度のアンマッチは741人でした。残った席が二次募集に回ることもありますが、募集を出さない病院もあります(マッチングでアンマッチだったら)。
空席が出るかどうかは年によって動きます。2025年度に空いたからといって2026年度も空くとは限りません。行ってもよいと言える範囲で、空席の実績がある枠を複数登録しておくと、アンマッチの可能性を下げる方向には働きます。ただしそれも病院側の順位表に載っていることが前提です。順位表の作り方そのものはマッチングの希望順位登録を参照してください。
岐阜県全体の数字
まず全体を見ます。2025年度のマッチングで、岐阜県には23のプログラムがあり、20の病院に分かれています。募集定員の合計は176人、マッチした人数は130人で、充足率は73.9%でした。全国のプログラムを合算した充足率は84.6%ですから、それを10ポイント以上下回ります。隣の愛知は90.9%です。[1]
もう一つの指標が第一志望者数です。岐阜のプログラムを第1位で希望順位登録した人は合計101人で、定員176人に対して0.57倍にあたります。全国では0.88倍ですから、定員のほうが第一志望より多い県です。ただしこの比は、そのまま個人の難易度にはなりません。誰がどこにマッチするかは、全員の順位登録と各プログラムの順位づけの組み合わせで決まります。なお第一志望者数は中間公表時点の断面値で、プログラム別の確定値は公表されません。[2],[1]
空いた46席の半分は、1つの病院に集まっている
充足率73.9%という数字は、空席が県内に薄く広がっているような印象を与えます。実際は違います。空席が出たのは23プログラム中12プログラムで、残る11プログラムは定員どおり埋まりました。そして空席46席のうち23席、ちょうど半分が1つの病院に集中しています。[1]
岐阜大学医学部附属病院です。この病院は3つのプログラムを持っていて、定員の合計は29人。マッチしたのは6人で、23席が空きました。内訳は次のとおりです。[1],[2]
- 岐阜大学病院プログラム……定員24人/マッチ6人/第一志望4人
- 周産期プログラム……定員4人/マッチ0人/第一志望0人
- 地域医療重点プログラム……定員1人/マッチ0人/第一志望0人
3つのうち2つは、第一志望に選んだ人もマッチした人も0でした。県全体の「46席の空き」という数字の内訳は、こういう形をしています。残る23席は9プログラムに分かれていて、多いほうから東海中央病院と中濃厚生病院が各5席、西濃厚生病院が4席、高山赤十字病院が2プログラムで計3席です。[1]
これを「狙い目」と読み替えないでください。岐阜大学病院プログラムは定員24人・空席18人でしたが、このプログラムを希望順位表に登録した学生は34人いました。34人が登録して、マッチしたのは6人です。中濃厚生病院も登録23人に対しマッチ5人で5席が空いています。空席は、登録者が少なかったことの結果とは限りません。応募要件や研修内容もプログラムごとに違います。低い倍率をどう読み分けるかはマッチングの穴場病院の見つけ方にまとめています。[1]
大学病院と市中病院で、下回り方の桁が違う
県全体の73.9%という数字は、大学病院と市中病院を混ぜた平均です。大学病院と臨床研修病院の区分は、協議会の記者発表資料と同じです。分けて見ると、まったく違う2つの数字になります。
比べる相手は、全国の合算ではなく同じ区分どうしです。全国の市中病院は充足率88.7%・第一志望者数は定員の1.13倍で、岐阜の市中は84.4%・0.66倍ですから、どちらも下回ります。一方で大学病院の側は全国の78.0%に対して20.7%、第一志望も0.49倍に対して0.14倍で、下回り方の桁が違います。[1]
定員でも、岐阜の176人のうち147人、つまり8割以上が市中病院の枠です。大学病院と市中病院の違いそのものは大学病院と市中病院を数字で比較するで扱っています。
ランキングは、何で並べるかで顔ぶれが変わる
病院単位で集計した場合、何で並べるかで結果は変わります。岐阜の病院を「第一志望者数の実数」で並べた場合と、「第一志望者数÷定員」で並べた場合で、上位5に共通して入るのは2病院でした。
実数で並べると、定員の大きい病院が上位に来ます。
- 岐阜市民病院……第一志望16人/定員16人(100%)
- 松波総合病院……13人/12人(108%)
- 岐阜県総合医療センター……10人/15人(67%)
- 岐阜県立多治見病院……9人/11人(82%)
- 大垣市民病院……9人/18人(50%)
比で並べると、定員の小さい市中病院が上位に集まります。
- 岐阜赤十字病院……150%(第一志望6人/定員4人)
- 松波総合病院……108%(13人/12人)
- 岐阜市民病院……100%(16人/16人)
- 羽島市民病院……100%(4人/4人)
- 多治見市民病院……100%(4人/4人)
両方に入っているのは、岐阜市民病院と松波総合病院の2病院です。定員が小さいほど比は振れやすくなります。岐阜赤十字病院の150%は定員4人に対する第一志望6人で、1人の増減が25ポイント動く規模です。逆に大垣市民病院は第一志望9人で実数の上位5に入りますが、定員が18人と大きいので比では50%になります。ランキングの読み方の全体像は研修医マッチングの人気病院ランキングの読み方にまとめています。[2],[1]
なお、岐阜で複数のプログラムを持つ病院は2つだけです。岐阜大学医学部附属病院の3つと、高山赤十字病院の2つです。ほかの18病院は1病院1プログラムなので、病院単位の数字とプログラム単位の数字がほぼそのまま一致します。愛知の9病院と比べると、県内の構成はかなり単純です。[1]
この数字は、全国のどのあたりなのか
ここまでは岐阜の中だけで並べてきました。実際に志望先を決めるときに効いてくるのは「この数字は全国で見てどのくらいなのか」です。自分の志望先の数字が全国では何番目なのかは、残り1,400件以上のプログラムの分布を知らないと分かりません。候補が増えるほど、全国の分布と突き合わせる手間は増えていきます。
iwor はこの判断のために、JRMPの公表値から4つの指標を算出しています。
- マッチ難易度:席を巡る「本気の競争」の激しさを偏差値化したもの。本気倍率=(志望者数×第1志望率)÷定員 をもとに算出します。定員が4人以下のプログラムは、値のブレを補正しています。4指標のなかで唯一、全国順位も出ます
- 志望集中度:志望者のうち、そこを第1志望に選んだ人の割合。大学病院は低めに出る傾向があります(併願先として登録されやすいから、というのは iwor の見方です)
- 穴場度:0〜100。空きやすさ(空席・低充足)と低倍率を主に、志望者の減少傾向を加味した値です
- 安定度:0〜100。直近の充足の安定性に、充足の水準を加味した値。毎年安定して埋まっているほど高くなります
この記事で見てきた定員・マッチ者数・第一志望者数・空席は、いずれもこれらの指標の材料そのものです。岐阜の23プログラムをプログラム単位のまま倍率・定員・充足率で並べ替えたり、都道府県や区分で絞り込んだりできます。
いずれも席の取りやすさの目安であり、研修の質・教育体制の評価ではありません。公表値からの推定であって、合否や受け入れを保証するものでも、個人の合否を予測するものでもありません。主要な研修病院は岐阜県の研修病院に、23プログラム全件はアプリの病院データベースにあります。
岐阜の23プログラムを、合算せずに1つずつ見る。
iwor は医師のためのワークスペースです。プログラム単位のまま、倍率・定員・充足率で並べ替えたり都道府県・区分で絞り込んだりできます。選んだ複数院の横並び比較と、マッチ難易度・穴場度・志望集中度・安定度の数字と、マッチ難易度の全国順位まで見られます。
無料ではじめるこの記事の数字の出どころ
本記事の数値は、医師臨床研修マッチング協議会が公表している資料から iwor が出しています。2025年度の研修プログラム別マッチ結果(募集定員・マッチ者数・空席数・希望順位登録学生数の確定値)と、中間公表(第一志望者数)。そして記者発表資料(大学病院・臨床研修病院の区分)です。[1],[2],[4]
集計の単位は公表資料と同じくプログラム単位です。病院単位の数字は同じ病院名のプログラムを足し合わせて出し、大学病院と臨床研修病院の区分は記者発表資料にそろえました。[1],[2],[4]
本記事でいう第一志望者数とは、中間公表の前日14時時点で各プログラムを第1位で希望順位登録している参加者数です。中間公表の後も順位登録は変更できるため、最終結果とは一致しません。中間公表の位置づけはマッチングの中間公表とはで解説しています。[2]
よくある質問
岐阜の研修病院は結局どこから見ればいいですか
第一志望が実数でも定員比でも上位に入るのは、岐阜市民病院と松波総合病院の2院です。研修の質の順位ではなく、候補を探す出発点として見てください。
岐阜は46席も空いたのだから、入りやすいということですか
県として席が余ったことと、志望先に入れることは別です。空いた46席のうち23席は岐阜大学医学部附属病院の3プログラムに集中しています。岐阜市民病院と松波総合病院は定員が埋まりました。
岐阜県内の臨床研修病院は何か所ありますか
2025年度のマッチングに参加したのは20病院・23プログラムです。一方で岐阜県は、令和8年4月現在で21の病院が基幹型臨床研修病院として研修医を受け入れていると案内しています。基準日も数え方も違うので、2つの数字は一致しません。[5]
岐阜大学は定員が埋まらないのだから入りやすいですか
登録した34人のうちマッチしたのは6人です。空席が出たことと、受ければ入れることは別の話です。病院側の順位表に載るかどうかは採用試験の結果によります。
第一志望者が多いプログラムは避けたほうがいいですか
順位の付け方を変える理由にはなりません。アルゴリズムには「耐戦略性」があり、行きたい順に登録するのが最良です。不安なら、採用試験を受けて行ってもよいと思えるプログラムを順位表に足します。
まとめ
実数でも定員比でも県内上位5に入るのは、岐阜市民病院と松波総合病院の2院でした。採用試験を受けて行ってもよいと言える枠を、複数登録しておきます。岐阜は23プログラム・20病院で、定員176人に対しマッチ130人・充足率73.9%、12プログラムに計46席の空きが出た県です。そのうち23席は岐阜大学医学部附属病院の3プログラムでした。
市中病院だけで見れば84.4%で、全国の市中病院88.7%を4ポイント下回ります。県全体の充足率73.9%を、自分が受けるプログラムの競争と取り違えないことです。隣県の愛知は愛知の研修病院はどこを受けるかで分解しています。
出典
- 1.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修プログラム別マッチ結果」 jrmp2.jp(2026-09-18 取得)
- 2.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2025年度 医師臨床研修マッチング 中間公表」 jrmp2.jp(2026-09-18 取得)
- 3.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「2026年度版 研修医マッチングの手引き【6年生用・既卒者用】」 jrmp.jp(2026-09-18 取得)
- 4.一次資料医師臨床研修マッチング協議会(JRMP)「令和7年度 研修医マッチングの結果(記者発表資料・2025年10月23日)」 jrmp2.jp(2026-09-18 取得)
- 5.一次資料岐阜県(医療福祉連携推進課)「岐阜県で初期臨床研修をしたい方(研修医になりたい方)へ 臨床研修病院のご案内」 pref.gifu.lg.jp(2026-09-18 取得)
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