OSCE対策は何から手をつけるか|医療面接・基本的臨床手技・救急は他の課題で補えない
目次
結論から書くと、OSCEの対策で最初にやることは練習ではなく、範囲を確定させることです。実施機関である医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)は、課題の領域をサンプル課題シートとして公開しています。医療面接・全身状態とバイタルサイン・頭頸部・胸部・腹部・神経・四肢と脊柱・基本的臨床手技・救急・感染対策の10領域です。[5]
そのうえで優先順位が決まります。令和5年度以降の判定方式では、臨床実習前OSCEの合否は課題ごとの点数を足し合わせて決まるのではなく、5つのカテゴリーごとに判定されます。このうち2つはカテゴリーの中で領域どうしが補い合うのに対して、医療面接・診察技能(基本的臨床手技)・救急は単独で判定されます。補いが効かないのはこの3つなので、ここから確実にするのが順番として合理的です。[2]
何が出るかは、課題のサンプルまで公開されている
課題そのものは「診療参加型臨床実習に必要とされる技能と態度についての学修・評価項目」を元に作られます。2026年度のガイドは、受験前の準備として教育・学修用動画を必ず視聴するよう求めたうえで、2つの但し書きを置いています。学修・評価項目の内容は、動画に含まれていなくても出題されます。逆に、学修・評価項目で「*」が付いている項目は、動画に含まれていても出題されません。[1]
つまり範囲の正本は動画ではなく学修・評価項目のほうです。動画だけを見て「ここは映っていなかったから出ない」と判断すると外します。
機構は「*」の項目を出題しないと明記している
学修・評価項目 第1.1版(2024年12月)は、A 共通の学修・評価項目からI 診療録まで9つの章と付録でできています。このうち身体診察の章は、C-1 全身状態とバイタルサインからC-6 四肢と脊柱までが*なしで並び、C-7 直腸診から C-13 高齢者までの7つには見出しごと*が付いています。G *報告とH *臨床推論も同じです。[3]
*は見出しだけでなく項目にも付きます。たとえば腹部の聴診にある「*振水音を聴診する」がそれです。範囲を絞るときは、見出しだけでなく項目の頭も見てください。[3]
この印の意味は資料自身が説明しています。*は「臨床実習中に学修し身につけるべきだが、臨床実習開始前には備わっていなくてもよい」と判断された項目に付いています。つまり*は試験に出ないという意味であって、学ばなくてよいという意味ではありません。試験対策の優先順位を下げる材料として使ってください。[3],[1]
合否は課題ごとではなく、5つのカテゴリーで決まる
機構は、評価結果を「患者への配慮」「医療面接」「診察技能(身体診察)」「診察技能(基本的臨床手技)」「救急」の5つのカテゴリーに分けて示すと説明しています。どれかのカテゴリーで最低のF評価になると、その領域の再試験を受けることになります。[2]
補い合える領域と、補い合えない領域がある
相補的に判定されるのは「患者への配慮」と「診察技能(身体診察)」の2つです。機構は例まで挙げていて、「神経診察がわずかに不十分であっても、他の、全身状態とバイタルサイン、頭頸部、胸部、腹部、の4領域が十分到達基準に達していれば、不到達評価にはなりません」と書いています。得点率の合計が到達基準の合計を下回ったときに不到達となる仕組みです。なお「患者への配慮」が対象にしているのは身体診察と基本的臨床手技の両方です。[2]
一方で、医療面接・診察技能(基本的臨床手技)・救急は単一領域で判定されます。ここは他の課題の出来で埋め合わせができません。身体診察で1つ苦手があっても他でカバーできるのに対して、この3つは1つずつが単独で効きます。[2]
この構造から考えると、先に手を入れたいのは医療面接・基本的臨床手技・救急です。身体診察は「どれか1つを完璧に」ではなく全体の底上げが効きます。
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無料ではじめる受験機会は全国で統一されている(2026年度に変更あり)
機構は受験機会が全国統一であること、各大学の規則とは異なることがあるので注意することを案内しています。この受験機会の統一については2026年度より変更があった、とも書かれています。回数は原則2回まで。学校保健安全法に定められた学校感染症、疾病やケガ、妊娠・出産、忌引、災害、そして機構が受験不可能と判断した事案で受験できなかった場合に限り、その年度に3回目の機会が追加されます。3回目に受験しなかった場合、または受験して不到達だった場合は、その年度のOSCEは不到達となります。[1]
大学ごとに決まるのは、集合場所と集合時刻、それに受験者が準備する診察器具です。服装や髪型などの身だしなみ、試験室への持ち込みの可否は機構が全国一律に定めているので、そちらは大学の案内待ちにしないでください。自分の大学の説明と食い違って見えたら学務に確認してください。[1]
落ちたときに受け直すのは、届かなかった領域だけ
再試験で受けるのは、到達基準に達しなかった領域の課題です。全部を受け直すわけではありません。ただし本試験で受験者側の事由により受けられなかった課題があると、その課題は「到達基準に達しなかった」ものとして扱われ、再試験の対象になります。追試験と再試験の課題は、原則として本試験とは別の課題です。[1]
本番中に知っておくと効くこともあります。時間内に実技を終えられなかった場合も、模擬患者への挨拶は行うよう案内されています。[1]
この順で手をつける
- サンプル課題シートで課題の10領域を確認し、学修・評価項目の*が付いた見出しと項目は試験対策の優先度を下げる
- 補いの効かない医療面接・基本的臨床手技・救急を先に固める
- 身体診察は、苦手を1つ潰すより全体の底上げを狙う
- 教育・学修用動画を見たうえで、動画に映っていない項目が学修・評価項目に無いかを突き合わせる
- 集合場所・集合時刻と、準備する診察器具を所属大学の案内で確認する
知識のほうは共用試験のもう片方、CBTと地続きです。CBTの出題形式と合格基準は医学生のCBT勉強法で、プール問題の本数をめぐる数字の食い違いはCBTのプール問題は何問かで扱っています。
よくある質問
臨床実習前のOSCEと臨床実習後のOSCEは何が違いますか
別の試験で、機構はガイドを別々に公開しています。この記事が扱っているのは臨床実習前のほうです。臨床実習後OSCEの機構課題は、卒業後の臨床研修を始めるにあたって安全な医療を提供できる能力を見るもので、医療面接から身体診察、そして指導医への症例プレゼンテーションまでを限られた時間で行います。機構課題は計35症候から作られており、患者は成人のことも小児のこともあり、場面は外来(救急外来を含む)または病棟という設定です。大学独自課題はこれとは別に評価されます。[4]
感染対策や四肢の診察も出るのですか
どちらも公開されているサンプル課題シートの10領域に入っています。2026年度のガイドにも、感染対策領域の課題は前腕を露出して行うので試験室への入室前後に準備するように、という当日の案内があります。範囲に入っている前提で準備してください。[5],[1]
自分の出来がどこで足りなかったかは分かりますか
試験のフィードバックは行われません。分かるのは成績通知の形で、5つのカテゴリーごとの評価として示されます。相補的に評価するカテゴリーでF評価になったときだけ、そのカテゴリーの課題領域別の成績も併せて示されます。だから本番までに自分で確認しておく単位も、課題ごとの出来ではなくこの5カテゴリーに合わせるのが実際的です。[1],[2]
まとめ
OSCEは範囲が公開されている試験です。サンプル課題シートの10領域と、学修・評価項目の*を突き合わせれば、その日のうちに準備すべき範囲が決まります。そして到達判定は5つのカテゴリーで行われ、医療面接・基本的臨床手技・救急は他の課題で補えません。練習の順番に迷ったら、この3つを先に置いてください。合格した先の臨床実習に向けた準備は、ポリクリの持ち物とポリクリのコツにまとめています。[5],[2]
出典
- 1.一次資料医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)「2026年度医学生共用試験臨床実習前OSCE 学修・受験ガイド」 cato.or.jp(2026-08-06 取得)
- 2.一次資料医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)「令和5年度からの臨床実習前共用試験の合格判定について」 cato.or.jp(2026-08-06 取得)
- 3.一次資料医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)「診療参加型臨床実習に必要とされる技能と態度についての学修・評価項目(第1.1版)」 cato.or.jp(2026-08-06 取得)
- 4.一次資料医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)「2026年度医学生共用試験臨床実習後OSCE 学修・受験ガイド(機構課題)」 cato.or.jp(2026-08-06 取得)
- 5.一次資料医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)「医学生共用試験臨床実習前OSCE サンプル課題シート」 cato.or.jp(2026-08-06 取得)
本記事はiwor 編集部が作成し、医師が監修しています。掲載内容は一般的な学習目的の情報であり、 診断・治療の最終判断は必ず一次資料・指導医にご確認ください。 編集方針と監修体制